Simply Dead

映画の感想文。

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『黒いピーター』(1963)

『黒いピーター』
原題:Cerny Petr(1963)

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 第30回ぴあフィルムフェスティバルの「巨匠ミロス・フォアマンの世界」上映作品。『アマデウス』(1984)や『ラリー・フリント』(1996)などで知られるミロシュ・フォアマン監督がチェコ時代に手がけた長編第1作で、日本国内で「字幕つきで」スクリーン上映されるのは今回が初めてだとか(無字幕での上映は昔あったらしい)。どんな映画か全然知らなかったけど、デビュー作らしい初々しさに溢れた青春映画で、続く『ブロンドの恋』(1965)『火事だよ! カワイコちゃん』(1967)と同じく、独特の突き放した視点とオフビートな笑いに満ちたコメディだった。ここでもやはり音楽がふんだんに使われ、そして(カオスの源たる集団の場として)ダンスパーティーが登場する。素人俳優の個性的な「顔」の揃え方も、いきなり天才的だ。

 脚本はヤロスラフ・パポウシェクとフォアマンの共同執筆。『男の傷』(1981)のイヴァン・パセル(アイヴァン・パッサー)も助監督として参加している。即興演出を多用し、ドキュメンタリー風に生々しい瞬間を切り取りつつ、緻密な組み立てを感じさせる作品である。

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 主人公は、やりたいことが見つからないまま社会に放り出されてしまった若者ペトル(英語読みだとピーター)。食料品店で万引き監視係をしながら、口うるさい親に説教されたり、気になる女の子と煮えきらないデートを重ねたり、停滞した日常が淡々と過ぎていく。「明日から君は大人だから」と言われ、望まない仕事に就き、なんの野心も目的も持てないまま、ただぼんやりと日々を過ごすだけ。そんな若者のメランコリーが、本作ではとてもリアルに描かれている。社会との向き合い方でも、女の子との接し方でも、ただ好きこのんで無愛想にしているわけじゃない。どうしたらいいのか分からないのだ。だからって他人に訊く素直さも持ち合わせていない。冒頭、店で万引き犯らしき男を見つけて追いかけていったペトル君が、声もかけられずに延々と尾行を続けてしまうシーンには、そんな青春期の痛みがコミカルに分かりやすく表現されていて、秀逸だ。

 『黒いピーター』では、主人公ペトルと父親の会話を通して、世代間のズレも笑いと共に映し出す。若者のアンニュイだけでなく、親に代表される上の世代の当惑や混乱もしっかり同等に描くのが、フォアマン演出の特徴である。作品を追うごとに、だんだんと若者よりもオッサン世代の混乱を描く方に熱が入っていき、消防署員たちの催したパーティーがアナーキーなカオスへと至る傑作『火事だよ! カワイコちゃん』を経て、渡米第一作の『パパ/ずれてるゥ!』(1971)ではそれが頂点に達する。ヒッピー文化は自然に存在するものとして淡々と映し出されるのに対して、中年の親たちがどんどん不自然な状況へと突っ走っていく描写は、ひたすら細かく計算され、意地悪な愛に満ちているのだ。

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 で、この映画でいちばん面白いのは、主人公とガールフレンドにいちいち絡んでくるレンガ職人見習いのバカ2人組。特に、その言動にひとつも一貫性がないチェンダ青年のキャラクターが凄すぎる。その存在感たるや、ほとんど主人公を食う勢いだ(演じるウラジミール・プホルトは『ブロンドの恋』でヒロインが恋するピアニストの青年を演じていた)。彼がダンスパーティーで別の女の子に声をかけようとして、実に複雑怪奇なプロセスを経て玉砕するくだりは爆笑もの。コミカルな状況を巧みに仕掛けてオフビートな笑いへと導くフォアマン演出の真骨頂と言える名シークェンスだ。ちなみに主人公カップルに絡んでくるバカ2人という構図は、のちの『パパ/ずれてるゥ!』でもナイトクラブの場面で繰り返されていた。妙にアグレッシブな仕掛け役と、やる気のない相棒というキャラ設定まで一緒。そういえば『ブロンドの恋』の前半にも……。

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 佳作ながら、実になんとも面白い映画だった。だけど、日本で観られるのはこれが最後のチャンスだと思っていいらしい。『パパ/ずれてるゥ!』も同様に、今回の上映を見逃すとしばらくお目にかかれないという。特に『パパ/ずれてるゥ!』は、欧米でもソフト化されていないし、劇場で観るとまたひと味違う傑作なので、未見の方はぜひこの機会を逃さないでほしい(両作品とも、プリントがびっくりするほど綺麗だった)。『パパ/ずれてるゥ!』は7月30日に、『黒いピーター』は7月31日に、渋谷東急であと1回だけ上映される。

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欲しいDVDリスト・海外編[2008.8]

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ジョニー・トー監督の新作『文雀』のリリースが待ち遠しくて仕方ない、欲しいものリスト・海外編のお時間です。あの鼻血が出るほど素晴らしい予告編を観てしまったら、もう日本公開なんて待ちきれない……(多分、今年の東京国際映画祭かフィルメックスでかかると思いますが)。アーシア・アルジェント主演作『The Last Mistress』も楽しみ。各商品タイトルのリンク先はDVD FantasiumAmazon.co.ukYesAsiaなど各国の通販サイト。

