Simply Dead

映画の感想文。

『ミラクル7号』(2008)

『ミラクル7号』
原題:長江七號(2008)

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 いい。すごくいい。昔懐かしい家族向け娯楽映画の復権を宣言するかのような、クラシックで端正なファンタジーコメディの良作であり、映画監督チャウ・シンチーの演出が隅々まで堪能できる作品だ。自身の出演シーンは最小限に抑えているので、「スター俳優チャウ・シンチー」のファンにとっては物足りない内容だろうが、裏方に徹した比重が増えたおかげで、これまでの単独監督作のなかでは最も無駄なく引き締まったフィルムに仕上がっている。

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 前2作ではドル箱コメディスターの義務として、自身の演技やギャグにも注力せざるを得なかったせいか、どこか故意にバランスを崩して逃げ道としている印象があった。今回は、そのストイシズムへの欲求を一気に開放させたかのように、より簡素でウェルメイドな娯楽映画作りを目指している。完成度としては『喜劇王』(1999)にも近い。チャウ・シンチーの演出家としての力量、映像・演技のコレオグラファーとしての才能は、本作でさらに研ぎ澄まされたと言えるだろう。マンガに多大な影響を受けたデフォルメ重視の演出はかつてない完成度を達成しており、カメラワークや芝居の段取りも透徹したシンプリシティと歯切れ良さを実現している。デジタル合成の自然さも過去最高レベルだ。

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 お話自体は、まさに王道かつシンプル。モロに藤子不二雄。今風のコミカルな要素も採り入れつつ、基本的なストーリー展開は非常にクラシカルで、余計な脱線は極力していない。ギャグについても、ウンコだのゴキブリだの、「女装した巨漢の男の子が可愛い女の子の声で喋ったら問答無用におかしい」だの、きわめてベーシックなところで押さえている。きっと終生こだわり続けるであろう“貧乏”というモチーフは今回も揺るぎないが、時代錯誤的に貧しい家庭を映すにしても、やはり淡々としている。シンチー演じる父親の登場シーンと絡めた、お弁当の中身の見せ方がさりげなくも実に上手い。

 映画パロディは『マトリックス』シリーズに『M:I?2』(2000)、そして『叫』(2006)と幅広いが、前作同様に自作を正面からネタにする思いきりはすごいと思った。まさか前作のクライマックスを完コピするとは! さらには『0061/北京より愛をこめて!?』(1994)を思わせる秘密道具まで登場したりして、ちょっと懐かしかった。

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 主人公の少年を演じるシュー・チャオ(実際は女の子)は、本当にバカで幸薄いハナタレ坊主にしか見えず、同級生を演じる子供たちもみな素晴らしい。さすが新人発掘にかけては目利きのチャウ・シンチーだけあり、彼らの生き生きとした演技が本作最大の見どころとなっている。それを楽しむためにも、この映画は絶対、一度はオリジナルの北京語音声で観なければならない(DVDはそのまま再生すると広東語の吹替版になってしまうので要注意)。そうするとチャウ・シンチーやラム・ジーチョンの声は本人ではない吹き替えになってしまうので、ファンには嬉しくないかもしれないが、あくまで子供たちの映画であるからして、彼らの肉声で台詞を聞いた方がいいに決まっている。

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 老若男女が楽しめるシンプルなストーリー、笑って泣ける子供映画というグローバルに通用するジャンルへの進出に、チャウ・シンチーが本気で勝負をかけてきたことが窺える。本作が北京語を主言語として製作されているのも、それを如実に示していよう。大陸でヒットさせることが大作映画の重要条件である今、広東語を第一言語とするのは時流に逆行するのだ。『レッドクリフ』(2008)を例に出すまでもない。

 そういった広い市場への意識と共に、やはりこの作品はチャウ・シンチーのなかでは今どうしても撮らなければいけない映画だったのではないか、という気がする。余分な要素を削ぎ落としたシンプルな題材で、映画監督としての己の技量を試し、本当にやりたいことを根源的に見つめ、自身のエッセンスそのものをフィルムに定着させることが、世界に打って出る際の“証明”として必要だったのではないか。そこまで大げさではないにしろ、原恵一監督の『河童のクゥと夏休み』(2007)と同じように、チャウ・シンチー監督の『ミラクル7号』は決して息抜き的作品ではなく、むしろ真っ向から自分自身と向き合った渾身の勝負作とみるべきだと思った。

 傑作とか野心作ではないが、パーソナルな意欲作であり、胸にしみる良作だと思う。エピローグでは相米慎二監督の『お引越し』(1993)のラストを思い出して、泣いた。

▼来日時のシュー・チャオ(可愛い!)とチャウ・シンチー
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・Amazon.co.jp
DVD『ミラクル7号』コレクターズ・エディション

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欲しいDVDリスト・海外編[2008.12+α]

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 あのカニみたいな顔の首相が目眩ましのおこづかいをくれても、きっとAmazon.co.ukとかで使っちゃって国内経済にまるで貢献せず、生活向上にも一切プラスにならない使い方をしてしまう気がする、欲しいものリスト・海外編のお時間です。なので、もっとマシな財政を考えてください。先月はお休みしてしまったので、11月と12月のリリース分を併せてご紹介。オーストラリアのみで発売されている「Italian Film Festival」の2007年版、デイヴィッド・リンチ作品の豪華特典付DVD-BOX「David Lynch: The Lime Green Set」など、大ボリュームの商品が目立ちます。マット・グレーニングの人気アニメ『Futurama』長編シリーズの3作目『Bender's Game』も発売中。各商品タイトルのリンク先はDVD FantasiumAmazon.co.ukなど各国の通販サイト。


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●発売中
「Italian Film Festival 2007」
オーストラリア盤(PAL)。昨年メルボルンやシドニーなどで開催された、豪州イタリア映画祭2007の上映作品13本を、全6枚組にまとめたDVD-BOX。収録作品は、ジョヴァンニ・ヴェロネージ監督の『イタリア的、恋愛マニュアル2(MANUALE D'AMORE 2)』、エルマンノ・オルミ監督の『百本の釘(CENTOCHIODI)』、フェルザン・オズペテク監督の『対角に土星(SATURNO CONTRO)』、パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ監督の『ひばり農場(LE MASSERIA DELLE ALLODOLE)』、ロベルト・ドルディット監督の『Apnea』、クラウディオ・アントニーニ監督の『The Ball(LISCIO)』、ロベルタ・トーレ監督の『氷の挑発2(MARE NERO)』、マウリツィオ・シャッラ監督の『クロイツェル・ソナタ(QUALE AMORE)』、ロベルト・アンド監督の『The Secret Journey(VIAGGIO SEGRETO)』、ロベルト・チンパネッリ監督の『Kiss Me Baby(BACIAMI PICCINA)』、プピ・アヴァティ監督の『The Get-Together Dinner(LA CENA PER FARLI CONOSCERE)』、ダヴィデ・メレンゴ監督の『Night Bus(NOTTURNO BUS)』、ヴェスパのドキュメンタリー『FOREVER VESPA』。全作品、英語字幕つき。(Palace Films)

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『フェイズIV/戦慄!昆虫パニック』 Phase IV(1974)
米国盤(リージョン1)。タイトルデザインの巨匠ソウル・バスが監督を務めたSFスリラー。知性を持った蟻と、その生態を研究する科学者の攻防をサスペンスフルに描く。冷徹な観察眼で一風変わった世界の終わりを捉えた、唯一無二の異色作。(Legend Films)

『黒幕は最後に殺(ばら)せ』 Framed(1975)
米国盤(リージョン1)。『ウォーキング・トール』のフィル・カールソン監督&ジョー・ドン・ベイカー主演コンビによる犯罪映画。何者かの陰謀によって刑務所送りにされたギャンブラーの復讐を描く。(Legend Films)

『ザ・センダー/恐怖の幻想人間』 The Sender(1982)
米国盤(リージョン1)。超能力を持った青年の巻き起こす恐怖を、彼に惹かれていく女医の目を通して描いたホラーの秀作。監督は『バトルフィールド・アース』のロジャー・クリスチャン。主人公を演じたジェリコ・イヴァネクは、近年ではラース・フォン・トリアー作品やTV『ダメージ』などで名脇役として活躍中。母親役のシャーリー・ナイトの怪演が怖い。(Legend Films)

『Transsiberian』(2008)
米国盤(リージョン1)。『マシニスト』のブラッド・アンダーソン監督による最新スリラー。極寒の大地を走るシベリア鉄道を舞台に、あるアメリカ人夫婦が遭遇する恐怖を描く。主演はエミリー・モーティマー、ウディ・ハレルソン。Blu-ray版も発売中。(First Look)

『The Go-Getter』(2007)
米国盤(リージョン1)。ルー・テイラー・プッチ、ズーイー・デシャネル、ジェナ・マローンら若手俳優が共演したインディーズ映画。母親の死後、生き別れの兄を捜すため盗んだ車で旅に出た青年のさすらいをユーモラスに描く。(PeaceArch)

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『Futurama: Bender's Game』(2008)
米国盤(リージョン1)。『ザ・シンプソンズ』でおなじみのマット・グレーニングが生んだSFコメディアニメ『Futurama』の長編シリーズ第3弾。今回は、主人公フライを始めとする「プラネット・エクスプレス」社の面々が、ファンタジーゲームの世界に捕われてしまう。ゲスト声優として『スタートレック』のジョージ・タケイが出演。Blu-ray版も発売中。(Fox)

「The Films Of Budd Boetticher: The Collector's Choice」
米国盤(リージョン1)。年季の入った映画ファンの間では評価の高いバッド・ベティカー監督の西部劇5作品をDVD BOX化。収録作品は『反撃の銃弾』『Decision At Sundown』『Buchanan Rides Alone』『Ride Lonesome』『決闘コマンチ砦』。映像特典として予告編、ドキュメンタリー、マーティン・スコセッシやクリント・イーストウッドらのコメント映像などを収録。(Sony Pictures)

『Boss』(1975)
米国盤(リージョン1)。『大アマゾンの半魚人』のジャック・アーノルド監督が晩年に手がけたブラックスプロイテーション西部劇。製作・主演は『ブラック・シーザー』のフレッド・ウィリアムソン。公開時のタイトル『Boss Nigger』だと、さすがにソフト化できないので、改題して初DVD化。(VCI)

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「Lotte Reiniger/Fairy Tales」
英国盤(PAL)。1920年代から活躍したドイツの影絵アニメ作家、ロッテ・ライニガーの短編作品集。『シンデレラ』『長靴を履いた猫』『おやゆび姫』など19作品・192分を収録した2枚組。個人的には長編『アクメッド王子の冒険』より、短編の方が素晴らしいと思う。日本でも発売されているけど、高価なDVD-BOXでしか観れないのが残念。(Bfi Video)

『ザ・ラットルズ/4人はアイドル』 The Rutles - All You Need Is Cash - 30th Anniversary Edition(1978)
英国盤(PAL)。『空飛ぶモンティ・パイソン』のエリック・アイドルとニール・イネスによる、ザ・ビートルズのパロディ・モキュメンタリーの傑作が、製作30周年を記念して特別版で登場。特典として、エリック・アイドルの前説映像と音声解説、2種類のメイキング、未公開シーンを収録。(Second Sight Films Ltd.)

