Simply Dead

映画の感想文。

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『かいじゅうたちのいるところ』 (2009)

『かいじゅうたちのいるところ』
原題:Where The Wild Things Are(2009)

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 傑作。スパイク・ジョーンズ、そら離婚もされるわ……と思いながら観ていた。だってこれ、本当に子どもの心をそのまま持ち続けている人間にしか撮れない映画だもの。そんな人が円満な家庭生活など成立させられるわけがない(いや、よく知りませんけど)。これまでスパイク・ジョーンズの映画に対して心底感動したことは別にないけれども、これに関してはさすがに凄いと言わざるを得ない。というか「ようやった!」と誉めてあげたい。なんか一部で評判が悪いと聞けばなおさらだ。子どもなんだから、そんなこと言ったら泣いてしまうじゃないか。

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 何より凄いのは「子どもの感性」と「夢の論理」に忠実に沿って、1本の映画を作りきってしまった蛮勇である。覚悟と言ってもいいだろう。そうやって作ると決めた以上、よくできたフィクションや娯楽映画としてスジを通したり、辻褄を合わせたりすることを、頑なに拒否することになるからだ。だから、ストーリーの繋がりがよく分からないとか、キャラクターの行動原理が単純で行き当たりばったりで暴力的すぎるとか、そういったことを本作の欠点としてあげつらうのは意味がない。子どもの思考とはそういうものだし、夢とはそういうものだ、と感覚的に思い出せる人なら十分に腑に落ちる内容であるはずだ。

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 ここで描かれる夢の中の世界は、主人公であるマックス少年の奔放なイマジネーション、ヤマもオチもイミもない破天荒な空想に支配されながら、同時に現実世界のメタファーでいっぱいだ。かいじゅうたちの繊細で脆弱な関係性は、大人以上に人間関係の複雑さ、回りくどさを辛辣に見抜いている。子どもはなんでも知っているのだ。とはいえ、夢はあくまで夢であり、茫洋として何もかも無秩序に混濁した世界の中では、ありきたりで分かりやすい図式化はされない。その曖昧さが、観客に深読みや想像の余地を与え、より味わい深いものにしている。

 甘い甘い「子ども向けの世界」はあくまで大人が作り上げるものだが、「子どもの世界」は違う。もっとやるせなく、思い通りにいかないもどかしさに満ちた、長い長いあがきの道程だ。スパイク・ジョーンズにとって、それはおそろしいほどリアルな世界である。でっかいかいじゅうたちと暴れまわる夢の中の大冒険でさえも、苛烈なリアリズムに満ちている。

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 全編を通して漂うメランコリーと心細さは、幼年期特有の不安定な感情そのもの。大人とはまた違ったネガティヴな感情に包まれていたあの頃の気分を、この映画はびっくりするほど克明に思い出させてくれる。それは、子どもの「悲しみ」を理解する者にしかできない至難の業だ。

 悲しみ。子どもであることの悲しみ。寂しいことの悲しみ。寂しい子どもであることの悲しみ。寂しい子どもの悲しみが痛いほど分かる大人であることの悲しみ……。この映画を作るために、スパイク・ジョーンズが己の全身全霊を懸けて振り絞ったものが、完成したフィルムには見事に焼き付けられていると思う。文字どおり魂をすり減らして臨んだ作品であることは、想像に難くない。

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 とはいえ、この映画は本当に楽しい。マジで、心底、ムッチャクチャ楽しい。着ぐるみとCGを組み合わせたクリーチャーの素晴らしい「名演」は、本作最大の見どころだ。老人のような子どものような、ナイーヴさとペーソスに満ちたかいじゅうたちの表情は、異様であり不気味であり、だけど見ているうちにどんどん愛おしくなってくる。ドシンドシンと森の中を歩き回り、ダイナミックに飛び跳ね、乱暴に着地し、あらゆるものをボガーン! とぶっ壊す。そんな彼らの姿を眺めるうち、思わずワクワクしてきてしまったら、もうこの映画の虜だ。内なる子ども心が目覚めてしまった証拠である。いかにも「自然にさりげなく撮ってます」風な撮り方にイラッとくる部分もあるが、それは作家性なので目をつぶろう。

