Simply Dead

映画の感想文。

欲しいDVDリスト・国内編[2009.10+α]

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「TRASH-UP!! vol.4」の原稿をようやく書き終えた途端、人生の目標を見失いつつある欲しいものリスト・国内編のお時間です。先月はお休みしてしまいましたが、今回は10月リリースの注目タイトルをピックアップして紹介します(えーと、9月リリース分は前回のリストをご参照ください。ふた月分も解説を書く気力がないもので……)。10月はなんといっても「イジー・メンツェルDVD-BOX」発売という快挙が! 傑作『厳重に監視された列車』をはじめ3作品を収録したベストセレクションで、単品でも発売される12年ぶりの新作長編『英国王給仕人に乾杯!』も掛け値なしの傑作です。そして、ナ・ホンジン監督の骨太な犯罪スリラー『チェイサー』も無修正・豪華仕様のディレクターズ・エディションで登場。インド初の本格クンフーアクション『チャンドニー・チョーク・トゥ・チャイナ』や、香港ノワールの旗手ことイー・トンシン監督の『プロテージ/偽りの絆』『新宿インシデント』といった新作も要チェック。紀伊國屋書店の〈エンタメ・プライス〉シリーズからも、『摩天楼を夢みて』『チャオ・パンタン』など、傑作タイトルの数々が低価格で一挙に再リリース。各商品タイトルのリンク先は、Amazon.co.jp


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●2009.10.2発売
『チェイサー』ディレクターズ・エディション【初回限定生産2枚組】(2008)
ナ・ホンジン監督の長編デビュー作にして、韓国で500万人を動員する大ヒットを記録した傑作スリラーが、日本盤オリジナル特典も含んだ豪華版でリリース。作品のレビューはこちら。本編は劇場公開時にかけられていた修正を元に戻したディレクターズ・エディション。特典ディスクには、監督・出演者による音声解説、メイキング、キャラクター解説、未公開シーン、プロモーション映像集、監督の来日時インタビュー、ナ・ホンジン監督の短編『汗』(2007)などを収録。(角川エンタテインメント)

『純情漫画』(2008)
韓国の人気WEBコミックを『春になれば』のリュ・ジャンハ監督で映像化した恋愛映画の佳作。2組の年の離れた男女の恋模様を、時にコミカルに、時にシリアスに、温かい眼差しで描く。ユ・ジテとイ・ヨニ、チェ・ジョンアンとカンインが、それぞれ年の差カップルを好演。キム・ギヨン監督の『火女'82』などで知られる個性派女優ナ・ヨンヒが、イ・ヨニ扮する女子高生の母親役で久々にスクリーンに復帰しているのも見どころ。(ファインフィルムズ)

『愛という名のもとに(雙城故事)』(1991)
幼馴染みのアランとエリックは十数年後に偶然再会し、一緒に生活を始める。そんなある日、エリックは町で知り合ったオリーブにひと目惚れし……。『ラヴソング』『ウォーロード 男たちの誓い』などを手がける香港のヒットメイカー、ピーター・チャン監督の長編デビュー作。主演はマギー・チャン、アラン・タム、そして本作で香港電影金像奨の最優秀主演男優賞を獲得したエリック・ツァン。(アートポート)

『ECHO エコー』(2006)
シャルロットは何者かに母親を殺され、殺害現場となった実家に帰ってくる。悲嘆に暮れる彼女は、ある時、不可思議な音を耳にする。それは紛れもなく“母が生きていた時の音”だった……。「音の記憶」を頼りに殺人事件の真実へと迫っていくヒロインの姿を描いた、斬新なフレンチスリラー。主演は『ロゼッタ』『ジェヴォーダンの獣』のエミリー・デュケンヌ。(CCRE)

「ロシア革命アニメーション」コンプリートDVD-BOX
旧ソヴィエト連邦の共産主義プロパガンダを目的として作られた短編アニメーション36作品と、解説ドキュメンタリーを加えた4枚組DVD-BOX。『ファシストの軍靴に祖国を踏ませるな』『狼に気をつけろ』『前進せよ、今がその時だ』など、タイトルを聞くだけでもテンションが上がるような作品が目白押し。ポップでアヴァンギャルド、先鋭的なセンスと過剰なアジテーションに彩られた映像世界に打ちのめされること請け合いの400分。(竹書房)


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●2009.10.7発売
『ファンハウス 惨劇の館』(1981)
カーニバルへ出かけた若者たちが、真夜中のお化け屋敷で恐ろしい殺人鬼に出会う、怪奇ムード溢れるスラッシャーホラー。監督は『悪魔のいけにえ』でホラー映画史を塗り替えた鬼才トビー・フーパー。ヒロインのエイミーを演じるのは『アマデウス』でモーツァルトの妻を演じたエリザベス・ベリッジ。リック・ベイカーが特殊メイクを手がけた殺人鬼の風貌も見もの。貴重な日本語吹き替え音声を収録し、ファン待望の国内初DVD化。(キングレコード)

『ハワード・ザ・ダック 暗黒魔王の陰謀』コレクターズ・エディション(1986)
ひょんなことから地球にやってきたアヒル型異星人の活躍を描いた、コミック原作のSFアドベンチャーが初DVD化。ジョージ・ルーカスが製作総指揮を務め、公開当時は「世紀の大失敗作」といわれた。ティム・ロビンスの出世作でもある。2枚組のコレクターズ・エディションには、本編のほかにスタッフ・キャストが当時を振り返るインタビュー映像、貴重なアーカイブ映像などを特典として収録。さらに公開時のパンフレットやチラシの縮刷版、リーフレットなども封入。本編ディスクのみのスタンダード・エディションも同時発売。(キングレコード)

