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Simply Dead

映画の感想文。

『彼とわたしの漂流日記』(2009)

『彼とわたしの漂流日記』
原題:김씨 표류기(2009)
英語題:Castaway on the Moon

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 大傑作! 去年の「韓国映画ショーケース2009」での上映で初めて観て(そのときの上映タイトルは『キム氏漂流記』)、あまりの面白さに韓国版DVDも買ってしまったくらい大好きな映画。まあ、ちょっと小粒な作品なので、日本での公開があまり期待できないせいもあったけど……と思っていたら、めでたく国内公開が決定! いよいよ本日6/19から、新宿バルト9ほかで全国上映がスタートする。今の時期、ほかにも面白そうな映画はたくさんやってると思うけど、今度ばかりは騙されたと思ってぜひ! お願いします!!

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〈おはなし〉
 大都市ソウルのど真ん中を流れる巨大な川・漢江。その中州に、ひとりの男が流れ着く。彼の名はキム(チョン・ジェヨン)。多額の借金を背負い、頼る者もなく、人生に絶望した彼は、橋の上から飛び込み自殺を図ったのだった。しかし、目覚めるとそこは無人の島。泳げないキム氏は、すぐ目の前にある対岸へも辿り着くことができない。助けを叫んでもその声は届かず、さながらロビンソン・クルーソーのような状況に陥ったキム氏。とことんツイてない自分を呪っていたのも束の間、彼はふとしたことから、島のなかで“小さな希望”を見つける。……こうなったら、ひとりでとことん生きてみよう。こうしてキム氏の誰にも知られぬサバイバル生活が始まった。

 話変わって、漢江沿いの高層マンションに暮らす少女“わたし”(チョン・リョウォン)は、すでに3年間も自室に閉じこもり、インターネット漬けの日々を送っていた。ある晩、彼女はカメラの望遠レンズ越しに、奇妙な人影を発見。川の真ん中にあるちっぽけな無人島に、何者かが棲んでいる! その日から、彼女は謎の地球外生命体=島の住人を観察し始める。砂浜に書かれた「HELLO」の文字に好奇心を抱いた“わたし”は、そのメッセージに応えようと、勇気をふりしぼって部屋のドアを開けた……。

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 はたして、都会のど真ん中で「ロビンソン・クルーソー漂流記」を成立させられるか? という、きわめて突飛かつバカバカしく、そしてハードルの高いアイディアを、本作は最良のかたちでまとめ上げている。プロット自体のバカバカしさもきっちり残しつつ、丹念で真実味のあるサバイバル描写で観客をストーリーに引き込み、主人公への感情移入を巧みに促す演出が、じつに見事だ。また、自殺や引きこもりといった現代的モチーフを織り込み、社会性と寓話性をバランスよく配置したシナリオも素晴らしい。知り合いのライターさんは、本宮ひろ志のマンガ『まだ、生きてる…』を参考にしているのではないかと言っていて、あとで読んでみたら「おお、確かに」と思うところもあった。気になる方はそちらも要チェック。

 中盤からは、ヒロインと主人公のコミュニケーションをめぐるドラマへと思いがけず移行。異様に回りくどい「通話」のプロセスで大いに笑わせつつ、はたしてふたりが出会うことができるのか? というサスペンスが観客の興味を牽引していく。ちょっと『(ハル)』(1996)にも似ているが、その通信手段はよりフィジカルかつコミカルで、不器用さに溢れていて愛らしい。そして最後には、とてつもなく美しいラブストーリーとして映画をみごとに着地させてしまうのだ。その語り口の鮮やかさといったら、もう! しかも、そこには韓国ならではの日常的慣習が巧みに活用されており、そのあたりの芸の細かさにも唸らされる。(ちょっと『セプテンバー11』のショーン・ペン監督編を思い出した)

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 監督・脚本は、イ・ヘジュン。『アラハン』(2004)や『南極日誌』(2005)などの脚本に参加し、『ヨコヅナ・マドンナ』(2006)ではイ・ヘヨンと共同監督をつとめ、本作で単独監督デビューを飾った。『彼とわたしの漂流日記』では、ややドライでオフビートな現代的ユーモアをきかせつつ、全体に心地よいウェルメイド感と品の良さを漂わせる(韓国映画ではお約束のウンコネタでさえも、だ)。小道具の使い方や伏線の張り方も秀逸で、何しろ語り口のうまさが抜群なのである。

 また、丁寧な演出にも好感が持てる。それこそ、元ネタにしているであろう『キャスト・アウェイ』(2000)などの過去作品を想起させる描写のひとつひとつも、おざなりなパロディーや奇をてらった変化球には走らず、オーソドックスな演出を貫いて素直に、逃げずに、丹念に撮っているのがいい。それでいて新鮮なビジュアルセンスも持ち合わせていて、日常風景のなかに非日常を現出させるファンタジックな場面の撮り方が非常にうまい。引きこもり少女の部屋の描写も面白いし、何よりクライマックスの処理は見事というほかない。今の日本映画からまるっきり欠落している才能や構成力というものが、本作には全て凝縮されているような気さえする。

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 しっかりしたテーマ性を持っているのも、この映画の美点だ。今、コミュニケーションツールはどんどん発達してきている。それなのに人間同士のコミュニケーションが昔ほど密接になるといったことはなく、逆にどんどん細く薄く脆弱なものになっていくような気がするのは、自分がただの古くさい人間だからだろうか? この映画の主人公とヒロインは、まさにコミュニケーション不全に陥った現代人の極端なサンプルといえる。彼らが奇妙に中途ハンパな距離を隔てて、おそろしくプリミティヴな手段で「通話」しようと試行錯誤するプロセスは、まるでアクション映画のようにスリリングで、良質の恋愛コメディらしい楽しさと微笑ましさに満ちている。同時に、その困難であるがゆえのひたむきさを通して、誰かとコミュニケートするということが本来もちうる重み、その力を教えられるような気がしてくるのだ。

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 すっかりコメディ御用達俳優となった感のあるチョン・ジェヨンは、文字どおりの「都会のロビンソン・クルーソー」をほぼ全編キッタナイ顔で熱演。ひたすらシリアスに四苦八苦すればするほどおかしいというコメディ演技の基本をしっかりと実践しており、爆笑させつつも深い共感と愛情を観客に抱かせる名演を披露している。個人的には『シルミド』(2003)以来のベストアクトなのではないかと思った。そして、ヒロインを演じたチョン・リョウォンの魅力も特筆もの。非常に現代的なプロポーションと透明感のある美貌を持った彼女が、引きこもりのインターネット中毒少女を小汚い格好で演じるという面白さと共に、彼女自身の優れたコメディエンヌとしての資質が見事に活きている。彼女こそ、この映画のもつ“新感覚”を体現している存在なのではないだろうか。

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 製作は『シルミド』や『公共の敵』シリーズなどの監督として知られ、映画会社シネマサービスの主宰者でもある韓国映画界の大物、カン・ウソク。ここ最近、監督としては男っぽくて血なまぐさいアクション専門作家という印象が定着して久しいけれども、プロデューサーとしては本作のように新しい感覚を持った作品もきっちり手がけているところが意外、というか頼もしい。とはいえ、一方では『容赦はしない』(2009)みたいなモンダイ作もプロデュースしてるんだけど……。でも『彼とわたしの漂流日記』はどんなチョンボも帳消しにする力を持った秀作だと思う。

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 この先しばらく、日本では韓国映画の話題というと『TSUNAMI』だの『義兄弟』だの、いかにも派手派手しい超大作ばっかり取り沙汰される気がするけれども、ぼくにとっては『彼とわたしの漂流日記』が劇場公開されただけで、2010年の日本における韓国映画シーンは充実していた! といえるくらい存在感の大きい作品(いや、『テコンV』も忘れてはいけない!)。とにかく、映画を観終わったあとは新大久保の韓国料理屋に駆け込んで「ジャージャー麺ひとつ!」と笑顔で叫ばずにはいられない傑作。必見!