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 かいじゅうたちはマックスにとっての「大人」や「家族」といった他者、時には「自分自身」のメタファーでもある。だから、声優陣もいわゆるモンスター風に作りこんだ演技はせず、全員がきわめてナチュラルな芝居を貫く。白眉はやはり、マックスの自己投影的キャラクターでもある癇癪持ちの寂しがり屋キャロルを演じた、ジェームズ・ギャンドルフィーニだ。クレジットを見て内心「ええっ!?」と叫んだ人は少なくないだろう。あの『ザ・ソプラノズ』の親父が!? うまい役者だとは思っていたけど、ここまでデキる人だとは……。

 KW役のローレン・アンブローズもいい。自然な声のトーン、優しさに溢れた芝居が胸に沁みる。KWには母親のイメージも重ねられており、つまり彼女の慈愛に満ちたキャラクターは、マックスが母親に対してこんなにも優しく愛情深いイメージを持っているということも表しているわけだ。それだけで泣けてくるし、それを見事に演じきったアンブローズの妙演にも感嘆してしまう。最初は、母親役のキャサリン・キーナーが演じているのかと思った(そう言われても全く違和感がない)。本作ではプロデューサーも兼ねるキーナー姐さんは、もう言うまでもなく最高。『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(1994)でもお馴染み、名女優キャサリン・オハラの参加も嬉しかった。キャロルの親友ダグラスを演じたクリス・クーパーの渋い声も光っている。

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 そして、本作最大の発見と言ってもいい、マックス・レコーズ少年の素晴らしさに触れないわけにはいくまい。夢の世界で超ハイテンションにはしゃぎまくり、ふかふかのかいじゅうたちと幸せいっぱいに戯れる主人公マックス役に、はたして彼以上の逸材がいるだろうか!? というくらい完璧なキャスティング。この子を見つけた時点で、スパイク・ジョーンズは映画の成功を確信したのではないだろうか。

 サントラの趣味の良さも、憎たらしいほど素晴らしい。カーター・バーウェル&カレン・Oによる音楽は、時に底抜けに楽しく、時に愛すべき物悲しさを湛えていて絶品だ。たまたま最近、カレン・Oがヴォーカルをつとめるバンド“Yeah Yeah Yeahs”の「Heads Will Roll」「Zero」があまりにカッコよくて聴き倒していたので、何も知らずに映画を観てびっくりしてしまった(曲のリンク先は youtube)。カレン・Oと子ども合唱団をフィーチャーした歌モノ中心のサントラCDは日本でも発売されているが、カーター・バーウェルのスコア盤がダウンロード配信オンリーなのは勿体ないかぎり。

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 いまだにちょっと癇癪持ちで、そのために自ら人間関係に亀裂を入れてしまうようなところもある人間としては、おれも幸せになれそうもないなあ……と落ち込んでしまうような映画だが、そういった気づきを与えてくれるという点でも、素晴らしい傑作である。

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Blu-ray&DVDセット『かいじゅうたちのいるところ』
原作本『かいじゅうたちのいるところ』 著:モーリス・センダック
CD『かいじゅうたちのいるところ』 オリジナル・サウンドトラック by カレン・O&ザ・キッズ
CD「イッツ・ブリッツ!」 by Yeah Yeah Yeahs

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MP3 Download『かいじゅうたちのいるところ』オリジナル・サウンドトラック・スコア by カーター・バーウェル

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欲しいDVDリスト・国内編[2010.2]