『ザ・バンク 堕ちた巨像』コレクターズ・エディション(2009)
世界経済を意のままに操る巨大銀行の犯罪を追うインターポール捜査官の闘いを、トム・ティクヴァ監督がスタイリッシュな映像で描いたアクションスリラーの快作。孤独な主人公サリンジャーを演じるクライヴ・オーウェンがハマリ役。物語的なリアリティを一気に破壊しながら、強烈な映画的魅力を放つグッゲンハイム美術館での大銃撃戦はアクション映画ファン必見。レビューはこちらBlu-ray版も同時発売。(ソニーピクチャーズ)


●2009.10.9発売
『40男のバージンロード』スペシャル・エディション(2009)
理想の女性にプロポーズをOKされ有頂天のピーターは、自分には男友達がいないことに気付く。結婚式の介添え役を務める「親友」を探し始めた彼は、シドニーという男と出会い、異常に意気投合するが……。 『ノックト・アップ』のポール・ラッドと『寝とられ男のラブ・バカンス』のジェイソン・シーゲルが共演した大ヒットコメディ。監督は『ミート・ザ・ペアレンツ』シリーズの脚本家、ジョン・ハンバーグ。DVDには特典として監督・出演者の音声解説、メイキング、未公開シーンなどを収録。(角川エンタテインメント)

『バイオレンス・レイク』(2009)
美しい湖畔のリゾートを訪れた恋人たちの前に、突如現れたティーンの集団。彼らの傍若無人な振る舞いは、やがて恐ろしい人間狩りへと発展していく……。隔絶された自然の中で繰り広げられる極限の恐怖を描いた英国製サスペンスホラー。主演は『ミス・ヘンダーソンの贈り物』の美人女優ケリー・ライリー。(ニューセレクト)

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●2009.10.21発売
『チャンドニー・チョーク・トゥ・チャイナ』(2008)
ムンバイの下町チャンドニー・チョークに暮らす主人公シドゥは、冴えない生活から抜け出すためなら何でも信じてしまう男。ある日、彼の前に謎の中国人たちが現れ、「あなたは我が国の英雄の生まれ変わりだ」と告げる。それを真に受けたシドゥは喜び勇んで中国に向かうが、彼を待ち受けていたのは極悪ギャングとの対決という想定外の試練であった……。ボリウッド映画初の本格クンフー・アドベンチャー・コメディ。主演はインドのトップアクションスター、アクシャイ・クマール。ヒロインを演じるスーパーモデル出身の“踊る彫刻”ことディーピカー・パードゥコーンの美貌も見もの。(ワーナーホームビデオ)

『ミルク』(2008)
70年代のアメリカで自ら同性愛者であることを公表し、マイノリティの社会的地位向上に務めた実在の活動家、ハーヴェイ・ミルク。その波乱に満ちた生涯を感動的に描いた、ガス・ヴァン・サント監督入魂の伝記映画。主人公ミルクを本物そっくりに熱演したショーン・ペンは、アカデミー賞の最優秀主演男優賞を獲得した。DVDには未公開シーン、メイキングなどを収録。(ポニーキャニオン)

『ざくろの色』プレミアム・エディション(1971)
旧ソ連の巨匠、セルゲイ・パラジャーノフ監督の最高傑作がデジタルリマスター版で登場。18世紀アルメニアの詩人サヤト・ノヴァの生涯にオマージュを捧げた、驚異的な美しさに満ち溢れた至高の映像詩。色褪せぬ魔力を湛える映画本編に加え、計190分に及ぶドキュメンタリー、検閲でカットされた『ざくろの色』未公開シーンを復活させた貴重な映像資料集なども収録した、3枚組のプレミアム・エディション。(コロムビアミュージックエンタテインメント)

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●2009.10.23発売
『新宿インシデント』(2008)
中国東北部の小さな村で暮らしていた鉄頭は、東京に行ったまま音信不通となった恋人を探しに、日本へ密入国。だが、彼女は日本人ヤクザの妻となっていた。衝撃を受けた鉄頭はひょんなことからヤクザ社会に足を踏み入れ、暗黒街の住人となっていく……。 ジャッキー・チェンが香港ノワールの名匠イー・トンシンと組み、今までのイメージを一新するバイオレンスアクションに挑戦した意欲作。共演は竹中直人、ダニエル・ウー、シュー・ジンレイ、加藤雅也。Blu-ray版も同時発売。(ジェネオンユニバーサル)

『プロテージ/偽りの絆』(2007)
香港の麻薬市場を牛耳る大物クァンは、家族にこれ以上の苦労はかけまいと、信頼する右腕ニックを後継者に育て上げようとしていた。が、ニックの正体は潜入捜査官だったのだ……。イー・トンシン監督が現代社会に蔓延する麻薬問題をテーマに描く、ヘヴィーで骨太なノワールドラマの傑作。原題は『門徒』。アンディ・ラウが麻薬ディーラーの大物を、ダニエル・ウーが悩める潜入捜査官をそれぞれ熱演。製作は『ウォーロード 男たちの誓い』のピーター・チャン。(ハピネット)

『路上のソリスト』(2009)
L.A.タイムズの人気コラムニストが、路上で生活する天才チェロ奏者と出会い、彼を取材対象として追ううちに友情を育んでいく。だが、親密になればなるほど、乗り越えられない「心の壁」が明らかになっていくのだった……。有名コラムニストのスティーヴ・ロペスが書いた実話を映画化した佳作。今一歩、突き抜けないところもあるが、ロバート・ダウニーJr.とジェイミー・フォックスの好演で救われている。実際にダウンタウンでロケ撮影を敢行し、L.A.の荒んだ一面を切り取った映像が鮮烈。(ジェネオンユニバーサル)

