Simply Dead

映画の感想文。

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映画秘宝5月号! 衝撃の世界映画事件史! 塚本監督インタビュー!

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 3/21発売の「映画秘宝 2012年5月号」にて、ふたつほど記事を書かせていただきました。まずは、カンヌ国際映画祭批評家週間グランプリを獲得した話題作『テイク・シェルター』(3/24公開)に主演した、マイケル・シャノンのインタビュー記事。『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』や『ランナウェイズ』で強烈な演技を披露した希代の怪優に、電話インタビューを敢行してまいりました。見た目どおりメチャクチャ怖い人だったらどうしよう……とも思っていましたが、実際はとてもジェントルで丁寧に話してくれる方で安心しました(取材中、通訳で会話が途切れている間、鼻歌を唄ってたのが可愛かったです)。『テイク・シェルター』は、オハイオ州の田舎町で家族と幸せに暮らす男が、巨大な嵐によって全てを破壊される終末のビジョンにとり憑かれ、家の裏庭にシェルターを作り始めるという物語。どんどん精神的に追いつめられていく主人公をマイケル・シャノンが大迫力で熱演。日本人には他人事でない不安をスリリングに描いた力作です。

 もうひとつの記事は、ダンテ・ラム監督が香港ノワールの新たな機種に躍り出るきっかけとなった『ビースト・ストーカー/証人』 (4/7公開)の作品レビュー。とある悲惨な交通事故によって、それぞれの心と体に癒しがたい傷を負った男女が、ひとつの誘拐事件をきっかけに己の存在意義をかけた戦いを繰り広げる緊迫のノワールアクションスリラー。ニコラス・ツェー、ニック・チョン、チャン・ジンチューの演技も圧倒的な大傑作です。本作以降、同じキャストを迎えた『密告・者』(DVD&Blu-rayリリース)や『逆戦』(日本公開予定)など、快進撃を続けるダンテ・ラム監督のターニングポイントとなった記念碑的作品としても、決して見逃せません。

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 また、すでに巷の話題を呼んでいる「別冊映画秘宝 衝撃の世界映画事件史」(3/30発売)にも参加させていただいております。ぼくが担当したのは、ドキュメンタリー映画の歴史を変えた巨匠にして現役最強のインディペンデント作家のひとりである、フレデリック・ワイズマン監督の紹介記事。昨年11月におこなった監督へのインタビューの模様もまじえて、その作品と経歴、そして日本での評価などを「秘宝的視点」で書きました。B級映画の帝王ロジャー・コーマンをはじめ国内外の独立系映画作家のサバイバル術に迫る第1部に加え、第2部では「戦後の混乱期、アメリカのスパイにされかけた美術監督と映画監督の怪死事件」「80年代邦画界の希望を背負ったディレクターズ・カンパニーの崩壊」「ビデオ・バブルが生み出した伝説の怪人・光山昌男」「人種差別から南京事件まで、日本をめぐる国辱映画の事情」と、かなりタブーに切り込んだ苛烈な内容の1冊になっているようなので、ぼくも読むのが凄く楽しみです。

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 そして、ついに憧れの塚本晋也監督にもインタビューさせていただきました! Coccoを主演に迎えた最新作『KOTOKO』(4/7公開)は、個人的には今年ベストワン確定と言いきりたいほどの大傑作。ムチャクチャ緊張しましたが、濃いお話をたくさん聞けたと思います。来月発売予定の「TRASH-UP!! vol.12」に掲載される予定なので、よろしくお願いします!(『KOTOKO』『ビースト・ストーカー/証人』『テイク・シェルター』は、ぜひ劇場で観るべし!)
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『The Missing Person』(2009)

『The Missing Person』(2009)

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 オスカー助演男優賞候補となった『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』(2008)や、主演作『テイク・シェルター』(2011)などで注目を集める怪優マイケル・シャノンが、アル中気味の私立探偵を渋く演じた日本未公開のハードボイルド・ドラマ。監督・脚本はインディーズ映画作家のノア・ブシェル。3作目となる本作はサンダンス映画祭で初上映され、ニューヨークのインディペンデント映画賞「ゴッサム・アワード」の監督賞にもノミネートされた。

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〈おはなし〉
 シカゴ、まだ夜も空けきらぬ早朝。酒浸りの私立探偵ジョン・ロソウ(マイケル・シャノン)は、見知らぬ男からの電話で叩き起こされる。それは「ある男を尾行してほしい」というシンプルな依頼だった。電話が切れた直後、依頼主の秘書だという女性ミス・チャーリー(エイミー・ライアン)が現れ、写真と資料を置いていく。いかにも怪しげな物件だったが、金払いもよさそうなので引き受けることにするロソウ。

 依頼人の指示に従い、シカゴ発の長距離列車に乗り込むと、そこには尾行相手の男フルマー(フランク・ウッド)が、ヒスパニック系の少年とともに乗っていた。列車はL.A.に到着し、ロソウはフルマーたちと同じモーテルに部屋を取る。部屋での会話を盗み聞きしながら、フルマーが小児性愛者ではないかと疑うロソウ。

 翌日、タクシーで砂漠へと向かうフルマーたち。あとを追うロソウ。辿り着いた先は寂れた村で、フルマーはそこに少年を送り届けに来たのだった。次の瞬間、ロソウは警備の者に強烈な一撃を食らい、地べたに倒れ込む。……やがて彼は、フルマーが9.11テロの際に行方不明となった者であることを知り、同時になぜ自分がその尾行役に選ばれたのかも気づくのだった。

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 洒脱な台詞と、ひとクセある登場人物たち、平凡な日常の裏側にある世界の闇へと観る者をいざなう物語。ハードボイルド作品には欠かせない要素をしっかりと盛り込みながら、9.11という現代的モチーフを物語の核として巧みに活かしたプロットが新鮮だ。古きよき探偵映画の味わいと、現代性をバランスよく併せ持った逸品である。低予算のインディーズ作品ながら、モノクロに近い色調と陰影に富んだルックで雰囲気作りにもこだわっている。話としては非常にシンプルで、ハッキリ言って地味だし、謎解きに重点を置いた作品でもないので、やや食い足りない感はあるかもしれない(行方不明になっていたフルマーがなぜ見つかったのかという過程もハッキリしない)。ただ、捨てがたい魅力を持った小品であることは確かだ。

 狂気をはらんだエキセントリックな役柄のイメージが強いマイケル・シャノンだが、クラシックな探偵役も意外と似合う。いかつい風貌に滲む繊細さ、キザな台詞もサマになる渋い声を活かし、心に傷を負った孤独な男をナチュラルに好演。近年は出演作が引きも切らない人気者だが、本作を観ると確かに演技の幅も広く、魅力的な芸達者であることがよく分かる。先日『テイク・シェルター』絡みで電話取材した際には「複雑な人物を演じるのが好きなんだ」と語っていたが、この映画でも表面上は諦観を湛え、内奥には屈折を秘めた役柄を最小限のテンションで絶妙に演じきっている。

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 依頼人との連絡係をつとめる女性秘書チャーリー役のエイミー・ライアン、探偵と行きずりの関係を持つL.A.の女ラナ役のマーガレット・コリンら、脇を彩る女優陣の顔ぶれも印象的。同じニューヨーク出身者ということで主人公と仲良くなる『セルピコ』ファンのタクシー運転手、ジョン・ヴェンティミリアの愉快な芝居も忘れがたい。日本未公開が惜しい佳作である。

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