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「TRASH-UP!! Vol.5」の作業も終わったのに、いまだに大泉学園サンセットで香港映画のビデオを借りまくる習慣が止まらない欲しいものリスト・国内編のお時間です。あの店の品揃えは本当に凄まじい……。さて今回は、2月に国内でリリースされる注目タイトルを紹介。新作では、キム・ジウン監督の満州ウエスタン大作『グッド・バッド・ウィアード』が3タイプで発売されるほか、ハリウッド映画『セルラー』を香港でリメイクした快作アクションスリラー『コネクテッド』、ローラ・リニー&フィリップ・シーモア・ホフマン共演の日本未公開ドラマ『マイ・ライフ、マイ・ファミリー』などが登場。旧作では、根強い人気を誇りながら長らくDVD化されずにいた名作群が相次いでDVD化。ヒース・レジャーの出世作となった学園ラブコメの秀作『恋のからさわぎ』、東映まんがまつりの1本として作られた浦山桐郎監督の長編アニメ『龍の子太郎』、ピーター・イエーツ監督による青春映画の不朽の名作『ヤング・ゼネレーション』など、ファン感涙のラインナップ。3月以降も『絞殺魔』『玉割り人ゆき』『怪奇!吸血人間スネーク』といったタイトルが控えています。2月上旬発売予定の「TRASH-UP!! Vol.5」もよろしく! 各商品タイトルのリンク先は、Amazon.co.jp


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●2010.2.3発売
『マイ・ライフ、マイ・ファミリー』(2007)
中年ながら未婚のままの兄妹が、認知症の父親を引き取り、介護することになる。かつて暴力癖で自分たちを苦しめてきた父親の世話に手を焼きながら、ふたりはそれぞれの人生を見つめなおしていく。秀作『Fカップの憂うつ』のタマラ・ジェンキンズが監督・脚本を手がけたヒューマンドラマ。主演はローラ・リニーとフィリップ・シーモア・ホフマン。昨年のアカデミー賞では主演女優賞・脚本賞の2部門でノミネートされた。日本でも劇場公開するって聞いたような気が……。(20世紀フォックス)

『禁じられた抱擁』デジタル・リマスター版(1963)
アルベルト・モラヴィアの小説『倦怠』を、カトリーヌ・スパーク主演、ダミアーノ・ダミアーニ監督で映画化したエロティックドラマ。ボンボンの青年画家が若いモデルの娘に魅了され、情事に溺れていく。ベッドの上に寝たスパークの裸体をリラ札で覆うシーンが有名。同じくスパークが主演した『太陽の下の18才』『狂ったバカンス』(共に1962)も、HDニューマスター版で同時発売。(エスピーオー)

『哀愁のトロイメライ クララ・シューマン物語』(1981)
父親の反対を振り切り、作曲家ロベルト・シューマンとの愛を貫いた天才ピアニスト、クララの葛藤を描いた音楽伝記ドラマ。一途な乙女心を熱演するナスターシャ・キンスキーの美しさが見どころ。ヴァイオリニストのギドン・クレーメルも出演している。再発売。(エスピーオー)


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●2010.2.5発売
『少年は泣かない』(2008)
喧嘩っ早いが義理堅いジョンドゥと、計算高く頭脳明晰なテホ。戦災孤児の収容所で出会った2人の少年は、涙も涸れるほど非情な世の中で、力を合わせて必死に生き抜こうとする……。北方謙三の小説『傷跡』を、戦後日本から朝鮮戦争直後のソウルに舞台を移して映画化した青春ドラマ。『彼女を信じないでください』のぺ・ヒョンジュンが監督をつとめ、若手俳優ソン・チャンウィとイワンが共に映画主演デビューを飾った。(竹書房)

『愛しき日々よ』(1984)
もんたよしのり唯一の主演映画が初DVD化。瀬戸内海の海辺の田舎町を舞台に、火葬場で働く青年の姿を通して、人間の死/生の現場で起こる様々な問題を映しだす。共演は鰐淵晴子、かたせ梨乃、江波杏子、藤原鎌足ほか。本作の保坂延彦監督による、老人問題がテーマの近作『そうかもしれない』(2005)も、3月5日にリリース。(アップリンク)

