Simply Dead

映画の感想文。

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【気晴らし】ザ・ロンリー・アイランド「The Creep」が素晴らしい!

 先日、『ファッション・ヘル』の継田監督から「ジョン・ウォーターズが出てるPVが面白いよ」と教えてもらい、YouTubeで観てみました。あまりにも素晴らしい内容だったので、ここでも紹介しておきます。

lonely-island-creep.jpg
「The Creep」
http://youtu.be/tLPZmPaHme0?hd=1(外部リンク)

 この曲とPVを手がけたグループ“ザ・ロンリー・アイランド(The Lonely Island)”は、アンディ・サムバーグ、ヨーマ・タッコン、アキバ・シェイファーの3人からなるコメディクリエイターチーム。3人ともカリフォルニア州バークレー出身で、現在はニューヨークを拠点に活動中。人気番組「サタデー・ナイト・ライブ」のレギュラー出演者/放送作家であり、傑作コメディ『ホット・ロッド めざせ!不死身のスタントマン』(2007)を作ったチームでもあります。

 曲名の「The Creep」とは、端的に言うと「キモイ人」の意。でも、キモくて何が悪い! キモイって最高だぜ! 生まれた時からキモイしな! という、実に前向きなメッセージが込められた名曲です。そんな「キモイ人」代表もといプレゼンターとしてカメオ出演しているのが、かのジョン・ウォーターズ御大であるところに、この人たち分かってるな?という感動を覚えます。もちろん“ザ・ロンリー・アイランド”の3人のメイクや服装は、ウォーターズのスタイルを意識したもの。後半に登場するニッキー・ミナージュは、先日アルバム「ピンク・フライデー」が日本でも発売されたばかりの注目新人フィメールラッパーです。ちょっと心配になるくらいの弾けっぷりがチャーミング。

▼ザ・ロンリー・アイランドのファースト・アルバム「Incredibad」ジャケット
incredibad_cd-jacket.jpg

 清々しいほど下品なライムを繰り出すサムバーグ&タッコン&シェイファーの見事なラップ、妙にハイクオリティな楽曲センス、そして爆笑必至のPVで瞬く間に注目を集めた“ザ・ロンリー・アイランド”は、2009年にファーストアルバム「Incredibad」を発表。ジャック・ブラックやノラ・ジョーンズなど、ムダに豪華なゲストミュージシャンの参加でも話題になりました。ジャスティン・ティンバーレイクが参加した「Dick in a Box」ではエミー賞を獲得し、Tペインをフィーチャーした「I'm on a Boat」はグラミー賞にノミネート。ナタリー・ポートマンが罵詈雑言満載のラップ「Natalie's Rap」を披露しているのも、このアルバムです。

 以下、個人的に秀逸だな?と思ったPVをいくつか貼っておきます。オフィスなどで観る場合は、笑い声が漏れないように注意してください。

「I Just Had Sex」
俺、セックスしたよ!と世界中に向かって高らかに謳い上げる名曲(注:完全に男目線、かつヒネリのまるでない歌詞なので、女性は気分を害するおそれがあります)。R&Bシンガーソングライターのエイコンをフィーチャー。PVには『マチェーテ』のジェシカ・アルバ、『ザ・タウン』のブレイク・ライヴリー、そしてプロテニス選手のジョン・マッケンローが出演!



「Jizz In My Pants」
早漏のうた。魅力的な女性と出会った途端、パンツの中に発射してしまう男の危機的瞬間がムダにカッコよく歌われる。後半、発射のきっかけが何でもよくなっていく展開がおかしい。モップがけしてるスーパーの店員役でジャスティン・ティンバーレイクが特別出演。



「Like A Boss」
サムバーグ演じる会社重役が「ボスの仕事」を威勢良く言っていくだけの曲。これもだんだん言ってることがメチャクチャになっていく(でも、ちゃんと1本のストーリーになってて芸が細かい)。聞き役はセス・ローゲン。



 なお、「The Creep」「I Just Had Sex」を含めたセカンドアルバムは今春リリース予定。楽しみ!

(ここ最近、不安で落ち着かない日々を過ごされている方も多いと思います。少しでも気晴らしになれば幸いです!)
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映画秘宝5月号発売!(エドガー・ライト監督インタビュー!etc.)