※『殺人の追憶』のソン・ガンホも大好物だった韓国式ジャージャー麺(チャジャンミョン)は、中華料理のジャージャー麺に韓国独自の大胆なアレンジを施した大衆的メニュー。中華ジャージャー麺のイメージで注文すると結構ビックリするオリジナルテイストに溢れた料理なので、ぜひお試しあれ。

・Amazon.co.jp
DVD『彼とわたしの漂流日記』
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『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』(2009)

『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』
原題:復仇(2009)
英語題:Vengeance

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 素晴らしい。フランスが誇るロックスター、ジョニー・アリディを主演に招き、ジョニー・トー監督が得意のノワール演出の引き出しを全て開け放つかのようにして撮り上げた円熟の傑作。アンソニー・ウォンをはじめとする看板役者たちの名演、バイオレンスとロマンの幸福な融合がこれでもかというほど堪能できる作品でありつつ、意欲的な実験性にも溢れている。こんな贅沢なフィルムを、劇場で見逃してしまう手はない。未見の方は今すぐ映画館へ走るべきだ。

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 まず個人的に驚いたのは、ワイ・カーファイが単独で脚本にクレジットされていたこと。彼はジョニー・トーと同じく香港のテレビ局TVB出身のプロデューサー/演出家/脚本家で、1997年にジョニー・トーと映画制作プロダクション「銀河映像(Milkyway Image)」を共同設立して以来、長年パートナーとして組み続けている。『ダイエット・ラブ』(2001)や『アンディ・ラウの麻雀大将』(2002)といった香港人好みの弾けたギャグやラブコメが得意な「ベタ担当」なのかと思っていたら、仏教のカルマをテーマに据えたディープな怪作『マッスルモンク』(2003)で極めて特異な作風を発揮し、キチガイ探偵が大活躍する文字どおりのスクリューボール・ハードボイルド『マッド探偵』(2007)でも度肝を抜くストーリーを展開させた。この2作品における、いわゆるトンデモ設定をシリアスな語り口で強引に成立させようとするところは、ワイ・カーファイの個性と言っていいだろう。考えてみれば、躁病的なギャグセンスがダークサイドへ転じれば、理解不能な闇を呼び寄せるというのは、わりと自然なことかもしれない。

 今回の『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』は、ファンの多くが口を揃えて言うように、これまでのジョニー・トー作品でおなじみの要素がいたるところに散りばめられた、トー式マンネリズムの集大成的作品になっている。しかし、やはり同時に、ワイ・カーファイらしいツイストが根幹の部分を支配しているようにも思えるのだ。つまり「復讐とは何か」というテーマの追求と、その脱構築的展開。クリストファー・ノーラン監督の『メメント』(2000)にヒントを得たとおぼしき、記憶を失いゆく者による復讐劇が、やがて復讐という行為そのものの意味を問いただし、その空虚さを明るみにしていくという物語の構造である。

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 ジョニー・アリディ扮する主人公コステロは、ファーストカットから“復讐者”として登場する。ストーリーの推進力となるのは、当然のごとく、愛する娘の家族を殺された男の揺るぎない執念である。しかし、かつて頭部に受けた銃弾の傷によってコステロは刻々と記憶を失い始め、ストーリーを動かしていたエモーションは立場を失い始める。かろうじてそれは3人の殺し屋たちに「有無を言わさぬ男の友情」というかたちで引き継がれるものの、結局のところ復讐は「代行」によって片付けられることはない。最終的に、この物語の核たる復讐心を共有する者は、もはや観客しかいなくなってしまうのだ。この綱渡り的な構造のなかで、いかに映画を「A Story of Vengeance」として成立させられるか? という実験が、今回のワイ・カーファイの目標だったのだろう。

 シンプルかつソリッドな復讐譚を想像していた観客は、終盤のあまりに危なっかしく、たどたどしい復讐のプロセスに戸惑ったはずだ。しかし、この「ともすればギャグにも転びかねないオフビートな脱構築ぶり」が、ワイ・カーファイ&ジョニー・トー作品ならではの妙味であり、醍醐味といえる。主人公がたったひとりで犯罪組織を壊滅に導いてしまう一見ハチャメチャな展開も、すべてを失った彼がイノセントな“復讐の天使”として蘇るというプロセスを踏まえていればこそ、西部劇的/神話的なファンタジーとして受け止めることができる。

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 主人公が神への祈り=瞑想によって記憶を取り戻そうとするシークェンスも、ワイ・カーファイらしい。『マッスルモンク』でこだわった仏教的思想と「復讐」の観念とは相容れないのではないか、とも思うが、そこは解釈によるだろう。この場面でコステロが取り戻そうとするのは、復讐心そのものではなく、自分が他者(家族)のために何をしようとしていたか? という切実な思いであるところに、カーファイ独自の復讐譚解釈があり、感動がある。

 ジョニー・トー自身、カーファイほどではないにしろ、意表をつく「外し」を好むところがあり、実験や脱構築を映画の中で試すことに躊躇はない。ただ、カーファイとバッテリーを組む時は、どちらかというと職人的手腕でカーファイの変化球をカバーする名捕手に徹する傾向がある。個人的には、そんなトーさんも好きなのだ。実は誰よりも破壊的で暴走型のカーファイ節を、共同監督のジョニー・トーが持ち前のクールな映画力を駆使してまとめ上げるというパターンでは、現時点では『マッド探偵』が最高作だろう。この先しばらくは共同監督としてコンビを組むことはないらしいが、本作『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』には、トー&カーファイ組ならではの香りがあり、映画自体のテーマでもある男の友情が脚本家×監督の間にも匂い立つ。そういう意味でも、なんだか嬉しいフィルムだった。

 ジョニー・トー作品のファンなら、本作はいたるところでデジャヴを覚えるであろう内容だが、それでいて新しいアクションの見せ方も試みているところに信頼が置ける(今回のポイントはやはり血煙の美しさだろう)。開巻早々強烈なインパクトを刻みつける「惨劇」の鮮やかな編集処理、薄汚れた雑居アパートで繰り広げられる雨の夜の攻防、子供の戦争ごっこそのままのだだっ広い空き地での銃撃戦まで、その演出はますます熟練の域に達し、ファンタジックな飛躍の潔さにも惚れ惚れするばかりである。スクリーンを見つめながら、本作がこれまでの銀河映像作品のなかでどれにいちばん近いかを考えてみたとき、意外にも『ロンゲストナイト』(1997)が真っ先に思い浮かんだ。マカオの夜の切り取り方、物語がどこへ向かうか分からない迷走感が、けっこう似ている気がしたのだ。映画としての後味は、全く正反対と言っていいのだが。

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 主演のジョニー・アリディは、もう立ってるだけでカッコイイという人なので、多少の演技のぎこちなさも気にならない。このカッコよさに対抗できる日本人がいるとすれば、断然りんたろう監督をおいて他にいないだろう(見たことない方はキネマ旬報社刊「PLUS MADHOUSE 4 りんたろう」の超クールな写真をご参照ください)。アリディの異邦人としての所在なさげな表情が、記憶を失っていくという映画後半のストーリー展開ともあいまって、さらに深みを増していくあたりも味わい深い。車中で唐突に「オレの店の名前は“レ・フレール”っていうんだ」と言い出すときの可愛らしさときたら! 渋みを兼ね備えたイノセンス……つまり、ジョニー・トー作品の重要なエッセンスを自ら体現する存在になっていくのだ。そこに愛を感じられるか、そうでないかで、クライマックスの楽しみ方も違ってくるだろう。

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 ジョニー・トー作品には欠かせない常連たちの好演も、言うまでもなく素晴らしい。中でも今回はラム・カートンのカッコよさが際立っていると思う。『PTU』(2003)を思い出させるマギー・シュウの登場も嬉しいし、子だくさんの肝っ玉母さんビッグママを演じるミシェル・イェのエレガントな変身ぶりも魅惑的だ。香港映画ファン的には、空き地のボロ家で暮らす銃器商人トニー役で、フォン・ツイファン(スタンリー・フォン)が顔を出していることにグッとこざるをえないだろう。日本では『五福星』(1984)のリーダー格“マジメ”役がいちばん有名だと思うが、イー・トンシン監督のデビュー作『癲佬正傳』(1986)での好演も印象深い。未見だが、ジョニー・トーがプロデュースをつとめた『意外』(2009)にも出演しているという。フランス人女優シルヴィー・テステュのジョニー・トー組参加も、ジョニー・アリディと同じくらい嬉しかったが、やや存在感が薄かったのが残念。彼女は日本を舞台にした諷刺コメディの秀作『畏れ慄いて』(2002)で、まさに孤独な異邦人を演じており、その点ではアリディの先輩である。

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「TRASH-UP!! vol.6」発売迫る!