●発売中
「キム・ギヨン作品集」
韓国盤(リージョンフリー)。韓国が世界に誇る異常映画監督、キム・ギヨンの作品集。知り合いの八重子さんのサイトで発売を知って、即座に購入しました。収録作品は、昨年の東京国際映画祭で話題を集めた『高麗葬』(1963)を始め、『蟲女』(1972)『肉体の約束』(1975)『異魚島』(1977)の4本。マトモな状態で現存している作品がほとんどないと言われているだけに、ものによっては唖然とするほど画質が悪かったり、なぜかプレイヤーによっては画面の両端が欠けたりする(パソコンなら大丈夫)けど、こんな恐ろしいものが正規品として発売されたこと自体が快挙です。条理を越えたキム・ギヨンの宇宙に、みんなで打ちのめされましょう。英語訳付きのブックレットも収録。(Taewon Entertainment)


●2008.8.5発売

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『天元突破グレンラガン Vol.2』Gurren Lagann Vol.2(2007)
米国盤(リージョン1)。今石洋之監督+中島かずき脚本+ガイナックス制作による熱血ロボットアニメのシリーズ第2弾。第10?18話を収録した2枚組。(Bandai Entertainment)

『死刑執行人』Executioner's Song(1981)
米国盤(リージョン1)。トミー・リー・ジョーンズが実在の殺人犯ゲイリー・ギルモアを演じてエミー賞を受賞したTVムービー。原作はノーマン・メイラーのノンフィクション「死刑執行人の歌」で、メイラー自身がシナリオを担当。若き日のロザンナ・アークェットも出演。157分のディレクターズカット版。(Paramount)


●2008.8.12発売

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『Secret』(2007)
米国盤(リージョン1)。広末涼子が主演した映画『秘密』のリメイク。監督はフランスの俳優ヴァンサン・ペレーズ。主演は『X?ファイル』のデイヴィッド・ドゥカブニーと、『JUNO/ジュノ』で主人公の親友を演じていたオリヴィア・サールビー。(ThinkFilm)

「Larisa Shepitko: Criterion Eclipse Series Volume 11」
米国盤(リージョン1)。40歳の若さで世を去ったウクライナ出身の女流監督ラリーサ・シェピチコの2作品『処刑の丘』(1976)、『Wings(Krylya)』(1966)を収めた2枚組DVD-BOX。(Criterion)


●2008.8.18発売
『Up The Junction』(1968)
英国盤(PAL)。マンフレッド・マンによるサントラが有名な英国青春映画の名作。主演は『ドラキュラ復活! 血のエクソシズム』のデニス・ウォーターマンと、『影なき淫獣』のスージー・ケンドール。監督は『ミニミニ大作戦』のピーター・コリンソン。(Paramount)


●2008.8.19発売

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『The Wizard of Gore』(2007)
米国盤(リージョン1)。今秋「かなざわ映画祭2008 フィルマゲドン」に参加するため来日する怪優クリスピン・グローヴァーが、ハーシェル・ゴードン・ルイス監督の『血の魔術師』リメイクに主演した注目作。(Weinstein Company)

『恐怖のいけにえ』The Unseen(1981)
米国盤(リージョン1)。ある中年夫婦の家に泊まった3人の若い女性を襲う、得体の知れない恐怖。その家の地下室には、近親相姦の末に生まれてきた異形の息子が幽閉されていたのだった……。ちょっと社会的にモンダイのある設定が一部のマニアの心をくすぐる、80年代ホラーの佳作。(Code Red)

『Don Quixote』(1992)
米国盤(リージョン1)。未完に終わったオーソン・ウェルズ監督の大作『ドン・キホーテ』(1955?1985)の残存フッテージを、助監督だったジェス・フランコが再編集して1本にまとめた貴重なフィルム。ただし『ヴァンピロス・レスボス』『ゾンビの秘宝』の異能派フランコ先生による編集なので、かなり面妖な代物になっているとか……。(Image)

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『Terminator: The Sarah Connor Chronicles: The Complete First Season』(2008)
米国盤(リージョン1)。『ターミネーター』のTVシリーズ版。シリーズ2作目の後日談という設定で、各地を転々とするコナー親子と、新たにやってくる刺客とのバトルを描く。サラ・コナーを演じるのは『300』のレナ・ヘディ。TVシリーズなのでAmazon.co.jpでも購入可。(Warner)

『The Small Back Room』Criterion Collection(1949)
米国盤(リージョン1)。ナイジェル・バルチンの小説を、マイケル・パウエル&エメリック・プレスバーガー監督が映画化した作品。第2次大戦中、爆弾処理研究にいそしみながら、自身のアルコール中毒とも戦い続けた科学者の姿を描いたドラマ。撮影監督クリス・チャリスのインタビュー映像を収録。(Criterion)

『Recount』(2008)
2000年の大統領選で接戦を繰り広げた、ジョージ・W・ブッシュとアル・ゴアの票集計を巡る騒動を描いたHBO制作のTVムービー。『Futurama: Bender's Big Score』でもゴア本人が登場する場面でネタにされていた。監督は『オースティン・パワーズ』のジェイ・ローチ。出演はケヴィン・スペイシー、デニス・レアリー、ジョン・ハート、ローラ・ダーン、トム・ウィルキンソンなど。(HBO)


●2008.8.23発売
『文雀』(2008)
香港盤(リージョン3)。ジョニー・トー監督が3年の歳月をかけてコツコツ撮影した入魂の作品。「集団スリの映画」と聞いていたから、てっきり『PTU』系の殺伐とした作品かと思っていたら、予告編は『イエスタデイ、ワンスモア』系のクラシカルなラブコメ風味だった! 中身を見るまではどんな映画か分からないけど、きっと傑作。(Universe Laser)