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 今月19日、「映画秘宝 2011年5月号」が発売されます。本来なら毎月21日に出るのですが、休日と祝日が続くので、今月は2日繰り上げての発売。こんな状況であるにもかかわらず、しっかり予定どおり間に合わせた秘宝編集部の努力と根性には頭が下がります。きっと皆さんの脳裏には根本敬先生の「でも、やるんだよ!」という訓示がネオンサインとなって煌々と灯っていたに違いありません。

 今回の特集は「観ずに死ねるか!映画監督100人!」。洋邦問わず、ベテラン・新人ひっくるめて世界中の注目監督たちを一挙に網羅した大特集です。ぼくは本年度ベストワン級の傑作『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』のエドガー・ライト監督へのインタビューと、コラム「非ハリウッド系・地元でがんばる映画監督8傑!」、そして期待の国内監督とその新作という枠内で、「TRASH-UP!!」でもおなじみ内藤瑛亮監督の『先生を流産させる会』を紹介させていただきました。





 そして、前号では紙数の都合で掲載できなかった「最凶アジア映画驚速レポート」の香港編も書いております。こちらでは『イップ・マン 序章』の大ヒットに始まる“葉問旋風”を始め、ツイ・ハーク監督の『狄仁傑之通天帝國』、アン・ホイ監督の『愛に関するすべてのこと』などの快作・話題作を取り上げています。

 ぼくはあの地震が起こった日、大阪アジアン映画祭に参加するため、たまたま東京を離れていました。14日の朝にやっと帰京し、メールをチェックしたら「映画秘宝」のゲラがしっかりと届いていて、なんだか凄く安心したし、嬉しかった。あれから1週間、今も多くの人が様々な困難や不安や悲劇に立ち向かっていることと思います。皆様のご無事を心よりお祈り申し上げます。そして、どこにいようと力強く生き延びてください。

『悪魔を見た』(2010)

『悪魔を見た』
原題:악마를 보았다(2010)
英語題:I Saw The Devil

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 駄作。当たり外れの差が激しいキム・ジウン監督作品のなかでも、特にどうしようもない出来だと思う。とにかく雑。ひたすら冗長。ただただ練り込み不足。ここ最近、過激化の一途をたどる韓国の残酷スリラー映画ブームに引導を渡すべく作られた「悪い意味での金字塔」になりうる失敗作だと思う。

 ストーリーは極めて単純なものだ。残虐非道な連続殺人鬼ギョンチョル(チェ・ミンシク)に愛妻を殺された捜査官スヒョン(イ・ビョンホン)が、復讐心に燃えるあまり法も正義も逸脱した暴走行為にのめり込んでいくという、実にハイコンセプトな内容。タイトルの「悪魔を見た」という言葉は、ただひたすらに快楽と自己満足のために残忍な犯行を繰り返す冷血漢ギョンチョルのことを差してもいるし、怒りと憎しみによって自らの奥深くに潜む“悪魔”を目覚めさせてしまうスヒョンのことでもある。まあ、復讐劇としては特に珍しくもない着想だ。

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 各所で評されているとおり、内容が薄っぺらいのは誰の目にも明らかである。復讐者スヒョンにしても、殺人鬼ギョンチョルにしても、何ひとつキャラクターとしての深みも面白味も感じさせない。しかし、キム・ジウンという監督はその作風自体が「ペラい」し、それを美点に変えることができる稀有な作家でもある。美術や撮影にこだわったスタイリッシュかつスマートな映像感覚、硬質なシャープネスを湛えた語り口は、この監督の最大の武器であり、それはいい意味で「薄味」なジャンルムービーとよく似合う。様式美を極めたノワールアクション『甘い人生』(2005)、荒唐無稽な満州ウエスタン『グッド・バッド・ウィアード』(2008)は、その空虚なスタイル至上主義が映画的魅力へと昇華された成功例だ。ねっとりと絡み付くような濃厚さと熱さで迫る現代韓国の映画作家たちのなかでは、極めて珍しい個性といえるだろう。

 だが、本作『悪魔を見た』のシナリオの土台にあるのは、いかにも最近の韓国映画らしい情念的復讐劇であり、はっきり言ってキム・ジウンの作風にはいちばん向かないジャンルである。誰もこの監督にエモーショナルなドラマなんて期待していないのに! それでも、料理の仕方によっては、持ち前のパワフルなシャープネスと冷たい空虚さを活かしたモダンな傑作になるやもしれん……と期待していたのだけど、残念ながら自分の特性を完全に見誤った正面突破スタイルの演出に終始しているため、ホラやっぱり玉砕したじゃん……と肩を落とすしかない結果に終わってしまった。「復讐」という建前上のテーマを持て余し、映画の大部分で、ただ殺伐とした画面を延々と垂れ流しているに過ぎない。