 第三回爆音映画祭×TRASH-UP!!プレゼンツ“爆音『HOUSE』@バウス”、本当に素晴らしいイベントでした。会場は満員札止めの大盛況、プリントは美麗の極み、爆音サウンドもまったくの適正音量としか聴こえないほど心地好く、上映終了後は自然と客席から盛大な拍手が。そこになんと、大林宣彦監督ご本人も一緒に観られていたというサプライズがあり、その場でマイクなしでご挨拶され、再び熱い喝采を集めていました(終演後の会場前にたむろする出待ちの人々の多さも凄かった!)。バウスシアターの大スクリーンで『HOUSE』を観られるという状況自体がとてつもなく幸福である上、さらにいくつもの嬉しい驚きが積み重なった、信じられないほど幸せな夜でした。

 さて、そんな奇跡の夜をついさっき実現させたトラッシュカルチャーマガジン「TRASH-UP!!」の最新号が、今月ようやく発売されます。ページ数は前号よりさらに増え、約300ページという大ボリューム。もちろん内容面でもより高密度に、ギッチギチに詰まっております。

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「TRASH-UP!! vol.6」
 6月19日(土)発売予定 7月2日に発売延期
 定価1575円(税込)


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特集1:ジョージ・A・ロメロ最新作『サバイバル・オブ・ザ・デッド』
 クロストーク 中原昌也×伊東美和×山崎圭司
特集2:いま世界が熱狂!! 日本が誇るカルト少女ホラー映画『HOUSE ハウス』
 大林宣彦監督インタビュー、作品解説
特集3:ホラー、エロス、極道、カンフー!
 オルタナティブVシネの世界 GPミュージアム
特集4:moools 日本最強のインディ・バンドの魅力にせまる!!
 ロングインタビュー/ディスコグラフィー/ライブフライヤー等、貴重な資料を多数掲載
特集5:Jホラーシアター最終章『恐怖』公開記念
 高橋洋 15000字インタビュー
特集6:恐怖のアメリカン・ニューシネマ アメリカ映画は発狂した
 『バード・シット』『ハロルドとモード』『ウォーター・パワー』……

(MOVIE)
●アメリカン・ニューシネマとヴェトナム戦争
●日本映画史の秘部!! 東映ニュー・ポルノの歴史

(MUSIC)
●海外ツアー日記二本立て!
 water faiのNYツアー日記&小島ケイタニーラブ(ANIMA)の韓国ツアー日記
●宇波拓(HOSE)がブラックメタルの生きる伝説「BURZUM」の新譜を聞く!
●関西アンダーグランドシーンの今「道下慎介(オシリペンペンズ、LSDマーチ)の迷宮世界」
●注目すべきバンド:group_inou、YOU GOT A RADIO、WONG FU(from 台湾)、drawing4-5、キノコホテル
●コラム:藤田建次、core of bells、A.K.I.(倫理B-BOY RECORDS / A.K.I.PRODUCTIONS)、アクセル長尾(赤い疑惑)
●関西ミュージシャン漫画会議!『美味しんぼ』について語りつくす
 参加アーティスト:和田シンジ(巨人ゆえにデカイ)、増子慎二(DMBQ)、DODDODO、石井モタコ(オシリペンペンズ)

(COMIC)
新連載!呪みちる「エレノイド・ミッシェル」
うぐいす祥子、根本敬×河村康輔、山田緑、キング・ジョー&須田信太朗、DODDODO、石井モタコ(オシリペンペンズ)

(詩)
小笠原鳥類、広瀬大志、白井剛史(プリミ恥部)

【特典 MIXDVD】
oono yuki、INN JAPAN、スカートめくり、BLOND new HALF、core of bells、CARRE、drawing4-5、割礼、プリミ恥部、WONG FU(from 台湾)、water fai...ane more
100分以上収録

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 取扱店はお馴染みタコシェビデオマーケットなど。新たにオープンしたTRASH-UP!!公式サイトでも予約受付中です(その他の取扱店についても、同サイト内をご参照ください)。また、Amazon.co.jpBRIDGEなどのオンラインショップでも予約できます。

 今回、ぼくの書いた原稿は、先日ブログでも紹介した「ワーナーアーカイブコレクション」の記事と、藤原章監督の傑作『ダンプねえちゃんとホルモン大王』のDVDレビューのみ。前号の「香港ニューウェーブ特集」で燃え尽きてしまったので、正直もう全然書かなくていいや?とか思ってたんですが、ギリギリになって書きたいお題が見つかったので、ちょっとだけ参加させてもらいました。

 その代わり、次号「TRASH-UP!! vol.7」に向けての準備は着々と進めております。雑誌「映画秘宝」の近況報告にもチラリと書かせてもらいましたが、次は韓国映画界の巨匠イ・ドゥヨン監督の特集記事にとりかかる予定です。日本ではコリアン・エロスの先駆的作品『桑の葉』シリーズで知られていますが、韓国では「テコンドー映画のパイオニア」とも呼ばれており、多彩なジャンルムービーを次々と世に放った大ヒットメイカーでもあります。この人の紹介をせずして、現代韓国映画研究を前に進めることはできないと思うのです。

 と、その前に「TRASH-UP!!」関係の仕事としては、8月にシアターN渋谷で公開される劇場長編アニメーション『テコンV』のパブリシティにも関わらせてもらっています。1976年に公開されて大ヒットした韓国初の本格的ヒーローロボットアニメが、デジタルリマスター版でついに劇場公開! この作品もまた、映画館で観れば盛り上がること必至の快作なので、興味がある方はぜひ! 今後の展開はまた追ってお知らせいたします。

ユニヴァーサルのDVD-Rシリーズも、ちょっと凄い!

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えっ、
あの『Oh! 外人部隊』までDVDに!?


 前2回に引き続き、ハリウッドの大手映画スタジオからオンデマンド方式で販売されているDVD-Rシリーズを紹介。今回は、ユニヴァーサルから米Amazon.com限定でリリースされている「UNIVERSAL VAULT SERIES」から、個人的に気になるタイトルをピックアップ。とにかく何でもお蔵出しする勢いのワーナーや、渋いながらもツボをついたラインナップが魅力のMGMに比べて、ユニヴァーサルは作品のセレクションが結構バラバラ。しかし、中には『夕陽に向って走れ』や『泥棒貴族』など、映画ファン狂喜乱舞のタイトルも含まれていたりするので見逃せない。商品タイトルのリンク先はAmazon.com

 この調子で、他の大手スタジオもオンデマンドDVD-Rの販売を始めてくれると、すごく嬉しい。例えばパラマウントなら、シャーリー・マクレーン主演の『Bliss of Mrs.Blossom』、ロジェ・ヴァディム監督の『血とバラ』、ハワード・ホークス監督の『レッド・ライン7000』、シドニー・ポラックの監督デビュー作『いのちの紐』あたりがDVD化されていない。20世紀フォックスなら、リチャード・フライシャー監督の『鏡の中の犯罪』、アラン・ルドルフ監督の『ロサンゼルス/それぞれの愛』、ロバート・アルトマン監督の『ヘルス』といった作品が未DVD化のままだ。この辺はもう、欲しい人だけ買えばいいという世界なので、オンデマンドでどんどん売っていけばいいのではないだろうか。


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『夕陽に向って走れ』(1969)Tell Them Willie Boy is Here
恋人との結婚を反対されたインディアンの青年が、誤って恋人の父親を殺してしまい、ふたりで逃亡するのだが……。赤狩りによってハリウッドを追われた過去を持つ反骨の映画作家、エイブラハム・ポロンスキーが実話をもとに撮り上げた社会派西部劇。ロバート・ブレイクとキャサリン・ロスが若き逃亡者カップルを演じ、ロバート・レッドフォードが追っ手の保安官に扮する。それにしても、このジャケットはちょっと……。

『Oh! 外人部隊』(1977)The Last Remake of Beau Geste
メル・ブルックス作品でおなじみのギョロ目の怪優、マーティ・フェルドマンが原案・監督・主演をつとめたパロディ喜劇。「ボー・ジェスト最後のリメイク」という原題どおり、何度も映画化されたP・C・レンの小説『ボー・ジェスト』を下敷きに、フランス外人部隊に入った兄弟(フェルドマンとマイケル・ヨーク)の物語がギャグ満載で展開する。共演はアン=マーグレット、ピーター・ユスティノフ、トレヴァー・ハワードなどの豪華メンバー。

『セクシー・ダイナマイト』(1964)Kitten with a Whip
1959年に書かれたパルプ小説を映画化したスリージーな犯罪スリラー。仲間たちと刑務所から脱走した17歳の少女。彼女は逃げる途中で出会った中年男を騙し、メキシコへの国外逃亡を手助けさせる。アン=マーグレットがまさしくセクシーダイナマイトなヒロインを演じ、当時の男性観客を悩殺。監督は3度目のリメイクとなる『ボー・ジェスト』(!)を手がけたダグラス・ヘイズ。

