Simply Dead

映画の感想文。

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『A Girl in Black』(1955)

『A Girl in Black』(1955)

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 ギリシャの名匠、マイケル・カコヤニス監督の長編第3作。地中海の美しい景色をバックに、ひとつの恋が悲劇を引き起こしていく様を丹念に描く。ゴールデングローブ外国語映画賞を受賞し、カンヌ国際映画祭にも出品された。

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〈おはなし〉
 風光明媚な地中海沿岸の港町に、都会から二人の男がやってくる。売れない作家の青年パヴロ(ディミトリ・ホーン)と、友人の(ノチス・ペルヤリス)だ。彼らはとある民家に泊めてもらう事に。そこには美しい娘マリナ(エリー・ランベッティ)が家族と共に暮らしていた。

 彼女の父親はすでに亡く、妹も1年前に海で還らぬ人となった。継母は孤独のあまり若い男と関係し、村の噂になっている。誰も口には出さないが、村民たちのいびつな視線はマリナを責め苛なむ。今や島で生きること自体が彼女にとって苦痛だった。

 そんなマリナの憂いを湛えた表情に惹かれ、積極的にアプローチするパヴロ。固く閉ざされた彼女の心も次第にほだされ、仄かな愛情が芽生え始める。だが、住む世界の違う者同士の恋は、取り返しのつかない悲劇をもたらした……。

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 モノクロで捉えられたコントラスト豊かな海辺の情景が美しく、1カット1カットがことごとく画になる。「ここでは全てが明るい陽に照らされている。人の罪も」という台詞を冒頭に掲げ、決して楽園ではない村社会の冷たい一面を炙り出し、絶対法則的といえる残酷な展開へと導いていく手腕が鮮やかだ。

 しかし、それだけに終わらないのがこの映画の魅力。古典的な悲劇の運びを踏まえながら、カコヤニスの語り口には知性と現代性がある。恐怖に脅え、絶望に打ちひしがれていたヒロインが、その出来事をきっかけに強さを取り戻し、立ち直る様が非常に感動的。メロドラマから一歩踏み出したラストも清々しい。

 『狙撃者』(1971)、『ブラック・レインボウ』(1989)のマイク・ホッジス監督は、映画館に入り浸っていた少年時代に本作と出会い、たちまち魅了されてしまったそうだ。特に、未亡人(ヒロインの継母)が若い男との情事を終えた後、ひとり町を歩いていくシーンは忘れられないという。「島民は皆、歩いていく彼女に黙って背を向け続ける。恥辱を受け、どこまでも孤独な彼女は、死人も同然だ。今でもこんなに恐ろしいシーンはないと思っている」。カコヤニス監督の大ファンとなったホッジスはその後、地中海のマルタ島に別荘を持ち、そこで2作目の長編映画『PULP』(1972)を撮り上げた。


監督・脚本/マイケル・カコヤニス
撮影/ウォルター・ラッサリー
出演/エリー・ランベッティ、ディミトリ・ホーン、エレニ・ザフィリオ、ジョージ・ファウンダス、ノチス・ペルヤリス

・DVD Fantasium
『A Girl in Black』DVD(US盤)
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