『四川のうた』(2008)
中国四川省・成都の国営工場「420工場」が、その50年の歴史に幕を下ろすことになった。中華人民共和国の繁栄、そして衰退を象徴する同工場の労働者たちが語る人生模様を通して、歴史のうねりが紐解かれていく。『長江哀歌』のジャ・ジャンクー監督が描く一大叙事詩。特典として、監督インタビューと予告編を収録。(BANDAI)


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●2010.2.10発売
『グッド・バッド・ウィアード』特別版(2008)
ソン・ガンホ、イ・ビョンホン、チョン・ウソンという3大スター俳優を揃え、破天荒かつ大スケールの無国籍ウエスタンを実現させてしまった快作が、早くもDVDとBlu-rayで登場。劇場で観てナンボの作品ではあるけれども、やっぱり活劇シーンの数々はTV画面で観ても燃える(すでに輸入盤で何度も観返しまくった)。作品の感想はこちら。本作のキム・ジウン監督に多大なインスピレーションを与えた、韓国独自のB級映画ジャンル“満州ウエスタン”との関係性については「TRASH-UP!! Vol.4」を参照ください。2枚組の特別版には、インターナショナル版の本編に加え、映像特典としてメイキング集、別エンディング集、来日映像、舞台挨拶の模様などを収録。また、より長尺かつエンディングも異なる韓国公開版ディスクを加えた3枚組のコレクターズ・ボックス(初回限定生産)、それと同内容のBlu-ray版も同時発売。(ワーナーホームビデオ)

●2010.2.17発売
『ヒース・レジャーの 恋のからさわぎ』(1999)
ハリウッドデビュー直後のヒース・レジャーが主演し、全米で大ヒットを記録した学園ラブコメディの秀作が、ついに国内初DVD化。ジュリア・スタイルズ扮する男嫌いのヒロインを、なんとかデートに誘おうとする学園のはみ出し者をワイルドに演じ、多くの女性観客を魅了した。彼が「君の瞳に恋してる(Can’t Take My Eyes Off You)」を熱唱するシーンは忘れられない名場面。スーザン・メイ・プラットの可愛さにも注目。どうせなら、ヒース・レジャーのオーストラリア時代の代表作『トゥー・ハンズ』もDVD化してほしい。(ウォルトディズニー)


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●2010.2.19発売
『コネクテッド』スペシャル・エディション(2008)
ハリウッド映画『セルラー』を香港でリメイクしたアクションスリラーの快作。多少荒っぽいところはあるものの、香港映画の底力を感じさせる過剰なパワーとサービス精神に溢れ、本家越えの満足度を与えてくれる。監督は『香港国際警察/NEW POLICE STORY』のベニー・チャン。『エレクション2』のルイス・クーとニック・チョンが共演し、バービー・スーが不運なヒロインを好演。DVDには特典としてメイキング、未公開シーン、予告編集、ブックレットなどを収録。(ハピネット)

『土俵際のアリア』(2009)
生まれてこのかた、まるで男運に恵まれない姉・幸子。彼女の不幸を長いこと見守り続けてきた弟・ワタル。しかし、そんな姉もついに結婚することになり、ワタルはホッと胸を撫で下ろすのだが……。『天然コケッコー』の山下敦弘監督、栗山千明&森山未來主演という豪華メンバーを揃えた携帯配信用ショートムービー。企画・制作はROBOT。(東宝)


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●2010.2.21発売
『龍の子太郎』(1979)
山の中の小さな村で、おばあさんとふたりきりで暮らしている龍の子太郎。彼は死んだはずの母親が龍の姿になって生きていることを知り、母のいる北の国の湖を目指して旅に出る。童話作家・松谷みよ子の原作を「東映まんがまつり」の1本としてアニメ化した劇場長編。監督は『キューポラのある街』の浦山桐郎。同じく東映まんがまつりで上映された田宮武監督の『魔犬ライナー0011変身せよ!』(1972)と『きかんしゃやえもん D51の大冒険』(1974)、芹川有吾監督の『パンダの大冒険』(1973)も同時発売。全タイトル初DVD化。(東映)