●2008.8.25発売

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『The Last Mistress』(2007)
英国盤(PAL)。19世紀パリを舞台に、貴族たちの恋の駆け引きと、残酷な裏切りを描いた官能ドラマ。主演はアーシア・アルジェント。監督は『ロマンスX』など過激な作風で知られるカトリーヌ・ブレイヤ。前作『Anatomy of Hell』撮影後に脳卒中で半身麻痺になり、リハビリを経て本作で復帰した。(Artificial Eye)

『Judex/Nuits Rouges』
英国盤(PAL)。フランスの異才ジョルジュ・フランジュ監督の『ジュデックス』(1963)と、最後の映画監督作となったTVシリーズの劇場版『Nuits Rouges』(1973)の2本立てディスク。個人的にはフランジュの演出ってあまりにスローすぎて必ず寝てしまうんだけど……。(Eureka Entertainment)

『The Designated Victim』 La Vittima Designata(1971)
英国盤(PAL)。交換殺人をテーマにしたジャッロ(イタリアのスリラー映画)の1本。主演はトーマス・ミリアンとピエール・クレメンティ。音楽ファンの間ではニュー・トロルスのアルバム「コンチェルト・グロッソ」の曲が全編に使われている作品として有名。(Shameless)


●2008.8.26発売

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『ソドムの市』Salo Or The 120 Days Of Sodom: Criterion Collection(1975)
米国盤(リージョン1)。アメリカでは長らく廃盤になっていたピエル・パオロ・パゾリーニ監督の問題作が、HDニューマスターの無修正版本編ディスクと、特典ディスクの2枚組で待望の再リリース。特典の内容は、ピエル・パオロ・パゾリーニ監督や出演者へのインタビュー集「Salo: Yesterday and Today」、ベルナルド・ベルトルッチ監督らへのインタビュー映像「Fade to Black」、メイキングドキュメンタリー「The End of "Salo"」など。エッセイや撮影日誌を収録したブックレットつき。(Criterion)

『August』(2007)
米国盤(リージョン1)。2001年8月、ニューヨークで新たなネットビジネスを立ち上げた男。生き馬の目を抜く世界で奮闘する彼の人生は、1ヶ月後の911テロで一変する……。主演はジョシュ・ハートネット。デイヴィッド・ボウイも出演。(First Look)

『Redbelt』(2007)
米国盤(リージョン1)。演劇界の鬼才であり、名脚本家としても知られるデイヴィッド・マメット監督が、柔術インストラクターの葛藤と闘いを描いた注目作。主演は『インサイド・マン』のキウェテル・イジョフォー。(Sony Pictures)

『In the Folds of the Flesh』(1970)
米国盤(リージョン1)。人里離れた大邸宅に暮らす異常者一家が、次々と人を殺しまくるジャッロの怪作。主演はエレオノーラ・ロッシ・ドラゴ、ピア・アンジェリ。(Severin)

欲しいDVDリスト・国内編[2008.8+α]

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湯浅政明監督のTVアニメ『カイバ』がついに最終回を迎えてしまって虚脱状態……でも欲しいものは欲しいDVDリストのお時間です。今回は8月発売の国内盤DVDから個人的な注目タイトルをピックアップ。ポール・トーマス・アンダーソン監督の傑作『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』が早くも発売されるほか、『地球爆破作戦』『密告』といった旧作も待望のリリース。藤田容介(秀幸)監督の商業映画デビュー作『全然大丈夫』と、『ヘザース』の脚本家ダニエル・ウォーターズと主演女優ウィノナ・ライダーが組んだコメディ『セックス・カウントダウン』も楽しみ。各商品タイトルのリンク先は、Amazon.co.jp


●2008.8.6発売

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『ダメージ シーズン1』Vol.1(2007)
グレン・クローズが冷徹な敏腕弁護士に扮した、ハードタッチのサスペンスTVドラマシリーズ。彼女に翻弄される若手弁護士を『28週後…』のローズ・バーンが熱演。お試し価格でリリースされるVol.1には、1?2話を収録。以降のエピソード(3話?13話)は9月3日に『ダメージ シーズン1』DVD-BOXとして発売される。(ソニーピクチャーズ)

『夕なぎ』(1968)
エリザベス・テイラー、リチャード・バートンの大スターカップルが共演した、テネシー・ウィリアムズ原作の異色ドラマ。ジョゼフ・ロージー監督の奇抜な演出が光る怪作。(キングレコード)

『秘密の儀式』(1968)
異才ジョゼフ・ロージー監督による、男女3人が織り成す心理劇スリラー。主演はエリザベス・テイラー、ロバート・ミッチャム、ミア・ファーロー。(キングレコード)

『ミルコのひかり』(2005)
不慮の事故によって視力を失った少年が、転校先の盲学校で1台のテープレコーダーを見つけたことから、類い稀なる才能を目覚めさせていく。イタリア映画界で活躍する盲目の音響技師ミルコ・メンカッチの少年時代をモデルにした感動作。(アットエンタテインメント)

『ミセス・ハリスの犯罪』(2005)
1980年に実際に起きた殺人事件をTV映画化。名門校の女性校長ミセス・ハリスが、心臓外科医のフィアンセに婚約を破棄され、精神を病んでいく。主演はアネット・ベニングとベン・キングスレー。(ワーナー)


●2008.8.7発売

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『地球爆破作戦』(1970)
冷戦下のアメリカで開発されたスーパーコンピュータ「コロッサス」が、やがて人類の脅威となっていく恐怖をスリリングに描いたSF映画。何度かテレビ放映はされたがソフトは出ていなかった幻の逸品が、ようやくDVD化。監督は『サブウェイ・パニック』のジョゼフ・サージェント。(ユニバーサル・ピクチャーズ)

