Simply Dead

映画の感想文。

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続・MGMのDVD-Rシリーズも凄い!

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えっ、『ジャッカー』ってDVD出てたの!?

というわけで、いつぞやお伝えしたMGMのオンデマンドDVD-Rシリーズ「MGM LIMITED EDITION COLLECTION」が、いつの間にかタイトル数をボンボン増やしていたので、これまた途中経過ですが再度紹介しておきます(全作品、日本語字幕なしの米国盤DVD-Rです)。ちなみに「Warner Archive Collection」のラインナップも前回記事にした時からとんでもなく増えているので、こちらもいつか「TRASH-UP!!」などで紹介できればと思っています。各タイトルのリンク先はAmazon.com。店頭での購入や、クレジットカードなしでの購入を希望される方は、おなじみ西新宿ビデオマーケットでも注文すれば入荷してくれると思います。(自家製のDVD-Rだけに、ディスクの中身が違っている場合もけっこうあるみたいですが……)

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『マルセイユ特急/THE DESTRUCTORS(The Marseille Contract)』(1974)
麻薬ルート殲滅のため、巨大な犯罪組織に戦いを挑む男たちの活躍を描いたアクションスリラー。出演はマイケル・ケイン、アンソニー・クイン、ジェームズ・メイソン、モーリス・ロネ、マルセル・ボズフィほか、錚々たる面々。監督は『決死圏SOS宇宙船』のロバート・パリッシュ、そして音楽は『狙撃者』のロイ・バッド!

『裏切りの密輸船/THE GUN RUNNERS』(1958)
アーネスト・ヘミングウェイの短編をもとにした、ドン・シーゲル監督の犯罪アクション(同じ原作のハワード・ホークス監督作品『脱出』のリメイクにあたる)。主演はオーディ・マーフィーとパトリシア・オーウェンズ。脚本は『殺し屋ネルスン』『ボディスナッチャー/恐怖の街』などでもシーゲルと組んでいるダニエル・メインウェアリングと、『エディ・コイルの友人たち』のポール・モナシュ。

『脱走計画/THE CEREMONY』(1963)
北アフリカ・タンジールの刑務所で死刑を目前に控えた銀行強盗が、弟と愛人の手引きで脱獄。だが、銀行から奪った大金のありかをめぐり、兄弟は骨肉の争いを繰り広げる……。俳優ローレンス・ハーヴェイが初めて製作・監督・主演を手がけた犯罪ドラマ。原作は『悪魔のような女』『ヴィオレット・ノジエール』の脚本にも名を連ねるフレデリック・グランデルの長編小説。

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『捕らわれの町/THE CAPTIVE CITY』(1952)
ロケ撮影を多用したセミドキュメンタリータッチの演出で、戦後アメリカの腐敗を暴いたロバート・ワイズ監督によるフィルムノワール。平凡なスモールタウンの裏側にはびこる組織犯罪の実態が、ジョン・フォーサイス演じる新聞編集者によって明らかにされていく。戦後の州間通商における組織犯罪に関する特別調査委員会(通称キーフォーヴァー委員会)の委員長エステス・キーフォーヴァーが本人役で登場。

『MR. WONG, DETECTIVE』(1938)
フランケンシュタインの怪物やミイラ男など、数々の人気キャラクターを演じてきた名優ボリス・カーロフが、中華服に身を包んだ名探偵ジェームズ・リー・ウォン氏に扮した犯罪映画シリーズの第1作。化学工場の経営者が何者かに殺された事件をきっかけに、探偵ウォン氏が事件の裏に隠された陰謀を解き明かしていく。原作はヒュー・ワイリーの小説。

『THE MYSTERY OF MR. WONG』(1939)
アンティーク蒐集家が殺害され、事件の捜査に乗り出した探偵ウォン氏。それは“月の娘の瞳”と呼ばれる有名な宝石の盗難事件と関係していた……。ボリス・カーロフ演じる探偵ウォン氏の活躍を描いたシリーズ第2作。監督は前作と同じく、ウィリアム・ナイ。カーロフ主演の探偵ウォン氏シリーズは全部で5本作られた。

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『死刑台への招待/RETURN FROM THE ASHES』(1965)
ホロコーストから生還したユダヤ人の女性研究者。彼女が収容所で死んだと信じ込んでいたチェスプレイヤーの夫。そして妻の連れ子で、義理の親子として暮らすうちに父を愛し始めていた若い娘。微妙な三角関係から生まれる愛憎と殺意を描く、J・リー・トンプソン監督によるスリラードラマ。原作はユベール・モンテイエの小説『帰らざる肉体』。主演はイングリッド・チューリン、マクシミリアン・シェル、サマンサ・エッガー。

『THE GIRL IN BLACK STOCKINGS』(1957)
ユタ州のロッジでひとりの若い女性が惨殺された。シェリフは他の宿泊客やロッジの経営者も容疑者に含めて捜査に乗り出すが、そこに再び殺人者の影が……。プロデューサーとして活躍したハワード・W・コッチが監督を務めたサスペンス・スリラー。若き日の名女優アン・バンクロフトと、B級映画のヒロイン役でおなじみの金髪美女メイミー・ヴァン・ドーレンが共演。

『恐怖を売る男達/THE FEARMAKERS』(1958)
ジャック・ターナー監督による反共スリラーの1本。朝鮮戦争で苛酷な捕虜生活を送った帰還兵が、ワシントンD.C.で知人とPR会社を設立するが、いつしか会社は共産勢力に乗っ取られていた……。主演は『歩道の終わる所』『口紅殺人事件』など、数々の名作フィルムノワールに主演したダナ・アンドリュース。

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『摩天楼ブルース/DEFIANCE』(1979)
些細なケンカが原因で停職処分を食らった若き航海士トミーは、ニューヨークの下町ロウアー・イーストサイドに身を寄せる。彼は住民たちとの絆を深め、やがて町を荒らす不良グループ相手に戦いを挑んでいく。『ローリング・サンダー』のジョン・フリン監督が、ジャン=マイケル・ヴィンセントを主演に迎えて撮り上げた痛快バイオレンス・アクション。

『ジャッカー/COHEN & TATE』(1988)
組織抗争がらみの殺人事件を目撃し、FBIに証人として保護された少年。そこに2人組の殺し屋が現れ、少年を誘拐してしまう……。3人の奇妙な道行きを緊迫感溢れるロードムービーとして描いた、小粒ながら気の利いたサスペンス・スリラーの秀作。『ヒッチャー』の脚本家エリック・レッドの才気が迸る監督デビュー作。ロイ・シャイダー、アダム・ボールドウィンの演じる殺し屋コンビの対照的なキャラクターが魅力的。

『ニューヨーク麻薬捜査線/REPORT TO THE COMMISSIONER』(1975)
マイケル・モリアーティが警察学校を出たての若手刑事に扮し、彼とコンビを組む黒人のベテラン刑事をヤフェット・コットーが演じた、ビターな味わいの70年代ポリスアクション。監督は『バタフライはフリー』のミルトン・カトセラス。リチャード・ギアの映画デビュー作でもある。