『スラムドッグ$ミリオネア』(2008)
ムンバイのスラム街で育った少年ジャマールは、人気番組「クイズ$ミリオネア」で次々と正解を成し遂げ、ついにあと1問で全問正解というところまで辿り着く。なぜ彼は全ての答えを知り得たのか? その秘密は、彼の波乱に富んだ人生にあった……。アカデミー賞最多8部門を受賞した、ダニー・ボイル監督の快作。リアルな社会派テーマとご都合主義的な大河ドラマをブレンドさせ、疾走感に満ちた語り口で描ききった力技が見事。終盤の展開の弱さ、詰めの甘さはいかがなものかと思うが、やっぱり魅力的な作品だと思う。キャストの存在感によるところも大きい。Blu-ray版も同時リリース。(メディアファクトリー)

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『黒い画集 第二話 寒流』(1961)
松本清張の原作をスリラーの名手・鈴木英夫監督が映画化した、シャープでヘヴィーな会社員ノワール。美しい料亭の女将との不倫をきっかけに、左遷の憂き目に遭ってしまった銀行員(池部良)のとった行動とは……。作品の感想文はこちら。なお、同じく松本清張原作の『黒い画集 あるサラリーマンの証言』『黒い画集 ある遭難』『けものみち』『愛のきずな』も単品初リリース。(東宝)

『1959某日某』(1996)
若き日のブルース・リーは、渡米前夜に何を考え、何を感じていたのか……。香港でも有名なブルース・リー信奉者のスティーブン・アウが、監督・脚本・主演をつとめたトリビュート・フィルム。1959年のある1日のドラマを通して、サンフランシスコへ旅立つ直前の李小龍(当時18歳)の心情に迫る。本編57分に加え、監督インタビュー、本作のミュージカル版「細鳳」ハイライトなど、特典55分を収録。(日本メディアサプライ)

『ノーバディーズ・フール』(1994)
雪に閉ざされた小さな町に暮らす初老の男サリーは、誰にも心を開かない頑固者。しかし、孫のウィルとの交流をきっかけに、頑なだったサリーの心に変化が訪れ始める……。意固地な子供のように年老いてしまった男を、名優ポール・ニューマンが味わい深く演じるヒューマンドラマの秀作。監督は『トワイライト/葬られた過去』でもニューマンと組んだロバート・ベントン。共演はブルース・ウィリス、ジェシカ・タンディ、メラニー・グリフィスほか。(ビクターエンタテインメント)


●2009.10.26発売
『青い戦慄』(1946)
妖艶なノワール女優ヴェロニカ・レイクと、『シェーン』のアラン・ラッドが共演した犯罪ミステリー。妻殺しの嫌疑をかけられた男が、疑惑を晴らすため自ら調査を開始する。脚本を手がけたのは『長いお別れ』などで知られる作家レイモンド・チャンドラー。原題は「Blue Dahlia(青いダリア)」。1947年にL.A.で惨殺死体となって発見された“世界一有名な死美人”ことエリザベス・ショートは、生前この映画のタイトルをもじって「ブラック・ダリア」と呼ばれていた、という逸話はあまりにも有名。(ジュネス企画)

『セールスマンの死』(1951)
ピューリッツァー賞を受賞したアーサー・ミラーによる戯曲を、フレデリック・マーチ主演で映画化したヒューマンドラマ。かつて敏腕セールスマンだった男とその家族の姿を通し、戦後アメリカ社会の暗部を描く。製作は社会派の名匠スタンリー・クレイマー、監督は『乱暴者』のラズロ・ベネディク。(ジュネス企画)


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●2009.10.28発売
Memories of 市川準 DVD-BOX
昨年9月に急逝した市川準監督の手がけた5本の映画と、監督自身のインタビューも織り交ぜて構成したドキュメンタリー、計60本に及ぶCM集、監督の手記などを掲載したブックレットを収録したメモリアルDVD-BOX。収録作品は『BU・SU』『会社物語』『つぐみ』『東京夜曲』『buy a suit/スーツを買う』。いずれも初DVD化。(松竹)

『トキワ荘の青春』(1996)
藤子不二雄、石森章太郎、赤塚不二夫……東京の片隅にあるアパートで、手塚治虫に憧れる漫画家志望の若者たちが、貧しいながらも情熱に溢れた共同生活を送っていた。誰もが知る「トキワ荘」の物語を、市川準監督が優しさと痛みを込めて描いた青春群像ドラマの秀作。ファン待望の初DVD化。寺田ヒロオ役の本木雅弘を始め、大森嘉之、阿部サダヲ、生瀬勝久、古田新太、鈴木卓爾、松梨智子、きたろうなど、絶妙なキャスティングも見どころ。特典として43分のドキュメンタリー「トキワ荘の青春 映画日記」を収録。(VAP)

『裸の女神(Nina's Tragedies)』(2003)
イスラエルで大ヒットし、アカデミー外国語映画賞にもノミネートされた艶笑喜劇タッチの人間ドラマ。ひとりの少年の目を通して、若く美しい未亡人の愛と葛藤を描く、ちょっと『未亡人ドナ・フロールの理想的再婚生活』を思わせる魅力的な作品。レビューはこちら。ヒロイン役のアイェレット・ゾラーは本作での熱演で注目され、『ミュンヘン』の主人公の妻役に抜擢された。(タキコーポレーション)


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●2009.10.31発売
イジー・メンツェルDVD-BOX
60年代にチェコ・ヌーヴェルヴァーグの旗手として世界に認められながら、体制の圧力によって表現の自由を奪われ、それでも祖国に留まって映画を撮るチャンスを待ち続けた不屈の作家イジィ・メンツェル。彼のキャリアを代表する傑作『厳重に監視された列車』『スィート・スィート・ビレッジ』『英国王給仕人に乾杯!』の3タイトルを収録したDVD-BOXがついにリリース! 『厳重に監視された列車』の傑作ぶりに打たれたファンとしては、今回の初ソフト化は本当に嬉しい(作品の感想文はこちら)。また、12年ぶりの新作長編となった『英国王給仕人に乾杯!』(2008)の単品も同時発売。ひとりの給仕人の目を通して、戦争によって全体主義に染まっていくチェコの現代史を描き、相変わらず優雅な皮肉とエロティシズム、飄々としたユーモアが溢れる傑作に仕上げている。(紀伊國屋書店)