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『縮みゆく女』(1981)The Incredible Shrinking Woman
リチャード・マシスン原作のSFクラシック『縮みゆく人間』を、平凡な主婦が主人公の物語としてリメイクしたSFコメディ。ある日を境にどんどん身体が縮んでいくヒロインを演じたのは、個性派女優リリー・トムリン。ジェーン・ワグナーが製作・脚本を手がけ、ジョエル・シューマカーが監督をつとめた(当初予定されていた監督はジョン・ランディス)。

『秘密殺人計画書』(1963)The List of Adrian Messenger
スコットランドヤードに勤める男が、友人から渡された1枚のリスト。そこに名前が載っていた人々は、いずれも謎の事故死を遂げていた……。フィリップ・マクドナルドの同名小説を、ジョン・ヒューストン監督、ジョージ・C・スコット主演で映画化した作品。カーク・ダグラス、ロバート・ミッチャム、フランク・シナトラなどの豪華メンバーが“殺され役”として特別出演。

『新・ガンヒルの決斗』(1971)Shoot Out
自分を裏切った男に復讐するべく、ガンヒルの町へと向かう元銀行強盗の男。その途上、彼は一人旅をしていた少女と出会い、なぜか一緒に荒野を旅することに……。少女とガンマンの交流を軸とした、ヘンリー・ハサウェイ監督の異色ウエスタン。主演はグレゴリー・ペック、パトリシア・クイン。

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『泥棒貴族』(1966)Gambit
詐欺師ハリーは、さる大富豪が所有する古代中国の胸像を盗みだす計画を立てた。彼は計画遂行のため、ナイトクラブの踊り子を仲間に引き入れようとするのだが……。マイケル・ケインとシャーリー・マクレーンが共演した、お洒落でロマンティックな犯罪コメディ。イギリス出身のベテラン、ロナルド・ニームが監督を担当。

『ドーヴァーの青い花』(1963)The Chalk Garden
ドーヴァー海峡をのぞむ荒涼たる土地にぽつんと建つ一軒の屋敷。そこには老婦人と孫娘がふたりきりで暮らしていたが、ある日、ひとりの中年女性が住み込みの家庭教師としてやってくる……。デボラ・カーが『回転』と同じような役を演じたヒューマンドラマ。監督は『泥棒貴族』『ポセイドン・アドベンチャー』のロナルド・ニーム。

『The Brass Bottle』(1964)
たまたま買ったアンティークの壷から魔人が現れ、大騒動に巻き込まれる青年建築家のてんやわんやを描いたファンタジーコメディ。主演はトニー・ランドール、バール・アイヴス。監督は『タミーとドクター』のハリー・ケラー。

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『休暇はパリで』(1958)The Perfect Furlough
当時は夫婦だったトニー・カーティスとジャネット・リーが共演したロマンティックコメディ。北極圏駐屯地につとめる米兵が、休暇に訪れた花の都パリで思いがけないロマンスを体験する。監督・脚本は、同時期にTV『ピーター・ガン』も手がけていた名匠ブレイク・エドワーズ。

『40ポンドのトラブル』(1962)40 Pounds of Trouble
トニー・カーティス演じる賭博場の支配人が、借金のカタとして客から5歳の女の子を押しつけられ、その娘に振り回されるというスラップスティックコメディ。共演はスザンヌ・プレシェット、ケヴィン・マッカーシー。監督は『夜の大捜査線』のノーマン・ジュイソン。


その他の気になるラインナップはこちら。
『明日なき抱擁』(1934)Death Takes a Holiday
『人生は四十二から』(1935)Ruggles of Red Gap
『北海の子』(1938)Spawn of the North
『The House of the Seven Gables』(1940)
『フォルウォスの黒楯』(1954)The Black Shield of Falworth
『本家・ドラグネット』(1954)Dragnet
『レザレクション/復活』(1980)Resurrection
『ピュア・ラック』(1991)Pure Luck
『過ぎゆく夏』(1992)Shout

MGMのDVD-Rシリーズも凄い!

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えっ、
『ウープ・ウープ』もDVDになってるの!?


 というわけで、前回は「ワーナーアーカイブコレクション」について紹介したが、実はMGMとユニヴァーサルも、自社作品のオンデマンドDVD-R販売を(地味ながら)始めている。今のところは両社とも、米Amazon.comなどで限定販売のみ行っている模様。さすがにワーナーほど大量のタイトルは扱っていないが、今後また増えていく可能性もあるので、映画ファンは要チェックだ。今回は、まずMGMからリリースされている「MGM LIMITED EDITION COLLECTION」を紹介。ハル・アシュビーの監督デビュー作『真夜中の青春』、フランソワ・トリュフォーの秀作『緑色の部屋』など、普通にDVD化されていても全然おかしくない有名作品もちらほら。ロバート・ワイズ監督の『すれちがいの街角』や、ディック・ヴァン・ダイク主演の『タバコのなくなる日』など、日本ではTV公開しかされていない作品が数多く含まれているのも嬉しい。リンク先はAmazon.com


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『タバコのなくなる日』(1971)Cold Turkey
30日間の禁煙を達成した町には賞金を贈呈するという、タバコ会社の仕掛けた逆キャンペーンが全国各地で開催されるが、いずこの町も次々と失敗。しかし、ある町だけが禁煙を守りきり、慌てたタバコ会社はスパイを派遣して妨害工作を試みる……。ディック・ヴァン・ダイク主演の諷刺コメディの秀作。原題は「禁断症状」の意。TVの脚本家・プロデューサーとして活躍するノーマン・リアの、唯一の監督作品。

『ニューヨーク泥棒結社』(1967)Fitzwilly
慈善事業への寄付がただひとつの趣味という大富豪の老婦人。だが、すでに財産は使い果たしており、彼女の執事はしかたなく盗賊団を結成して寄付金をかき集めていた……。『マーティ』のデルバート・マン監督による小洒落た犯罪コメディ。主演はディック・ヴァン・ダイク、イディス・エヴァンス。

『ウープ・ウープ』(1998)Welcome to Woop Woop
アメリカからオーストラリアへ逃げてきた詐欺師の青年が、魅力的な少女と出会い、恋に落ちる。しかし、気がつくと彼は奇怪な大家族が暮らす謎の町“ウープ・ウープ”で囚われの身に……。『プリシラ』のステファン・エリオット監督によるオフビートスリラーコメディの大傑作。どうしてこんな素晴らしい映画が評価されないのか全く意味が分からない。主演はジョナサン・シャーチ、スージー・ポーター。

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『真夜中の青春』(1971)The Landlord
何不自由なく暮らしてきた大富豪の息子が、自身の哲学を実践するため黒人スラム街のド真ん中に引っ越し、アパートの家主として住民と交流を図ろうとするが……。アメリカン・ニューシネマの名匠、ハル・アシュビー監督の長編デビュー作。住民たちの反発や人種問題に右往左往する主人公を、『ある戦慄』のボー・ブリッジスが演じる。アシュビーがアカデミー編集賞を獲得した『夜の大捜査線』の監督、ノーマン・ジュイソンが製作を担当。

『欲望の家』(1963)Toys in the Attic
リリアン・ヘルマンの舞台劇を映画化した、ジョージ・ロイ・ヒル監督の初期作品。結婚したばかりの妻を連れて、姉ふたりの住む故郷の家に帰ってきた男。彼らの関係は次第に緊迫感を増し、やがては悲劇へと雪崩れ込む。主演はディーン・マーティン、ジェラルディン・ペイジ、ウェンディ・ヒラーほか。

『The Caretakers』(1963)
精神病院の女性病棟を舞台にした日本未公開の群像ドラマ。治療方針をめぐって対立する医師を、ジョーン・クロフォードとロバート・スタックが演じる。監督は『かもめのジョナサン』のホール・バートレット。

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『すれちがいの街角』(1961)Two for the Seesaw
離婚してネブラスカからニューヨークに引っ越してきた中年弁護士ライアンは、あるパーティーで出会った若い女性ギテルと知り合う。ふたりは惹かれ合い、一緒に暮らすようになるが……。60年代のビート文化を背景にした都会派ラブロマンス。原作舞台劇ではヘンリー・フォンダとアン・バンクロフトが演じた年の差カップルを、本作ではロバート・ミッチャムとシャーリー・マクレーンが演じる。監督は名匠ロバート・ワイズ。