『1941』(1979)
日本人もアメリカ人も笑い者にしたスティーヴン・スピルバーグ監督のナンセンス・コメディ大作がついに初DVD化。145分の完全版でのリリース。(ユニバーサル・ピクチャーズ)

『キングコング』(1976)
特撮モンスター映画の名作『キング・コング』を、大物プロデューサーのディノ・デ・ラウレンティスが湯水のように金を使ってリメイクした娯楽大作。メイキングや未公開シーンなどの特典付き。脚本のロレンツォ・センブル・Jr.は、本作に続いて同じくラウレンティス製作の『フラッシュ・ゴードン』脚色にも参加した。(ユニバーサル・ピクチャーズ)

『ニューヨーク1997』(1981)
川尻善昭監督の『HIGHLANDER』など、いまだに多くの近未来SF作品で引用されているジョン・カーペンター監督の代表作が、廉価版で再リリース。PAL盤の移植なので、本編の画質自体はさほど向上していない模様。それでもオーディオコメンタリーなどの豊富な特典はファンにとって魅力的。しかし噂によると前にリリースされた『ザ・フォッグ』と同じく、字幕が酷いとか。つくづく不遇なカーペンター……。(ユニバーサル・ピクチャーズ)

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『ウィッカーマン』(1973)
怪奇映画スター、クリストファー・リーが自ら製作・出演を務めたカルトホラー映画の金字塔が、待望の再リリース。脚本は『探偵/スルース』のアンソニー・シェーファー。主人公のカタブツ警官を演じたエドワード・ウッドワードは、現在公開中の『ホット・ファズ』でも健在な姿を見せている。スティングレイから発売されていた特別完全版を買い逃した人はぜひ。(ユニバーサル・ピクチャーズ)

『追悼のメロディ』(1976)
無実の罪を着せられた男が復讐に乗り出す姿を、回想シーンを交えて描いたサスペンス・ドラマ。監督は名匠アンリ・ヴェルヌイユ、共同脚本・台詞はノワールの名手ミシェル・オディアール、主演はジャン=ポール・ベルモンド。(ユニバーサル・ピクチャーズ)

『雨のしのび逢い』(1960)
マルグリット・デュラスが原作・脚本を手がけた心理ドラマ。ジャン=ポール・ベルモンドとジャンヌ・モローの2大スターが共演し、英国演劇界の鬼才ピーター・ブルックが監督を務めた。(ユニバーサル・ピクチャーズ)

『大追跡』(1965)
念願の自動車旅行に出かけた商店主が、思わぬ経緯からギャングの密輸品を積んだ車で旅することになる……。フランスを代表する喜劇俳優、ブールヴィルとルイ・ド・フュネスが共演したスラップスティックコメディ。個人的にフュネスはあんまり好きじゃないけど、『大貴族』『大進撃』はDVD化してほしい。(ユニバーサル・ピクチャーズ)


●2008.8.8発売

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『女番長ブルース 牝蜂の逆襲』(1971)
鈴木則文監督×池玲子主演の「女番長」シリーズ第1作。関西を縄張りにするスケバングループが、非道な暴力団に立ち向かう。「これからはオートバイ・ファックの時代だ!」は不朽の名台詞。その絵面はまさしくJ・G・バラード。(東映)

『女番長ブルース 牝蜂の挑戦』(1972)
京都を舞台に繰り広げられるズベ公グループの熾烈な抗争。その対立に目をつけた暴力団によって“牝狩り”が行われ、グループは解散の危機に。怒りに燃えた女番長・池玲子は単身殴り込みをかける! 鈴木則文監督の「女番長」シリーズ第2弾。主演はもちろん池玲子と杉本美樹。(東映)

『デトロイト・メタル・シティ』DVD-BOX(2008)
若松公徳の大ヒットギャグマンガを、『鉄コン筋クリート』のSTUDIO4℃と『蟲師』の長濱博史監督がOVA化。主人公の根岸君=クラウザーさんを演じるのは、岸尾だいすけ/うえだゆうじのダブルキャスト。さらにヒロイン役は長澤まさみ! 本編ディスク3枚と特典ディスク1枚を収録した4枚組で、単品全3巻も同時リリース。正直言って松山ケンイチ主演の実写映画版よりこっちの方が楽しみ。(東宝)

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『ノーカントリー』スペシャル・コレクターズ・エディション(2007)
劇場で観た時はたいそう面白かったけど、あとからだんだん映画としてどうなのかと思い始めてきたコーエン兄弟の問題作。でも前半?中盤の追跡劇は、やっぱりめっぽう面白い。冷酷無比の殺人者を演じたハヴィエル・バルデムは、10月公開のミロシュ・フォアマン監督作品『宮廷画家ゴヤは見た』でも最高の演技を披露している。(パラマウント)

『レディアサシン』(2006)
アーシア・アルジェントとオリヴィエ・アサイヤス監督が組んだB級アクションスリラー。パトロンを殺した元娼婦のヒロインが、逃亡先の香港でさらなる罠に絡めとられていく。吉祥寺バウスシアターでの特別レイトショー上映も決定。(タキ・コーポレーション)


●2008.8.20発売

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『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007)
ポール・トーマス・アンダーソン監督が新境地へと踏み出した傑作が、早くもDVD化。ダニエル・デイ=ルイスの圧倒的力演、ロバート・エルスウィットの堂々たる撮影、ジョニー・グリーンウッドの素晴らしい音楽が鮮烈なインパクトを刻む。何より全編に漲る骨太な悪意が快い。特典の多いBlu-ray版も同時発売。(ウォルトディズニー)