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『テロリズムの夜 パティ・ハースト誘拐事件/PATTY HEARST』(1988
新聞王ウィリアム・ランドルフ・ハーストの孫娘パトリシア(パティ)が極左過激派グループに誘拐され、やがて組織の一員として1年以上も逃亡生活を送った事件の映画化。『ハードコアの夜』の鬼才ポール・シュレイダーが監督をつとめ、巨匠エリア・カザンの息子ニコラス・カザンが脚本を手がけた。パティを演じたナターシャ・リチャードソン(ヴァネッサ・レッドグレイヴの娘)は、スキー中の事故で2009年に急逝。

『アンビュランス/THE AMBULANCE』(1990)
もしも急患を載せた救急車の行き先が病院じゃなかったら?というワンアイディアだけで突っ走るB級アクションスリラー。監督・脚本はジャンルムービーの名手、ラリー・コーエン。出演はエリック・ロバーツ、ジェームズ・アール・ジョーンズ。

『LAWS OF GRAVITY』(1992)
ブルックリンでうだつの上がらない日々を送っている若者、ジョンとジミー。ある日、フロリダから旧友のフランキーが拳銃を売りさばこうと町にやってきたことから、彼らの運命は大きく狂い始める……。『パルプ・フィクション』『クリーン、シェーブン』などで強烈な印象を残した個性派俳優ピーター・グリーンが主演した犯罪ドラマ。監督・脚本は『ニュージャージー・ドライブ』のニック・ゴメス。

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『BURN, WITCH, BURN!(Night Of The Eagle)』(1962)
大学で宗教と迷信について教えている心理学教授が、妻のオカルト信仰を知って激怒し、儀式の道具も何もかも焼き捨てるよう強要する。だが、その時から彼の周囲に異変が……。『血臭の森』のシドニー・ヘイヤーズ監督による英国製オカルトサイコホラー。フリッツ・ライバーの小説をもとに、チャールズ・ボーモント、リチャード・マシスン、ジョージ・バクストという豪華メンバーが脚本を執筆。主演はピーター・ウィンガード、ジャネット・ブレア。

『QUEEN OF BLOOD』(1966)
旧ソ連製のSF映画のフッテージを流用し、全く別物のSFホラー映画に作り変えたロジャー・コーマン製作のリサイクル映画の1本。地球外生物からの交信電波を受け取った宇宙飛行士たちが、吸血鬼のような女性型エイリアンと遭遇する、元祖『スペース・バンパイア』。監督・脚本は『Ruby』の異才、カーティス・ハリントン。緑色の肌をもつ美女エイリアンに魅入られる宇宙飛行士たちを、ジョン・サクソン、デニス・ホッパーらが演じる。

『BLOOD BATH』(1966)
これもロジャー・コーマン製作のツギハギ再利用映画の1本。ユーゴスラビア製のスパイ映画のフッテージをもとに、ジャック・ヒルとステファニー・ロスマンがそれぞれ追加シーンを撮影し、ロスマンが再編集して『血のバケツ』のリメイク的サイコホラーに仕上げた。スタジオに連れてきた美女たちを殺害しては、熱く煮えたぎった蝋のなかに死体を投げ込む狂ったアーティストの凶行を描く。公開時は『QUEEN OF BLOOD』と2本立て上映された。

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『青い課外授業/TAKE A GIANT STEP』(1959)
白人社会のなかで育った黒人のティーンエイジャーの苦悩と青春を綴った社会派ドラマ。のちに大ヒットナンバー「I Can See Clearly Now」を放つ歌手のジョニー・ナッシュが、17歳の主人公を好演。彼を支える若い家政婦を『ドゥ・ザ・ライト・シング』のルビー・ディーが演じる。監督は『戦う翼』のフィリップ・リーコック。

『裏街 太陽の天使/A THOUSAND CLOWNS』(1965)
エキセントリックな無職の中年男マレーと、彼と一緒に暮らしている甥っ子の少年ニック。そこにふたりのソーシャルワーカーがやってきて、マレーが保護者に相応しいかどうか調査を始めるのだが……。ハーブ・ガードナーによる舞台劇を原作者自ら脚色し、フレッド・コーが製作・監督を手がけたヒューマンドラマ。主演はジェイソン・ロバーズ、バーバラ・ハリス。ソーシャルワーカー役のマーティン・バルサムは本作でアカデミー助演男優賞を獲得した。

『THE CARELESS YEARS』(1957)
両親の反対を押し切ってメキシコへ駆け落ちしようとする十代のカップルの姿を描いた青春ラブストーリー。のちに『ある愛の詩』『大陸横断超特急』などを手がけたアーサー・ヒラー監督のデビュー作。主演はディーン・ストックウェル、ナタリー・トランディ。

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『死んでもいい/PHAEDRA』(1962)
メリナ・メルクーリ演じる大富豪の後妻と、その義理の息子アンソニー・パーキンスが織り成す禁じられた愛の顛末を、ギリシャ神話をもとに描いた悲劇的ラブストーリー。共演はラフ・ヴァローネ。監督・脚本は『日曜はダメよ』『トプカピ』のジュールス・ダッシン。

『THE NUN AND THE SERGEANT』(1962)
朝鮮戦争を背景にしたヒューマンドラマ。マッグラス軍曹率いる海兵隊の小隊が、戦場の真っ只中で尼僧に連れられた少女たちと出会い、彼女たちと行動を共にすることになる。出演はロバート・ウェバー、アンナ・スタン。監督は、自身も海兵隊員として従軍経験のあるフランクリン・アドレオン。

『THE ROSE GARDEN』(1989)
暴行の現行犯で逮捕された老人の弁護を引き受けた女性弁護士。被告の老人はかたくなに犯行理由を黙秘し続けるが、やがて彼女は襲われた相手が元ナチス党員だったことを知る……。ユダヤ人収容所で子供たちが医療実験のために殺されていた史実をもとにしたヘヴィーなドラマ。出演はリヴ・ウルマン、マクシミリアン・シェル、ピーター・フォンダ。監督はオランダのベテラン映画人、フォンス・ラデメーカーズ。

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『ジョン・レノンの 僕の戦争/HOW I WON THE WAR: COLLECTORS EDITION』(1967)
リチャード・レスター監督が戦争の愚かしさを皮肉った諷刺コメディ。『ナック』のマイケル・クロフォードと、ザ・ビートルズのジョン・レノンが共演。本商品はリマスター版の本編に、撮影時のスナップや宣伝用スチルなどで構成された28ページのブックレットが特典としてついてくるコレクターズ・エディション。

『楽しい泥棒日記/THE HAPPY THIEVES』(1962
レックス・ハリスンとリタ・ヘイワースが泥棒夫婦を演じた犯罪コメディ。監督はサイレント時代から活躍するベテラン、ジョージ・マーシャル。スペインのゴヤ美術館など、風光明媚なヨーロッパ・ロケも見どころ。

『THOSE LIPS, THOSE EYES』(1980)
夏の野外ミュージカル劇場で道具係として雇われた青年が、謎めいたカリスマ性をもつ劇団のリーダーの助けを借りて、コーラスダンサーの女性と恋に落ちていくというロマンティックコメディ。出演はフランク・ランジェラ、グリニス・オコナー、トム・ハルス。監督は近年TVドラマで活躍しているマイケル・プレスマン。