『Between the Lines』(1977)
日本ではやや知名度の低い女性監督、ジョーン・ミックリン・シルヴァーの初期代表作の1本。アングラ新聞の発行にいそしむ若者たちの姿をコミカルに描いた青春群像劇。若き日のジェフ・ゴールドブラム、ジョン・ハード、リンゼイ・クローズらが出演。

『A Fish in the Bathtub』(1999)
おそろしく仲が悪いように見えて、実は深い絆に結ばれた老夫婦の姿を描いたロマンティックコメディ。主演は、実際に夫婦であるジュリー・スティラー&アン・メアラ(ベン・スティラーの両親)。監督は『Between the Lines』のジョーン・ミックリン・シルヴァー。

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『緑色の部屋』(1978)Vanishing Fiancee
亡き妻の遺品や肖像に囲まれて暮らす男の姿を見つめた、フランソワ・トリュフォーによる悲痛な愛の物語。ヘンリー・ジェームズの小説をもとに、トリュフォーが監督・共同脚本・主演をつとめた入魂の一作。ネストール・アルメンドロス撮影による繊細な映像美も見どころ。共演はナタリー・バイ。

『怒りの刑事』(1972)The Offence
鬱屈を抱えたベテラン刑事ジョンソンは、連続少女暴行事件の取り調べで内に秘めていた怒りと暴力衝動を爆発させ、いつしか容疑者を死に至らしめてしまう……。ショーン・コネリーが精神を病んだ刑事を熱演した、舞台劇原作の心理ドラマ。監督はシドニー・ルメット。

『哀愁の旅路』(1966)The Whisperers
ロバート・ニコルソンの小説を原作にした、ブライアン・フォーブス監督のヒューマンドラマ。アパートで孤独に暮らしていた老婦人が、ある日、息子の隠した多額の現金を発見する。空想癖のある彼女は、大金持ちになる夢が現実になったと胸を弾ませるのだが……。主演のイディス・エヴァンスは、本作でアカデミー主演女優賞にノミネートされた。

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『最後の勝利者』(1964)The Best Man
アメリカ大統領予備選を描いたシリアスな政治ドラマ。ヘンリー・フォンダとクリフ・ロバートソンが対立する候補者を演じ、火花を散らす。原作(戯曲)・脚色はゴア・ヴィダル。監督は『猿の惑星』のフランクリン・J・シャフナー。日本ではTV公開のみ。

『一家8人逃亡す』(1966)Eight On The Lam
7人の子どもを男手ひとつで育てているマジメな銀行員ヘンリーは、ある事件をきっかけに5万ドル横領事件の容疑者にされてしまい、一家全員で逃亡する羽目に……。ボブ・ホープ主演のドタバタコメディ。主人公の恋人役でシャーリー・イートンが出演。監督は『彼女の不道徳な夢』のジョージ・マーシャル。

『おばあちゃんは魔女』(1988)Wicked Stepmother
ラリー・コーエン監督のホラーファンタジーコメディ。主演のベティ・デイヴィスが脚本に不満を示して途中降板したため、急遽シナリオを書き直し、バーバラ・カレラが若い頃の魔女を演じることになったという曰く付きの作品。コーエンによると「健康上の理由で降りた」らしい(デイヴィスにとってはこれが遺作となった)。


その他の気になるラインナップはこちら。
『楽園に帰る』(1953)Return to Paradise
『空中ぶらんこ』(1956)Trapeze
『太平洋紅に染まる時/山本元帥とハルゼイ提督』(1960)The Gallant Hours
『栄光の野郎ども』(1965)The Glory Guys
『グループ』(1966)The Group
『三人の女性への招待状』(1966)The Honey Pot
『魔人館』(1983)House of the Long Shadows
『ガルボ・トーク/夢のつづきは夢…』(1984)Garbo Talks
『ドリームチャイルド』(1985)Dreamchild
『ナチ収容所秘話/命を買った男』(1988)The Tenth Man
『ファーノース』(1988)Far North
『レイト・フォー・ディナー』(1991)Late for Dinner

「ワーナーアーカイブコレクション」が凄い!

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えっ、
『電子頭脳人間』ってDVD化されてたの!?


 というわけで、一部の映画ファンの間ではすでに話題の「ワーナーアーカイブコレクション」。ハリウッドの大手映画会社ワーナーブラザーズから販売されているDVD-Rシリーズで、通常の流通ではペイできないようなマイナー作品、あるいはファンの数こそ少ないものの根強い人気をもつ隠れた名品などを、オンデマンド方式で販売していくという画期的な試みだ。最近たまたまリリースタイトルの全リストを見てみたら、前からDVD化を待ち望んでいたマイク・ホッジス監督の異色SF『電子頭脳人間』をはじめ、『雨のなかの女』やら『恐怖のレストラン』やら『俺たちの明日』やら『激怒』やら、垂涎モノのタイトルがズラリ。さらによく調べてみると日本ではなかなか観る機会のなかった未公開作品も含まれており、またしても無駄遣いという負のサイクルに絡めとられる予感がビンビンに……。

 メジャースタジオが権利元である場合、小さく地味な映画ほどソフト化されにくいという事情があるので、こういうファンの声を大事にした売り方は非常に嬉しい。DVD-Rといっても海賊盤ではなく、ちゃんとメジャー会社からリリースされているオフィシャル盤なので、ある種の後ろめたさを感じずに安心して買うことができる。ただ、現在のところはアメリカ国内での販売のみを目的としているため、オフィシャルサイトでは国外からの購入は不可能。しかし、ほとんどのタイトルは米Amazon.comでの取り扱いが始まっている(やや値段は上乗せされるけど)。海外での買い物が不安だったり、クレジットカードを持っていなかったりする方には、ぼくらの聖地・西新宿ビデオマーケットがある。すでに一部のタイトルが3階DVD-Rコーナーで販売中だが、現時点で在庫のないものでも、頼めば取り寄せてくれるそうだ。

 以下に、個人的に「おっ」と思った作品をいくつか年代順に挙げてみたので、ご参考に(注:リンク先はオフィシャルサイト内のページなので、日本からは購入できません!)。もういちど観たい懐かしの映画や、タイトルだけ知っていても観たことのなかった作品を探している人は、チェックしてみては?


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『恐ろしき結婚』(1944)Experiment Perilous
ジャック・ターナー監督がRKOで撮ったラブサスペンス。ジョージ・ブレント演じる医師は、列車での旅行中、ひとりの美しい人妻(へディ・ラマール)と出会う。彼女の夫は、妻のことを精神異常者であると強く主張し続けており、やがて彼女の周囲で次々と人が死んでいく……。

『The Verdict』(1946)
シドニー・グリーンストリートとピーター・ローレが共演した犯罪スリラーで、ドン・シーゲル監督の長編デビュー作。冤罪事件によって降格されたスコットランドヤードの警視が、ローレ扮する怪しげな芸術家の友人の助けを得て、再び第一線に返り咲くまでを描く。

『Dream Wife』(1953)
ケーリー・グラントとデボラ・カーが競演した未公開ロマンティックコメディ。野心的な妻を捨て、男を悦ばせる術を全てマスターした族長の娘と結婚しようとする主人公を、グラントがコミカルに演じる。監督・脚本はのちのベストセラー作家、シドニー・シェルダン。

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『法律なき町』(1955)Wichita
ジャック・ターナー監督によるシネマスコープ西部劇。悪徳がはびこるカンサス州ウィチタの町に、法と正義をもたらそうとする保安官ワイアット・アープの戦いを描く。主演はジョエル・マクリー、ヴェラ・マイルズ。第13回ゴールデングローブ賞の最優秀アウトドア・ドラマ賞を獲得した。

『暗黒街の女』(1958)Party girl
1930年代のシカゴを舞台にした、名匠ニコラス・レイ監督の色彩豊かな犯罪映画。リー・J・コッブがギャングのボスを演じ、シド・チャリシーがセクシーな踊り子に扮して観客を悩殺。日本でも90年代にリバイバル公開された人気作。

『決闘ウエストバウンド』(1958)Westbound
西部劇の名手バッド・ベティカー監督と、ランドルフ・スコット主演の黄金コンビによる1本。南北戦争を背景に、軍資金である金塊を駅馬車で輸送する任務を帯びた北軍大尉と、金塊強奪を企むならず者たちの戦いを描く。