『地獄の天使 紅い爆音』(1977)
殺人を犯して服役し、3年ぶりにシャバへ出てきたヨーコは、かつての恋人・貢を探して横須賀へと辿り着く。ある日、彼女は貢の面影を持つ男を見かけ、あとを追うのだが……。内藤やす子と入鹿裕子が共演した女暴走族アクション。監督は『時の娘』の内藤誠がつとめ、脚本も田中陽造・荒井晴彦と3人で共同執筆。(東映)

『女教師日記 禁じられた性』(1995)
セクシーな美人女教師と、その恋人である男性教師、女教師に想いを寄せる優等生の少年と、教師と肉体関係を持てるか賭けをする女子高生……彼らが織り成す禁断のドラマを赤裸々に描くエロティックVシネマ。日活ロマンポルノの名作を多く手がけた結城良煕がプロデューサーを務め、監督を『リング』シリーズの中田秀夫が担当。出演は大竹一重、沖田浩之、宮下順子ほか。(東映)

『古代少女ドグちゃん』ドキドキパック〈下〉【期間限定版】(2009)
1万年の時を超えて現代に蘇った「土偶の神様」にして美少女妖怪ハンター、ドグちゃんの活躍を描く人気TVドラマシリーズ。DVD-BOX第2弾には、第7話「妖怪ピーオン」から最終話「妖怪まぶたの母(後編)」までの6エピソードを収録。今回も安達祐実や竹中直人など、豪華ゲストが目白押し。シリーズ前半を収録したドキドキパック〈上〉も好評発売中。(キングレコード)

●2010.2.25発売
『女性No.1』(1942)
公私にわたる名パートナーとして知られ、『アダム氏とマダム』や『招かれざる客』といった名作を残したキャサリン・ヘプバーンとスペンサー・トレイシーが、初共演を果たしたソフィティスケーテッド・コメディの名作。大手新聞社に勤める女性コラムニストと男性スポーツ記者が、互いに惹かれ合って結婚するものの、やがて性格の違いから埋めがたい溝ができ始める。製作はジョゼフ・L・マンキーウィッツ、監督はジョージ・スティーヴンス。(ジュネス企画)


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●2010.2.26発売
『ヤング・ゼネレーション』(1979)
自転車レースに懸ける若者たちの姿を瑞々しく描いた青春映画の名作が、ファン待望の初DVD化。新人時代のデニス・クリストファー、デニス・クエイド、ジャッキー・アール・ヘイリー、ダニエル・スターンが主人公の4人組を好演。監督は『マーフィーの戦い』『ホット・ロック』のピーター・イエーツ。メーカーが公募したDVD化リクエスト投票では、堂々の第1位だったとか。TV放映時の吹き替え音声も収録。(20世紀フォックス)

『ジュリア』(1977)
劇作家リリアン・ヘルマンの回顧録をもとに、激動の時代を生きたふたりの女性の壮絶な物語を、名匠フレッド・ジンネマン監督がサスペンスフルに描いた大作ドラマ。ジェーン・フォンダが主人公リリアンを熱演し、ヴァネッサ・レッドグレイヴとジェイスン・ロバーズがそれぞれアカデミー助演賞を獲得。TV放映時の吹き替え音声も収録して初DVD化。(20世紀フォックス)

『見わたすかぎり人生』(2008)
非正規雇用やワーキング・プアといったタイムリーな社会問題を、イタリアの職人監督パオロ・ヴィルツィが軽妙なタッチで描いたコメディドラマ。大学の哲学科を優秀な成績で卒業したマルタは、就職先を探しまわった末、ようやく住み込みのベビーシッターの仕事にありつく。雇い主の紹介で、コールセンターでのパートタイムの職も得るのだが、そこでマルタが目の当たりにしたものとは……?(オンリーハーツ)