『金』 L'Argent(1928)
英国盤(PAL)。1920年代に『人でなしの女 イニューメン』など前衛的な作品を次々と放ったフランスの巨匠、マルセル・レルビエ監督によるエピックドラマ。原作はエミール・ゾラ。主演は『メトロポリス』のアンドロイド役で知られるブリギッテ・ヘルム。(Eureka Entertainment)

『Fighters』&『Real Money』
英国盤(PAL)。ゲイフィルムの秀作『Nighthawks』で知られるイギリスの映画作家ロン・ペックによる長編2作品を収録した2枚組。プロを目指してボクシングに打ち込むイーストエンドの若者たちの姿を追ったドキュメンタリー『Fighters』(1991)と、ボクサーたちを俳優として起用した犯罪ドラマ『Real Money』(1996)のダブルフィーチャー。(Second Run)

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「David Lynch: The Lime Green Set」
米国盤(リージョン1)。初DVD化作品を含むデイヴィッド・リンチ監督の5作品を、豊富な特典付きで収録した10枚組DVD BOX。『イレイザーヘッド』リマスター本編+サントラCD、「デイヴィッド・リンチ短編集」、『エレファント・マン』本編+特典ディスク、『ブルーベルベット』5.1chサウンドリミックス版本編、『ワイルド・アット・ハート』本編、ジュリー・クルーズのコンサートフィルム『インダストリアル・シンフォニー No.1』(初DVD化)、短編アニメシリーズ『Dumbland』、そして未公開映像満載の“ミステリーディスク”を収録。(Synapse)

『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』 Tropic Thunder: Unrated Director's Cut(2008)
米国盤(リージョン1)。日本でも現在ロードショー中の大ヒットコメディが、公開版より15分長いディレクターズカット版で登場。笑いと狂気の接近を積極的に試みるベン・スティラーの意欲的演出が見どころのパワフルな怪作。特典満載の2枚組。Blu-ray版も発売中。(DreamWorks)

『時をかける少女』 The Girl Who Leapt Through Time: Limited Edition(2006)
米国盤(リージョン1)。筒井康隆の原作を独自のアレンジでアニメ化した、細田守監督のヒット作が米国でも待望のリリース。特典ディスク、サントラCDつきの3枚組限定版。通常版も発売中。(Bandai Entertainment)

「Griffith Masterworks 2: DVD Box Set」
米国盤(リージョン1)。D・W・グリフィス監督作品『世界の英雄』『曲馬団のサリー』『恐ろしき一夜』『東への道』と、ドキュメンタリー「D.W. Griffith: Father Of Film」を収録した5枚組のDVD-BOX。各作品の単品も同時発売。(Kino)

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『アンソニーのハッピー・モーテル』 Bottle Rocket: Criterion Collection(1996)
米国盤(リージョン1)。サンダンス映画祭で注目されたウェス・アンダーソン監督の長編デビュー作が、クライテリオン・コレクションとして登場。オーウェン&ルーク・ウィルソン兄弟の出世作でもある。音声解説、メイキング、本作のオリジナルとなったモノクロ13分の短編バージョン、削除シーン、ブックレットなどを収録した2枚組。Blu-ray版も12月16日に発売。(Criterion)

『恋する惑星』 Chungking Express: Criterion Collection(1994)
米国盤(リージョン1)。ウォン・カーウァイ監督のヒット作が、5.1chサラウンド・リマスター版でクライテリオンから発売。映画評論家トニー・レインズの音声解説、監督とクリストファー・ドイル撮影監督のパートナーシップを紹介するイギリスのドキュメンタリー番組、米国版予告編、ブックレットを収録。Blu-ray版も12月16日に発売。(Criterion)


●2008.12.1発売
「Steve Coogan - The Complete Collection」
英国盤(PAL)。『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』でも不憫な映画監督を熱演している、イギリスの人気俳優スティーヴ・クーガン。元々はスタンダップ・コメディアンとしてキャリアを始め、「I'm Alan Partridge」シリーズなどのコメディ番組で人気を博した彼の出演作を網羅した14枚組のDVD-BOX。(2 Entertain Video)


●2008.12.2発売
『ホワイト・ドッグ/魔犬』 White Dog: Criterion Collection(1982)
米国盤(リージョン1)。黒人を襲うように調教された犬を、新たに飼い主となった若い白人女性が再調教しようとするが……。ロマン・ギャリーの寓話的小話をもとにした、サミュエル・フラー監督の問題作がクライテリオン版で登場。脚本はフラーと『L.A. コンフィデンシャル』のカーティス・ハンソンが共同執筆。(Criterion)


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●2008.12.16発売
『結婚演出家』 The Wedding Director(2006)
米国盤(リージョン1)。イタリアの鬼才マルコ・ベロッキオ監督による不可思議なコメディドラマ。新作の準備を放ったらかして逃げ出した映画監督が、辿り着いたシチリアで奇妙な結婚騒動に巻き込まれる……。主演は『星なき夜に』のセルジオ・カステリット。作品の感想文はこちら。(New Yorker Video)


●2008.12.23発売
『Burn After Reading』(2008)
米国盤(リージョン1)。コーエン兄弟が久々に手がけたオリジナル作品。あるCIAエージェントの機密情報を手に入れたフィットネスクラブの店員が恐喝を計画し、それが様々な人々を巻き込んだ騒動に発展していくというブラックコメディ。フランセス・マクドーマンド、ブラッド・ピット、ジョージ・クルーニー、ティルダ・スウィントン、ジョン・マルコヴィッチほか豪華キャストの競演も見もの。Blu-ray版も同時発売。(Universal)

『House Bunny』(2008)
米国盤(リージョン1)。『ホット・チック』の美人コメディエンヌ、アンナ・ファリスが天然ボケ風のヒロインを演じた学園コメディ。年齢のせいでプレイボーイ・マンションを追い出されたセクシー美女が、大学の女子寮で働くことになり、初めて自分の才能を開花させていく。Blu-ray版も同時発売。(Sony Pictures)


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●2008.12.23発売
『Ghost Town』(2008)
米国盤(リージョン1)。スピルバーグ御用達の脚本家デイヴィッド・コープの監督最新作。ひょんなことから幽霊が見えるようになってしまった人嫌いの歯科医を、イギリスの人気TVコメディ『The Office』のリッキー・ジャーヴェイスが演じるファンタジーコメディ。共演はグレッグ・キニアー、ティア・レオーニほか。Blu-ray版も同時発売。(Dream Works)

『The Duchess』(2008)
米国盤(リージョン1)。18世紀末のイギリスを舞台に、キーラ・ナイトレイがダイアナ元王妃の先祖であるデボンシャー公爵夫人を熱演した歴史ドラマ。美しく才気に溢れる社交界の花形でありながら、愛のない結婚生活に苦しむヒロインの闘いを綴る。共演はレイフ・ファインズ。監督・脚本はTVドラマ『ライン・オブ・ビューティー 愛と欲望の境界線』の演出などを手がけたソウル・ディブ。Blu-ray版も同時発売。(Paramount)


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●2008.12.26発売
『Wallander』(2007)
英国盤(PAL)。スウェーデンの作家ヘニング・マンケルの刑事小説「クルト・ヴァランダー」シリーズを映像化したイギリスのTVミニシリーズ。主人公ヴァランダーを演じたのはケネス・ブラナー。3エピソードの本編のほか、メイキングや原作者・キャストへのインタビューなども収録した3枚組。(2 Entertain Video)


●2008.12.30発売
『Towelhead』(2007)
米国盤(リージョン1)。アリシア・イリアンの同名小説を映画化した思春期ドラマ。ヒューストン郊外の住宅街を舞台に、厳格な家庭に育ったイスラム系の少女が、自身に芽生え始めた性衝動や人種差別に悩む姿を描く。監督・脚色は『アメリカン・ビューティー』のシナリオを手がけたアラン・ボール。出演はサマー・ビシル、アーロン・エッカート、トニ・コレットほか。タイトルはターバンを頭に巻いたアラブ系の人に対する差別語。(Warner)

『ヘルレイザー2』 Hellraiser 2: Hellbound: 20th Anniversary Edition(1988)
米国盤(リージョン1)。いつまで経っても日本ではDVD化される気配がない、クライヴ・バーカー原作のスプラッターホラー『ヘルレイザー』シリーズの第2作が、20周年記念特別版として再リリース。オーディオコメンタリー、メイキング、インタビュー、予告編集などを収録。(Anchor bay/Starz)

『パラサイトX』(2007)

『パラサイトX』
原題:Vikaren(2007)

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 デビュー作『モルグ』(1994)が世界的に注目され、そのハリウッド・リメイク版『ナイトウォッチ』(1997)でも自ら監督・脚本を手がけたデンマーク生まれの俊英、オーレ・ボールネダルの最新作。十把ひとからげのB級ホラー風パッケージでDVDスルーという投げやりな扱いとはいえ、久々に日本でも新作が紹介されるのは素直に嬉しい。先行レンタル版のDVDで観てみたら、相変わらずセンスのよさを感じさせるジュブナイルSFスリラーの佳作だった。特にオープニングタイトルのカッコよさには思わず身震いした。映画全体としてはこぢんまりとした小品であるものの、肩の力を抜いて観られる娯楽作に仕上がっている。ちなみに原題は「代理教師」の意味。

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〈おはなし〉
 母親を交通事故で亡くしたばかりの少年カールは、寂しさを胸の奥にしまい、父親と妹と支え合って暮らしていた。そんなある日、彼の通う小学校に代理教師のウーラが赴任してくる。彼女は子供たちの神経を逆撫でするような毒舌や命令を次々にぶつけ、とても教師とは思えない奇怪な言動を繰り返す。生徒たちが学校や親に訴えても、ウーラの巧みな口車によって逆に丸め込まれてしまう始末だ。

 そんな時、カールはふとしたことから彼女の正体が人間でないことを知ってしまう。ウーラは外宇宙から来たエイリアンだったのだ! 同級生とともに彼女の家に忍び込んだカールは、異様な光景を目の当たりにする。一方、ウーラは研修と称して生徒たちを「外国」に連れて行く準備を進めていた……。

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 古くは『惑星アドベンチャー/スペース・モンスター襲来!』(1953)、そしてそのリメイク『スペースインベーダー』(1986)などと同じく、大人たちの知らない恐るべき真実を知ってしまう子供の孤軍奮闘を描いた物語だが、本作ではそれが1クラス分の少年少女に増えているのが面白い。それぞれにキャラの立った子供たちが謎のエイリアンに立ち向かうという、冒険児童文学のセオリーに則ったようなストーリー展開を、ボールネダルはこなれた演出で巧みに描いていく。デビュー作でも確立されていた妙な巧さと落ち着きは相変わらずだ。

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 あくまで子供たちが主人公の映画なので、過激な描写やハードな展開などを期待すると肩透かしを食うだろう。『モルグ』のような激痛シーンもない。ただ、児童映画にしては少しいたずらが過ぎるというか、ヤンチャなところも幾つかあって、そこが楽しい。スプラッターシーンもしっかり登場する(被害者はニワトリだけど)。小学生が大型バスを運転するシーンは『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』(2001)の影響だったりしたら嬉しいな、とか思った。

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 主人公のカール少年を演じるヨナス・ヴァンドシュナイダー君が、すごくいい顔をしていて印象に残る。映画一本をちゃんと引っ張れるだけのスクリーン映えする魅力があり、美少年好きの方も要チェックだろう。演技もしっかりしていて、孤独を胸に秘めながらも健気にがんばる思春期の男の子を好演している。脇を固めるクラスメイトのキャスティングも完璧。「出っ歯」「ガリ勉」「ブタゴリラ」「ミニ教育ママ」といった感じで容易くアダ名をつけられそうな分かりやすさがいい。主人公の妹役の女の子もキュート。

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 パプリカ・スティーンが怪演するエイリアン女教師の狂ったキャラクターも見どころ。本当に見ていて嫌悪感をもよおす怪人物を嬉々として演じており、だんだん親しみさえ感じられてくるのが不思議。クライマックスのコントみたいな芝居には爆笑してしまった。

 宇宙人の目的と行動がイマイチ合致しないとか、ユルすぎる部分もあるけど、好感の持てる佳作だった。家族で観てもよさそうな映画である。でも、同じボールネダル作品なら前作『I am Dina』(2002)の方を先にリリースしてほしかった。

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DVD『パラサイトX』

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欲しいDVDリスト・国内編[2008.12+α]

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 『その日のまえに』『陽もまた昇る』の衝撃いまださめやらぬ、12月の欲しいものリスト・国内編のお時間です。最近「欲しいもの」と「観たいもの」がゴッチャになりつつある気がしますが、「すごく欲しくはないけど一度はDVDで観てみたいものリスト」とか作り始めると余計に収拾がつかなくなりそうなので、しばらくこのままでいきます。今月は2008年を代表する傑作『ダークナイト』『ホット・ファズ』を始め、旧作では『さらば友よ』『地球に落ちて来た男』などのユニバーサル廉価版シリーズ、待望の初ソフト化となる『資金源強奪』などが登場。『肉屋』、そして『不貞の女』と、クロード・シャブロル監督が60年代末から70年代に手がけた傑作群が、いよいよ日本でも連続リリースされるのも嬉しいかぎり。『26世紀青年』ってなんだ? と思ったら、なんとあの衝撃的傑作のことでした! 各商品タイトルのリンク先は、Amazon.co.jp


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●2008.12.1発売
『26世紀青年』(2006)
祝DVD化! マイク・ジャッジ監督の傑作風刺コメディ『Idiocracy』がついに日本でもリリース。こんな『バス男』以下の、完全にイディオクラシー化進行中のタイトルつけないと発売できないという状況にも泣けてきますが、何はともあれめでたいかぎり。冷凍睡眠実験の被験者となり、500年後の地球で目覚めた平凡な青年ジョーが目の当たりにしたのは、バカしか生き残っていない地獄のような世界だった! 作品の感想文はこちら。(20世紀フォックス)


●2008.12.3発売
『P2』(2007)
クリスマス・イヴにひとり寂しく残業していたOLが、ひょんなことから地下駐車場に閉じ込められてしまう。そこに忍び寄る何者かの影……。『ヒルズ・ハブ・アイズ』のアレクサンドル・アジャがプロデュースを手がけた密室サスペンス。主演は『エイリアス』のレイチェル・ニコルズと、『アメリカン・ビューティー』のウェス・ベントリー。(ポニーキャニオン)