『セックス・カウントダウン』(2007)
数々の女性と浮き名を流してきた色男ロデリックの元に届けられた一通のメール。そこには彼がこれまで関係を持った女性と、これから関係を持つであろう女性の名が全て記されていた! 『ヘザース』の脚本家ダニエル・ウォーターズが監督を務め、ウィノナ・ライダーが魔性のヒロインを演じた艶笑喜劇。主演は『プラダを着た悪魔』のヘニャ顔、サイモン・ベイカー。(ポニーキャニオン)

『MY MOTHER IS A BELLY DANCER』(2006)
俳優アンディ・ラウが立ち上げた新人発掘プロジェクト「FFC:アジア新星流」の1本。ベリーダンスのレッスンを通じて、人生に潤いを取り戻していく主婦たちの姿を活き活きと描き、東京国際映画祭でも評判を集めた。監督は香港インディーズ界の旗手、リー・コンロッ。(CCRE)

『クレイジー・ストーン ?翡翠狂騒曲?』(2006)
中国四川省の重慶市を舞台に、高価な宝石をめぐって繰り広げられる争奪戦をスピーディーに描いたアクションコメディ。これも「FFC:アジア新星流」の1本で、中国と香港では大ヒットを記録した。監督は『モンゴリアン・ピンポン』のニン・ハオ。(CCRE)

『I'LL CALL YOU』(2006)
チャウ・シンチーの『少林サッカー』『カンフー・ハッスル』でキュートなデブを演じたラム・ジーチョンの初監督作。恋愛観の歪んだ現代の香港、平凡な男が傲慢な美女と付き合い始めて直面する困難をコミカルに描く。「FFC:アジア新星流」シリーズの1作で、このほかにもマレーシア作品『RAIN DOGS』、シンガポール作品『LOVE STORY』も同時リリース。(CCRE)


●2008.8.22発売

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『石の微笑』(2004)
クロード・シャブロル監督お得意の官能スリラー(レビューはこちら)。ちょっと風変わりな女性と情熱的な恋に落ちた青年が、やがて知る恐るべき秘密とは……。なんといってもヒロインを演じるローラ・スメのインパクトが凄すぎる。主演は『陰獣』公開も待ち遠しいブノワ・マジメル。(AMUSE)

『裏切りの闇で眠れ』(2007)
パリの裏社会で繰り広げられる血みどろの抗争を描いたバイオレンス映画。ノワールではありません。映画祭公開題は『暗黒街の男たち』(レビューはこちら)。繊細な印象のブノワ・マジメルがハードボイルドな殺し屋を巧演。気の狂ったギャングのボスを演じるフィリップ・コベールの迫力が凄まじい。(AMUSE)

『チャイナ・ムーン/魔性の女 白い肌に秘められた殺意』(1994)
エド・ハリス、マデリーン・ストウが共演した官能スリラーの佳作。リメイク版『キャット・ピープル』などの撮影監督として知られるジョン・ベイリーの監督作で、ベニチオ・デル・トロの初期出演作としても一部では有名。今頃になってダサイ副題つきでリリースされるのは謎だけど、初のスコープサイズでのソフト化は素直に嬉しい。(20世紀フォックス)

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『大いなる陰謀《特別編》』(2007)
ロバート・レッドフォードが「俺も老い先短い身だから言いたいことはこの際ハッキリ言う」という態度で国民にぶつけた政治映画の力作。確かに欠点も目立つし(記者が今どきICレコーダーを使わないとか)、急ごしらえ感はあるけど、その分アクチュアルな迫力がある。中立的立場などかなぐり捨てて直球でメッセージをぶん投げてくる姿勢も潔い。この作品とジョー・ダンテ監督の『マスターズ・オブ・ホラー/ゾンビの帰郷』はまさに二部作と言っていいほど内容が繋がっているので、観る時は2本立てでぜひ。(20世紀フォックス)

『ど根性物語 銭の踊り』(1964)
市川崑監督と勝新太郎が組んだ異色アクション映画。正義感の強い男がひょんなことから殺し屋一味の仲間に引き入れられるが、逆に彼らから命を狙われることになる……。このシュールさは、のちの勝新自身の監督作にも影響を与えているはず。音楽はハナ肇。(角川エンタテインメント)

『山椒大夫』(1954)
安寿と厨子王の物語を描いた森鴎外の原作を、溝口健二が映像化した名作。LDに収録されていた宮川一夫・依田義賢・内藤昭らのオーディオコメンタリーつき。(角川エンタテインメント)

『赤線地帯』(1956)
赤線のサロンで働く女たちの生きざまを描いた、溝口健二監督の遺作。3年前に公開された『祇園囃子』ではあんなに可憐だった若尾文子が、本作ではちゃっかりした娼婦を快演。(角川エンタテインメント)


●2008.8.25発売
『密告』(1944)
フランスの鬼才アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督が、ドイツ占領下で撮り上げた傑作スリラー。小さな田舎町に“カラス”という署名のついた怪文書がばらまかれ、人々は疑心を募らせていく。犯人の狙いは一体何か、そしてその正体は……? 初DVD化。(ジュネス企画)


●2008.8.27発売

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『カイバ』Vol.2(2008)
もう2008年のベスト1と言い切ってしまってもいい、湯浅政明監督の傑作SFアニメの第2巻。記憶を失い、かりそめの体を借りて星々をさまよう主人公カイバの行く先は……? 第3話から第7話までを収録した2枚組。(VAP)

『ボンテージ・ポイント』(2007)
ワーナーにしては珍しくパチモン感バリバリの邦題でリリースされる、リーリー・ソビエスキー主演のエロティック・スリラー。原題は“Walk All Over Me”。ひょんなことからSM嬢の仕事をすることになったヒロインが、客の持ち込んだトラブルに巻き込まれていく。(ワーナーホームビデオ)