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『美女と無法者/BOBBIE JO & OUTLAW』(1976)
カントリー歌手に憧れる女と、ビリー・ザ・キッドに憧れる男。恋に落ちたふたりはド派手な強盗や銃撃戦を繰り返し、いつしか無法者として名を馳せていく……。TV『ワンダーウーマン』のリンダ・カーターと、『巨大生物の島』のマージョー・ゴートナーが共演したアウトローアクション。製作・監督は『処刑教室』のマーク・L・レスター。日本では一部地方のみで劇場公開された。

『酋長ジェロニモ/GERONIMO』(1961)
インディアン居留地区での不当な扱いに対し、ジェロニモのもとに決起したアパッチ族。徹底抗戦の姿勢で交渉に臨む彼らは、ついにワシントンD.C.と対話の機会を得るが……。チャック・コナーズがジェロニモ役を演じた社会派アクションドラマ。監督はTV『ライフルマン』でもコナーズと組んだアーノルド・レイヴェン。

『荒野のガンマン無宿/BILLY TWO HATS』(1973)
イスラエルで撮影されたグレゴリー・ペック主演の西部劇。ペック演じるスコットランド生まれの銀行強盗ディーンズと、彼の相棒であるインディアン青年ビリーの逃避行を描く。監督は『ランボー』のテッド・コッチェフ。脚本は『ラスト・ラン/殺しの一匹狼 』『さすらいのカウボーイ』も手がけたスコットランド出身の脚本家、アラン・シャープ。

 その他、気になるタイトルを以下に列挙。個人的に専門分野外の西部劇や、中古で国内版VHSが今でも入手できそうな作品は、こちらにまとめてあります。

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『DAVY CROCKETT, INDIAN SCOUT』(1950)
『復讐の雨/CLOUDBURST』(1951)
『デファイアンス砦/FORT DEFIANCE』(1951)
『見知らぬ人でなく/NOT AS A STRANGER』(1955)
『CRIME AGAINST JOE』(1956)
『荒野の宿敵/THE BRASS LEGEND』(1956)
『デルリオの決闘/MAN FROM DEL RIO』(1956)
『必殺の銃弾/GUN BROTHERS』(1956)
『GHOST TOWN』(1956)
『悪魔の生体実験/THE BLACK SLEEP』(1956)
『偽装の女 闇の中の捜査網/MY GUN IS QUICK』(1957)
『HELL BOUND』(1957)
『暗黒街の罠/THE BIG BOODLE』(1957)
『FOUR BOYS AND A GUN』(1957)
『HIGH SCHOOL HELLCATS』(1958)
『第87警察/COP HATER』(1958)
『皆殺し砦/FORT MASSACRE』(1958)
『シカゴ秘密情報局/CHICAGO CONFIDENTIAL』(1958)
『OKLAHOMA TERRITORY』(1960)
『もえつきた夏/A COLD WIND IN AUGUST』(1961)
『嵐の学園/THE EXPLOSIVE GENERATION』(1961)
『愛の勝利/STOLEN HOURS』(1963)
『悪魔の娘たち/DAUGHTERS OF SATAN』(1972)
『黄金の指/HARRY IN YOUR POCKET』(1973)
『MR.バンピラ 眠れる棺の美女/OLD DRACULA』(1974)
『荒野の呼び声/THE CALL OF THE WILD』(1976)
『グレート・サム サギ師と令嬢/THE GREAT SCOUT AND CATHOUSE THURSDAY』(1976)
『ジェノサイド・ストーム/THE AMBASSADOR』(1984)
『炎のレジスタンス/ASSISI UNDERGROUND』(1984)
『恋のボディ・スラム/BODY SLAM』(1987)
『七十年目の審判/THE MURDER OF MARY PHAGAN』(1988)
『パラドックス・ワールド/THE CALLER』(1988)
『ラッキー・カフェ/QUEEN OF HEARTS』(1988)
『アイアン・トライアングル/THE IRON TRIANGLE』(1988)
『エドガー・アラン・ポー 早すぎた埋葬/BURIED ALIVE』(1989)

 また、以下のタイトルも同レーベルから発売予定とのこと(あくまで予定です)。ピーター・ブルック&トニー・リチャードソン&リンゼイ・アンダーソンが共同監督したオムニバス諷刺喜劇『赤と白とゼロ』、ヘンリー・シルヴァ主演の犯罪ドラマ『ひとりぼっちのギャング』、西部劇の名手バッド・ベティカー監督によるフィルムノワール『殺し屋は放たれた』あたりが気になる! あと、どうせならイエジー・スコリモフスキ監督の『ジェラールの冒険』も出してほしい!

『腰抜けアフリカ博士/CALL ME BWANA』(1963)
『黄金線上の男/THE FILE OF THE GOLDEN GOOSE』(1969)
『THE HALLIDAY BRAND』(1957)
『RIOT IN JUVENILE PRISON』(1959)
『続・男と女/ANOTHER MAN, ANOTHER CHANCE』(1977)
『殴り込み大平原/QUINCANNON, FRONTIER SCOUT』(1955)
『ひとりぼっちのギャング/JOHNNY COOL』(1963)
『HOT CARS』(1956)
『DOWN THREE DARK STREETS』(1954)
『顔のない男の呪い/CURSE OF THE FACELESS MAN』(1958)
『赤と白とゼロ/RED, WHITE AND ZERO』(1967)
『THE BOSS』(1956)
『黒の復讐(怒りの日)/HENNESSY』(1975)
『APRIL MORNING』(1988)
『幽霊伝説 フランケンシュタイン誕生秘話/HAUNTED SUMMER』(1988)
『殺し屋は放たれた/THE KILLER IS LOOSE』(1955)
『われヒトラーとかく戦えり/ADOLF HITLER: MY PART IN HIS DOWNFALL』(1974)
『プレイガール陥落す/LOVE IS A BALL』(1962)
『LOST LAGOON』(1957)
『A MIDSUMMER NIGHT'S DREAM』(1968)
『生きる情熱/A RAGE TO LIVE』(1964)
『コンドルの砦/CANNON FOR CORDOBA』(1970)
『サンセット通りの暴動/RIOT ON SUNSET STRIP』(1967)
『RETURN TO TREASURE ISLAND』(1954)
『GUN DUEL IN DURANGO』(1957)

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映画秘宝8月号! TRASH-UP!! vol.9! 第四回 爆音映画祭!