『バナナマン/bananaman live 疾風の乱痴気』(2008)
最近やっと世間一般でも「あ、この人たちすごいんだ」と認知されてきたような気がする、バナナマンの最新コントライブDVD。スマートに条理をひっくり返しつつ、同時に普遍的なおかしさと親しみやすさを兼ね備えたネタの数々が魅力的。個人的に今のお笑い芸人の中ではいちばん好き。(ポリドール)


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●2008.12.4発売
『パリの灯は遠く』(1976)
ナチスドイツ占領下のパリで、ユダヤ人の貴重品を安く買い叩いて儲ける美術商クライン。ある日、彼は同姓同名のユダヤ人と間違えられ、身の潔白を証明しようとするのだが……。異才ジョゼフ・ロージー監督が、アラン・ドロン主演で撮り上げた不条理スリラー。共演はジャンヌ・モロー、ミシェル・ロンズデール、シュザンヌ・フロンほか。(ユニバーサル・ピクチャーズ)

『さらば友よ』(1968)
アラン・ドロンとチャールズ・ブロンソン共演のヒット作が再リリース。金庫破りに挑んだ男2人の過去と友情を描く犯罪ドラマの秀作。原作は『長い日曜日』『新車の中の女』の名匠セバスチャン・ジャプリゾ。彼と共同で脚本を執筆し、監督を務めたのはジャン・エルマン。ジャン・ヴォートランの筆名でも知られ、『パパはビリー・ズ・キックを捕まえられない』など、異色ノワール小説の傑作群を生み出している。本作にもジャプリゾらしいロマンと、ヴォートランらしいツイストが随所に利いていて、実はちょっと変わった映画だったりする。(ユニバーサル・ピクチャーズ)

『いぬ』(1963)
金庫破りの計画を警察に漏らした“いぬ”は誰なのか……。先日、米クライテリオンからもコレクターズDVDが発売された、ジャン=ピエール・メルヴィル監督のフィルムノワール。ジャン=ポール・ベルモンドのシリアスな演技、セルジュ・レジアニの素晴らしい存在感が見もの。(ユニバーサル・ピクチャーズ)

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『地球に落ちて来た男』(1976)
デイヴィッド・ボウイが宇宙からの孤独な来訪者を演じた傑作ドラマ。ウォルター・テヴィスの原作を『ルール・オブ・デス/カジノの死角』のポール・メイヤーズバーグが脚色。ニコラス・ローグ監督の幻惑的で残酷な演出が冴え渡る。小学生の頃にBSで初めて観て以来、何度観たか知れない。共演は『パパ/ずれてるゥ!』のバック・ヘンリーに、『アメリカン・グラフィティ』のキャンディ・クラーク、そして『ビーチレッド戦記』のリップ・トーン。廉価版で待望の再リリース。(ユニバーサル・ピクチャーズ)

『ハイランダー/悪魔の戦士』(1985)
首を斬り落とされない限り、永遠に生き続ける不死者たちの壮絶な戦いを描いた、伝奇アクションホラーの大ヒット作。監督のラッセル・マルケイ、主演のクリストファー・ランバートにとっては畢生の代表作となった。個人的にはそれほど好きな映画ではないけど、シリーズの中では最高作だと思うし、熱烈なファンの多さにも驚かされる。メーカーを変えて低価格で再リリース。川尻善昭監督のアニメ版と併せてどうぞ。(ユニバーサル・ピクチャーズ)

『ニッケルオデオン』(1979)
5セント銅貨(ニッケル)で見られる大衆向けの短編映画を量産し、映画創成期を駆け抜けた活動屋たちの姿をコミカルに描いた群像劇。監督は『ラスト・ショー』『ペーパー・ムーン』のピーター・ボグダノヴィッチ。出演は『ペーパー・ムーン』でも組んだライアン・オニール&テイタム・オニール、バート・レイノルズ。(ユニバーサル・ピクチャーズ)

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『ホット・ファズ ─俺たちスーパーポリスメン!─』(2007)
あまりに優秀すぎてド田舎に左遷されてしまったエリート警官が、平和で退屈な町に隠された恐るべき真実を暴いてしまう! 『ショーン・オブ・ザ・デッド』の監督・主演コンビ、サイモン・ペッグとエドガー・ライトが贈る傑作アクションコメディ。映画愛に溢れたパロディを随所にちりばめながら、誰でも楽しめるエンタテインメントに仕上げているのが素晴らしい。スピーディーな語り口の巧みさにも舌を巻く。DVDには未公開シーン、ストーリーボード、そしてペッグ&ライトの音声解説などを収録。初回限定版には16ページの日本版オリジナルパンフレットも封入。(ユニバーサル・ピクチャーズ)

『SPACED ?俺たちルームシェアリング?』DVD-BOX(1999?2001)
彼女に家を追い出されてしまったマンガ家志望の『スター・ウォーズ』オタク、ティム。そして小汚い一軒家で貧乏アーティストたちと共同生活を送るライター志望のデイジー。偶然出会った2人は夫婦であることが入居条件の格安物件を見つけ、あの手この手で新居をゲットするのだが……。『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホット・ファズ』のサイモン・ペッグ&エドガー・ライトがブレイクするきっかけになったシチュエーションコメディTVシリーズ『SPACED』が、めでたく日本初ソフト化。全14エピソードの本編に加え、メイキングドキュメンタリー、同窓会映像、未公開シーン、NG集、クエンティン・タランティーノやケヴィン・スミスらがゲスト参加した音声解説などを収録。(ジェネオン)


●2008.12.5発売
『ドキュメント「超」怖い話 ?都市伝説編?IV』(2008)
最近はTVで久米宏と絡んだりしている最強の実話ホラー作家・平山夢明先生が贈る心霊ドキュメントシリーズ第4弾! 今回は北陸に舞台を移し、心霊スポットと都市伝説の発祥地をめぐる写真撮影ツアーを敢行。前作では降霊実験に臨んだディレクターを平山さんのいたずらで恐怖のどん底にたたき落としたが、今度は一体どんな暴挙が飛び出すのか?(竹書房)

『カメレオン』(2008)
丸山昇一が松田優作を主人公に想定して書いたシナリオ「カメレオン座の男」を、藤原竜也主演・阪本順治監督で映像化したアウトローアクション。しがない詐欺師の青年が政治家の陰謀に巻き込まれ、仲間を次々と殺されていき、ついには復讐の鬼と化す……。特典は阪本監督と丸山昇一によるオーディオコメンタリー、キャストインタビュー、予告編集など。ブックレットつき2枚組。(東映)

『関の彌太ッぺ』(1963)
長谷川伸の小説を山下耕作監督が叙情豊かに映画化した股旅映画の傑作。主演は中村錦之助、十朱幸代。生き別れの妹を探して旅を続ける彌太ッぺは、その道中で助けたみなしごの少女に妹の面影を見た──そして10年後、再会した少女は美しい娘に成長していた。娘は彌太ッぺの顔にある刀傷から、彼が自分の命の恩人だと知るが、彌太ッぺは娘の幸せを願いつつ、無情の修羅場へと赴くのだった。(東映)

『反逆児』(1961)
名匠、伊藤大輔が監督・脚本を務めた戦国時代劇。徳川家康を父に持ち、かつて織田信長に討たれた今川家の血を継ぐ母を持つ運命の子・岡崎三郎信康。血と血の相剋の中に生まれ、それでも強く正しくあったがゆえに若くして散ったその悲劇的生涯を、中村錦之助が熱演。(東映)

『血と砂の決斗』(1963)
大スター大友柳太朗が槍と騎馬を駆使したアクションで魅せる時代劇。戦国時代、武蔵国の北条康政に仕え、自ら関東一を名乗る豪将・稲葉弥十郎。彼はもっと大きな世界で自分の力を試そうと城を去るが、主君の康政はこれを恥辱と受け取り、弥十郎の友・市兵衛を含めた4人の追っ手を差し向ける……。監督はベテラン、松田定次。(東映)

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『資金源強奪』(1975)
敵方の組長を殺して服役し、8年ぶりにシャバへ戻った武司。しかし組の反応は冷たく、武司はムショ仲間と手を組んで組織の金を強奪する! 深作欣二監督(本作では「ふかさくきんじ」名義)が北大路欣也を主演に迎えて撮った痛快クライムアクション。この路線でもっと作品を撮ってほしかったという深作ファンは少なくない。共演は梅宮辰夫、川谷拓三、室田日出男、太地喜和子。(東映)

『沖縄やくざ戦争』(1976)
本土復帰を翌年に控えた昭和46年12月の沖縄──対立関係にあるヤクザ組織同士が、本土からの暴力団組織進出に対抗すべく、「沖縄連合琉盛会」を結成するのだが……。沖縄ヤクザ組織の凄惨な抗争劇を、中島貞夫監督がドキュメンタリータッチで描いた傑作。出演は松方弘樹、千葉真一、渡瀬恒彦ほか。(東映)

『秘花 ─スジョンの愛─』(2000)
韓国映画界の異才、ホン・サンス監督の『オー! スジョン』が初ソフト化。ある一組の男女が出会い、恋に落ち、ヒロインが処女を捨てるまでの過程を、それぞれの視点から全5章で描いたモノクロ作品。本作が初主演作となった女優イ・ウンジュの大胆な演技が見どころ。彼女はその後『バンジージャンプする』『ブラザーフッド』などに出演し、2005年に自ら命を絶った。(タキ・コーポレーション)

『パラサイトX』(2007)
デンマークで大ヒットした『モルグ/屍体消失』、そのハリウッド・リメイク版『ナイトウォッチ』などを手がけたオーレ・ボールネダル監督の新作が久々にお目見え。奇怪な言動を繰り返す代理教師の女性が、実は謎の生命体に寄生されていることを知った少年たちの恐怖を描く児童SFスリラー。ついでに前作『I am Dina』も公開してくれないだろうか……。(アットエンタテインメント)

『阿呆遊戯 ブルース・リーを探せ!』(2007)
主演のブルース・リーが撮影半ばで急逝し、未完となっていた映画『死亡遊戯』。その代役を選ぶオーディションの舞台裏を収めた貴重なフィルムが、数十年後に発見された……という設定で作られたモキュメンタリー形式のコメディ。監督は『ワイルドスピード×3 TOKYO DRIFT』のジャスティン・リン。(トランスフォーマー)

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『ハイランダー ?ディレクターズカット版?』豪華版2枚組(2008)
大ヒットシリーズ『ハイランダー』の生誕20周年を記念して制作された初のアニメバージョン。監督に抜擢されたのは、職人的な巧さとエクストリームな描写力で数々の傑作を放ち、日本よりも海外で圧倒的な人気を集める鬼才・川尻善昭。合作ということでなかなか思い通りに制作することができなかったというが、それでも随所に川尻タッチを感じることのできる作品。アメリカでは監督の意図しない別編集の短縮版がリリースされてしまったが、日本ではオリジナル・ディレクターズカットのまま、小栗旬・山寺宏一・朴ロ美・林原めぐみなど豪華声優陣を起用したバージョンで公開された。豪華版DVDには、スタッフ・キャストのインタビューを収録した特典ディスク、絵コンテブックを封入。本編ディスクのみの通常版も同時発売。(ジェネオン)

『マイ・サマー・オブ・ラブ』(2004)
英国ヨークシャーを舞台に、階級の違う2人の少女の幻想と友情と裏切りが描かれる。英国アカデミー賞を始め、数々の映画賞を受賞したセンセーショナルな青春映画。主演は『プラダを着た悪魔』の同僚役で世界的に注目されたエミリー・ブラントと、『レンブラントの夜警』のナタリー・プレス。(アットエンタテインメント)


●2008.12.8発売
『トラ・トラ・トラ!』コレクターズ・ボックス(1970)
リチャード・フライシャー、舛田利雄、深作欣二が共同監督を務めた戦争スペクタクル大作が、3枚組のコレクターズ・エディションで登場。HDニューマスター版の劇場公開版本編、渥美清の出演シーンを含んだ日本公開版、メイキングドキュメンタリーなどを収録。ただし日本公開版はTVサイズのトリミング版とのこと。残念。プレスシートやメイキング写真集の縮刷版も封入。(20世紀フォックス)


●2008.12.10発売
『ダークナイト』特別版(2008)
今年いちばん多く劇場へ足を運んだ作品(通算4回)。それくらい、スクリーンで観るのが本当に楽しい映画だった。もちろんDVDも買うけど、やっぱり映画館で観てナンボの傑作だと思うので、再上映の機会があったらまた行きたいし、どうせならIMAXで観たい! Blu-ray版も同時発売。作品の感想はこちら。(ワーナーホームビデオ)

『続・拳撃/悪客』(1972)
キックボクサーの兄とその弟の絆をアクションいっぱいに描いたヒット作『フィストバトル/拳撃』のスタッフ・キャストが再結集した続編。監督は香港男性アクション路線を切り拓いた巨匠チャン・チェ。主演は前作に引き続きティ・ロン、デイヴィッド・チャン。アクションスター倉田保昭が初めて香港映画に出演した記念碑的作品としても知られている。(キングレコード)