●2008.8.29発売

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『全然大丈夫』(2007)
日本インディーズ映画界の鬼才として『虎』『遠足』『クラゲ釣り』などを世に放ち、大人計画の映像演出や『グループ魂のでんきまむし』の監督などを手がけてきた藤田秀幸が、藤田容介と改名して撮り上げた商業映画デビュー作。荒川良々・岡田義徳・木村佳乃の不器用な3人の男女が繰り広げる、のほほんとして温かな人間ドラマ……なのだそうだけど、やはり一筋縄ではいかないんだろうな。特典ディスクつきの特別版も同時リリース。(ポニーキャニオン)

『さば』(2008)
フジテレビで深夜に放映された藤田容介監督のドラマ。間違えてさばにソースをかけてしまったおばあさんに、自分のさばを差し出した心優しい青年。そんな彼を待っていた、めくるめく不思議な7日間とは? 主演は『全然大丈夫』『イヌ的』などでも組んでいる荒川良々。(ポニーキャニオン)

『双頭の殺人鬼』(1959)
米国生まれのジョージ・ブレイクストン監督が、日本で製作した珍品SFホラー映画。狂った科学者の実験台にされたアメリカ人新聞記者の肩から、もうひとつの頭が生えてきて、手当り次第に殺人を繰り返す。国内初ソフト化。(オルスタックピクチャーズ)


●2008.8.30発売
『情事』(1960)
“愛の不毛”という言葉を定着させたイタリアの名匠、ミケランジェロ・アントニオーニ監督の代表作が国内初DVD化。132分の最新デジタル修復版でリリース。(紀伊國屋書店)


<2008年9月以降リリースの注目タイトル>

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●2008.9.3発売
『ダージリン急行』(ウォルトディズニー)
『ダメージ シーズン1』DVD-BOX(ソニーピクチャーズ)

●2008.9.5発売
『ファーストフード・ネイション』デラックス版(ジェネオン)

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●2008.9.10発売
『ミニー&モスコウィッツ』(キングレコード)
『ファイヤーライン』(キングレコード)
『裸足のクンフーファイター』(キングレコード)

●2008.9.12発売
『食人族』てんこ盛り食人愛好家盤(J.V.D.)

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●2008.9.16発売
『ラスト、コーション』スペシャルコレクターズエディション(ビクターエンタテインメント)

●2008.9.17発売
『ゴーン・ベイビー・ゴーン』(ウォルトディズニー)
『ナック』(20世紀フォックス)

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●2008.9.26発売
『フィクサー』(東宝)
『スルース 【探偵】』(ハピネット)
『王妃の紋章』デラックス版(ジェネオン)
『週刊真木よう子』DVD-BOX(キングレコード)

●2008.10.3発売
『ゴッドファーザー』コッポラ・リストレーション DVD BOX(パラマウント)

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●2008.10.9発売
『愛人関係』(ユニバーサル・ピクチャーズ)
『ディア・ハンター』製作30周年記念コレクターズ・エディション(ユニバーサル・ピクチャーズ)

●2008.11.7発売
ピクサー・ショート・フィルム&ピクサー・ストーリー 完全保存版(ウォルト・ディズニー)

『男の傷』(1981)

『男の傷』
原題:Cutter's Way(1981)

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 偶然に犯罪の現場に出くわした男が、犯人らしき人物を町で見かけ、妄想癖のある親友にそそのかされて恐喝行為に及ぶ。しかし、彼らの愚行の代償はあまりに大きかった……。陽光溢れるカリフォルニアの海岸の町を舞台にした、異色のノワールドラマ。『ビッグ・リボウスキ』(1998)の元ネタ的作品としても有名なカルトムービーだ。

 脚本はジェフリー・アラン・フィスキン。監督はチェコ出身の異才、アイヴァン・パッサー。『火事だよ! カワイコちゃん』(1967)など、初期のミロシュ・フォアマン作品で共同脚本や助監督を務めた後、アメリカに亡命し、ジョージ・シーガル主演の隠れたニューシネマの秀作『生き残るヤツ』(1971)を監督した人物だ。

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〈おはなし〉
 カリフォルニアの風光明媚な住宅地サンタバーバラ。主人公リチャード・ボーン(ジェフ・ブリッジス)は、昼間はボートのセールス、夜はジゴロなどをして小遣いを稼ぐ、無為な毎日を送っていた。ある雨の夜、彼はたまたま死体遺棄の現場に出くわし、警察に容疑者としてしょっぴかれてしまう。ゴミ箱に棄てられていた遺体は、17歳のチアリーダーだった。

 釈放されたボーンは、親友のアレックス・カッター(ジョン・ハード)と、その妻モー(リサ・エイクホーン)と共にパレード見物へ出かける。カッターはベトナム戦争で片目・片腕・片脚を失って以来、酒びたりとなって様々なトラブルを起こし、夫婦関係にも亀裂が入っていた。ボーンはモーに同情しながらも、厄介者のカッターを見捨てることができなかった。

 その時、ボーンはパレードの中に見覚えのある顔を見つける。あれは昨晩、少女の死体を捨てていた男だ! それは町の有力者コード(スティーヴン・エリオット)だった。カッターはその話を聞き、警察の代わりに自分たちの手でコードに天誅を下そうと言い出す。被害者の姉(アン・デューセンベリー)まで巻き込み、勢いだけでずさんな恐喝計画を練り上げるカッター。ボーンは自分のおぼろげな記憶が生んだ勘違いかもしれないと説得するが、もはやカッターの思い込みは、日頃の社会に対する苛立ちとも相まって、後戻りのきかないところまで来ていた……。