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 菅原文太の兄ィが雄々しく凛々しく表紙を飾る「映画秘宝 2011年8月号」は、本日6/21発売。今回は「完全保存版! 東映不良性感度映画の世界」と「絶対に観るべきサマームービー50本」という2大総力特集を敢行。ぼくは後者のサマームービー特集のほうに参加させていただきました。

 1本目に書いたのは、シアーシャ・ローナンが美少女アサシンに扮するバイオレンスアクションの快作『ハンナ』。中学生が寝る前に考えたようなボンクラ風味の設定で始まりつつ、ジョー・ライト監督の大マジな演出と、シアーシャちゃんのクールかつ健気なヒットガールぶり、そしてケイト・ブランシェットの度を越した怪演によって予想以上に見応えある作品に仕上がっております。2本目は、流浪の鬼才イエジー・スコリモフスキ監督の『エッセンシャル・キリング』。中東でテロリストとして拘束された主人公ヴィンセント・ギャロが移送中に脱走し、米軍に追われながら雪山のなかをひたすら逃げて逃げて逃げまくる、ちょっとジョゼフ・ロージー監督の『雪崩』(1970)も思い起こさせる傑作です。先月、スコリモフスキ監督にもインタビューさせていただきました(次号にて掲載予定!)。残り2本はアジア枠、『チョン・ウチ/時空道士』『海洋天堂』。前者は『タチャ/イカサマ師』のチェ・ドンフン監督と、人気俳優カン・ドンウォンがタッグを組んだファンタジーアクションコメディの快作。後者はジェット・リーが初めてアクションを完全封印したヒューマンドラマの秀作。どちらも必見です。

 さらに、今週末からユーロスペースと東京日仏学院にて開催される「クロード・シャブロル特集 映画監督とその亡霊たち」の紹介記事も、サマームービー特集内で書かせてもらいました。秘宝読者におすすめの作品として『ヴィオレット・ノジエール』『肉屋』『不貞の女』『刑事ベラミー』あたりを挙げております。この夏はみんなでシャブ漬けになろう!

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 そして、今週末6/24には、待望の「TRASH-UP!! vol.9」が発売! 今回も「映画『ドリーム・ホーム』と香港三級片特集」、「東映ニューポルノと依田智臣 桜マミ インタビュー」、「幻の封印映画『夕映えに明日は消えた』徹底検証」、新連載「リチャード・フライシャー自伝 泣くときにはそう言って」などなど、読み応えありすぎの内容。詳しい収録内容は公式サイトにてご確認ください。また、全国の「TRASH-UP!!」取り扱い店のリストはこちら

 ぼくは、前回好評をいただいたクロード・シャブロル追悼特集の第2弾として「クロード・シャブロルの共犯者たち《女優編》」という自分勝手な長文をダラダラ書き綴っております。女優論のつもりが作品論になってたり、客観的分析のつもりが思い入れまるだしのじょんがら節になってたり、なんかもう、今まででいちばんバランスを失った文章になっているかと思います。まあ自分のことはさておき、あの素晴らしく痛快なインタビュー本「不完全さの醍醐味──クロード・シャブロルとの対話」を翻訳された大久保清朗さんが、シルヴィア・クリステル主演の『アリスまたは最後の家出』について素敵なテキストを寄せてくださっていますので、ご興味ある方はぜひ!

 あと、珍しく新作DVDレビューなどもやっております。名優マイケル・ケインが文字どおり老骨に鞭打って町のダニ退治に乗り出す傑作リベンジムービー『狼たちの処刑台』、キリアン・マーフィーが多重人格者を演じた異色の心理ドラマ『サイコ リバース』、そして『ボディ・アンド・ソウル』『悪の力』が立て続けにDVDリリースされたエイブラハム・ポロンスキー作品の紹介文も書きました。

 そして次号はいよいよ、Vol.10! いろいろ大変なご時世ですが、だからこそ次号はにぎやかに大台越えをしたいと思っております。なにげに途中で終ってる連載記事もいろいろあることですし(小声)、続くためにはまず今号が売れないと続きませんので、皆様のお力添えをお願いいたします!

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 同じく6/24からは「第四回 爆音映画祭」がスタート! 今回は「TRASH-UP!! presents」枠として、本多猪四郎監督の東宝特撮映画をフィーチャー。いちど聴いたら忘れられない伊福部昭の名スコアを、ヒカシューの井上誠が電子楽器+コーラスで甦らせる「ゴジラ伝説」LIVE +『ゴジラ』1954年版の爆音上映(6/27)、そして『ゴジラ』『怪獣大戦争』『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』『海底軍艦』の爆音オールナイト(7/9)という豪華なイベントが実現! TRASH-UP!!ってそういう雑誌だったっけ? という疑問はひとまず置いておいて、みんなで吉祥寺バウスシアターへ駆けつけましょう。地上に放射能をまき散らす核の落し子・ゴジラの恐怖は、今だからこそひときわヴィヴィッドに感じられるはず。他にも『狂った野獣』『キック・アス』『夜よ、こんにちは』『ローラーガールズ・ダイアリー』に、『極北の怪異』+ヘア・スタイリスティックスLIVEなど、見逃せない聴き逃せないプログラムが満載。シャブロル特集とまるかぶりなのが個人的にツライ!

『テロリストたちの夜/自由への挽歌』(1977)

『テロリストたちの夜/自由への挽歌』
原題:Sleeping Dogs(1977)

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 70年代ニュージーランドの政情不安を背景にした政治アクションスリラー。製作・監督は、のちに『カクテル』(1988)や『バンク・ジョブ』(2008)といった作品を手がけるロジャー・ドナルドソン。主演はこれが本格的映画デビュー作となったサム・ニール。両者とも、この作品への高い評価がハリウッド進出の大きな足がかりとなった。また、本作はニュージーランド国内だけで全て撮影・製作された最初の35mm長編劇映画であり、初めてアメリカで劇場公開されたニュージーランド映画としても知られている。

 原作はC・K・ステッドの小説「Smith's dream」。脚本は、準主役として出演もしているイアン・ミューンと、アーサー・ベイスティングが共同で書き上げた。ゲストスターとして名優ウォーレン・オーツがアメリカから招かれ、短い出番ながらも印象的な役柄で登場する。

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〈おはなし〉
 かつてない不況にあえぐニュージーランド。TVのニュース番組では、現政府の強圧的政策に対する国民の不信や不満、各地で頻発する抗議行動やストライキについて伝えている。その朝、スミス(サム・ニール)は家を出た。愛する妻を友人に寝盗られたからだ。傷心を紛らすため、彼はマオリ族の所有する小さな島に管理人として移り住む。孤独だが自由な生活を謳歌するスミス。その頃、街ではデモ隊と軍隊が衝突し、政府が自らテロ事件を仕組んで弾圧の強化をはかるなど、手段を選ばぬ暴力がカオスとなって渦巻いていた。

 ある日、スミスはいきなり島へやってきた軍服姿の男たちに拉致される。何も分からぬまま地下室に幽閉された彼は、学生時代に知人だった政府高官ジェスパソン(クライド・スコット)と面会。スミスが暮らしている小島は反体制派の武器庫だと告げられ、国家反逆罪で死刑になりたくなけば革命家としてTV番組に出演して偽証しろ、そうすれば国外へ逃してやると脅迫される。

 TV局への護送中に隙を見て逃亡したスミスは、郊外のモーテルに身を隠し、バリーという偽名を使って管理人になる。そこに訪ねてきたのは、なんと妻を奪った友人ブレン(イアン・ミューン)だった。彼は反政府ゲリラの首領であり、このモーテルは抵抗組織のセーフハウスだというのだ。翌日、現政権に雇われた米国人ウィロビー大佐(ウォーレン・オーツ)率いる中隊がたまたま訪れ、モーテルはさながら兵舎と化す。ブレンは兵士たちを皆殺しにしようとスミスに協力を迫るが……。