『スサーナ』(1950)
刑務所を脱獄した若く美しい女・スサーナは、裕福な農場主の家に辿り着き、そこに住み着くようになる。やがて彼女はその家の主人、若き息子、使用人の3人を次々と誘惑し……。ひとりの悪女に翻弄される一家の転落と再生を描いた艶笑喜劇風ドラマ。オーソドックスな語り口のなかに、ルイス・ブニュエル監督らしいブラック・ユーモアとアナーキズムが滲む。(紀伊國屋書店)

『昇天峠』(1951)
病に臥した母親の頼みで遺言状を作るため、バスで町に向かった若者オリヴェイオ。ところが道中はトラブル続き。同乗した妊婦が産気づくは、バスは川にハマるは、人妻に誘惑されるは……。次々に起こる珍妙な騒動と、悪夢的な幻想シーンが入り乱れる、ルイス・ブニュエル監督のメキシコ時代を代表する1本。カンヌ映画祭国際批評家連盟賞受賞。(紀伊國屋書店)

『さよなら子供たち』HDニューマスター版(1987)
1944年1月、ジュリアンの通う学校にジャンという転入生がやってくる。ジャンはなかなか級友たちと馴染もうとしなかったが、読書という同じ趣味を持つジュリアンには次第に心を開いていく。そんなある時、ふとした好奇心からジャンのロッカーを盗み見たジュリアンは、彼の秘密を知ってしまう……。ナチス占領下のフランスで子供時代を過ごしたルイ・マル監督が、子供たちの目を通して戦争の残酷さを描いた自伝的作品。(紀伊國屋書店)

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『摩天楼を夢みて』プレミアム・エディション(1992)
デイヴィッド・マメットの傑作舞台劇『グレンギャリー・グレン・ロス』を、ジャック・レモン、アル・パチーノら豪華キャストで映画化したヘヴィーな群像劇。メイキングやインタビューなど特典を満載したプレミアム・エディションが、〈エンタメ・プライス〉シリーズとして待望の低価格再発売。その他、クロード・ベリ監督のフィルムノワール『チャオ・パンタン』、三島由紀夫原作のイギリス映画『午後の曳航』、イタリアの名匠プピ・アヴァティが不遇のジャズマンの生涯に迫った伝記映画『ジャズ・ミー・ブルース』、ルイ・マル監督のセンセーショナルな官能ドラマ『ダメージ』も定価3000円の廉価版で同時発売。(紀伊國屋書店)

『サスペリア』プレミアム・エディション(1977)
イタリアンホラーの新時代を告げたダリオ・アルジェント監督の代表作が、低価格で再リリース。THXデジタルリマスター処理を施したスクィーズ収録の高画質に加え、音声も5.1chEX、DTS-ES6.1chの大迫力サウンドで楽しめる。さらに、その前作にしてファンの間では最高傑作ともいわれるジャッロ『サスペリアPART2/紅い深淵』完全版+公開版も同時発売。また、同じく〈エンタメ・プライス〉シリーズとして、ハーラン・エリスン原作の新世界秩序サバイバルSF『少年と犬』、クリストファー・リーとピーター・カッシングが共演した珍品SF怪奇映画『ホラー・エクスプレス/ゾンビ特急“地獄”行』、オージーホラーのポテンシャルを世界に示したリチャード・フランクリン監督の出世作『パトリック』、『サスペリアPART2』の俳優デイヴィッド・ヘミングスが監督を務めたジェームズ・ハーバート原作のスリラー『ジャンボ墜落/ザ・サバイバー』、エイベル・フェラーラ監督の哲学的バンパイアホラー『アディクション 吸血の宴』、レゲエの神様ボブ・マーリィが企画したラスタコメディ『カントリーマン』も定価2400円で再登場。(紀伊國屋書店)※低価格再発売


<2009年11月以降リリースの注目タイトル>

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●2009.11.3発売
『ナチュラル・ボーン・キラーズ《ディレクターズ・カット》』スペシャル・エディション(ワーナーホームビデオ)
『ナチュラル・ボーン・キラーズ《ディレクターズ・カット》』〈Blu-ray版〉

●2009.11.4発売
『1942奇談』(CCRE)
『幸福』〈ハイブリッド版Blu-ray〉【初回限定】(ポニーキャニオン)※DVDプレイヤーでも再生可
『レイチェルの結婚』コレクターズ・エディション(ソニー・ピクチャーズ)
『レイチェルの結婚』〈Blu-ray版〉(ソニー・ピクチャーズ)
『それぞれの空に』(ソニー・ピクチャーズ)

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●2009.11.6発売
『少林寺への道』(キングレコード)
『バッド・バイオロジー 狂った♂♀(ヤツら)ども』(キングレコード)
『懺悔』(アップリンク)
『私がクマにキレた理由』特別編(20世紀フォックス)
『スリ ─文雀─』(ファインフィルムズ)※レンタル版のみ

●2009.11.13発売
『食客』(日活)

●2009.11.18発売
『プライド&グローリー』(ワーナーホームビデオ)
『プライド&グローリー』〈[Blu-ray〉(ワーナーホームビデオ)
『幸せのセラピー』(ワーナーホームビデオ)

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●2009.11.20発売
ジョン・カサヴェテス生誕80周年記念DVD-BOX HDリマスター版(ハピネット)
『こわれゆく女』HDリマスター版(ハピネット)
『フェイシズ』HDリマスター版(ハピネット)
『チャイニーズ・ブッキーを殺した男《オリジナル完全版》』HDリマスター版(ハピネット)
『オープニング・ナイト』HDリマスター版(ハピネット)
『アメリカの影』HDリマスター版(ハピネット)
『扉をたたく人』(東宝)
『3時10分、決断のとき』(ジェネオンユニバーサル)
『3時10分、決断のとき』〈Blu-ray〉(ジェネオンユニバーサル)