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 犯罪スリラー的な体裁を取りながらも、妄想だけで暴走するエキセントリックな男の姿を追うブラックコメディのようでもあり、人生に負けのこんできた男たちの焦燥とささやかな反逆を描いた、男泣き友情ドラマでもある。主軸となる素人探偵ミステリーの部分では『ビッグ・リボウスキ』と同様、推理劇なんて一方からの視点だけで見れば単なる妄想にしか見えない、という事実を喝破している。

 本作ではそれと並行して、ある破綻した夫婦とその友人が辿る、破滅的な愛のドラマも丹念に描かれていく。中盤では、もはやストーリー上のメイン/サブの識別は失われ、ボーンとモーが一線を越えていく不倫のドラマこそが本筋となっていく。単純な推理サスペンスを期待すると、そのあたりは退屈かもしれないが、アイヴァン・パッサーの繊細な演出が、微妙な関係性のドラマを見応えあるものにしている。

 しかし見事なのは、双方のプロットが巧みに影響しあい、結びつき、やがてカタルシスに満ちたラストシーンへと至るシナリオの組み立てだ。特に感心したのは、カッターが無茶な行動に走る動機の裏には、主人公ボーンのいい加減な憶測や、責任から目を背けてしまう人間性が、常にきっかけとしてある点。その負い目・罪悪感から、ボーン自身も愚行に加担せざるを得ない。実にノワール的な破滅のメカニズムであり、非常に優れた構造の心理劇として完成されている。

 普通に観ると、なんともとらえどころのない、物語の着地点を容易には明らかにしない茫洋とした作品だが、それが一種独特のスリリングな面白さを生んでいる。その現実感の希薄な白日夢的感覚を増幅させているのが、ジョーダン・クローネンウェスの撮影と、ジャック・ニッチェの音楽である。

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 本作の翌年に『ブレードランナー』(1982)の撮影を手がけるクローネンウェスは、ここでもスモークや霧雨といった小道具を使い、随所に美しい光を作り出している。スモークを焚きすぎて人物の顔が全然見えないほどのショットもあり、監督のパッサーと現場でどんなやりとりがあったのか気になるところだ。でも実は、それらの「いかにも映像派」な部分より、ただ明るいだけではないカリフォルニアの澱んだ空気を捉えたロケシーンや、しっとりしたアンバー系の色合いが美しい室内ショットなどの方が、クローネンウェスの巧さを堪能できる。

 そして、グラスハープの幻想的な音色をフィーチャーした、ジャック・ニッチェのシュールな音楽。どこかユーモラスな雰囲気すら漂わせるメロディが、この物語の解釈をひたすらはぐらかし続ける一助となっている。それでいながら、クライマックスでは主人公たちの愚かな挑戦に対する共感のトライアンフとして勇壮になり響くのだ(それが幻影に過ぎないとしても、という意味も込めて)。非常に作品への貢献度の高いスコアである。タランティーノは『デス・プルーフinグラインドハウス』(2007)のオープニングで、ニッチェ作の『Village of the Giants』(1965)の音楽をフィーチャーしていたが、作風の180度違う本作のスコアも含め、改めてその仕事を振り返りたくなった。

▼米国版VHSジャケット
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 丹下左膳かシルヴァー船長かというルックスで、常に怒りと苛立ちをたぎらせている男・カッターのキャラクターが何しろ強烈。演じるジョン・ハードのパワフルな演技も圧倒的だ。監督のパッサーは彼の出演する『オセロ』の舞台公演を見て、もっと有名な俳優を望んだ映画会社の意見を突っぱね、ハードの起用に固執したという。最近では『ホーム・アローン』シリーズのお父さん役ぐらいしか印象に残っていないが、そのキャリアの初期では大変な性格俳優だったことが、本作を観ると分かる。社会との協調性をまるで持ち合わせていないカッターのキャラクターは、そのまま『ビッグ・リボウスキ』のジョン・グッドマンに受け継がれているが、インパクトは断然ジョン・ハードの方に軍配が上がる。

 主人公ボーンを演じたジェフ・ブリッジスの、中途半端でだらしない佇まいもリアルだ。常に面倒事を避け、根なし草のようにしか生きられない「ハンサムな負け犬」を絶妙に演じている。モー役のリサ・エイクホーンも、疲れた美しさと色気を醸し出しながら、破滅に飲み込まれる女性を好演。冒頭ではロバート・アルトマン監督の『ロング・グッドバイ』(1973)へのオマージュか、ニーナ・ヴァン・パラントが有閑マダム役で顔を見せている。

▼アメリカ公開時のポスター
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 本作はアメリカでも、一部の劇場でひっそりと公開されただけだったとか。映画の内容的にも相当売りにくかっただろうが、ちょうど宣伝時期が製作会社ユナイテッド・アーティスツの首脳陣交替のタイミングと重なり、政治的思惑から邪険に扱われたことも原因らしい。後々、映画マニアの間でカルト的な評価を獲得していくことになるが、もしも当時から注目されていれば、ジョン・ハードにもアイヴァン・パッサーにも違う未来が開けていたのではないか。日本ではTV放映されたのみ。地味な映画なのでDVD化は難しいかも。

 とはいえ、個人的にはムチャクチャ感動した。なんといってもラストが死ぬほどかっこいい。不条理な悲劇的エンディングでもあり、男泣き必至のクライマックスでもあり、フィルムノワールとしても実に美しい幕切れ。正統派ミステリ・ファンには薦めにくいが、ノワール好きには必見の作品と云える。