『四騎士』(1972)
チャン・チェ監督による戦争アクション巨編。デイヴィッド・チャン、ティ・ロン、チェン・クアンタイ、倉田保昭といったお馴染みのメンバーが集い、朝鮮戦争後のソウルを舞台に大暴れ。実際に韓国ロケを敢行し、韓国軍の全面協力を得て製作された。(キングレコード)

『復讐武侠客』(1971)
デイヴィッド・チャン&ティ・ロン主演、チャン・チェ監督という黄金トリオで作られた武侠アクションの一編。宋時代末期、隣国に捕えられた主君を救うべく、命がけの戦いを挑む男たちの姿を描く。『怒れるドラゴン 不死身の四天王』のチェン・シンも出演。(キングレコード)

『多情剣客無情剣』(1977)
ヒット作『マジック・ブレード』で香港映画界に新風を吹き込んだ、チュー・ユアン監督とティ・ロンのコンビによる武侠アクションの傑作。原作は古龍による同名小説。凄腕ながら繊細な心を持つさすらいの剣士が、旅の途中で出会った正義感の強い青年とともに、町を牛耳る盗賊一味に戦いを挑む。(キングレコード)

『武侠怪盗英雄剣』(1977)
前作『多情剣客無情剣』に続き、古龍のベストセラー武侠小説「楚留香」をチュー・ユアン監督とティ・ロン主演で映画化。天下の大泥棒とその仲間たちが、身に覚えのない盗みの疑いを晴らすために、真犯人を捜して大活躍する姿を描いた中華版「ルパン三世」。共演は『ドラゴン怒りの鉄拳』のノラ・ミャオ。(キングレコード)


●2008.12.12発売
『赤い風船』&『白い馬』デジタルニューマスター2枚組初回限定生産スーベニア・ボックス
フランスの名匠、アルベール・ラモリス監督による珠玉の傑作短編『赤い風船』(1956)と『白い馬』(1953)のカップリングDVD。2007年にカンヌ映画祭で披露されたデジタルリマスター版本編のほか、各作品のドキュメンタリー、ピクチャーブック、ポストカード等を収録した2枚組。(角川エンタテインメント)


●2008.12.17発売
『風、スローダウン』Deluxe Version(1991)
タレント島田紳助が原案・監督・脚本を手がけた青春映画の佳作。大阪を舞台に、4人の若者の青春と挫折を爽やかに描く。主演は、のちに吉本新喜劇の座長も務めた石田靖、同じく吉本興業の長原成樹、そして西川きよしの長男・西川忠志。『ガキ帝国』の井筒和幸監督が監修として名を連ねている。2枚組のDeluxe Versionには特典ディスクにメイキングビデオ「正しい青春映画のつくり方」を収録。通常版も同時発売。(ラインコミュニケーションズ)


●2008.12.17発売
「オズワルド・ザ・ラッキー・ラビット」限定保存版
1927?28年にかけて、ウォルト・ディズニーがユニバーサルのために製作した短編アニメ「オズワルド・ザ・ラッキー・ラビット」が初ソフト化。サイレントの本編に新たに音楽を付加した13エピソードのほか、その前後に製作された「アリス・コメディ」シリーズや、ミッキー・マウスの初期作品なども収録。2枚組デジパック、カラーブックレット付。同じく“ウォルト・ディズニー・トレジャーズ限定保存版”シリーズとして『ミッキー・マウス/B&Wエピソード Vol.1』も同時発売。(ウォルト・ディズニー)


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●2008.12.19発売
『子連れ狼』DVD-BOX 二河白道の巻
小池一雄・小島剛夕の劇画『子連れ狼』を若山富三郎主演で映画化した、大ヒット時代劇アクション・シリーズがついにDVD化。今回のDVD-BOXには、1972年に立て続けに公開されたシリーズ前半の3作『子を貸し腕貸しつかまつる』(1月封切)、『三途の川の乳母車』(4月封切)、『死に風に向かう乳母車』(9月封切)を収録。監督は全て鬼才・三隅研次。特典ディスク付きの4枚組。(東宝)

『子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる』(1972)
若山富三郎主演『子連れ狼』シリーズの記念すべき第1作。柳生烈堂(伊藤雄之助、怪演!)の陰謀により妻と一族を殺された公儀介錯人・拝一刀は、幼子の大五郎と共に冥府魔道の旅に出る。TV版で一刀を演じた萬屋錦之助への対抗意識バリバリで臨んだという若山富三郎が見せる渾身の演技、見事な殺陣がなんといっても見どころ。『シグルイ』も『無限の住人』も実写映画化が期待できない今、劇画をそのまま映像化しえた時代の熱気とパワーには、ただひたすら圧倒されるのみ。(東宝)

『子連れ狼 三途の川の乳母車』(1972)
三隅研次監督の静謐な血と暴力の美学が極まった傑作。世界の映画人に影響を与えた本作の人体破壊スプラッター描写を観ずして、日本映画は語れない。明石柳生の女当主・鞘香(松尾嘉代)率いる別式女たちによる人間解体、乳母車を突き破る仕込み大根(!)、弁天来三兄弟との砂丘での対決など、言語を絶する見せ場が目白押し。アメリカではロジャー・コーマンが前作とゴッチャに再編集して『Shogun Assassin』のタイトルで公開し、大ヒットを記録した。(東宝)

『子連れ狼 死に風に向かう乳母車』(1972)
三隅研次監督の手がけた『子連れ狼』の中では最もタイトにまとまった傑作の1本。女衒の元締・酉蔵(浜木綿子)から刺客の依頼を受けた拝一刀は、天領代官・猿渡玄番(山形勲)率いる数百の敵と戦うことに……。乳母車マシンガンなど荒唐無稽な見せ場もありつつ、真の武士道を追い求める渡り徒士・官兵衛(加藤剛、名演!)と拝一刀の交流、そして宿命的な対決に至るドラマが魅力的。ラストの生首視点カメラは『鬼が来た!』の元ネタ?(東宝)

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『遊星からの物体X』TV吹替版つき2枚組(1982)
ジョン・カーペンター監督の傑作『遊星からの物体X』が、TV「ゴールデン洋画劇場」で放映された吹替版ディスクを併録した2枚組エディションで再リリース。吹替版キャストは、カート・ラッセルが津嘉山正種、A・ウィルフォード・ブリムリーが富田耕生、ジョエル・ポリスが納谷悟朗。本編ディスクは既発売版と同じ。その他、『激突!』『アメリカン・グラフィティ』『ストリート・オブ・ファイヤー』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』『大空港』『大地震』『フィールド・オブ・ドリームズ』も同仕様で発売される。ポイントは、吹替版の方はTV放映時そのままの尺で収録されること(一部の作品を除く)。洋画劇場世代のノスタルジーをくすぐって二度買いさせようという商魂まるだし。売れるんだろうなあ。(ユニバーサル・ピクチャーズ)

『世にも不思議なアメージング・ストーリー』シーズン1 DVD-BOX
スティーヴン・スピルバーグ製作のTVアンソロジーシリーズがDVD-BOX化。参加監督にはスピルバーグを始め、クリント・イーストウッド、ボブ・クラーク、ポール・バーテル、マーティン・スコセッシ、ジョー・ダンテ、ティモシー・ハットンなど錚々たる面子が名を連ねる。初ソフト化となるエピソードを多く含んだ、全24話収録の8枚組。(ユニバーサル・ピクチャーズ)

『テネイシャスD 運命のピックをさがせ!』プレミアム・エディション(2007)
下品かつピュアきわまりないロックキチガイのジャック・ブラックと、華がないにもほどがある相棒ギタリストのカイル・ガスによるユニット“テネイシャス(=頑強な)D(=チン○)”が、ロックの覇者となるべく繰り広げる珍道中を描いた脱力コメディ。傑作ではないけど憎めない佳作。かつてジャック・ブラックが所属していた劇団の座長ティム・ロビンスの怪演、ベン・スティラーやミートローフの特別出演も見どころ。3枚組のコレクターズBOXも同時発売。(ジェネオン)

『エージェント・ゾーハン』(2008)
人気コメディ俳優アダム・サンドラーの最新主演作が、日本ではあえなくDVDスルー。多くの敵に恐れられるモサドの凄腕エージェントが、美容師になる夢を叶えるためにニューヨークへやってくる。華麗なハサミさばきでご婦人たちから人気を得る彼だったが、そこに昔の敵が現れ……。監督は『ビッグ・ダディ』『チャック&ラリー』でも組んだデニス・デューガン。共演はジョン・タトゥーロ、エマニュエル・シューキーほか。(ソニーピクチャーズ)

『アクロス・ザ・ユニバース』デラックス・コレクターズ・エディション(2007)
激動の60年代、英国リヴァプールからアメリカに留学した青年が出会う友情と恋の物語を、ザ・ビートルズの名曲33曲と共に描いた異色ミュージカル。監督は舞台演出家としても活躍する『フリーダ』のジュリー・テイモア。主演は『ラスベガスをぶっつぶせ!』のジム・スタージェス、『サーティーン』のエヴァン・レイチェル・ウッド。(ソニーピクチャーズ)


●2008.12.20発売
『肉屋』(1969)
フランスの片田舎で小学校教師として働く女性エレーヌは、帰還兵で今は肉屋を営む男性ポポールと知り合い、次第に親密な間柄になっていく。そんなある日、村で殺人事件が起こり……。フランスの鬼才クロード・シャブロル監督による傑作スリラー。自然豊かな田舎の情景を美しく捉えた映像の裏に流れる、アンニュイで背徳的なムードがたまらない。主演はシャブロルの当時の妻であり、数多くの作品で組んでいるステファーヌ・オードラン。共演は『ウィークエンド』『狼どもの報酬』などに主演した、フランスの渡瀬恒彦ことジャン・ヤンヌ。(紀伊國屋書店)

『イントレランス』クリティカル・エディション(1916)
D・W・グリフィスの代表作にして、映画史でも類を見ない壮大なスケールで製作された2時間57分の超大作。「キリストの生涯」「古代バビロン」「聖バルテルミーの虐殺」「現代」と、異なる時代の 4 つのエピソードが同時進行し、不寛容(Intolerance)が人類に悲劇をもたらしていくさまが描かれる。(紀伊國屋書店)

『マザー』(1982)
ブルースシンガー&ピアニストとして人気を得た後、信仰の世界に身を投じ、ゴスペル音楽の基礎を作ったトーマス・ドーシィ。そして、娘と共にアメリカ中を回り、ゴスペル音楽の伝道師となったウィリー・メイ・フォード・スミス。この2人を中心に、ゴスペルの歴史を代表的な曲目と共に振り返る、貴重な音楽ドキュメンタリー。他にもバレット・シスターズやオニール・ツインズなどがその圧倒的な歌唱力を披露する。1982年にカリフォルニアのパラマウント劇場で行われたゴスペル・ライブの模様を捉えたドキュメンタリー『ゴスペル』も同時発売。(紀伊國屋書店)


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●2008.12.24発売
『片腕マシンガール』(2007)
日本が世界に誇る異才・井口昇監督がアメリカ資本で撮り上げたスプラッターアクション。ヤクザに切断された片腕にマシンガンを装着した女子高生の復讐譚を、膨大な出血量と景気のいい人体破壊描写満載で過激に描く。寿司・天麩羅・ヤクザ・忍者と、エキゾチック・ジャパンを代表する要素を全て放り込んだシナリオがバカバカしくておかしい。島津健太郎、デモ田中など脇役陣の怪演も見どころ。中でもやはり『おいら女蛮』でも井口監督と名コンビぶりを見せた亜紗美さんが断トツで素晴らしい。やっぱ本物の映画女優だなあ、と感動。次回こそはぜひ彼女主演で新作をお願いしたい。DVDはオーディオコメンタリー、スピンオフ短編「hajiraiマシンガール」、インタビューやメイキングなど特典を満載した2枚組。(日活)


●2008.12.25発売
『レディ・バニッシュ 暗号を歌う女』(1979)
アルフレッド・ヒッチコック監督が『バルカン超特急』として映像化したエセル・リナ・ホワイトの小説を、エリオット・グールドとシヴィル・シェパード主演でリメイクしたコミカルタッチのサスペンス。監督は『告白の罠』のアンソニー・ペイジ。(エムスリイエンタテインメント)

『三十九階段』(1959)
ジョン・バカンのスリラー小説を原作にしたA・ヒッチコック監督作品『三十九夜』のリメイク作品。主演は『不死身の保安官』のケネス・モア。監督は『キッスは殺しのサイン』などを手がけたラルフ・トーマス。(エムスリイエンタテインメント)

『勇者のみ』(1951)
グレゴリー・ペック主演の西部劇。恋敵に危険な任務を押しつけて殺した、という誤解を受けた騎兵隊の大尉。四面楚歌の中、彼は荒くれ隊員たちを率いてアパッチ族と対決する。ギグ・ヤング、ネヴィル・ブランド、ロン・チェイニーJr.といった個性派俳優たちが脇を固める。監督は『放射能X』のゴードン・ダグラス。(ジュネス企画)