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●2009.11.27発売
『ファイト・クラブ』〈Blu-ray〉(20世紀フォックス)
『ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢』(ウォルトディズニー)
『ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢』〈Blu-ray〉(ウォルトディズニー)
『私は私を破壊する権利がある』(グラッソ)
『イザベラ』(エスピーオー)
『ゾンゲリア』(ビクターエンタテインメント)※低価格再発売
『187』(ビクターエンタテインメント)※低価格再発売

●2009.11.28発売
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーBOX5(紀伊国屋書店)
『ミネソタ大強盗団』(紀伊国屋書店)
『夏時間の庭』(紀伊国屋書店)
『カラスの飼育』HDニューマスター版(紀伊国屋書店)
『アルチバルド・デ・ラ・クルスの犯罪的人生』(紀伊国屋書店)

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●2009.12.2発売
『大反撃』(ソニーピクチャーズ)
『紀元1年がこんなんだったら!?』コレクターズ・エディション(ソニーピクチャーズ)
『セックスと嘘とラスベガス』(ソニーピクチャーズ)
『空飛ぶモンティ・パイソン』40thアニバーサリーBOX(ソニーピクチャーズ)
『リッピング・ヤーン』ザ・コンプリート・シーズン(ソニーピクチャーズ)
『失われた肌』(アットエンタテインメント)

●2009.12.16発売
『パルプ・フィクション』(ウォルトディズニー)※低価格再発売

●2009.12.18発売
『13歳の夏に僕は生まれた』(東宝)

●2009.12.22発売
『ファイアボール』ウィンター・パッケージ【完全受注生産】(ウォルトディズニー)
『アルフ〈セカンド・シーズン〉』コレクターズ・ボックス(ワーナーブラザーズ)


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『グッド・バッド・ウィアード』(2008)

『グッド・バッド・ウィアード』
原題:좋은 놈, 나쁜 놈, 이상한 놈(2008)
英語題: The Good, The Bad, The Weird

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 四の五の言わずに今すぐ劇場に走れ! と言いたくなる無国籍アクション活劇の大傑作。近年これほどスクリーン映えする映画は他になかったのではないだろうか(強いて言うなら『ダークナイト』ぐらいか)。その画面が持つ奥行きと広がりは比類なく、はっきり言ってテレビやパソコンの画面で観ても「そんなの観たことにならねえよ」と断言できる痛快作である。いまや劇場館数や上映回数もグッと減りつつあるらしいが、このチャンスを逃してしまうほど勿体無いことはない。とにかくできるだけスクリーンサイズが大きく、なるべく音響設備のいい劇場で、絶対に前の方に座って観てほしい。以上!

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 とまあ、そのくらいのことしか本当は言いたくないのだけど、それでもまだ腰が重い人のためにもう少しだけ書く。本作の原題の直訳は「いい奴、悪い奴、変な奴」。これはもちろん、セルジオ・レオーネ監督の傑作マカロニウエスタン『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』(1966)の原題「Il Buono, Il Brutto, Il Cattivo(いい奴、悪い奴、醜い奴)」をもじったものだ。そして『グッド・バッド・ウィアード』は韓国ジャンル映画史の忘れられた1ページ「満州ウエスタン」をかつてない大スケールで復活させようという大胆な試みでもある。映画的快感にこだわりぬいたアクション演出、日本映画では到底実現できない規模の画面作り、ひたすら単純明快かつ荒唐無稽なB級エンタテインメント精神に貫かれたストーリーテリングによって。本作はまさに世界中のジャンル映画ファンのために作られたような映画なのだ。それならぼくらも劇場のシートで出迎えるのが礼儀というものだろう。

 「宝の地図」という今時ありえないくらい単純なマクガフィンをめぐり、丁々発止の駆け引きと凄絶なバトルを繰り広げる3人の無法者を演じるのは、現在の韓国映画界を代表するスター男優たち。チョン・ウソン=良い奴、イ・ビョンホン=悪い奴、ソン・ガンホ=変な奴という、これ以上になくピッタリの配役だ。

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 3人の中で特に強烈なインパクトをもたらすのが、悪党一味の親玉パク・チャンイ役を演じたイ・ビョンホン。ギラギラした狂気とカリスマ性を全身から放ち、ほとんどマンガのようにデフォルメされた「悪い奴」ぶりは、もはや滑稽なまでにカッコいい。前々からインタビュー映像などで素の姿を見かけるたびに「ホントはちょっと変な人なんじゃないか……?」と思っていたが、本作ではそんな彼のオフビートな個性が初めて(いい意味で)全面開花した感がある。もちろん、鍛えあげられた肉体を駆使したアクションのキレも素晴らしい。過去に出演したどの作品よりも、『グッド・バッド・ウィアード』のイ・ビョンホンはタガが外れていて魅力的だ。

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 小悪党ユン・テグ役の名優ソン・ガンホも、抜け目ないのか間抜けなのか、それとも恐るべき男なのか掴みどころのない「変な奴」をすっとぼけた味で瓢々と演じ、十八番的な役柄を心底楽しんでいる様子。本作では円熟の域に達した映画スターとしての風格と、アナーキーな魅力を同時に発散していて快い。クライマックスで見せる「凄み」も説得力十分だ。