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●2010.2.27発売
『忘れられた人々』(1950)
巨匠ルイス・ブニュエルがメキシコ時代に手がけた傑作の1本。メキシコシティのスラム街に生きる人々の荒んだ日常を、ストリートチルドレンの姿を中心に、冷徹な視点で描く。カンヌ国際映画祭で監督賞を獲得し、ブニュエルが再び世界的に注目されるきっかけとなった。(紀伊國屋書店)

『少女ムシェット』(1967)
家庭にも友人にも恵まれず、ひねくれた少女ムシェット。ある嵐の晩、彼女は密猟者に犯され、さらなる深い孤独へと追いつめられる……。ジョルジュ・ベルナノスの小説をもとに、ロベール・ブレッソン監督が薄幸の少女の生を冷徹に見つめた問題作。映像特典として、ジャン=リュック・ゴダール編集のオリジナル予告編を収録。(紀伊國屋書店)

『湖のランスロ』(1974)
ロベール・ブレッソン監督が「アーサー王伝説」を題材に、騎士道精神の終焉を描いた異色史劇。アーサー王と円卓の騎士による聖杯探索が失敗に終わり、最後に帰還した騎士ランスロ(ランスロット)は、王妃グイネヴィアとの不義の恋を終わらせようとする。だが、彼らの関係を利用した陰謀が立ちのぼり、城には破滅の影が……。盛大な血しぶきが上がる合戦シーンは、ほとんどモンティ・パイソンのコント。(紀伊國屋書店)

DVD-BOX 大島渚2
1960?70年代、自身の制作プロダクション「創造社」で次々と問題作・意欲作を放っていた大島渚監督。その絶頂期に撮り上げた4本の作品を集めたファン必携のDVD-BOX。収録タイトルは『ユンボギの日記』(1965)、『新宿泥棒日記』『少年』(共に1969)、『東京戦争戦後秘話』(1970)。(紀伊國屋書店)

『あんにょん由美香』(2009)
日本ロケによる謎の韓国AV『東京の人妻 純子』に、今は亡き女優・林由美香が出演していたことから、ドキュメンタリー作家・松江哲明の真実を求める旅が始まる……。昨年、大きな話題を呼んだ秀作がDVD化。故人の生に迫るドキュメンタリーとしてはやや甘ったるい部分もあるが、韓国映画ファンとしては、かの国の成人映画を取り巻く文化的状況が立ち現れてくる過程がスリリングで面白かった。ちなみに、劇中に登場するユ・ジンソン監督の大ヒット作『売春』とは、『火女'82』の演技派女優ナ・ヨンヒが主演した『ソウル・コンパニオン/肉体の虜』(1992)のこと。(紀伊國屋書店)

『阿賀に生きる』(1992)
58ヵ所もの発電所で埋め尽くされ、水俣病の舞台ともなった新潟県阿賀野川。そこに暮らす人々の生活、阿賀の風土、そして公害の現実を、3年間の取材を通してフィルムに焼きつけた佐藤真監督の長編処女作。その10年後、再び阿賀を訪れた佐藤監督が記憶の痕跡を辿っていく詩的ドキュメンタリー『阿賀の記憶』(2004)も同時発売。(紀伊國屋書店)


<2010年3月以降リリースの注目タイトル>

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●2010.3.3発売
『サンシャイン・クリーニング』(ポニーキャニオン)
『好奇心は猫を殺す』(CCRE)
『美しき諍い女』デジタル・リマスター版(ハピネット)

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●2010.3.5発売
『ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式』(20世紀フォックス)
『96時間』(20世紀フォックス)
『96時間』〈Blu-ray版〉(20世紀フォックス)
『ミスにんじん』(ファインフィルムズ)

●2010.3.17発売
『ジェイン・オースティン 秘められた恋』(ウォルトディズニー)

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●2010.3.19発売
『くもりときどきミートボール』コレクターズ・エディション(ソニーピクチャーズ)
『くもりときどきミートボール』〈Blu-ray&DVDセット〉(ソニーピクチャーズ)