『ブラボー砦の脱出』(1953)
南軍の捕虜が収容されているブラボー砦を訪れた一人の女性。その目的は北軍に捕えられた婚約者を脱走させることであった。まんまと彼女に騙され、捕虜の脱走を許してしまった大尉はすかさず追跡を開始するが、そこへインディアンの大群が現れ……。『荒野の七人』の名匠ジョン・スタージェス監督による傑作西部劇。主演はウィリアム・ホールデン、エリノア・パーカー。(ジュネス企画)


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●2008.12.26発売
『アメリカン・クライム』(2007)
ジャック・ケッチャムの問題小説『隣の家の少女』のモデルにもなった、1965年のインディアナ少女虐待死事件を映画化した作品。犠牲者となった少女シルヴィアを演じるのは、『JUNO/ジュノ』のエレン・ペイジ。彼女を監禁し、虐待の限りを尽くした鬼女ガートルード・バニシェフスキーに扮したのは、『イントゥ・ザ・ワイルド』のキャスリン・キーナー。監督はインディアナ州出身で、アン・ハサウェイ主演のおとぎ話ファンタジー『Ella Enchanted』などを手がけたトミー・オヘイヴァー。(アルバトロス)

『魚からダイオキシン!!』(1992)
内田裕也が企画・脚本・主演を務め、宇崎竜童が監督を手がけた傑作が再リリース。都知事選立候補の過程を追ったドキュメンタリー風の前半から、後半では『餌食』のリメイクへとシフトし、クライマックスは軍艦島で大爆発! 『餌食』のラストに納得いってなかった裕也さんの思いが炸裂したエンディングがカッコイイ。『さらば相棒』と共に、宇崎竜童の演出はもっと評価されてもいいような気がする。長田勇市の撮影、大野克夫の音楽も素晴らしい。のちに義理の親子となった本木雅弘との初共演作でもある。(ジーダス)

『カポネ大いに泣く』(1985)
鈴木清順監督による破天荒なコメディ活劇の怪作が、待望の初DVD化。浪曲師の順之助(萩原健一)と芸者の小染(田中裕子)はひょんなことからアメリカに渡り、禁酒法下のシカゴへ辿り着く。そこで2人は日本人ボスのガン鉄(沢田研二)や、夜の大統領アル・カポネ(チャック・ウィルソン)を巻き込んで、八方破れの大活躍を繰り広げたり、繰り広げなかったり……。脚本は大和屋竺、木村威夫、鈴木岬一。オリジナル・ネガから新たに作成したローコントラスト・ポジを素材に、藤沢順一カメラマン監修のもとテレシネを行ったHDニューマスター版。(ジェネオン)

『おんな極悪帖』(1970)
谷崎潤一郎の原作を安田道代主演で映画化したエロス時代劇。娼婦から大名の妾になり、下屋敷を支配するようになったお銀が、息子に家を継がせるため本妻を殺害しようと企てる。監督は『泥棒番付』『尼くずれ』など歯切れのいい演出に定評のある池広一夫。田村正和、佐藤慶、岸田森といった面々が脇を固める。(角川エンタテインメント)

『おんな牢秘図』(1970)
女だけが流刑される孤島を舞台に、役人にいたぶられながら脱走を目論む女囚たちの姿を描く、大映京都の「秘録」シリーズ番外編。出演は北島マヤ、笠原玲子、桜井浩子ほか。流刑地の恐るべき実態を目の当たりにする新入りの下級役人を田村正和が演じる。大映テレビで活躍した国原俊明の監督デビュー作。(角川エンタテインメント)

『ブレイブ・ソルジャーズ』(2007)
2003年、イラク南部ナシリアで自爆テロの犠牲となったイタリア治安維持部隊の隊員たち。その知られざる活躍と功績に迫った実録アクションドラマ。ホラーファンタジーの傑作『デモンズ'95』で知られるミケーレ・ソアヴィ監督による、202分の長尺TVムービー。(ジェネオン)

『ケンカの技術』(2006)
いつも不良グループからボコられてばかりの高校生が、ある日ひょんなことから知り合った謎の中年男から“ケンカの極意”を叩き込まれることになる。韓国映画らしい手加減抜きのバイオレンス描写満載の青春アクションコメディ。主人公にケンカ道を伝授する中年男に扮するのは、シン・ハギュン主演の怪作『地球を守れ!』で酷い目に遭いまくる社長を演じていたペク・ユンシク。(AMUSE)


<2009年1月以降リリースの注目タイトル>

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●2009.1.1発売
『シークレット・サンシャイン』特別版(エスピーオー)
『クライマーズ・ハイ』デラックス・コレクターズ・エディション(ソニーピクチャーズ)

●2009.1.7発売
『屋敷女』アンレイテッド版(キングレコード)
『独白するユニバーサル横メルカトル Egg Man』(ポニーキャニオン)
『告発のとき』(ポニーキャニオン)
『ターミネーター/サラ・コナー・クロニクルズ《ファースト・シーズン》』Vol.1(ワーナーホームビデオ)
『レールズ&タイズ』(ワーナーホームビデオ)
『ヒーロー・オブ・クンフー 裸足の洪家拳』(キングレコード)
『新・嵐を呼ぶドラゴン』(キングレコード)
『冷血十三鷹』(キングレコード)
『洪家拳対詠春拳』(キングレコード)

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●2009.1.9発売
『悲しみが乾くまで』スペシャル・エディション(角川エンタテインメント)
『ハプニング』特別編(20世紀フォックス)
『シティ・オブ・メン』スペシャル・エディション(ポニーキャニオン)

●2009.1.21発売
『ターミネーター/サラ・コナー・クロニクルズ《ファースト・シーズン》』DVD-BOX(Vol.2?5)(ワーナーホームビデオ)
『ターミネーター/サラ・コナー・クロニクルズ《ファースト・シーズン》』Blu-ray BOX(ワーナーホームビデオ)
『歩いても 歩いても』(バンダイビジュアル)
『花と嵐とギャング』(東映)
『顔役(石井輝男)』(東映)
『異常性愛記録 ハレンチ』(東映)
『実録三億円事件 時効成立』(東映)
『大脱獄(石井輝男)』(東映)
『暴力戦士』(東映)
「ミッキーマウス B&Wエピソード VOL.2」限定保存版(ウォルト・ディズニー)

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●2009.1.23発売
『国際諜報局』プレミアム・エディション(ジェネオン)
『アウェイ・フロム・ハー 君を想う』デラックス版(ジェネオン)
『ディクシー・チックス シャラップ・アンド・シング』(ジェネオン)
『ヒッチハイク』ヘア無修正ニューマスター版(ジェネオン)
『Mr.ボディガード/学園生活は命がけ!』(パラマウント)
『愛の伝道師 ラブ・グル』(パラマウント)
『12人の怒れる男』(東宝)
『BUG/バグ』(AMUSE)
『魔 デビルズ・オーメン』(角川エンタテインメント)
『邪 ゴースト・オーメン』(角川エンタテインメント)

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●2009.1.28発売
『劇場版 空の境界 ─矛盾螺旋─』【完全生産限定版】(アニプレックス)
『劇場版 空の境界 ─矛盾螺旋─』【通常版】(アニプレックス)
『レッドベルト 傷だらけのファイター』コレクターズ・エディション(ソニーピクチャーズ)
『俺たちステップ・ブラザーズ〈義兄弟〉』コレクターズ・エディション(ソニーピクチャーズ)
『江戸川乱歩の陰獣』(松竹)

●2009.1.30発売
『新シャーロックホームズ/おかしな弟の大冒険』(20世紀フォックス)
『爆笑! 世紀のスター誕生』(20世紀フォックス)
『大陸横断超特急』(20世紀フォックス)
『ビッグ・ボス』(20世紀フォックス)
『ブラック・シーザー』(20世紀フォックス)

●2009.1.31発売
『不貞の女』(紀伊國屋書店)

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●2009.2.6発売
『フロンティア』スペシャル・エディション(角川エンタテインメント)

●2009.2.13発売
『赤い影』(ユニバーサル)

●2009.2.21発売
『ランボー 最後の戦場』コレクターズ・エディション(ポニーキャニオン)

●2009.2.22発売
『女番長ゲリラ』(東映)
『女番長』(東映)
『女番長 感化院脱走』(東映)
『女番長 タイマン勝負』(東映)
『女番長 玉突き遊び』(東映)

『L.A. Confidential(Pilot)』(2000)

『L.A. Confidential(Pilot)』(2000)

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▲From "Mulholland Drive", Mellissa George

 デイヴィッド・リンチ監督の『マルホランド・ドライブ』(2001)で、リンダ・スコットの「I've Told Every Little Star」に合わせて口パクで歌うブロンド美女を覚えているだろうか。アンジェロ・バダラメンティ扮するギャングの「This is the girl.」のひと声で、監督の意向をさしおいて主演女優に抜擢される“ラッキーガール”、カミーラ・ローズを。全ての女優志望者の憧れであり敵である存在を、現実離れした美貌で演じた彼女の名は、メリッサ・ジョージ。アレックス・プロヤス監督の『ダークシティ』(1998)では娼婦役で美しいヌードも披露した、オーストラリア出身のモデル兼女優である。

 言うまでもなく、『マルホランド・ドライブ』は元々1999年にTVシリーズとして製作されていたが、パイロット版が完成した時点で放映局ABCネットワークの首脳陣がその出来に難色を示し、オクラ入りとなってしまう。初めてビッグタイトルの主役に抜擢されたナオミ・ワッツの一世一代の力演は、闇に葬られることになった。そんなハリウッドの不条理な悲劇を、彼女と同郷のメリッサ・ジョージは立て続けに経験することになる。

 ジェームズ・エルロイによるノワール・エピックを映画化した『L.A. コンフィデンシャル』(1997)は、「無名のオーストラリア人俳優が主演のフィルムノワール大作なんて金を注ぎ込むだけ無駄」という大方の予想に反し、興行的にも批評的にも大成功を収め、アカデミー脚色賞/助演女優賞も獲得した。制作会社のリージェンシーとワーナーブラザーズは、続けてこの作品のTVシリーズ化を企画。2000年にパイロット版が製作された。

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 脚本は『ワイルド・バンチ』(1969)のウォロン・グリーン。暗黒のL.A.史とともに謎に満ちた物語が進行する原作小説のスケール感を、今回はたっぷりした尺で表現できるはずだった。映画版よりもいくらか遡った時点からストーリーを始め、登場人物たちの辿る変化をじっくり見せていこうとした意図も窺える。

 映画同様、主役格のバド・ホワイトとエド・エクスリー役には比較的無名の若手俳優を起用し、3番目のキーパーソンであるジャック・ヴィンセンズ役には、ほんの少し有名な俳優……キーファー・サザーランドを据えた。映画ではキム・ベイシンガーが演じた“ファム・ファタル”リー・ブラッケン役には、見事なブロンドの髪と、少女のような可愛らしい顔立ちと、美しい肢体をもつ若手女優、メリッサ・ジョージを抜擢。原作や映画と違い、TV版のリンはアリゾナ州の田舎からハリウッドに出てきたばかりの女優志望の女の子として登場する(さすがにヒロインがいきなり娼婦というのはTV的にマズかったのか、順を追って彼女の転落を描こうとしたようだ)。それは、奇しくも前年に彼女が出演した『マルホランド・ドライブ』で、ナオミ・ワッツが演じた主人公と同じ設定だった。そして舞台も同じL.A.であり、時代は同作で重要なモチーフとなっていた1950年代(フィフティーズ)。両者が脳裏で結びつかない方が難しい。

 しかし、完成したパイロット版は制作会社の判断で放映されないままに終わり、当然シリーズ化の話も立ち消え。撮るだけは撮ったパイロット版も、『シエラデコブレの幽霊』(1965)のように海外でだけオンエアされることもなく、『ツイン・ピークス』インターナショナル版(1989)のように無理やり単発作品にお色直しされることもなく、ただ倉庫の奥深くにしまい込まれた。

 パイロット版『L.A. Confidential』は、そんなに酷い出来だったのだろうか? 実際に観てみると、確かに映画版に比べて冴えない仕上がりではある。圧倒的にパンチが足りない。特に手痛いのは、キーファー・サザーランド演じるジャック・ヴィンセンズのキャラクターが、なんともヤワでありきたりな“悩める刑事”に書き換えられ、その魅力を失ってしまっている点だ。視聴者の共感を得るためか、その内面にある弱さやモラリスティックな面が強調されており、映画版のジャック=ケヴィン・スペイシーが醸し出していたヒップな不良性は完全に排除されている。そんな毒抜きされたキャラクターのジャックが、このTV版では、バドやエドをさしおいて主人公扱いなのだ(少なくともパイロット版を観る限りでは)。