 そして、『続・夕陽のガンマン』ではクリント・イーストウッドが演じた「いい奴」役という、プレッシャーを背負わざるを得ない大役を任された賞金稼ぎパク・トウォン役のチョン・ウソンは、個性的なふたりに囲まれて少々分が悪いと思われたが、なかなかどうして鮮烈な印象を刻みつける。3人の中では最も長身でスリムなモデル体型なので、ひとつひとつの立ち姿やアクションが異常なまでにキマるのだ。疾駆する馬に乗りながらライフルを回転撃ちする姿、セルジオ・レオーネ監督の『ウエスタン』(1969)そのまんまの格好でラストの決闘に臨む姿は、鼻血が出るほどクール。抑えた芝居も堂々たるもので、「いい奴」の座にふさわしい存在感を示してくれる。

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 役者の面構えだけでも十二分に楽しめる『グッド・バッド・ウィアード』だが、真の見どころはなんといってもアクションに次ぐアクション。西部劇では定番の列車襲撃に始まり、巨大な市場での銃撃戦、大平原を舞台にギャングと馬賊と日本軍が入り乱れる追跡劇、そしてクライマックスの決闘と、強烈な映画的快感を誘発する場面がてんこ盛りだ。キム・ジウン監督は前作『甘い人生』(2005)で実はアクション演出の才能にも秀でていることを示したが、本作ではよりダイナミックかつ意欲的な見せ場作りを成功させている。大がかりなセットや本物の蒸気機関車などを使った「実物大の迫力」と、デジタル合成やCGを駆使した「最新鋭のトリック撮影」を非常にうまく組み合わせ、豪快かつスタイリッシュな超絶アクションを展開させる。それを追いかけるトリッキーなカメラワークの躍動感も特筆ものだ。撮影を手がけたのは『箪笥』(2005)でキム・ジウンと組んだイ・モゲ。

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 中でも白眉は映画の中盤、主人公3人が初めて一堂に会する雨の市場での大銃撃戦。無国籍ムードたっぷりのセットで繰り広げられる、破天荒なアイディアに満ちたアクションの数々が素晴らしい。ワイヤーを使ったアクロバティックなスタントは、ツイ・ハーク監督の傑作『ドリフト』(2000)にも通じる興奮と快感を覚える。メイキング映像を見ると、カメラオペレーターもワイヤーを装着して空中を飛び回ったりしていて、度肝を抜かれた。

 なお、この映画で武術監督を務めたチ・ジュンヒョンは、中国での撮影中に不慮の交通事故で亡くなり、現場は同僚のチョン・ドゥホンらによって引き継がれた。その出来事はドキュメンタリー映画『俺たちはアクション俳優だ』(2008)にも描かれている。『グッド・バッド・ウィアード』が大韓民国映画大賞の視覚効果賞を受賞した時、チョン・ドゥホンは壇上で「苦労や怪我を重ねながら陰で映画を支え続ける韓国のスタント俳優は、私が敬愛する最も誇らしい人たちだ」と賛辞を捧げた。本作にはそんなスタント野郎たちの熱い心意気が隅々まで息づいている。

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 もうひとつ素晴らしいのが、音楽。ロックバンド「シナウィ」のメンバーでもあるダルパランが手がけたサウンドトラックは、ドメスティックな洗練ともいうべきレベルに到達している逸品だ。韓国的なイナタい垢抜けなさを感じさせるユーモラスな音色を全編に鳴り響かせ、時にクラブミュージックのビートで観客の耳を快くキックしながら、男だらけのB級活劇らしいバワフルな泥臭さと放埓さを失わない。単なる西部劇のオマージュや、見当違いなイマ風アクションスコアとは一線を画した、本作の性格付けに大いに貢献している名スコアだと思う。

 とはいえ、欠点がないわけではない。映像とアクションと役者の演技は最高だが、ストーリーはあってなきがごとし。監督自身も認めているが、とにかく見せ場作りを優先させて話はあとから付け足したような作り方をしたらしいので、観賞態度としてはただひたすらその場その場の楽しさに身を委ねるのが正しい。何せアクションが始まると常に三つ巴、四つ巴の大乱戦が展開していくのだから、マトモに物語を構築していく方が狂気の沙汰だとも言える(さすがに『甘い人生』みたいに夢オチで終わったりはしないのでご安心を)。

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 ちなみに日本公開版は129分。オリジナルの韓国公開版より10分ほど短いインターナショナル・バージョンをもとにしている。オム・ジウォン扮する独立軍の女性闘士は韓国公開版にしか登場せず、密使役のオ・ダルスは日本公開版では出ていることにも気付かないだろう(分かった人はえらい)。エピローグも韓国公開版の方がたっぷりしていて、現在日本の公式サイトで特別公開されている別エンディングよりもさらに長い。ただし、監督自身は「韓国公開版のエンディングは、あくまで韓国の観客向けに用意したもの。個人的な好みとしてはカンヌで上映したバージョン(インターナショナル版)の方が気に入っている」と語っている。また、映画の後半でソン・ガンホがダイナマイトを使って日本軍の追跡を振り切るシーンは、韓国公開版にはなくインターナショナル版にしか存在しなかったりするので、ちょっとややこしい。それと原版でちょっとイントネーションが怪しかった日本語の台詞を、日本公開版ではちゃんと吹き替えし直しているところは、気が利いているなと思った。

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 なお、この映画が『続・夕陽のガンマン』と共にオマージュをささげ、作り手も多くの面で影響を受けたと公言している「満州ウエスタン」の代表作『鉄鎖を断て』(1971)との関連については、10月中旬発売の「TRASH-UP!! vol.4」に書かせてもらった。同じく60?70年代の韓国娯楽活劇をポストモダン的に再解釈したパロディアクション『タチマワ・リー/悪人よ、地獄行き急行列車に乗れ!』(2008)とも絡めて書いたので、興味の湧いた方は、ぜひ。

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TRASH-UP!!主催イベントのお知らせ(+近況報告)

 10月中旬に待望の第4号が発売予定のトラッシュカルチャーマガジン「TRASH-UP!!」。現在、Amazon.co.jpでも予約受付中です。その関連ライブイベントが、来る10月17日、吉祥寺CLUB SEATAにて開催されます。運がよければ最速で第4号が買えるかも? 忍者映画マスターこと餓鬼だらくさんもVJとしてブースに降臨!