●2010.3.21発売
『XX ダブルエックス 美しき凶器』(東映)
『XX ダブルエックス 美しき狩人』(東映)
『爆発! 暴走族』(東映)
『爆発! 暴走遊戯』(東映)
『暴走の季節』(東映)
『爆発! 750cc族』(東映)
『劔岳 撮影の記 ─標高3000メートル、激闘の873日─』(東映)

●2010.3.24発売
「シティボーイズミックス PRESENTS そこで黄金のキッス」(コロムビアミュージックエンタテインメント)

●2010.3.25発売
『パイレーツ・ロック』(ジェネオン・ユニバーサル)

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●2010.3.26発売
『絞殺魔』(20世紀フォックス)
『ペーパー・チェイス』(20世紀フォックス)
『走れ走れ!救急車』(20世紀フォックス)
『空気人形』豪華版(BANDAI)
『空気人形』通常版(BANDAI)

●2010.3.27発売
アレクサンドル・ソクーロフDVD-BOX3(紀伊國屋書店)
『猫が行方不明』HDニューマスター版(紀伊國屋書店)
『バルタザールどこへ行く』(紀伊國屋書店)
『たぶん悪魔が』(紀伊國屋書店)

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●2010.4.2発売
『エレクション ?死の報復?』(ファインフィルムズ)※レンタル版のみ
『極楽島殺人事件』(ファインフィルムズ)
『インモラル物語』ヘア解禁・ニューマスター版(エスピーオー)
『青い性/処女喪失』ニューマスター版(エスピーオー)
『シビルの部屋』ヘア無修正・ニューマスター版(エスピーオー)

●2010.4.7発売
『怪奇!吸血人間スネーク』(キングレコード)
『ハートに火をつけて/BACK TRACK』スペシャル・エディション(キングレコード)
『ストレート・トゥ・ヘル』スペシャル・エディション(キングレコード)
『プライベイト・スクール』(キングレコード)
『ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ』(ポニーキャニオン)
『ロボゲイシャ』(ポニーキャニオン)

●2010.4.9発売
『人生に乾杯!』(東宝)

●2010.4.21発売
『らしゃめん』(東映)
『玉割り人ゆき』(東映)
『玉割り人ゆき 西の廓夕月楼』(東映)
『尼寺マル秘物語』(東映)
『ふろたき大将』(東映)
『雪夫人絵図』(東映)
『アドベンチャーランドへようこそ』(ウォルトディズニー)

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●2010.4.23発売
『スペル』コレクターズ・エディション(東北新社)
『スペル』〈Blu-ray版〉(東北新社)
『マシンガン・パニック/笑う警官』(20世紀フォックス)
『オスロ国際空港/ダブル・ハイジャック』(20世紀フォックス)
『ゼロの決死圏』(20世紀フォックス)
『REC2』スペシャル・エディション(ハピネット)
『REC2』〈Blu-ray版〉(ハピネット)

●2010.5.12発売
グラインドハウス・ムービーDVD BOX(キングレコード)
『ラストハウス・オン・デッドエンド・ストリート』(キングレコード)
『悪魔の凶暴パニック』(キングレコード)
『悪魔の調教師』(キングレコード)

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●2010.5.21発売
『襲われた幌馬車』(20世紀フォックス)
『さらばベルリンの灯』(20世紀フォックス)
『カンカン』(20世紀フォックス)
『トプカピ』(20世紀フォックス)

近日発売「TRASH-UP!! Vol.5」香港ニューウェーヴ特集について

 来月上旬に発売予定の雑誌「TRASH-UP!! Vol.5」、すでにAmazonでは予約受付中です。メイン特集は「ザ・レジデンツ」「ピーター・アイヴァース」「徹底解剖!『絞殺魔』」「最新作『渇き』公開記念/パク・チャヌク監督インタビュー」、そして「香港ニューウェーヴの過激な世界」。本当に2010年の雑誌なんでしょうか……。ぼくが主に担当したのは『渇き』関連の記事と、香港ニューウェーヴ特集。最近まったくブログ更新できなかったのは、まあ言うまでもなく、これをやってたせいでした。すみません。