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 妻と友人の不倫をきっかけに家庭も仕事も放り出し、世捨て人のような生活を始めたノンポリの主人公が、ひょんなことから政治的武力闘争に利用されそうになり、あれよあれよという間に「政府のお尋ね者」「テロリストの英雄」として祭り上げられていく。そんな男の不条理な運命が、スリルとアクションをふんだんに盛り込んだパワフルな演出で、ひたすらスピーディーに綴られる。とにかく語り口のテンポが速い(上記のあらすじは、映画の約半分までの内容に過ぎない)。映画が始まってすぐ、主人公の身には次から次へと事件が振りかかり、逃走に次ぐ逃走、反撃に次ぐ反撃を余儀なくされる。あまりにも矢継ぎ早に新展開がたたみかけられ、ほとんどご都合主義的なタイミングで登場人物が次々と主人公の前に現れるので、はっきり言って観ていて不自然に思えてくるほどだが、最初から最後までまったく飽きさせないことは間違いない。この内容を99分にまとめ上げたロジャー・ドナルドソン監督の豪腕は大したものだ(ただし、データベースでの上映時間表記は107分となっている。日本版ビデオはカット版なのだろうか?)。

 当時のニュージーランドの国民感情を反映した、悪政への強い憤懣ありきの作品でありながら、一方的な政府批判には陥っていない。主人公スミスは自国の政治にも人生のしがらみにも背を向け、無人島での気ままな一人暮らしを始めた途端、皮肉にも政治的闘争の渦中に引きずり込まれ、しまいには「泣く子も黙る思想犯」として政府とゲリラの両陣営にその名を轟かせることになる(彼自身は何もしていないのに)。不条理で、寓話的ですらあるアイロニカルな設定には、国全体が危機に陥っている時に無関心を決め込むことへの痛烈な揶揄も込められているのだろう。今の日本にも通じる内容といえるのではないか。

 同時に、映画の視点は徹底してゲリラ側にも国家側にも肩入れしない、中立の立場が保たれている。暴力を行使することで事態を解決しようとする点においては、どちらも何ひとつ変わらないという冷徹な姿勢が貫かれており、J=P・マンシェットの『地下組織ナーダ』にも通じるノワール的な客観性が感じられる。

 そんな中で、主人公スミスは政府軍にもゲリラにも嫌悪感を露にしながら、最終的には政治的イデオロギーとは無関係に、命を賭けた戦いにのめり込んでいく。“惰眠をむさぼる犬ども”のひとりだった男が、スリリングな逃避行の日々の中で“獣の生きざま”に目覚めていく終盤の展開には、純粋なアクションロマンとしての魅力がしっかりと息づいている。追跡してきた軍隊に発砲しながら「なあ、俺たち大物だぜ!」と叫ぶスミスの姿が痛快だ。平凡な男の魂に熱情と狂気が宿っていく過程を見事に演じた、サム・ニールの熱演が光る。

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 後半で行動を共にすることになるスミスとブレンの微妙な関係性も、物語に奥行きを与えている。妻を寝盗られた男と寝盗った男(しかも友人同士)という気まずいにもほどがある、いつ殺し合いになってもおかしくない関係のふたりが、互いに怒りや憎しみをちらつかせながら逃げ続けるうち、予想外の絆をつむいでいく過程は、心理劇として見ても実にスリリングかつ興味深い。物語のクライマックスで、スミスはブレンのこめかみに銃口を当てるが、それは殺意でも敵意でもなく、愛情からくる行為なのだ。

 本作の脚本も執筆しているブレン役のイアン・ミューンは、残念ながらゲリラ集団のリーダーに相応しいカリスマ性や色気に乏しく、率直に言ってミスキャストである。それゆえにサム・ニールの存在感が引き立っているともいえるのだが。

 スミスとブレンの奇妙な愛憎関係の狭間にいる妻グロリアに関しては、映画ではまったく内面のあるキャラクターとして描かれない。おそらくは意図的に。彼女はどう見ても、大の男同士が憎しみ合ってでも取り合うような“いい女”には見えないし、図らずも愛する男たちの間に争いを招いてしまうパッショネイトな女の悲しい性なども感じられない。ただ薄っぺらで無神経な女として、なんの重要性もない役として登場するのみだ。だからこそ本作はランニングタイムを大幅に縮められたのだろうし、監督ロジャー・ドナルドソンの興味がそちらへまったく向いていないこともまた明らかである(あるいは、107分版ではもっとしっかり描かれているのだろうか?)。

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 アクション演出にも気合いが入っている。外貨獲得のため、本作をヒットさせて映画をニュージーランドの産業のひとつにしようという思惑もあったのだろう。いわばオーストラリアにおける『マッドマックス』(1979)、あるいは韓国における『シュリ』(1999)のような位置づけの作品だったのではないか。特に鮮烈な印象を与えるのが、一般市民と鎮圧部隊の衝突を描いた前半のシーン。パニック状態で逃げ惑う民衆と、男も女も見境なく棍棒を振り下ろす警官たちの姿を捉えた画面の凄惨なリアリティと臨場感は、さながら記録映像を見ているかのような迫力だ。また、映画の後半、スミスとブレンが政府軍の包囲を蹴散らして車で脱出するカーチェイスシーンも忘れがたい。他にも、モーテルで繰り広げられる戦争映画のごとき銃撃戦、森に追いつめられたゲリラたちへの容赦ない空爆シーンなど、実際に軍の協力を得て撮影されたというスペクタクルシーンも見応え十分(映画自体は政府の非道ぶりを批判した内容なのに!)。

 撮影を手がけたのは『ダウンタウン物語』(1976)や『エンゼル・ハート』(1987)など、アラン・パーカー監督との仕事で知られるマイケル・セラシン。彼もまたニュージーランド出身の映画人のひとりだ。本作『テロリストたちの夜』では、殺伐とした物語の背景に広がるニュージーランドの緑豊かな自然美が、独特のトーンを形作っている。室内シーンの陰影の美しさも印象的だ。

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『明洞卒業生』(1971)

『明洞卒業生』
原題:명동 졸업생(1971)
英語題:The Graduation from Myeongdong

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 流行の最先端を行くソウルいちの繁華街・明洞にやってきた田舎者コンビが、ヤクザ相手に大立ち回りを繰り広げる痛快アクションコメディ。パク・ノシクとイ・デヨプのコミカルな掛け合いが楽しい、いわゆる「明洞もの」の1本だ。監督は、重厚な文芸作からホステス映画まで、ありとあらゆるジャンルにわたって撮りまくった職人、コ・ヨンナム。

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〈おはなし〉
 全羅南道の港町・木浦に暮らす恐妻家のチョンドル(パク・ノシク)は、口うるさい妻の小言や子供の世話から逃れるため、釜山に住む友人キョンテク(イ・デヨプ)の家を訪ねる。が、そこにもやたらと厳しい姑が君臨していて、くつろげる雰囲気ではなかった。そこでふたりは兄貴分のミョンナム(ナムグン・ウォン)に会いに、ソウルの明洞へ向かうことにする。