 バド役のジョシュ・ホプキンズはタフなイメージはあっても色気に欠け、逆にエド役のデイヴィッド・コンラッドはあまりにハンサムで身綺麗すぎた(映画版のラッセル・クロウ、ガイ・ピアースと比較するのも気の毒だと思うが)。メリッサ・ジョージも、そのイノセントな美しさを振りまくだけで、演技力が発揮されるのは次回以降という感じ。ただ、後半のパーティーの場面で、初めてバドと言葉を交わすくだりはやはり魅力的だ。映画版に拮抗しうる素晴らしい演技を見せているのは、タブロイド雑誌の編集長シド・ハジェンス役のプルート・テイラー・ヴィンスと、大物実業家ピアース・パチェット役のエリック・ロバーツのみ(映画版ではそれぞれダニー・デヴィートとデイヴィッド・ストラザーンが演じていた)。劇中に登場するマリリン・モンロー役の女優が、ベタすぎる物真似も含めて色っぽくていいのだが、クレジットがないので名前が分からない。

 エリック・ラニューヴィル監督の演出はいかにもTVムービー的で、そつなく手堅いが悪い意味で古くさいところもあり、率直に言って凡庸だ。ノワール味もゼロ(映画版のカーティス・ハンソンの演出もその点に関しては興味が希薄だったが)。虚栄と犯罪の町ロサンジェルスの危険な魅力、そしてLAPDのタフでピカレスクな男たちの世界を、原作のように生々しく表現するまでには至っていない。というか、エルロイ本人や原作ファンが最も避けたかった「ヤワな映像化」というものを、文字どおり実現させてしまっている。

 しかし、この程度のクオリティのTVムービーなんて山程ある。まあ初回はこんなもんだろうとか、普通に退屈せず観られるかなとか思えるレベルには達しており、決して「お粗末」と呼ぶほどのものではない。問題はそれが『L.A. コンフィデンシャル』という傑出した「映画」と比較されてしまったことだ。迫力不足、予算不足、ディテール不足、カリスマ不足などと文句を言われても致し方ない。おそらくは、このままシリーズ化してもいい結果には結びつかないという判断で、もうひとつの『L.A. Confidential』は水子のごとく葬られた。ハリウッドではよくある不幸だ。

 一度ならず二度までも出演作がオクラ入りとなり、ブレイクの機会を逸したメリッサ・ジョージの落胆はいかばかりだったか。もし『L.A. Confidential』がシリーズ化され、彼女がヴェロニカ・レイク似の娼婦として変身していく過程が描かれていたら、どんなに凡庸な演出でもスリリングなものになったのではないかと夢想してしまう。そして、キャリア的にしばらく決定打を欠いていたキーファー・サザーランドにとっても、口惜しい結果だったに違いない(翌年にスタートした『24 -twenty four-』でのブレイクは、まさに悲願が報われた思いだったろう)。

 一方、同様の悲運に遭った『マルホランド・ドライブ』パイロット版は、のちにフランスのスタジオ・カナルからの援助で、追加撮影と再編集を施した劇場長編として劇的な復活を遂げる。いちどは葬られかけたナオミ・ワッツの名演も、メタフィクショナルな要素をもった追加部分でさらに増強され、作品は新たな深みをもって見事に蘇ったのである。スタジオの気まぐれと不条理に翻弄され、ハリウッドの露と消えていく女優の卵たちへの鎮魂歌として。だが、メリッサ・ジョージにスポットが当たることはなかった。

 『ダークシティ』『マルホランド・ドライブ』そして幻のTV版『L.A. Confidential』といった錚々たるタイトルの中で、絵に描いたような金髪のオール・アメリカン・ガールを演じながら、儚い印象だけを残してセルロイドの波間をたゆたうメリッサ・ジョージは、まるでハリウッドランドをさまよう亡霊のごとく神秘的で、美しく、愛おしかった。そんな彼女も、近年ようやく実体として認識できるほど(←失礼)活躍が目立ってきている。人気TVシリーズ『フレンズ』『エイリアス』への出演を経て、リメイク版『悪魔の棲む家』(2005)の妻役、ジョシュ・ハートネット主演のホラーアクション『30 Days of Night』(2007)のヒロイン役と、ジャンル映画ファンにも馴染み深い顔になりつつある。その未来に幸多からんことを、と願わずにはいられない。

 2003年、アメリカのケーブルTV局「Trio」でオクラ入りTVドラマの特集番組が放映され、そこで初めてパイロット版『L.A. Confidential』は一般視聴者の目に触れた。そして、今年9月に発売された米国盤『L.A. コンフィデンシャル』DVDには、映像特典としてパイロット版が収録され、待望の初ソフト化も果たした。日本でも、来年1月リリースの『L.A. コンフィデンシャル』ブルーレイ・エディションの特典として、初お目見えする予定だ。

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DVD『マルホランド・ドライブ』

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『Doomsday』(2008)

『Doomsday』(2008)

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 呆れた。観る前から評判は聞いていたけど、もう本当にただ『ニューヨーク1997』と『マッドマックス2』(共に1981)の合体を女主人公でやってみたかっただけ、としか言いようのない映画だった。マジで、他の形容がなんにも思いつかない。これぞ中学生の妄想映画の決定版! と太鼓判を押したくなるほど、なんの新しさもヒネリもない映画である(オープニング・タイトルの字体までカーペンター調)。まあ、元ネタの2本を観てない新しい世代の観客にとってはメチャメチャ楽しいのかもしれないけど、オレ観ちゃってるしなあ……と、ひとつも胸ときめかないまま画面を見つめるだけに終わり、まるで何かに敗北した気分であった。

 ニール・マーシャル監督は前作『ディセント』(2005)でなかなか腰の据わった、粘りのある演出家に化けたな、と思っていたのだけど、今作では『ドッグ・ソルジャーズ』(2002)の頃に戻ってしまったか、あるいはそれよりさらに青くさくなってるかもしれない。カット割りがいちいち細かすぎて、演出もスピーディーなのは結構だが一本調子なのでグングン飽きてくる。つい観ながら「カーペンター先生ならもっと粘るゼ」などと思ってしまう。そのあたりの“今風な作り”が、オタク全開の内容のわりには琴線に響かない原因というか、心ないリメイク作品のような印象を与えてしまうのだろうか。そのくせ登場人物も映像も、全然かっこいいと思えないし。かなり大きな予算もかけられているだろうが、やってることは焼き直しでしかない。しかも低予算をアイディアでカバーした名作群の。

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 いや、でもきっと大半のB級映画ファンは、この作品を好意的に迎えるだろう。その心意気とパワーを買って。僕はいつも細かいことを気にしがちだから、たまたま受けつけなかっただけだ。今にして思えば、思考が麻痺してくる後半からはそれなりに楽しめるし、クライマックスのカーチェイスもなかなかの迫力である。ちょっと憎めない作品のような気もしてきた。

 でもやっぱり、オクラ入りしても全然困らない映画だよな、とは思う。

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DVD『Doomsday』劇場公開版&アンレイテッド版(米国盤・リージョン1)
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『Never Apologize』(2007)

『Never Apologize』(2007)

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 カンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞した『if もしも…』(1968)などの作品で知られる、イギリスの映画監督/舞台演出家、リンゼイ・アンダーソン。本作『Never Apologize』は、その強靭な反骨心と風刺精神で社会を挑発し、多くの観客を魅了したアンダーソンの生き様を伝えるドキュメンタリーである。といっても、インタビューや資料映像やナレーションで構成された普通のドキュメンタリーではない。アンダーソン作品の看板俳優、マルコム・マクダウェルが劇場のステージに上がり、スタンダップ・コメディアンよろしく聴衆の前でエネルギッシュに喋り続ける姿をシンプルに映し出した、トークライブの記録映像のようなスタイルで作られているのだ。これがすこぶる面白い。映画ファンには興味深い話が満載だし、アンダーソンかマクダウェルのファンなら文句なしに楽しめるだろう(両方のファンならなおさらだ)。

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 『if もしも…』の主人公ミック・トラヴィス役で映画デビューを飾ったマクダウェルは、リンゼイ・アンダーソンという唯一無二のパーソナリティと、彼が自分にとっていかに大きな存在だったかを、笑いもふんだんに散りばめた巧みな話術でスピーディーに伝えていく。マクダウェル自身が舞台上から放つパワフルな存在感、役者ならではの見事な語りが、観客を魅了し引き込んでいくのだ。自らの体験に基づく思い出のエピソード、さらにアンダーソン本人の日記や関係者の手記の朗読などによって、そのエキセントリックな人間性と、彼らが才能を開花させた時代の熱気が鮮やかに浮かび上がる。

 ステージで語られるエピソードの数々はどれも魅力的で、驚きに満ちている。マクダウェルが初めてアンダーソンと出会った『if もしも…』のオーディション会場での逸話に始まり、クリスティーン・ヌーナンとの共演シーンでの珍事、公開時の反響、カンヌ映画祭での出来事、続くコンビ作『オー・ラッキーマン!』(1973)誕生までのいきさつ、などなど……。プライベートでも面白い話がポンポン出てくる。「これから映画スターとしてやっていくなら映画について知っておけ」といって、若きマクダウェルをジョン・フォードや黒澤明の映画上映に連れて行ったりする“映画の師”だったとか、『if もしも…』撮影後しばらくは仕事も金もないので、風呂場の改装をする代わりにアンダーソン家に住まわせてもらっていたとか。このあたりの話は、『オー・ラッキーマン!』の米国盤DVDなどに収録されているドキュメンタリー『O Lucky Malcolm!』(2006)でも出てくるので、知っている人もいるかもしれない。

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 特に『オー・ラッキーマン!』にまつわるエピソードは、聞いていて思わず涙が込み上げてきてしまうくらい感動的だ。『if もしも…』が成功した後、マクダウェルは「次も一緒に何か作ろうよ! 僕らは最高のチームなんだから」とアンダーソンに持ちかけ、それに対してアンダーソンは「そんなに私と組みたいなら、自分でシナリオを書いてこい」と返答。そこで「分かった、書いてみせるさ!」と受けて立ったマクダウェルが、自身の体験をもとにデイヴィッド・シャーウィンと共同でシナリオを書き上げたのが、『オー・ラッキーマン!』だった。この作品はまさにマクダウェルとアンダーソンの共同作業によって作られたマスターピースであり、公開当時は興行的にも批評的にも振るわなかったものの、一部のファンの間では『if もしも…』を凌ぐ2人の真の代表作として、今も熱烈に愛されている。アンダーソン本人も登場する鮮烈なラストシーンがいかにして生まれたかについても、本作では語られる。マクダウェルが監督に台本でぶん殴られるシーンは35回も撮ったとか。

 トークの中には、アンダーソン作品を取り巻く人々……ミュージシャンのアラン・プライス、美術監督のジョセリン・ハーバート、脚本家のデイヴィッド・シャーウィン、劇作家のデイヴィッド・ストーリーらの名前も登場し、当時の思い出をにぎやかに彩る。中でも、長編デビュー作『孤独の報酬』(1963)に出演して以来、アンダーソンお気に入りの女優となったレイチェル・ロバーツが、カンヌの豪華ホテルで繰り広げた奇行のエピソードは爆笑ものだ。また、『孤独の報酬』の主演男優リチャード・ハリスへの複雑な思い(アンダーソンはゲイだったが公言はしなかった)、舞台『Home』などに出演した名優ジョン・ギールグッドのマイペースぶり(マクダウェルも『カリギュラ』で彼と共演した時の楽しい話を披露)、そして最後の長編となった『八月の鯨』(1987)撮影現場でのリリアン・ギッシュとベティ・デイヴィスの演技スタイルの違いなども、アンダーソンの遺した日記から引用され、実に興味深い。マクダウェルの物真似がやたら上手いのにもビックリする(特にアラン・プライスとジョン・ギールグッドが最高)。

▼アンダーソンの死後に出版された日記本「Lindsay Anderson Diaries」
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 常に舌鋒鋭くあらゆるものを批判し、大のブルジョワ嫌いで、単なる冗談ですまないような言動のせいで人間関係のトラブルも絶えなかったというアンダーソン。そんな彼の強烈なパーソナリティを如実に伝えるのが、クライヴ・ドナー監督の家で開かれた食事会の席で、マクダウェル曰く“世界一いい人”の俳優アラン・ベイツを激怒させたというエピソードだ。まず、「なんで君はいつも首におかしなスカーフを巻いてるんだ?(その頃のベイツは二重アゴを気にして仕事でもプライベートでも常に首周りを隠す服装を好んだ、というのは誰でも知っている話だった)」とイチャモンをつけたところから始まって、「何だってアラン・ブリッジスみたいなブルジョワのダメ監督の映画に3本も出たんだ?」など、だんだんエスカレートしていく毒舌にとうとうキレたベイツは、「いい加減にしろ! お前らだってブルジョワだろ!」と怒鳴って出て行ってしまった。その場にいたマクダウェル夫妻らが「謝った方がいいよ」と説得しても、アンダーソンは「絶対に謝らん(Never Apologize.)」の一点張り。翌日には英国演劇界にそのニュースが駆け巡る始末だった。結局、アンダーソンは最後までベイツに謝らなかった、とマクダウェルは思っていた。