 香港ニューウェーヴの記事は、去年観たアン・ホイ監督の『シークレット』(1979)『夜と霧』(2009)が面白かったので、思いつきで言い出した企画です。ニューウェーヴというと社会派とかアート系とか繊細な人間ドラマみたいな印象を持つかもしれませんが、香港ニューウェーヴの場合はむしろ真逆。ホラーや時代劇やバイオレンスなどのB級ジャンルから、常軌を逸した過剰さ・斬新さに溢れた傑作・怪作が次々と生まれた夢のようなムーヴメントであり、つまり完全に「TRASH-UP!!」向きのイカレた作品が目白押しなわけです。最初は2見開きくらいで簡単にやりたいなあ、と思っていたら「もっと膨らまさんかい」という屑山編集長からのお達しがあり、焦って詰め込んでいるうちに恐ろしいことになってしまいました。

 主な内容は「香港ニューウェーヴの流れ」「主要作品紹介1976-1986」「香港ホラー・オルタナティヴ/クァイ・チーホン」「伝説のTVシリーズ『獅子山下』の世界」「パトリック・タムのTV時代」「アン・ホイの原点回帰的傑作『夜と霧』」。そんな感じで結局何ページになったのかよく分からない特集になっております。さすがに1人では書ききれないので、真魚八重子さんや餓鬼だらくさんにも参加してもらいました。ありがとうございます!
(追記:クァイ・チーホンの単体記事はなくなったみたいです。やるって聞いてたんだけどなあ……)

 主要作品紹介では、日本未公開・入手困難なものから近年ソフト化されたものまで、いっしょくたに25本ほど取り上げています。ぼくが担当したのは、香港ニューウェーヴの幕開けを告げたと言われるアクション映画『跳灰』を始め、アン・ホイ『シークレット』『撞到正』、ツイ・ハーク『蝶変』、イム・ホー『夜車』、デニス・ユー『山狗』『凶榜』、パトリック・タム『名剣』『愛殺』『レスリー・チャン/嵐の青春』、ジョニー・トー『碧水寒山奪命金』、ムウ・トンフェイ『打蛇』、ロニー・ユー『復讐の挽歌』、アレックス・チェン『邊縁人』、リンゴ・ラム『アラン・タムの怪談・魔界美女物語』、クリフォード・チョイ『香港ラバーズ/男と女』、ジョニー・マック『省港旗兵/九龍の獅子〈クーロンズ・ソルジャー〉』、フィリップ・チャン『サイレントナイト 平安夜?クリスマス殺人事件?』、イー・トンシン『癲佬正傳』の計19本。先述したように、どこか過剰な部分を持った作品を中心に選んでいます(なので、スタンリー・クワンの『地下情』とかは外しました。秀作だとは思うんですけど、ちゃんとしすぎてるんで……)。この中では特に、アン・ホイの『撞到正』の面白さと、パトリック・タムの『愛殺』の斬新さに度肝を抜かれました。

 香港ニューウェーヴの監督たちは、ほとんどがTV業界出身。彼らがTVディレクター時代に残した仕事については、あんまり詳しい日本語の記事を見かけたことがなかったので、そっちについても少し書いてみました。アレン・フォンとアン・ホイが注目されるきっかけとなったTVシリーズ「獅子山下」は、現在DVD化されている数少ない70年代ドラマのひとつ。そして、映画監督デビュー前はTV界の鬼才として名を馳せていたパトリック・タム監督の作品も、インターネットの動画サイトなどで何本か見つけることができたので、それについても簡単な解説を書きました。昔のことばかり話してても仕方ないので、アン・ホイの最新作にして最高傑作『夜と霧』のレビューも追加。本当はパトリック・タムの復帰作『父子』(2006)の傑作ぶりについても書きたかったんですが、それは別の機会に。

 その他の担当記事、雑誌全体の詳しい内容が分かったら、またここでお伝えしようと思います。お楽しみに!

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