 ミョンナムの妻ジョンヒ(サ・ミジャ)は明洞でバーを営んでいたが、ここ最近、店では暴力団のヨン・ドクチョン一味が好き放題に振る舞っていた。怒ったミョンナムはドクチョンの事務所へ直談判に向かうが、逆に目をつけられ、鉄砲玉のチンピラに刺されてしまう。奇しくも、そのチンピラは日頃からミョンナムが親切にしていた病弱なおばあさんの息子だった。チンピラは倉庫に身を隠すよう組に命じられるが、口封じのため仲間に嬲り殺されそうになる。

 怒り心頭のチョンドルとキョンテクは、ふたりでドクチョン一味の縄張りに殴り込んで大暴れ。そして倉庫に幽閉されていた瀕死のチンピラを助け出す。病に臥せっていたおばあさんは息子と再会し、息を引き取るのだった。一方、ドクチョンは流れ者のチュンボク(オ・ジミョン)を用心棒に雇い、チョンドルとキョンテを始末するよう依頼。そして、ジョンヒを誘拐してしまう。チョンドルとキョンテクは彼女を救い出すため敵の巣窟に忍び込むが、あえなく捕らえられてしまう……。

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 見どころはやはりパク・ノシクの乗りに乗った芝居に尽きる。大衆に愛される茶目っ気=スター性を全身から発している彼の姿を見ているだけで、とにかく楽しい。といっても別に昔からこういう役ばかり演っていたわけではなく、本来は他の韓国映画黄金期のスター男優たちと同じく、幅広い役柄をこなす実力派俳優である。そんなにたくさん観ているわけではないけれど、シン・サンオク監督の傑作『内侍』(1968)で演じた内侍官役は非常にかっこよくて印象的だった(イ・ドゥヨンが監督した86年のリメイク版では、ナムグン・ウォンが演じた)。いちど当たり役に出会うと、似たような役ばかり演じる羽目になるのが世の常だが、パク・ノシクもそれを憂鬱に感じたことがあったのだろうか? 少なくとも本作の彼はそういった気配をみじんも感じさせない。迷いなく、嬉々としてコミカルな役柄を楽しんでいる。

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 もはや完全に吉幾三にしか見えないパク・ノシクと、イ・デヨプのおのぼりさんコンビが街中で大乱闘、というシチュエーションを観ているだけで、えもいわれぬ安心感と幸福感に包まれてしまう。土産に持ってきた魚の干物と味噌瓶と生卵を武器にしてチンピラと戦ったり、カバンを盗んだ泥棒と安宿でバッタリ出くわして大喧嘩になったり、ナイトクラブに行って「テーブルチャージってなんだ?」「椅子に座らなきゃ金払わんでもよかんべ」とかいって立ったまま飲み始めたり、いちいちベタだけど面白い。

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 それにしても相変わらずKMDBに記載されているあらすじと、実際のストーリーが全然違うのには驚かされる。が、内容自体は特に目新しくもない王道のアクションコメディなので、なんの予備知識なく観てもまったく差し支えない。字幕なしで漫然と眺めているだけでも大筋は頭のなかに入ってくる。とはいえ、芸の細かい部分もちゃんとある。ナムグン・ウォンを刺してしまう鉄砲玉のチンピラに、露天商をしている病弱な母親がいて、実は彼女が普段からナムグン・ウォンの世話になっていた……という設定は、ドラマとしてなかなかよくできている。オ・ジミョン扮する流れ者のミステリアスな存在感もいい。

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 コ・ヨンナムという監督は多作なだけあって映画の出来にムラがあるのだが、この映画はどちらかというと「当たり」の部類(無字幕で観たので、なんとなくだけど)。テンポもよく、最初から最後まで飽きさせない良質の娯楽作だ。『八道の男』(1969)などのキム・ヒョチョン監督が、良く言えばクラシックで端正なドラマ作りで活劇を料理しているのとは違い、こちらは職人的演出の中にもドライな遊び心が滲んでいて快い。荒っぽい手持ちの斜めアングルなど、洗練はないがケレン味のあるカメラワークや、クラブの場面での原色照明を大胆に配した色遣いにも、若々しい才気が感じられる。若手女優陣のキャスティングにも、作り手のスケベ心が伝わる感じがしてナイス(特に、チンピラの恋人を演じるチェ・インスクの美しさが際立っている)。

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 デビュー時には才気溢れる俊英として注目を集めながら、いつしか量産型の娯楽職人に徹するようになり、結果的に「巨匠」になりそこね、忘れ去られてしまった監督というイメージがあるコ・ヨンナム。やる気のないアクション活劇『毒蛇』(1975)とか気取りすぎのメロドラマスリラー『罠の女』(1985)に関しては「うーん」だけど、異色のエロティックホラー『深夜に突然』(1981)や、骨太の社会派ポリスアクション『処刑警察/コリアン・コネクション』(1990)など、快作・秀作も少なくない。代表作といわれる『夕立』(1978)も、近年、韓国映像資料院からDVDが発売された。いつか掘り下げてみたい監督ではある。

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 これもKMDB(韓国映画データベース)の月替わり無料動画配信コーナーの特集「ギャングスター映画の情熱的な男たち」で観たのだけど、なんとラスト1巻分(約8分ほど)にわたって、いきなり音声のみ・黒味画面だけになってしまう。おそらく映像部分の損傷が激しすぎて音声トラックしかマトモなかたちで残っていないということなのだろうけど、どんなに状態が酷くても画は映してほしかった(そんなに正視に耐えない状態ってこと?)。まあ、たぶん「ボカスカ殴り合って、一件落着して、めでたしめでたしのエピローグがあって、でもやっぱり女房は恐い!」みたいな展開だとは容易に想像できる。ただ、ろくに台詞も分からぬままに画だけで内容を類推している身としては、ややつらいものがあった。

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『明洞に流れた歳月』(1971)

『明洞に流れた歳月』
原題:명동에 흐르는 세월(1971)
英語題:Time on Myungdong

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 60~70年代の韓国で数多く作られた「明洞もの」は、ソウルの繁華街・明洞(ミョンドン)を舞台にタフガイたちの活躍を描いた犯罪活劇ジャンルのひとつ。前回書いた『八道の男』(1969)のキム・ヒョチョンが監督・脚本をつとめ、チャン・ドンフィとパク・ノシクがW主演した本作も、その流れを汲む1本だ。これもKMDB(韓国映画データベース)の月替わり無料動画配信コーナーの特集「ギャングスター映画の情熱的な男たち」で観た。基本的にKMDBはノートリミング版で配信してくれるが、本作は素材がないせいかTVサイズのトリミング版だった(画質は良好)。