 しかし、アンダーソンはそれから数ヵ月後、アラン・ベイツへの謝罪の手紙を書いていたのだ。その文面をステージ上でマクダウェルが朗読するのだが、それがもうなんというか、ちょっと凄まじい。途中から謝罪文でもなんでもなくなってしまい、ただアンダーソンの筋金入りの批判精神と冷徹な分析力がいやというほど伝わる“声明文”になってしまうのだ。あの場でなぜ自分がそんな言動をしたのか、その時に他の連中はどうだったか、なぜアラン・ブリッジスを槍玉にあげたのか、ひいては自分がいかなる人間であるかを懇々と説明し、結局「あの時、君に不快な思いをさせた私と“彼ら”を許してほしい」という結論になってしまうのである。もちろん、そこにはアンダーソン流の辛辣なユーモアセンスが溢れている。これ以上にリンゼイ・アンダーソンという人物を物語る逸話があろうか、というエピソードだ。

 ちなみに、マクダウェルがひょんなことからアラン・ベイツの代役として、アンダーソン演出の舞台『In Celebration』のニューヨーク公演に出演した時に起きたハプニングの逸話も凄い。仰天必至のとんでもない名前が出てくる。

▼『オー・ラッキーマン!』制作中のアラン・プライスとアンダーソン
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 グロテスクな風刺コメディ『ブリタニア・ホスピタル』(1982)の失敗以来、アンダーソンは映画製作にかつてのパワフルな熱狂を取り戻すことはなかった。その晩年の孤独な暮らしぶりは、彼自身がBBCスコットランドのために作った52分の中編映画『Is That All There Is?』(1993)に克明に記録されている。しかし、そこには常に友人たちや仕事仲間の姿があり、いくら歳月を経ようと彼の魅力に惹かれ続ける人々がいることも証明していた。同作には登場しないが、アンダーソンを人生の師と仰ぐマルコム・マクダウェルも、もちろんその一人だ。ちなみに『Is That All There Is?』は、米クライテリオン盤の『孤独の報酬』に、映像特典として収録されている。

 映画のクライマックスで語られるのは、「最後の会見」……といっても、晩年のアンダーソンとマクダウェルの話ではない。1973年にL.A.を訪れたアンダーソンが、憧れの巨匠ジョン・フォードに会いに行った時のエピソードだ。ここでは、孤独な毒舌家でも不遇の芸術家でもない、純真な映画ファンとしての彼の表情が垣間見られる。すでに癌を患って余命いくばくもない状況にあったフォードは、自宅で最期を迎えたいと言って病院から出てきたばかりだった。フォードは葉巻をくゆらせながら、アンダーソンに「君のラグビーの映画は観たよ(『孤独の報酬』のこと)。ありゃいい映画だったな」と言ったとか。とても素敵な話である。

 そして、112分の上映時間はあっという間に過ぎ、マクダウェルとっておきの「とある席上でアンダーソンが言い放った、実にアンダーソンらしい一言」を披露して、映画『Never Apologize』は幕を閉じる。エンドロールには思わず笑い泣きしてしまうようなオマケもついてくるので、ファンは最後まで「耳」を傾けておくべし。

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 本作の監督を手がけたのは、マイク・カプラン。MGMやワーナー、20世紀フォックスなどで宣伝・マーケティングの重職に就き、ロバート・アルトマンやスタンリー・キューブリック、アラン・ルドルフやバルベ・シュローデルといった個性派監督たちとも深い交友関係を築いた人物だ。近年ではマイク・ホッジス監督の傑作『ルール・オブ・デス/カジノの死角』(1998)の米国公開を成功させ、クライヴ・オーウェンを一躍スターダムにのし上げた功労者の1人でもある。マルコム・マクダウェルとは『時計じかけのオレンジ』(1971)の宣伝を手がけて以来の付き合いで、リンゼイ・アンダーソンとは『オー・ラッキーマン!』で初めて一緒に仕事をした。プロデューサーとしても、アンダーソンの『八月の鯨』、アルトマンの『ショート・カッツ』(1994)、ホッジスの『ブラザー・ハート』(2003)などを製作。監督としてクレジットされるのは、『ショート・カッツ』の製作過程を捉えたメイキングドキュメンタリー『Luck, Trust and Ketchup』(1993)以来だ。本作では旧友のマクダウェルと共に製作も兼任している。前述の『O Lucky Malcolm!』では、マクダウェルが昔の冗談話でカプランをからかっている微笑ましい映像も観られる。次回作に予定されているのは、マイク・ホッジス監督の新作『マリオと魔術師』だ。

▼モスクワでの特集上映が行われた際の記念写真
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 『Never Apologize』は、対象へのパーソナルな視線がいい意味で結実した、刺激的かつ愛情に満ちたオマージュの秀作である。リンゼイ・アンダーソンならびにマルコム・マクダウェルのファンにはぜひ観てほしい。そしてこれを機会に『オー・ラッキーマン!』『In Celebration』といった作品群に再評価のスポットが当たってほしい。日本で上映される可能性はかなり低いと思うが、来年あたりのPFFなら有り得るかも? なお、下記の公式サイトでは、「Video Clip」コーナーで作品の一部分が見られるので、興味のある方はぜひ。

『Never Apologize』公式サイト


・Amazon.co.uk
DVD『Never Apologize』(英国盤・PAL)

・DVD Fantasium
DVD『孤独の報酬』(米国盤・リージョン1)
DVD『if もしも…』(米国盤・リージョン1)
DVD『オー・ラッキーマン!』(米国盤・リージョン1)
DVD『In Celebration』(米国盤・リージョン1)
DVD『八月の鯨』(米国盤・リージョン1)

・Amazon.co.jp
本『ジョン・フォードを読む ―映画、モニュメント・ヴァレーに眠る』 by リンゼイ・アンダーソン

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『セックス・カウントダウン』(2007)

『セックス・カウントダウン』
原題:Sex and Death 101(2007)

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 『ヘザース』(1989)や『バットマン・リターンズ』(1992)の脚本家として知られるダニエル・ウォーターズが、自ら監督・脚本を手がけた艶笑喜劇の秀作。「自分が一生のうちにセックスする相手全員のリスト」を手に入れてしまうという奇抜な設定で、軽佻浮薄な主人公のセックス遍歴をきわどいギャグ満載で描きつつ、愛と性をめぐる味わい深いドラマも盛り込んで泣かせるあたり、さすがの腕前だと思った。近年は表立った活躍が見られなかったが、本作を見る限りその力は衰えていない。むしろ円熟味を感じさせる逸品だった。ウォーターズの出世作『ヘザース』に主演したウィノナ・ライダーが、重要な役どころで出演しているのも感動的。

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〈おはなし〉
 ハンサムな青年実業家ロデリック(サイモン・ベイカー)は、数日後に結婚を控え、ビジネスも軌道にのって順風満帆の生活を送っていた。だが、ある日パソコンに届いた一通のメールが、彼の運命を一変させてしまう。“万物を司る大いなる意思”の些細なエラーで弾き出されたその文面には、ロデリックが一生のうちにセックスする相手の名前と人数が記されていたのだ。その数なんと101人! しかも婚約者の名前があったのは、まだリストの半分もいかない箇所だった。

 最初は誰かのいたずらかと思っていたロデリックだったが、バチェラーパーティーで起きた“偶然の事故”をきっかけに、そのリストが本物ではないかと信じ始める。いろいろ考えた末、彼は潔く婚約を破棄。そこへ次々と女性たちが吸い寄せられるように現れ、ロデリックの夢のプレイボーイ生活が幕を開ける。その先に悪夢が待ち受けているとも知らず……。リストの最後に記されていたのは、セックスした相手を永遠の眠りにつかせる“死の天使”デス・ネル(ウィノナ・ライダー)の名前だった!

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 何しろ、シナリオが本当に面白い。基本的にはもちろん、主人公が様々な女性たちと情事を重ねていくバリエーションの面白さで見せていく話になるのだけど、その作りがやっぱり巧い。それぞれのシチュエーションにも必ず何かしらツイストやドラマ性が加えてあって、細かいギャグも洒落がきいている。もちろんウォーターズ持ち前のシニカルで攻撃的なセンスも健在(とびきりの美人と出会っても、リストに名前がないと知ったとたんに興味が失せる、とか)。次の相手は誰か、あと何人で終わりなのか(つまり殺されてしまうのか)? という部分でも秀逸なアイディアをふんだんに盛り込み、ハラハラさせつつ笑いに導く手腕が見事だ。後半、カウントが終わりに近づいていってノイローゼに陥る主人公の描写もたまらなくおかしい。ちょっと時事ネタも入った(?)スクールバスのくだりは最高。

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 キャラクターも端役に至るまでしっかり魅力的に描き込まれ、その他大勢の描写にも愛を感じた(たまにちょっとクドイくらいだけど)。一方で、肩肘張らないコメディ映画らしく力を抜くところはテキトーに抜いて、そのさじ加減もいい。まあ、演出的にはユルイところも少なくないが、確かなコメディセンスとストーリーテラーとしての才能は誰が見ても明らかなので、安心して見ていられる。

 中盤、女漁りに飽き始めた主人公が理想の女性ミランダと出会い、彼女こそ運命のパートナーだと信じて一度はリストを捨てるのだが……というエピソードが、やはり素晴らしい。ちゃんとリアリティをもって恋愛の真実を描ける作家の強みが表れていると思うし、身近な相手に片思いしたことのある人なら誰でも深く共感してしまうであろう痛みを、切なくもおかしく真実味をもって描いている。そのオチも秀逸だ。まさか××(未遂)シーンがこんなにも胸に迫る、人間のどうしようもない性を見つめた、爆笑必至のギャグシーンになるとは! ユルグ・ブットゲライトもびっくりだろう。

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 そして、なんといってもこれはサイモン・ベイカーの映画である。この藤子不二雄マンガのごとくヘニャけた顔の色男の魅力を、本作は初めて最大限に引き出したのではないだろうか。今まで『ランド・オブ・ザ・デッド』(2005)の主人公や、『プラダを着た悪魔』(2006)のヒロインの相手役を演じてもイマイチ影が薄い感じだったけど、映画ファンは本作を観て「ああ、意外に芝居の幅が広い、いい役者なんだなあ」と気付いてほしい。ギャグ一歩手前のハンサムぶりも、コミカルな顔芸も、見かけによらない演技力も、全て惜しげなく披露している。

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 味のあるバイプレイヤー陣の好演、そして脱ぎっぷりのいい美女たちの登場も見どころ。中でも、本作の実質的メインヒロインといえるミランダ役のレスリー・ビブが飛び抜けて素晴らしい。聡明でユーモアがあって底抜けに明るくてセクシーで、主人公が“運命の相手”だと確信するキャラクターを説得力十分に演じている。こういう“知性とユーモアセンスを兼ね備えた人物”という芝居は、役者本人の中にそういう資質がないと嘘っぽくなると思うのだけど、レスリー・ビブはそれをとても自然に演じてのけている。美人ジャーナリスト役で出演していた『アイアンマン』(2008)でも、それほど大きな役ではないにもかかわらず、少ない出番で鮮やかな印象を残していたから、ファンになった人も多いのではないだろうか。公開待機中の出演作『Midnight Meat Train』が楽しみである(でも北村龍平の演出じゃなあ……)。

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 ポスターに大きく写っているウィノナ・ライダーは、実は特別出演扱い。出番も少ないし、妖艶なセックスキラーというまるで似合わない役を、半ば自虐的ギャグとしてお遊び感覚で演じている雰囲気も漂う。だから後半では彼女の登場シーンに全然期待しなくなるのだが、ウォーターズはそこで最大の見せ場を仕掛けるのだ。女優ウィノナ・ライダーの魅力なしには、その演技力なしには成立しないような、素晴らしい「会話シーン」を。今まで荒唐無稽なセックス喜劇として快調に進行してきたのに、クライマックスが地味な会話シーン? という驚きとともに、やっぱりウォーターズにとって彼女は特別な存在なんだと実感できる、素敵なシークェンスだった。この場面のウィノナ・ライダーは、本当に美しい。ハリウッドの一時代を築いたミューズでありながら、現在は諸般の事情で不遇をかこっている天性の女優に、最後の最後でちゃんと花を持たせるその愛情に、思わず涙が滲んだ。

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 セックスコメディとしては、最近ではよく頑張っていた部類の『噂のアゲメンに恋をした!』(2007)なんかとは比較にならないくらい、あるいはロブ・シュナイダー主演の名作『デュース・ビガロウ、激安ジゴロ!?』(1999)にも勝るほど、上出来の作品。ウォーターズ作品が好きな人なら絶対にチェックしなければならない秀作だし、何も知らずにレンタル店で手にとっても拾い物だと思える、良質の映画だと思う。