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TRASH-UP!! vol.4リリース記念
アートロックパーティー!
吉祥寺SHOCK FESTIVAL


出演バンド:
のうしんとう / 6eyes / owllights / SIKASIKA / THE SHOP / de! nial / Talking Dead Goats"45 / DODDODO / 割礼
VJ:餓鬼だらく from 富山
SHOP:バサラブックス(BOOK)、 VEGEしょくどう(FOOD)、蛇狩る堂(中古ビデオ&レコード)
餓鬼だらく責任編集 ”TRASH-UP!!”別冊ZINE #2を限定配布!
“TRASH-UP!!”関連グッズ販売予定!
他にもいろいろ計画中!

2009.10.17[Sat] KICHIJOJI CLUB SEATA
open 15:00/ start 15:30(22:00終了予定)
adv \2,300+1drink / door \2,800+1drink
チケット取扱店舗: COCONUTS DISK 吉祥寺店Sun Rain RecordsCLUB SEATA
チケット予約・問合せ: hello@trash-up.com

協力 : TOWER RECORDS 吉祥寺店、古本 よみた屋、VILLAGE VANGUARD ON THE CORNER、トムズボックス、吉祥寺 バウスシアター、boid

SPECIAL THANKS : SCHOP、 THIS IS (NOT) MAGAZINE、KONNYACHIWA新聞、MIDI RECORDS、Bridge INC.
主催: TRASH-UP!!

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 というわけで、ここ最近ずっと更新が滞っておりましたが、全て「TRASH-UP!! vol.4」の原稿作成に追われていたせいでした。すみません。とりあえず、どうにかこうにか一段落したので、ぼちぼち映画の感想文も再開したいと思います。

 その前にパーッと遊びたい! オレの夏を返せ!! ということで、毎年恒例行事となったカナザワ映画祭2009「新世界秩序サバイバルガイド」に参加してきました。相変わらず主催者の小野寺さん(a.k.a.金沢のフィツカラルド)のムチャぶりに翻弄されまくるハードな祭りでしたが、終わってみれば今回も実に「ありえない時間」を堪能できて楽しかったです。次回もぜひ参戦したいな、と。

 上映作品では特に『宇宙戦争』『AKIRA』の爆音上映が白眉。そして、集客が大いに見込める中日にわざわざぶつけてくる宗教・イデオロギー映画特集も、拷問級の凄まじさ。そのあとのライムスター宇多丸さん×高橋ヨシキさんのトークショーは「こういうタチの悪い映画をどう観ればいいのか」「映画観てるとメシも食えない映画祭ってどうなのか」という非常に充実した内容で、ここに来てやっと地獄のトライアスロンを完走しきったような一体感が会場全体を包み、とても感動的でした。

 打ち上げに紛れ込んだ際、宇多丸さんにご挨拶させてもらったら、「ブログ読んでます! ファンです!」という想像を絶するお言葉をいただき、ムチャクチャ舞い上がってしまいました……。尊敬する方にそんなことを言っていただいて、もう卒倒するくらい本っっっ当に嬉しかったです。こんなヨタの集積でも続けてきてよかった、と心底思いました。この場を借りて、改めて御礼を……ありがとうございます!

 ちなみに「TRASH-UP!! vol.4」のために書いた原稿は、以下のような内容になってます。

●『グッド・バッド・ウィアード』と満州ウエスタンの世界

●音楽青春映画の傑作『GOGO 70s』

●イ・ジュニク監督の《音楽映画三部作》

●キム・ギヨン『下女』DVDレビュー

●ジョンとマイケル/傑作ミュージックビデオ『スリラー』を作ったふたり

●ヘンリー・セリックの傑作アニメ『コラライン』

 どれかひとつでも興味が湧いたら、お手にとってみてください。詳細はまた今度!

『影』(1968)

『影』(1968)
英語題:Yeong

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 韓国映像資料院の映画データベース・サイト「kmdb」では、一部所蔵作品のネット配信も行っている。基本的には有料だが、月替わりで「ホラー」「特撮」「満州ウエスタン」など様々な特集を組み、無料で韓国映画の旧作を視聴することができる(要登録・無字幕・Mac非対応)。8月の特集は「格闘アクション映画」で、韓国映画人が参加したり、韓国ロケを敢行した香港映画を始め、8本の作品が配信された。そのうち日本では後にも先にも観る機会のなさそうな作品を3本ほど観てみたが、いちばん面白かったのがイム・ウォンシク監督の『影』だった。

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 満州を舞台にした『影』は、トッコ・ソン演じるニヒルな流れ者の剣客“影”が、馬賊の暴虐に苦しむ朝鮮移民の村人たちを救うという、時代劇+西部劇風の筋立て。ビジュアル的にはまるっきり時代劇だが、音楽は『続・荒野の用心棒』(1966)の完全なイタダキだったりするので、これも『グッド・バッド・ウィアード』(2008)の元ネタとなった“満州ウエスタン”の1本といえるかもしれない。

 主人公が居合い抜きでバッタバッタと敵を斬りまくる殺陣は、三隅研次?キン・フーの系譜に連なる荒唐無稽アクションスタイル。ありえない動作でいちどに何人も叩き斬るダイナミックな剣戟が痛快。とはいえ、香港や日本ほどジャンルムービーが発展していた時代ではないので、なんとなく段取りが悪かったり、グダグダになったりしている部分も少なくない。「遠くから飛んできたナイフが敵の体に刺さる」という場面で、フレームの外からナイフを投げるスタッフの手が映り込んでたり、普通ならNGになるカットも平気で使ってたりする。しかし、イム・ウォンシクの演出が活劇の呼吸というものを心得ているからか、さほど欠点は気にならない。スピーディーに場面転換をたたみかけるアクション・シークェンスの見せ方はなかなかのものだ。