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『A Majority of One』(1961)
レナード・スピーゲルガスの同名戯曲をマーヴィン・ルロイ監督で映画化した異文化恋愛コメディ。娘夫婦といっしょに東京へやってきたユダヤ人の未亡人女性が、紳士的な日本人男性と出会って不器用な恋を紡いでいく。名優アレック・ギネスが珍妙なメイクで日本人アサノ氏に扮し、ロザリンド・ラッセルが初老のヒロインを演じる。

『モンタナの西』(1964)Mail Order Bride
死んだ友人が遺したモンタナの牧場へやってきた初老の元保安官。そこで彼を待っていたのは、やさぐれた友人の息子と、牧場に嫁いできた子連れの若妻だった。脚本家出身のバート・ケネディが監督デビューを飾った異色西部劇。主演はバディ・エブセン、キア・デュリア。

『ランダース』(1964)The Rounders
怠け者のカウボーイ2人組が、ひょんなことから荒馬を手に入れた。ちっともなつかない馬に手を焼いた2人は、売り払って金に換えようとするのだが……。マックス・エヴァンスの原作を、バート・ケネディが監督・脚色した現代版コミカル・ウエスタン。主演はヘンリー・フォンダとグレン・フォード。

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『銭の罠』(1965)Money trap
バート・ケネディ監督による遅れてきたフィルムノワール。贅沢な暮らしに溺れるL.A.P.D.の刑事が、金欲しさのあまり悪事に走り、やがて破滅に向かっていくさまを描く。主演はグレン・フォード、エルケ・ソマー、リタ・ヘイワース。

『メイド・イン・パリ』(1965)Made in paris
アン=マーグレット主演の都会派ラブコメディ。ニューヨークのトップモード店で働くヒロインが、パリの一流デザイナーや店の御曹司らと恋のさやあてを繰り広げる。監督は『地球最後の男/オメガマン』のボリス・セイガル。

『第三の日』(1965)The Third day
ジャック・スマイトが製作・監督を手がけたサイコスリラー。自動車事故で記憶喪失になった青年は、大会社の娘婿として将来を嘱望されていた人物だった。しかし、失われた記憶をたどるうち、彼の周辺で次々とトラブルが露見していく。主演はジョージ・ペパード。

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『水曜ならいいわ』(1966)Any wednesday
ブロードウェイのヒット舞台劇を映画化したドタバタ恋愛コメディ。大富豪とその愛人、その妻とその部下がおりなすてんやわんやを描く。当時人気絶頂のジェーン・フォンダが美しい愛人を演じ、のちに『ジュリア』でも共演する名優ジェイスン・ロバーズが優柔不断な富豪を妙演。

『無責任恋愛作戦』(1967)The Bobo
ピーター・セラーズとブリット・エクランドが共演したコメディ。闘牛士を夢みる男が、なぜか街で有名な悪女をオトすために様々な作戦を繰り広げる。監督は『007/カジノ・ロワイヤル』にも参加し、秀作『決死圏SOS宇宙船』なども手がけた職人ロバート・パリッシュ。

『女狐』(1967)The Fox
D・H・ロレンスの小説をマーク・ライデル監督が映画化した心理ドラマ。人里離れた山小屋で養鶏を営むレズビアンのカップルのもとに、ひとりの男が訪れたことから、彼女たちの関係に異変が起き始める。主演はサンディ・デニス、アン・ヘイウッド、キア・デュリア。

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『グッバイ・ヒーロー』(1968)Bye Bye Braverman
日本ではTV公開のみに終わった、シドニー・ルメット監督の群像コメディ。ニューヨークを舞台に、友人の葬式に集まった人々のやりとりをコミカルに描く。『電子頭脳人間』のジョージ・シーガルをはじめ、ルメット作品常連のジャック・ウォーデンなどが出演。

『軍曹』(1968)The Sergeant
フランスの米軍駐屯地に赴任してきた曹長が、ひとりの男性兵士に愛情を抱いてしまうというヒューマンドラマ。主演はロッド・スタイガー、ジョン・フィリップ・ロー。監督は『ローリング・サンダー』のジョン・フリン。

『The Subject was Roses』(1968)
ピューリッツァー賞を獲得したフランク・D・ギルロイの戯曲を、ギルロイ自らの脚色で映画化した作品。不仲に陥った両親の関係を修復しようと、兵役を終えた一人息子は懸命に努力するのだが……。主演はパトリシア・ニール、ジャック・アルバートソン、マーティン・シーン。監督はこれがデビュー作のウール・グロスバード。

『水色のビキニのマドモアゼル』(1968)How sweet it is!
ジェームズ・ガーナーとデビー・レイノルズが共演したロマンティックコメディ。仕事でパリを訪れた中年夫婦が、それぞれ誘惑に直面して慌てふためく姿を描く。『プリティ・ウーマン』のゲイリー・マーシャルが製作・脚本に参加。

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『屋根の上の赤ちゃん』(1969)Daddy's Gone A-Hunting
恋人の写真家と別れ、彼との間にできた子どもを堕ろしたヒロインは、のちに別の男性と出会って結婚する。ふたりに子どもができた時、元恋人の復讐が始まった……。ラリー・コーエンとロレンツォ・センブル・Jr.が脚本を共同執筆したサイコスリラー。主演は『夜空に星のあるように』のイギリス人女優、キャロル・ホワイト。

『Picasso summer』(1969)
サンフランシスコからヨーロッパへ、憧れのピカソに会うため旅に出た青年の姿を追った青春ロードムービー。レイ・ブラッドベリの原案を、『シベールの日曜日』のセルジュ・ブールギニョンと、ロバート・サリンの共同監督で映画化。主演はアルバート・フィニー、イベット・ミミュー。60年代のサイケ文化やアートシーンを反映した実験的映像手法が見どころ。

『最後のインディアン』(1969)Flap
インディアン居留地に追いやられたアメリカ原住民たちの抵抗運動を、ユーモラスなタッチも交えて描いた社会派ドラマ。名匠キャロル・リードが初めてアメリカの社会問題を題材に採った作品。気高く陽気な主人公フラップをアンソニー・クインが豪快に演じ、シェリー・ウィンタースやクロード・エイキンズが脇を固める。

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『雨のなかの女』(1969)The rain people
フランシス・フォード・コッポラ監督の初期代表作にして最高傑作。こういう映画をもっと撮ってほしかった。情緒不安定気味のヒロインを演じるのは『ザ・センダー/恐怖の幻想人間』でも強烈だったシャーリー・ナイト。『ゴッドファーザー』にも続投するジェームズ・カーン、ロバート・デュヴァルが脇を固める。

『さすらいのライダー』(1969?70)Then came Bronson
バイクに乗って全米各地を旅する青年ジム・ブロンソンの道行きを描いた、ロードムービー風のTVドラマシリーズ。主演のほか主題歌も担当したマイケル・パークスは、のちに『デス・プルーフ』などに出演。

『Which way to the front?』(1970)
人気コメディアンのジェリー・ルイスが製作・監督・主演をつとめた戦争コメディ。兵役検査に落ちた大富豪のプレイボーイが、自分と同じ落ちこぼれを集めて独自の小隊を結成し、敵を倒すべく戦地へと乗り込む。映画評論家レナード・マーティンに「BOMB(サイテー)」の烙印を押された問題作。

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『はるかなる西部』(1970)Last of the mobile hot-shots
テネシー・ウィリアムズの戯曲「The Seven Descents of Myrtle」をゴア・ヴィダルが脚色し、シドニー・ルメットが監督したビザールな人間ドラマ。アメリカ南部のとある屋敷を舞台に、若妻とその夫、そして肌の色が異なる夫の兄弟がおりなす三角関係が展開する。主演はジェームズ・コバーン、リン・レッドグレイヴ、ロバート・フックス。

『結婚宣言』(1970)The priest's wife
ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニが共演した、おかしくも切ない恋愛喜劇。ロック歌手の美女とカソリックの神父が恋に落ち、様々な障害を乗り越えて結婚しようとするが……。監督はイタリアン・コメディの名手、ディーノ・リージ。

『受胎の契約/ベビー・メーカー』(1970)The Baby maker
アメリカン・ニューシネマの女神、バーバラ・ハーシー主演の社会派青春ドラマ。金のために代理母を引き受けたドライな現代娘が、妊娠をとおして母性に目覚めていく姿を描く。監督・脚本は『チャイナ・シンドローム』のジェームズ・ブリッジス。スコット・グレンの映画デビュー作でもある。

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『激怒』(1970)Rage
名優ジョージ・C・スコットが監督デビューを飾り、自ら主演もつとめた社会派SFアクション。軍の開発したガス兵器によって息子を失った父親の壮絶な復讐劇が描かれる。若き日のマーティーン・シーンの好演も見どころ。レビューはこちら