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DVD『セックス・カウントダウン』

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『火女'82』(1982)

『火女'82』(1982)

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 やっぱ凄かった。韓国映画界が誇る異才中の異才、キム・ギヨン監督の1982年作品(東京国際映画祭2008「アジアの風」で上映)。作家としての代表作であり、商業的にも成功を収めた『下女』(1960)の、2度目のセルフリメイク作品である。ちなみに前作は1971年の『火女』。ある中流家庭に住み込みの家政婦として雇われた田舎娘が、一家を不幸のどん底に叩き落とす、というストーリー展開は基本的に変わらない。驚いたことにセットの作りも第1作とほぼ同じだが、演出や映画自体のテイストは大きく異なっている。

 最も大きな違いは、本作が紛れもない女性映画であること。愛欲と性欲と独占欲が渦巻くギリシャ悲劇のごときホームドラマの中で、キム・ギヨン監督は今回、デリケートに女性心理を掘り下げてみせる。それが顕著に現れているのが、一家の奥さんと下女の関係性の変化だ。アナーキーな階級闘争ホラーといった趣きのオリジナル版では、双方の立場が逆転していく後半になるまで、ふたりは単なる雇い主と使用人以上の関係としては描かれなかった。しかし『火女'82』では、両者の間には女同士の親密さが芽生え、共闘意識のようなニュアンスまで漂わせる。

 別の言い方をすれば、本作では奥さんのキャラクターがより深く彫り下げられ、豊かになっているのだ。主人公は明らかに名女優キム・ジミ演じる妻の方であって、夫ではない。作曲家として身を立てようとする夢追い人の夫のために養鶏業を始め、やがて一軒家を建てるまでに成功し、社会的に自立を果たしながらも家庭内では昔ながらの“献身的な妻”の役割を担い続けるヒロイン。疲れと諦めの溜め息をつきながら家庭の維持に身を捧げる韓国女性の心理を、キム・ギヨン監督は生々しく繊細に映し出す。それが純情素朴で動物的本能のまま生きるような下女ミョンジャと鮮やかな対比をなし、その両者が関係をつむいでいく過程のほのかなユーモア、そして約束された破綻のスリルが、本作前半の見どころとなっている。

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 奥さんは、右も左も分からない田舎娘ミョンジャに「女だけが分かる連帯意識」のようなものを周到に刷り込んでいく。夫や子どもたちには分かりえない悩みも打ち明け合える、私がついてれば大丈夫という空気を何気なく伝えようとする(それは主従関係を円満に保つためのテクニックでもある)。「結婚するなら私の夫みたいな夢ばかり追いかけている男はダメ。女の夢を大きくしてくれる伴侶こそ“よき夫”よ」と、愚痴まじりに真情を吐露したりもするのだ。このあたりの描写には『下女』にはなかった味わい深さを感じる。しかし、お約束の決定的事件が起こり、両者の関係は男/家庭をめぐる女同士の闘争へと変化していく。そのサスペンスフルな感情の推移も、今回「女の怖さ」のバリエーションとして加味された要素だろう。一方、チョン・ムソン扮する夫の方は、ただ彼女たちの間でオロオロするばかりで、『下女』よりも格段に非力で情けないコメディリリーフ的存在となっている。

 キム・ギヨン監督の考える「女性観」が、20年を経て決定的に変化していることは明らかだ。『火女'82』には作り手の“女性”という題材に対するアティテュードと興味の深化がはっきりと打ち出されている。それは社会における女性の地位向上を反映してもいるし、年齢を重ねた上での意識の変化もあるだろう。前作の『火女』は未見なので、そっちがオリジナル版とどう違っていたのか定かではないが、同じストーリーを10年ごとに撮り直すのは、それが「時代」と「自身」を映しだしたマイルストーンになりうると強く確信していたからだろう。この物語には男女関係の普遍的な真理があり、同時にあらゆる時代と社会の様相を如実に反映しうるキャンバスでもあり、それはいつの世も人々の心をとらえるのだ、と。そんな“確信”に満ちた作家は稀である。

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 もうひとつ、『火女'82』がオリジナル版と大きく違っているのは、とっても魅力的なコメディになっている点だ。『下女』も意地悪なブラックユーモアの横溢する映画ではあったが、本作ではより露骨に爆笑を誘うギャグの数々が盛り込まれている。ただれた男女の愛欲ドラマにも、さながら陽性の日活ロマンポルノの一編のような、艶笑喜劇的なペーソスが漂うのだ。

 そこで大変な威力を発揮しているのが、下女ミョンジャを演じたナ・ヨンヒの存在である。なんなの、あの顔。黙っていればコン・リー似の美人に見えないこともないのに、女優に情け容赦のないキム・ギヨンの演出によって、ありとあらゆるヘン顔を引き出されてしまっている。特に、彼女が耳掃除をしながら浮かべる恍惚のバカ面は忘れがたい(そういう微妙な瞬間が抱腹絶倒のギャグになると確信しているキム・ギヨンの観察眼と笑いの先鋭性にも恐ろしいものがある)。のみならず、世間知らずで直情的で無神経な田舎娘を、完璧などんくささ・垢抜けなさで演じており、一瞬たりとも目が離せない。まさに天才的としか言いようのないキャスティングである。

 『下女』でミョンジャ役を演じたイ・ウンシムは、美しいがどこかアンバランスな不気味さを放つ、楳図かずお風の美女だった。しかし今作では華のないコン・リーというか、『紅いコーリャン』のオーディションで落とされたような絶品顔をわざわざ持ってくるところに、作家としてさらに突き抜けたキム・ギヨンの成熟を感じさせる。

 と、さんざん酷いことを書いてしまったが、それもキム・ギヨン演出の賜物で、実際のナ・ヨンヒさんはかなりの美人であると判明。イ・チャンホ監督の『暗闇の子供たち』(1981)で主演デビューし、最近では人気TVドラマ『悲しき恋歌』(2005)にクォン・サンウ扮する主人公の母親役で出演しており、斎藤耕一監督の日韓合作映画『親分はイエス様』(2001)では主人公・渡瀬恒彦の奥さん役を演じている。

▼最近のナ・ヨンヒさん
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 映画祭では『陽山道』(1955)、『自由処女』(1982)、そして本作と、3本のキム・ギヨン作品をスクリーンで観たが、やっぱりこれがいちばん面白かった。とはいえ117分という尺はさすがに長過ぎる気がしたけど……(いつも後半がクドすぎる)。それでも傑作であることは間違いないので、ぜひとも再上映・ソフト化してほしい。


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『The Lost』(2005)

『The Lost』(2005)

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 傑作。素晴らしい。『オフシーズン』『隣の家の少女』などの作品で知られるアメリカのホラー小説家、ジャック・ケッチャムの長編『黒い夏』を映画化したバイオレンス・スリラー。かつて殺人を犯しながら法の手を逃れた不良青年が、その狂気をエスカレートさせ血まみれの惨劇へと突き進むまでの物語を、スモールタウンの群像劇として丹念かつパワフルに描いた力作である。製作を『MAY/メイ』(2002)のラッキー・マッキーが手がけ、彼の大学時代のルームメイトで自主映画仲間のクリス・シヴァートソンが監督・脚本を務めた。2005年にはすでに完成していたが、映画祭などでの限定上映を経て、3年後の2008年にようやく一般公開。ケッチャム映画化ブームが本格化した今年になって、ついに陽の目を見た。その間に、監督のシヴァートソンはリンジー・ローハン主演の猟奇スリラー『I Know Who Killed Me』(2007)でメジャーデビューを果たしたものの、こちらは批評・興行ともに惨敗。その年のサイテー映画賞“ゴールデンラズベリー賞”を総なめにしてしまった。

 ラジー賞監督のお蔵入り映画かよー、と思って甘く見る人もいるだろう。構わない。油断するがいい。まず間違いなくファーストカットで「これは只事ではない」と気がつき、クライマックスまでに心拍数は倍に跳ね上がり、エンドロールではただ打ちのめされ呆然と画面を見つめているはずだ。

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 “考えうる限り最悪の結末”へ向かって紡がれる、内なる闇を抱えた者たちによるアンサンブルドラマ『黒い夏』は、ケッチャムの力量が存分に発揮された集大成的作品だ。その巧みな筆致の文体にみなぎるどす黒い邪悪な感情を、シヴァートソンは忠実な脚色と骨太な演出によって、ほぼそのままフィルムへ置換することに成功している。『The Lost』は、現時点で完成しているケッチャム文学の映画化作品の中で、最も達成度の高い傑作である。

 オーディションで選ばれた若手俳優たちの瑞々しい演技と存在感、挑戦的な映像技巧をたっぷり盛り込んだシネマスコープのビジュアル、人間の暗部をしかと見据えたブラックユーモア、そして卓抜した選曲・編集センス。様々な登場人物が交錯するドラマを手際よくさばきながら、ハリウッドメジャーでは映像化しえないエクストリームな描写の数々も真摯な姿勢で映像化し、阿鼻叫喚のクライマックスも容赦なく描き切った。低予算のインディペンデント作品であるため、撮影や録音などの技術的な粗さもそこかしこに見受けられるが、それでも上映時間119分を全く飽きさせない堂々たる問題作に仕上げたシヴァートソンの手腕は、称賛に値する。かのトビー・フーパー御大も「Must See(必見)」と太鼓判を押したほどだ。

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 驚くべきはキャスティングの見事さ。なんと言っても主人公レイ・パイ役に抜擢されたマーク・センターの素晴らしさに尽きる。タチの悪いカリスマ性と爆発寸前の狂気をたぎらせた悪の申し子を、ひたすらエネルギッシュに下品に凶悪に演じきっていて痛快。満を持して凶行に走るクライマックスでの爆発的なテンションの高騰ぶりも圧巻だ。成功するも失敗するもレイ・パイのキャスティング如何によって決まる企画だっただけに、原作ファンとしては満足のいく結果になって凄く嬉しい。

 レイの狂気に巻き込まれる悲劇の三人娘を演じる女優陣も、それぞれ魅力的。中でも、都会からやって来たセクシーで気丈な美少女キャサリン役のロビン・シドニーの存在感が群を抜いている。語彙が足りなくて申し訳ないが、ムチャクチャいい女なんでビックラこいた。レイの殺人を目撃しながら恋人として付き合い続けるジェニファー役のシェイ・アスターも、ヤンキー上がり風の安っぽさと幸の薄さを漂わせて熱演。レイを即座に嘘つきのスケコマシと見破る聡明なヒロイン、サリーに扮したミーガン・ヘニングのキュートな魅力も光っている。三者三様のキャラクター分けが、キャスティングの時点でちゃんとできているのが素晴らしい。DVDの音声解説によると、メインキャラそれぞれにキーカラーを設定してあるという(例えばレイ・パイは黒、キャサリンは赤、ジェニファーは青といった具合)。

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 主要キャストのほぼ全員が無名ながら、演技力のレベルは非常に高い。レイの腰巾着ティム役は、『エレファント』(2003)で銃撃犯の一人を演じたアレックス・フロスト。おどおどした冴えない少年を、ちょっと抑えた芝居で演じているのがいい。レイの逮捕に執念を燃やし、結果的に彼を凶行に追い込んでいく刑事シリングを演じるマイケル・ボウエンの憎々しさも秀逸だ。その他、映画ファンにも知られている有名キャストといえば、冒頭で虐殺されてしまう少女の一人を演じるマイナーアイドル女優のミスティー・マンデー(本作ではエリン・ブラウン名義)、死んだ少女の母親役のディー・ウォーレス・ストーン、そして元警官でサリーの年上の恋人であるエドを演じるエド・ローター(!)くらいか。ちなみに原作者のジャック・ケッチャムも、映画前半に登場するバーテン役でカメオ出演している。

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 原作の時代設定は1969年だが、映画では予算の都合からか、より現代に近い時代に変更されている(90年代前半くらいか?)。原作では、ヒッピー・ムーブメントの真っ只中でエルヴィスに心酔する時代遅れ気味の不良青年レイ・パイが、ラジオでマンソン・ファミリーによるシャロン・テイト惨殺事件のニュースを聞き、天啓を得るという皮肉に満ちたシーンが重要なターニングポイントとなっている。が、映画版からは当然そのシーンは削除され、その点は個人的にいちばん残念なところではあった。しかし、物語終盤でレイがシャロン・テイト事件について言及し、“再現”を試みるシーンは映画にもしっかり残されているので、原作ファンは安心されたし(できねえか)。

 とにかくもう、ものすごく感動してしまった。同じケッチャムの『老人と犬』を原作にした秀作『Red』(2008)の方を先に観ていたので、こっちはあまり期待していなかった分、ぶっとばされた。ぜひ日本でもノーカット版で公開してほしい。

・DVD Fantasium
DVD『The Lost』(米国盤・リージョン1)

・Amazon.co.jp
原作本『黒い夏』 by ジャック・ケッチャム(扶桑社ミステリー)

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