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 むしろ、アウトロー時代劇/西部劇のフォーマットに忠実な、見事な換骨奪胎ぶりに感心してしまう。瀕死の重傷から復活した主人公が馬賊の集団に単身リベンジを挑むクライマックスは『用心棒』(1961)、最後のダメ押し的に描かれる剣客同士の一騎討ちは『椿三十郎』(1962)、そしてラストシーンはまるっきり『シェーン』(1953)だ。よく研究している。ただし、時代的なお約束として、主人公は村の少年に別れを告げる際、民族独立と融和を象徴する太極旗を託すわけだが。

 監督のイム・ウォンシクは、戦争映画にホラーにメロドラマに武侠アクションと、あらゆるジャンルの作品を手がけた韓国の典型的職人監督。後年は『母』(1976)で大鐘賞最優秀作品賞を獲得した。本作『影』ではテンポのいい語り口と歯切れのいいカッティング、そして魅力的なキャラクター描写で、心地好く全編を見せきる。叙情的なシーンの演出もいい。まさに職人技だ。雄大な自然を捉えたロケ撮影も効果的で、特に空と雲の映し方が美しく、鮮やかな印象を残す。

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 主演のトッコ・ソンは、元々は悪役を得意とした俳優だそうだが、本作での寡黙でストイックなアウトロー役も結構ハマっている。馬賊の首領に扮するのは、当時の韓国アクション映画の顔と言われたホ・ジャンガン。本作では月代(いわゆる侍ハゲ)にナマズ髭、キンキラキンの殿様風衣装という唖然とするようなビジュアルで、悪役を憎々しく怪演。大変な人気を誇る映画スターでありながら、珍妙な役も平気で引き受けてしまうのが韓国映画界の面白いところだ。ちなみにホ・ジャンガンは『グッド・バッド・ウィアード』の原典的作品『鉄鎖を断て』(1971)にも悪役で出演している。

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 その手下に、拳銃使いの美女やら、ナイフ投げの名手やら、弓矢の達人やら、鎖つきの鉄球を振り回す剛力やら、バラエティに富んだキャラクターが勢揃いしているのもマカロニ的で楽しい。また、悪役専門俳優としてならしたイ・イェチュンの堂々たる宿敵ぶりも見どころ。個人的に新鮮だったのは、首領の丁稚として働く小汚い少年のキャラクター。やたら狡猾で手癖も悪く、雑草のように最後までしぶとく生き残る役として、ブラックユーモアをまじえて描かれている。ポジション的には、『用心棒』でイキがってヤクザに入るが最後には逃げ出してしまう貧農の倅の役柄を踏襲しているのだが、人物造形は全然違う。ある種のネガティブな韓国人気質を揶揄した存在なのか。少なくとも、主人公と交流を持つ村の少年なんかよりは遥かに面白いキャラクターだ。

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 いまだに韓国語のヒアリング力はまるで上達していないが、字幕なしでも十分に楽しめたし、かつての韓国映画界におけるジャンルムービー研究の熱心さが如実に伝わってくる快作だった(著作権問題を潔くフライングした音楽の使い方も含めて)。

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 ついでに、同じアクション映画特集で観た他の作品についても、メモ程度に。コ・ヨンナム監督の『毒蛇』(1975)は、韓国のチャールズ・ブロンソンと言われたボビー・キムが主演のクンフー映画。強くてモテモテの主人公が、インターポールの依頼で悪の組織と対決する現代アクション。すでに韓国でも格闘アクションブームが全盛の頃に作られた映画だが、流行の火付け役となったイ・ドゥヨン監督のシャープで力強いアクション演出とは違い、コ・ヨンナム監督の演出はいかにもアクションの見せ方に興味がなく、あまりに大雑把。後年は『バイオレンス・コネクション/処刑警察』(1990)という佳作も撮るのだが、この作品では惰性でやってる感じ。とはいえ、中盤の列車内でのバトルはなかなか見応えがある(やたら長いし)。脚本は、のちに『クレイジーボーイ』(1985)などのイ・ドゥヨン作品や『?処刑警察』などを手がけるユン・サミュク。ホ・ジャンガンがインターポールの警視役でチラリと出演し、これが遺作となった。

 もう1本は、巨匠イム・グォンテクが職人時代に撮った武侠アクション『雷剣』(1969)。なんと日本語字幕つきのプリントで、おそらく79年に行われた韓国文化院のイベント「韓国の名画を楽しむ会」で上映された素材ではないだろうか。内容は、新羅・高句麗の両国対立の陰に暗躍した、剣士(というか忍者)たちの熾烈な戦いと駆け引きを描いたもの。キャラクターの神出鬼没ぶりを表すトリッキーな撮影技法の数々が楽しく、創意に富んだアクションも相当な見応え。ではあるが、登場人物全員が嘘をついているか裏切り者であるかのどちらかしかないので、観ているうちに「どーでもええわ、もう」と思ってしまうところが難点。朝方に観ていたせいもあるが、途中で5?6回くらい落ちてグーグー寝た(字幕ついてるのに)。多分、イム・グォンテクも内容に少しも魅力を見い出せず、結果的にひたすら映像テクニックにばかり力を注ぎ、ストーリーをどう見せるかには興味が湧かなかったのだろう。元々は映画好きでもなんでもなく、ただ生活のために撮影所に潜り込み、監督デビュー11年目の『雑草』(1973)で初めて映画作家として目覚めるという人だから、まあ仕方がない。

 なお、kmdbでは9月現在、先日亡くなった名匠ユ・ヒョンモク監督の作品を無料配信中。ほとんど無字幕だが、『殉教者』(1965)という作品は英語字幕つきで観られる。

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