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〈おはなし〉
 解放後の動乱期、義兄弟の契りを結んだカンニョン(チャン・ドンフィ)たちは、国防部警備隊の特攻隊に加わってパルチザン(共産ゲリラ)との死闘に身を投じる。8人いた仲間のうち、最後まで生き延びたのはカンニョンとチョンダル(パク・ノシク)だけであった。ふたりはカンニョンの恋人(ユン・ジョンヒ)が働く明洞のバーで苦い祝杯をあげたあと、それぞれの道を歩むことに。チョンダルは新妻(キム・ナニョン)を連れて全羅南道・和順へ里帰りし、カンニョンは恋人と明洞に残る。

 ある日、チョンダルは魅力的なマダム(キム・ジミ)が営む地元のナイトクラブで、無礼なチンピラどもを叩きのめす。それがきっかけで、彼は炭鉱町に小学校を建設しようとする青年教師(チェ・ムリョン)たちと暴力団とのいざこざに巻き込まれることに。その裏には、かつてカンニョンたちが取り逃がしたパルチザンの頭目、ダクプリ(ファン・ヘ)が関わっていた。チョンダルは青年教師と手を組み、陰険な暴力団に真っ向から立ち向かう。ことの顛末を手紙で知ったカンニョンも和順に駆けつけ、力を合わせて敵を見事に撃退するのだった。

 勝利の美酒に酔うカンニョンとチョンダル、そして彼らの妻たち。そこへ、チョンダルの老母と妹がダクプリに惨殺されたという報せが。ふたりの怒りは頂点に達し、木浦港から済州行きの船で逃げようとするタクブリ一味をすぐさま追跡。そして、海上で血で血を洗う死闘が繰り広げられ、ついに彼らは暴力団を壊滅させるに至った。

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 映画は現在(1971年当時)の活気に溢れた明洞の街並みを映すところから始まる。そこに「すっかり様変わりしよったのう」的なモノローグが被さり、年老いた主人公たちが登場。それぞれに穏やかな生活を送っている彼らが過去を振り返るというかたちで、物語が幕を開ける。キム・ヒョチョン監督は、日帝時代や解放後の動乱期など、朝鮮人民にとっては決して幸福ではなかった時代においても、そこにノスタルジックな要素を見いだし、大衆の郷愁をさそう術を心得ていたように思える。そのなかで男たちの友情や、家族の絆のドラマを情感豊かに描くのが、得意でもあり好みだったようだ。

 タイトルには「明洞」とついているものの、主軸となるのはパク・ノシク演じるコメディリリーフ的キャラクターのチョンダルが、全羅南道の地元でいざこざに巻き込まれるというストーリー(だから、実のところ明洞はあまり関係ない)。本作はチャン・ドンフィとパク・ノシクのW主演という体裁になっているが、出番は明らかに後者のほうが多い。大衆に愛される茶目っ気に溢れ、物語をパワフルに牽引する力があるのは、やはりパク・ノシクのほうだろう。アクションの見栄えも断然いい。一方で、チャン・ドンフィは少ない出番でも大スターとしての貫禄を示し、観客に強い印象を残すことができる。その配分がなかなかに絶妙だ。

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 豪華女優陣の共演も見どころだ。ナイトクラブのマダムを艶やかに演じる大女優キム・ジミと、カンニョンの妻役のユン・ジョンヒが、ふたりで映画のテーマソングを歌う場面はなかなかゴージャス。ただしデュエットではなく、ふたりが1番と2番を交互に歌うだけなので、片方が歌っている間にもうひとりが所在なさげに傍らで笑っているしかない姿が何とも言えずおかしい(もうちょっと工夫のしようがあるだろ!)。しかし、いちばん魅力的なのはチョンダルの妻をコミカルに演じたキム・ナニョン。表情豊かでのびのびとした芝居が素晴らしく、パク・ノシクとの掛け合いも楽しい。夫の帰りが遅いため、キム・ジミの店へ怒鳴り込む場面のおかしさも絶品だ。

 主人公たちのかつての戦友役として、アクション俳優のトッコ・ソンらが一瞬だけ回想シーンに特別出演している。あとで再登場するのかと思ったら、本当に一瞬だけだった。暴力団と戦う運動家を演じるのは、50年代から活躍する人気男優チェ・ムリョン。また、『長雨』(1979)や『避幕』(1980)など、数多くの名作に出演している名脇役女優ファン・ジョンスンも、チョンダルの母親役で顔を見せている。

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 見せ場となるアクションシーンは、集団戦がメイン。中盤、白昼の鉱山で行われる数十人の暴力団とのバトルでは、竹の棒を使ったアクションが展開(とはいっても華麗な棒術とかを使うわけではなく、単なるドツキ合いだけど)。そして、終盤では船上を舞台に、長ドスやらロープやらを振り回しての大乱戦が繰り広げられる。パク・ノシクが怒りに満ちた表情で刀を構える姿は、任侠映画のヒーローそのもので実にカッコいい。ちなみに、悪の親玉ファン・ヘが乗っている船の名前が「黄海号」という、脱力必至のお遊びもあり(ファン・ヘの漢字表記は「黄海」)。

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 パク・ノシクがナイトクラブで坊主頭のチンピラ3人組を叩きのめすシーンも面白い。テーブルの上に椅子を置き、気絶寸前のチンピラたちを殴り飛ばしてその上に座らせてしまうという、荒唐無稽かつダイナミックなアクションが特に印象的だ。こういうケレン味に溢れた描写は『八道の男』には見られなかったものだ。

 映画の結末を飾るのは、年老いたカンニョンとチョンダル夫妻が再会し、今は小学校の校長先生になった青年教師と、その妻になったマダムを祝う会に列席するという、味わい深いエピローグ。韓国映画黄金期を支えた味のある名優たちは、いつでも簡単なメイクで自然に老け役になりきることができた。いい時代である。

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『八道の男』(1969)

『八道の男』
原題:팔도 사나이(1969)
英語題:Gallant Man

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 おなじみKMDB(韓国映画データベース)の月替わり無料動画配信コーナー、2011年6月のテーマは「ギャングスター映画の情熱的な男たち」。その中の1本としてセレクトされている本作『八道の男(パルドサナイ)』は、60~70年代にアクション俳優として名を馳せたチャン・ドンフィ主演の大ヒット作だ。タイトルの「八道」とは、李氏朝鮮時代に置かれた8つの行政区画(道)に由来し、朝鮮全土という意味をもつ。監督は『実録キム・ドゥハン』(1974)や『韓国版 大阪代理戦争』(1980)など、侠客アクションものを数多く手がけたキム・ヒョチョン。

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〈おはなし〉
 日帝時代の京城(現在のソウル)。町いちばんの腕っぷしの強さで知られる「ソウルの虎」ことホ(チャン・ドンフィ)は、義侠心に厚く、弱い者いじめを許さない頼れる男。その噂を聞きつけ、全国から多くのヤクザ者がやってきては彼に対決を挑んでくる。だが、幼い頃から武術を学んできたホの前に敵う者は、誰もいなかった。やがて、ホの周りには“仁川の雷”(トッコ・ソン)や、“光州のヨンパル”(パク・ノシク)など、彼を慕う舎弟たちが身を寄せ合うようになる。