『エル・コンドル』(1970)El Condor
黒人アクションスターのジム・ブラウンと、ベテラン名優リー・ヴァン・クリーフが共演した西部劇。南北戦争直後のメキシコを舞台に、黄金をめぐって男たちの戦いが繰り広げられる。英国出身のジョン・ギラーミンが監督をつとめ、脚本にはラリー・コーエンが参加。

『西部無法伝』(1971)Skin game
奴隷廃止論が盛んになってきた南北戦争直前期、白人と黒人でコンビを組んで荒稼ぎするペテン師2人組の活躍を描いたコメディ西部劇。主演はジェームズ・ガーナーとルイス・ゴセットJr.。監督はのちに映画版『トーチソング・トリロジー』も手がけるポール・ボガート。

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『Chandler』(1971)
名優ウォーレン・オーツが私立探偵を演じた、ニューシネマ世代のハードボイルドムービー。公開当時MGMの重役によって再編集され、監督のポール・マグウッドの意図とは異なる作品になってしまったという逸話をもつ。

『Get to know your rabbit』(1972)
人気コメディアンのトム・スマザーズが脱サラしてマジシャンになろうとする男の悲哀を演じた諷刺喜劇。ブライアン・デ・パルマ監督のメジャーデビュー作だが、撮影中はトラブル続きで、1970年に完成していたにもかかわらず2年間もオクラ入りにされたという曰くつきの作品。

『Dealing : or the Berkeley-to-Boston forty-brick lost-bag blues』(1972)
スーツケースいっぱいのマリファナを運ぶため、バークレーからボストンへと旅に出る学生の冒険を描いたカウンターカルチャー世代の青春ドラマ。主演はバーバラ・ハーシーとロバート・F・ライオンズ。新人時代のジョン・リスゴウも出演。原作はマイケル・クライトンと彼の兄弟ダグラスが「マイケル・ダグラス」名義で書いた同名ヒッピー小説。

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『Hit man』(1972)
バーニー・ケイシー扮するタフな主人公が、ポルノ業界に暗躍するギャングに戦いを挑む、ブラックスプロイテーション・ムービーの1本。ヒロインを演じるのはパム・グリア。監督は『マイアミ・ブルース』のジョージ・アーミテージ。

『Slither』(1973)
コーエン兄弟の作風を先取りしていたとも評される、ロードムービー風の犯罪コメディ映画。主演はジェームズ・カーン、サリー・ケラーマン、ピーター・ボイル。監督は『プライベート・ベンジャミン』のハワード・ジーフ。

『キャット・ダンシング』(1973)The man who loved cat dancing
列車強盗団を率いる退役大尉と、その犯行現場に偶然居合わせた女性のラブストーリーを描いた西部劇ロマン。主演はバート・レイノルズとサラ・マイルズ。監督は『バニシング・ポイント』のリチャード・C・サラフィアン。

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『恐怖のレストラン』(1973)Dying room only
アリゾナの砂漠をドライブ中の夫婦が、ふと立ち寄った1軒のレストラン。妻が洗面所へ行った少しの間に、夫は忽然と姿を消していた……。多くの人にトラウマを残したリチャード・マシスン原作・脚本のTVムービー。主演はメル・ブルックス作品や『ラスト・ショー』で知られる個性派女優クロリス・リーチマン。

『電子頭脳人間』(1974)The Terminal Man
マイケル・クライトンのSF小説を『狙撃者』のマイク・ホッジス監督が映画化した異色作。最新鋭の脳外科手術によって暴力衝動をコントロールできなくなった男の悲劇が、クールな演出で淡々と描かれる。エドワード・ホッパーの絵画にインスパイアされた強烈な孤独感、無機質な都会の冷たさが全編を覆い、テレンス・マリックにも絶賛された。音楽はグレン・グールド。詳しい作品解説はこちら

『のぞき魔!バッド・ロナルド/十代の異常な欲望』(1974)Bad Ronald
とある旧家に、三人娘を抱えた家族が越してくるが、しばらくして家の中に奇怪な人影がちらつき始める。それは以前からこの家の隠し部屋に住んでいた精神異常の少年だった……。70年代トラウマ系TVムービーの金字塔。監督は『戦うパンチョ・ビラ』の職人バズ・キューリック。

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『パニック・イン・テキサスタワー』(1975)Deadly Tower
1966年に起きたテキサスタワー無差別狙撃事件を忠実に映像化したTVムービー。元海兵隊員の狙撃犯チャールズ・ホイットマンを演じるのは、ディズニー映画の主人公役として人気を博していたカート・ラッセル。

『ブルー・ファイア』(1977)The possessed
少女の悪魔憑きと人体発火現象をニコイチにしたオカルトTVムービー。主演は『ゾンゲリア』のジェームズ・ファレンティノと『電子頭脳人間』のジョーン・ハケット。ハリソン・フォードがチョイ役で出演。

『バミューダの謎/魔の三角水域に棲む巨大モンスター!』(1978)The Bermuda Depths
トム・コタニこと小谷承靖監督が『極底探険船ポーラーボーラ』に続いてランキン=バス・プロダクションで撮り上げた特撮TVムービー。バミューダ海域に浮かぶ島を舞台に、神秘的な美女や巨大ウミガメが登場するSFファンタジー。主演は『インフェルノ』のリー・マクロスキー。

『民衆の敵』(1978)Enemy of the people
スティーヴ・マックィーンが製作総指揮と主演をつとめ、イプセンの同名戯曲の映画化に挑戦したシリアスドラマ。ノルウェーの田舎町で、廃液汚染を発見したひとりの医師が、企業の陰謀によって逆に“民衆の敵”へと追い込まれていく。アメリカでは「地味すぎる」という理由で劇場公開すらされなかった(日本ではマックィーンの没後、1983年に劇場公開)。

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『ブールバード・ナイト』(1979)Boulvard Nights
イーストL.A.を舞台に、ヒスパニック系の若者たちの日常やギャング間の抗争を描いた青春群像劇。脚本を『アメリカン・ミー』のデズモンド・ナカノが手がけ、監督は『がんばれベアーズ特訓中!』のマイケル・プレスマンが担当。1979年当時のチカーノ文化をそのまま切り取った貴重な映像作品としても、根強い人気を誇っている。

『A Night full of rain』(1979)
イタリア人の男とアメリカ人の女が恋に落ち、やがてふたりの間の「壁」が諍いを生んでいくさまを描いた大人のラブストーリー。監督は『流されて…』のリナ・ウェルトミュラー。主演はジャンカルロ・ジャンニーニとキャンディス・バーゲン。

『ふたりだけの微笑』(1979)Voices
ミュージシャンを目指す青年と、ダンサーに憧れる聾唖の少女が出会い、それぞれの夢にむかって一歩ずつ進んでいく。ニューヨークの下町を舞台にした人情味溢れるラブストーリー。主演はマイケル・オントキーンとエイミー・アーヴィング。脚本は『2 days/トゥー・デイズ』のジョン・ハーツフェルド。

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『Heart beat』(1980)
ビート・ジェネレーションを代表する作家ジャック・ケルアック、その友人ニール・キャサディ、彼の妻キャロリン・キャサディの交流を描いた青春ドラマ。主演はジョン・ハード、ニック・ノルティ、シシー・スペイセク。監督・脚本は『剃刀の刃』のジョン・バイラム。

『Hide in Plain Sight』(1980)
思いがけない理由で家族との絆を断たれてしまった男の姿を描く社会派ドラマ。レスリー・ウォラーの原作をもとに、ジェームズ・カーンが監督・主演をつとめた。元妻が子供たちを連れて失踪し、その足取りを追った主人公は、彼らが「証人保護プログラム」によって犯罪組織から身を隠したことを知る……。

『One trick pony』(1980)
ミュージシャンのポール・サイモンが脚本・主演を手がけた音楽ドラマ。10年間ヒット曲を出していないフォーク歌手が、パンクロックバンドを組んで再出発しようとする物語。ブレア・ブラウン、リップ・トーンらが共演。監督は『ニッキーとジーノ』のロバート・M・ヤング。

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『Carny』(1980)
カーニバルで働く若い男女の三角関係を描いた、少しダークで切ない青春ドラマ。ジョディ・フォスターがセクシーなヒロインを演じ、ゲイリー・ビューシーとロビー・ロバートソンが共演。ロバートソンは原案と製作も担当。