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 ぼくがこの映画でいちばん面白いと思った(というか、面白くなりそうだと思った)ところは、中盤のGPSを使った追っかけのくだりだ。あれは要するに、「トムとジェリー」やテックス・エイヴァリー作品など、カートゥーンでおなじみのフォーマットである。「トムとジェリー」でいうなら、意地悪な猫のトムがいつものように鼠のジェリーをいじめていると、ジェリーの口笛ひとつでムチャクチャ強い味方が現れ、トムをギッタギタにぶちのめし、風のように去っていく。で、トムがまた性懲りもなくジェリーをいじめようとすると、再びジェリーの用心棒的ヒーローが飛んできて、さらにヒドい目に遭わされる……というパターンの繰り返し。

▼分かりやすい例・その1


▼分かりやすい例・その2


 『悪魔を見た』では、意地悪な猫=殺人鬼ギョンチョル、か弱い鼠=標的になる女性、とんでもなく強いヒーロー=復讐者スヒョンという振り分けで、上記のようなカートゥーン的パターンが描かれる。ヒーローを呼ぶための口笛は、言うまでもなくギョンチョルが無理やり飲み込まされた小型マイクつきGPSカプセルだ。また、途中までやられてばかりだった悪者が知恵を働かせ、ヒーローを呼び寄せるための「手段」を逆手に取り、弱者やヒーローを窮地に追い込むという展開もきっちり踏襲されている。

 そういうバカバカしいコミック活劇的な面白さを、猟奇スリラーの骨子を用いてなぞるというアイディアは凄く面白いと思うし、その部分をもっと追求すれば、凡百の同ジャンル作品とも差別化できたかもしれない。ありていなモラルやエモーションを突き抜けた、ダークでスラップスティックなコミック・バイオレンスの快作にもなり得たはずだ。しかし、結局は「復讐という終わらない負のサイクルが云々かんぬん」という、これまでに何百回と繰り返されてきたテーマに拘泥するばかりで、元のプロットが持つ妙味を活かしきれず、中途半端に終わってしまったのが残念でならない。

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 中身が薄いくせに、バカみたいに長いのも困りもの。行き当たりばったりな展開を数珠繋ぎにして、肉付けならぬ水増しを図り、144分というジャンルムービーの風上にも置けない尺に仕上げている。しかも、誰がどう見ても「ここ、いらなくね?」としか思えない不要なシークェンスが多すぎるのだ。その最たるものは、バス停にいた若い女性をギョンチョルが車中に誘い込み、グダグダなやりとりの末に撲殺するくだり。あそこ、いるか? ただ単に話の流れに変化を付けるため「だけ」の場面にしかなってないし、その後の展開にもビタ一文絡まないし、ホントに意味がない。チェ・ミンシクがああいう芝居をやりたかっただけなんじゃないの?と思ってしまうくらい、映画全体からポコッと浮いている。ギョンチョルが看護婦をねちねちと虐める病院のシーンも、電話で義父と義妹がスヒョンに手を引くよう説得する場面も、うんざりするほど長い。

 中盤、ギョンチョルの「同好の士」が登場するペンションのくだりも、まあ驚愕の展開って言やぁそうだけど、そこで何よりも先立つ感想は「えっ、また停滞すんの?」である。結果的には、それなりにアクション映画的な面白さで魅せる、キム・ジウン演出の真骨頂ともいえる楽しい場面にはなっている。だけど、正直言って、まるまる切り落しても全然困らないシークェンスではある。

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 さらに致命的なのは、残酷描写に愛がないこと。本作の“エクストリームな”残酷描写の数々は、ただ無感情に羅列されるだけで、そこにはなんのフェティシズムも、こだわりも、火照りも感じられない。ハッと息を呑ませる残酷美の追求や、人体破壊描写・痛覚描写のフロンティアを切り拓こうという野心もない。だから一般観客には単純な不快感しか与えないし、目の肥えたホラー映画ファンにとっては退屈なだけだ。その点で、パク・チャヌクとは決定的に違うのである。こういうズサンな代物のおかげで、残酷描写全般に規制がかかったり、世間の非難が集まったりするのは、本当に迷惑だからやめてほしい。

(ここから先、映画の結末の展開にも触れています。未見の方はご遠慮ください)

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