 ある日、ホは傍若無人な日本人ヤクザの阿部(ホ・ジャンガン)を懲らしめたため、憲兵に逮捕される。投獄されている間、育ての親のおじいさんが火事で死んでしまい、ホは横暴な日本人への怒りを新たにする。しばらくして、ホと仲間たちは宴会中に憲兵隊の襲撃を受け、舎弟たちは全員監獄送りに。ホは彼らの身代わりとなって単身収監される。激しい拷問に耐え、空手家や剣道家たちとの練習試合にも打ち勝ち、ようやく解放されるホ。

 その頃、町ではホの不在をいいことに、日本人ヤクザたちが我が物顔で振る舞っていた。阿部は、ホの義理の妹であるソニ(テ・ヒョンシル)を拉致して殺し、挑戦状を叩きつける。ついに堪忍袋の緒が切れたホは、仲間たちを引き連れて決闘の場へと赴くのだった。

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 近代朝鮮史に詳しい方ならすぐに分かると思うが、本作の主人公は実在の人物キム・ドゥハンをモデルにしている(詳しくはWikipediaを参照)。少年時代は浮浪児として苦しい生活を送りながら、18歳にして約3万人ともいわれる構成員を率いる侠客団の頭目となり、反日運動に邁進。解放後には政治家・活動家として破天荒な活躍を繰り広げ、国民から絶大な支持を得た。彼のドラマティックな生涯は、前述の『実録キム・ドゥハン』や『侠客キム・ドゥハン』(1975)、そしてイム・グォンテク監督の『将軍の息子』シリーズ(1990~)などの映画でも描かれている。

 本作『八道の男』では、孤児として暮らしていた主人公が親切な老人の家に引き取られ、日本人の悪ガキども(その中には、のちに宿敵となる阿部もいる)にいじめられたのをきっかけに武術を習得し、やがて全国一の強さを誇る男として仲間を増やしていく。そんな男の一代記が、日帝時代のノスタルジックな雰囲気のなかで情感豊かに描かれる。アクションものというよりは、むくつけき男たちが熱い義侠心と友情で結ばれていく姿に焦点を当てた、任侠ドラマとしての面白さで見せていく作品だ。

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 チャン・ドンフィは、マッチョな貫禄と思慮深さを兼ね備えた表情で、絵に描いたような「男の中の男」を説得力十分に演じている。また、それぞれにキャラの立った舎弟たちを演じるトッコ・ソン、オ・ジミョン、パク・ノシクらのにぎやかなアンサンブルも楽しい。中でも、パク・ノシクが全羅道(チョルラド)訛りでコミカルに演じた“光州のヨンパル”(日本でいえば吉幾三的なキャラクター?)は、当時の観客から絶大な人気を集め、続編『帰ってきた八道男』(1969)と『怨恨の八道男』(1970)では主役に格上げされた。その後、パク・ノシクは「ヨンパル」シリーズを独自に継続し、彼のキャリアを代表する当たり役となった。

 日本人ヤクザ・阿部を憎々しく演じるのは、韓国の宇津井健ことホ・ジャンガン。彼はヒーロー役や善人役なども数多く演じているが、当時の韓国の売れっ子映画俳優は、悪玉だろうが善玉だろうが主役だろうが端役だろうが何でもやっていた。阿部の親分・木村を演じているのは、韓国アクション映画には欠かせない名物俳優ファン・ヘ。クライマックスでは長ドスを手に、チャン・ドンフィを相手に躍動感溢れる殺陣を見せてくれる。また、日本人にちょっかいを出されていたところを主人公に助けられるヒロイン役は、近年『詩』(2010)が大きな話題を呼んだ人気女優ユン・ジョンヒ。そして、主人公と実の兄妹のように育ったソニ役で、テ・ヒョンシルがキュートな魅力を振りまいている。

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 ただし、本作をアクション映画として観た場合、今の観客の目からは物足りなく映るだろう。韓国映画界に本格的な格闘技アクションが導入されるよりも前の時代に作られた作品だからだ。基本的に、立ち回りのシーンは単純な殴る蹴るの応酬に大げさな効果音を被せ、カメラワークや編集でごまかしたものである(日本でいう日活アクションみたいなものだ)。のちにアジア全土を席巻したブルース・リーの登場をきっかけに、韓国でもイ・ドゥヨン監督が『龍虎対錬』(1974)から本物の武術家を起用してテコンドーアクション映画ブームを開拓していくわけだが、『八道の男』は旧来の様式的アクションをただ応用しているに過ぎない。とはいえ、出演者の中ではもっとも動きにキレと力強さがあるパク・ノシクのダイナミックな立ち回りや、ロングショットを巧みに使ったクライマックスの演出などは、なかなか見応えがある。

 韓国映画黄金期を支えた人気俳優のひとりであるチャン・ドンフィは、1920年に仁川で生まれた。彼は1957年、キム・ソドン監督のリメイク版『アリラン』に主演し、37歳にして映画デビュー。その後、イ・マニ監督の『帰らざる海兵』(1963)で演じた人間味溢れる小隊長役が高く評価され、「頼れる兄貴分」というイメージで観客に親しまれた。『八道の男』は、チャン・ドンフィがアクションスターとしての名声を確立した最初の作品だが、彼自身は特に肉体的アクションに秀でていたわけではない(どちらかというと立ち回りは不得手に見える)。その男くさい表情やどっしりした存在感が「男性アクション映画の顔」にぴったりだったのだ。

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 本作『八道の男』は、1967年に公開された映画『八道江山(パルドカンサン)』の大成功を受けて始まった「八道もの」の1本でもある。『八道江山』は、ある老夫婦が全国各地に住んでいる8人の娘たちを訪ねて旅をする姿を描いた観光映画型のヒューマンドラマであり、高速バスで颯爽と韓国全土=八道を縦断する老夫婦の目を通して、韓国の近代化と産業発展を謳い上げたプロパガンダ映画である。1960年代後半の京釜(キョンブ)高速道の開通によって「全国一日生活圏」というスローガンが掲げられた、当時の韓国の社会背景が反映された作品だ。『八道江山』の作り上げた物語の骨子と、プロパガンダ映画としての発想・スタイルは、例えばイ・ドゥヨン監督の『昼と夜』(1984)などにもそっくり引き継がれている。『昼と夜』では、老校長夫妻の世界一周旅行を追うかたちで、世界各地のさまざまな分野で活躍する韓国人たちの姿が映しだされる。

 タイトルに「八道」を冠した『八道江山』の便乗作品は、コメディやドラマなど多彩なジャンルで作られた。その中で最も大きな商業的成功を収めたのが、アクション活劇として作られた本作『八道の男』であった。ここでは“ソウルの虎”を筆頭に、“光州のヨンパル”やら“平壌のパク”やら“仁川の雷”といった全国各地の侠客たちが一堂に会する。団結心と民族意識のもとに国力を結集し、外敵に立ち向かうというわけだ。のちのシリーズでは、これらの御当地キャラクターがさまざまなシチュエーション(時代背景・舞台設定)で悪と戦うというパターンが繰り返される。その後の続編やスピンオフ作品も、いつかまとめて観てみたい。

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・SCRIPTVIDEO
DVD『八道の男』(韓国盤・リージョンオール・字幕なし)

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