『Gilda Live』(1980)
ジョン・ベルーシやチェビー・チェイスと並んで人気を博した「サタデー・ナイト・ライブ」の女性コメディアン、ギルダ・ラドナーの単独ライブを記録した長編映画。監督はマイク・ニコルズ。

『Under the rainbow』(1981)
チェビー・チェイスとキャリー・フィッシャーが共演した未公開コメディ。第2次大戦前夜、大作『オズの魔法使』に出演するため集められた小人俳優たちが泊まるハリウッドのホテルで、ヨーロッパから来た怪しい旅行客や、マヌケなFBI捜査官らが入り乱れ、てんやわんやの大騒動を巻き起こす。出演者の大半が小人という異色作で、公開当時は大コケした。

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『Death of a centerfold : The Dorothy Stratten story』(1981)
悲劇的な死を遂げたプレイメイト女優ドロシー・ストラットンの生涯を、ジェイミー・リー・カーティス主演で映像化したTVムービー。監督のガブリエル・ボーモントは主にTVドラマ界で活躍し、80年に低予算ホラー『死霊懐胎』を監督した女性ディレクター。

『Urgh! A Music War』(1981)
パンク/ニューウェーヴ系アーティストのライブ映像を収めたイギリス製の音楽ドキュメンタリー。出演はジョーン・ジェット&ザ・ブラック・ハーツ、ザ・ゴーゴーズ、ディーヴォ、ザ・クランプス、ウォール・オブ・ヴードゥー、オインゴ・ボインゴ、ペル・ウブ、XTC、デッド・ケネディーズ、エコー&ザ・バニーメン、クラウス・ノミ、ザ・ポリスなど。

『恋のジーンズ大作戦/巨人の女に手を出すな』(1981)So fine
ひょんなことからファッション業界で働くことになった元大学教授のてんやわんやを描いた、ライアン・オニール主演のコメディ。邦題に「巨人」と入っているぐらいなので、当然リチャード・キールが出演。セクシーなヒロインを演じるのは『フラッシュ・ゴードン』のイタリア人女優、マリアンジェラ・メラート。

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『カリフォルニア・ドールズ』(1981)...All the marbles
女子プロレスの世界を描いた、ロバート・アルドリッチ監督の痛快スポーツアクションドラマ。これは別に正規盤でリリースしてもよさそうなもんだけど……。

『Love & Money』(1982)
二面性を持ったエリート銀行マンにせまる“愛と金”の誘惑を描いた、ジェームズ・トバック監督のサスペンススリラー。レイ・シャーキーが主人公を演じ、当時の恋人オルネラ・ムーティのほか、クラウス・キンスキーやアーマンド・アサンテが脇を固める。

『Love child』(1982)
実話をもとにしたヒューマンドラマ。武装強盗の罪で刑務所に収監されたテリー・ジェーンは、看守の男性と恋に落ち、彼との子どもを出産。彼女は自らの手で子どもを育てるため、州を相手に壮絶な戦いを繰り広げる。『ある戦慄』のラリー・ピアースが監督をつとめ、エイミー・マディガンが主人公を熱演。

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『Special bulletin』(1983)
テロリストが手製の核爆弾を港に仕掛け、米国政府を脅迫。その模様をTVニュースで生中継しているという体で作られた、疑似ライブ型のTVミニシリーズ。監督はのちに映画界へ進出するエドワード・ズウィック。

『俺たちの明日』(1984)Reckless
若き日のエイダン・クインとロリ・シンガーが共演した青春ラブストーリーの秀作。監督は『摩天楼を夢みて』のジェームズ・フォーリーで、脚本は監督デビュー前のクリス・コロンバス。

『メイド・イン・ヘブン』(1987)Made in heaven
アラン・ルドルフ監督のロマンティック・ファンタジー。天国で恋に落ちたふたりが、地上の人間として生まれ変わり、再び巡り会うまでを描く。主演はティモシー・ハットンとケリー・マクギリス。デブラ・ウィンガーが男役に扮し、ニール・ヤングやトム・ペティも特別出演。これも正規盤リリースされてなかったのか……。

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『オーファンズ』(1987)Orphans
荒れ果てた廃屋にひっそりと暮らす孤児の兄弟。そこへ紳士風の立派な身なりをした酔っぱらいの男が迷い込み、兄弟は男を閉じ込めて身代金をせしめようとする……。アラン・J・パクラ監督による舞台劇原作のドラマ(日本ではTV公開のみ)。出演はマシュー・モディーンとアルバート・フィニー。

『Lionheart』(1987)
フランシス・フォード・コッポラ製作、フランクリン・J・シャフナー監督による、中世イングランドを舞台にした冒険スペクタクル。主演はエリック・ストルツ、ガブリエル・バーン。音楽はジェリー・ゴールドスミス。

『潮風とベーコンサンドとヘミングウェイ』(1993)Wrestling Ernest Hemingway
ある夏、海辺の町で出会った老人たちの交流を爽やかに描いた、豪華キャストのヒューマンドラマ。出演はロバート・デュヴァル、リチャード・ハリス、シャーリー・マクレーン、そしてブレイク前のサンドラ・ブロック。監督は『愛は静けさの中に』のランダ・ヘインズ。


そのほか、気になったものをタイトルのみ列挙。こちらもご参考にどうぞ。

『接吻』(1929)The Kiss
『野生の蘭』(1929)Wild Orchids
『店曝らしの天使』(1930)The Shopworn Angel
『暴露戦術』(1930)Paid
「Dogville Shorts」(1930?31)
『The Strange Love of Molly Louvain』(1932)
『人生の高度計』(1933)Christopher Strong
『国境の町』(1935)Bordertown
「Robert Benchley Shorts」(1935?44)
『四人の姉妹』(1938)Four Daughters
『美人は人殺しがお好き』(1938)The Mad Miss Manton
『Fifth Avenue Girl』(1939)
『戦慄のスパイ網』(1939)Confessions of a Nazi Spy
『偉人エーリッヒ博士』(1940)Dr.Ehrich's magic bullet
『人間エヂソン』(1940)Edison The Man
『Out of the fog』(1941)
『いちごブロンド』(1941)The Strawberry Blonde
『大雷雨』(1941)Manpower
『Johnny Eager』(1941)
『I dood it』(1943)
『Broadway rhythm』(1944)
『キスメット』(1950)kismet
『危機の男』(1950)Crisis
『Tall target』(1951)
『血ぬられし欲情』(1952)The Iron Mistress
『This Woman is Dangerous』(1952)
『Give a Girl a Break』(1953)
『A Lion is in the Streets』(1953)
『The Eddie Cantor Story』(1953)
『ボワニー分岐点』(1956)Bhowani junction
『From Hell it Came』(1957)
『悪人の土地』(1958)The Badlanders
『Crime & Punishment USA』(1959)
『ビッグ・サーカス』(1959)Big Circus
『北海の果て』(1960)Ice palace
『Dondi』(1961)
『ギャング紳士録』(1961)The George Raft Story
『奇蹟の天使』(1961)Angel baby
『All Fall Down』(1962)
『ランページ』(1963)Rampage
『シーサイドの男』(1964)My blood runs cold
『ミスタア・パルバー』(1964)Ensign Pulver
『Brainstorm』(1965)
『ザ・スパイ』(1966)The defector
『殺しの逢びき』(1966)An American dream
『今宵かぎりの恋』(1968)Sweet november
『宇宙大征服』(1968)Countdown
『Operation Heartbeat』(1969)
『ツェッペリン』(1970)Zeppelin
『オリンポスの詩』(1970)A dreams of kings
『Earth II』(1971)
『赤い体験/セックス・ジャック』(1972)Cry rape
『SF地球最後の危機』(1972)Genesis II
『大捜査』(1972)They only kill their masters
『続・おもいでの夏』(1973)Class of '44
『Planet earth』(1974)
『さらばハイスクール』(1974)Our Time
『暗黒街の顔役』(1974)Lepke
『フリービーとビーン大乱戦』(1974)Freebie & the Bean
『愛のメダリスト』(1975)Babe
『ドクサベージの大冒険』(1975)Doc Savege The Man of Bronze
『料理長殿、ご用心』(1978)Who's killing the great chefs of Europe?
『Zuma beach』(1978)
『The Fish that Saved Pittsburgh』(1979)
『洞窟探検』(1979)Cave-In!
『危機一髪!恐怖のロープウェイ』(1979)Hanging by a thread
『Fast-walking』(1982)
『Cracking up』(1983)
『私のパパはマフィアの首領〈ドン〉』(1989)Cookie
『Being human』(1993)