・DVD Fantasium
DVD『男の傷』(米国盤・リージョン1)

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『The Statement』(2003)

『The Statement』(2003)

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 マイケル・ケインがナチス・ドイツに協力したフランス人の戦犯を演じる、社会派スリラーの秀作。戦後50年を経て何者かに命を狙われる男の逃走劇と、彼を生かしたまま逮捕しようとする女性判事と陸軍将校の奔走をスリリングに描く。ブライアン・ムーアによる小説『逃走』を、『戦場のピアニスト』(2002)のロナルド・ハーウッドが脚色し、『夜の大捜査線』(1967)の社会派ノーマン・ジュイソンが監督を務めた。「Statement」とは声明文書の意味で、ここでは主人公への制裁宣告書のことをさしている。

 ケインを筆頭とするキャスト陣が何しろ豪華で、彼らの巧演を観ているだけでも飽きない。『フィクサー』(2007)のティルダ・スウィントン、『ゴスフォード・パーク』(2001)のジェレミー・ノーサム、『死にゆく者への祈り』(1987)のアラン・ベイツ、『ブラザー・ハート』(2003)のシャーロット・ランプリング、『バロン』(1989)のジョン・ネヴィル、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007)のキアラン・ハインズと、折り紙付きの演技派揃い。フランスが舞台で、登場人物もみんなフランス人なのに、主要キャストはイギリス人ばかりという妙な映画でもある。その違和感に慣れれば楽しめる作品だが、そうでないとキツいかも。

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〈おはなし〉
 第2次大戦中のフランスで、ナチス・ドイツの協力者として多くのユダヤ人を処刑した男、ピエール・ブロッサール(マイケル・ケイン)。50年後、処刑されたはずの彼は、カソリック教会内の政治分子による庇護を受け、素性を隠して南仏で隠遁生活を送っていた。

 ある日、ブロッサールはユダヤ系とおぼしき暗殺者に狙われ、とっさの機転で返り討ちにする。だが、次の追っ手が必ずまたやってくるはずだ。ブロッサールはすかさず逃走を開始し、心臓の持病を抱えた老体に鞭打ちながら、各地を転々とする。はたして彼に未来はあるのか。彼の命を狙う組織の正体とは?

 一方、ユダヤ人の父を持つ野心的な女性判事リーヴィ(ティルダ・スウィントン)は、戦犯ブロッサールを今日まで庇護してきた政府内の大物を突き止めるべく、陸軍大佐ルー(ジェレミー・ノーサム)と共にその行方を追う。戦中のヴィシー政権でナチスに協力しながら、戦後も国内政治の中核に居座り、ブロッサールを守ってきたのは誰なのか。なんとしても彼が消される前に身柄を拘束し、証言を得なければならない。ブロッサールの過去を探るふたりの前に、今も生き長らえる歴史の闇が浮かび上がる……。

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 ブロッサールを演じるマイケル・ケインが、とにかく素晴らしい。過去の罪に追いつめられ、神の加護にすがり続ける老人の焦燥、狼狽、あがきを見事に演じている。『狙撃者』(1971)のジャック・カーターを始め、クールでバイタリティに富んだ人物を多く演じてきたケインとは到底思えない、迫真の哀れさというべきか。「かっこいいマイケル・ケイン」のファンは覚悟して観た方がいい。逆に言えば、およそ観客のシンパシーの対象となりえない戦犯ブロッサールを、老いてなお魅力的なスターであるケインが演じるからこそ、観客はその行く末を案じることができるのだ。時折見せる殺人者としての表情も、さすがにサマになる。ケイン本人は、インタビューで「今まで演じた人物の中でいちばん気に食わん奴だね。フランス人のナチ野郎なんて、私にとっては火星人と同じくらい遠い存在だ」などと語ったりしているが、それでも素晴らしい熱演であることは否定しようがない。

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 共演陣の中では、やはりティルダ・スウィントンの颯爽とした魅力が際立っている。クールな美貌と男っぽいキャラクターが好バランスで、こういう人間味溢れる彼女の芝居をもっと見たいと思わせる。コンビを組むジェレミー・ノーサムのちょっと昼行灯っぽい風情もいい。ハンサムだし演技もうまいし、もうちょっと人気が出てもいい俳優だと思う。出番は少ないが、ブロッサールの別れた妻を演じるシャーロット・ランプリング、フランス首相を演じるアラン・ベイツの好演も印象的。ブロッサールの捜査を巡ってベイツとスウィントンが会話を交わすシーンは、洒脱ながら見応えがあって素晴らしい。劇場作品としては、これがベイツの遺作となった。

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 この作品が面白いのは、ユダヤ人虐殺という大罪を犯した男に対し、カソリック教会が親身になって世話をし続け、神父たちが臆面もなく同情の態度を示すという描写だ。それはブロッサールが熱心なカソリック信徒であり、“シュヴァリエ・ド・サン・マリー”という謎の一派に名を連ねる重要人物であり、教会に影響力のある「大物」の強い意向が働いているからだ。そのおかげで、彼の罪は実質的に許されている。それは決して「神の愛」などではない。そんな教会の歪んだ体質を、ハーウッドの脚本はシンプルに浮かび上がらせることに成功している。

 監督のノーマン・ジュイソンはユダヤ人であり、そのメンタリティを作品中に反映させることも多いが、本作では「許されざる者」ブロッサールをつとめて冷静に、一個の弱い人間として描いている。単純な悪人として断罪せず、神父の一人に「当時の彼は、多くの若者がそうであるように愚かだったのだ」という台詞まで言わせ、その評価はあくまで観客に委ねられる。この冷静さは、老境に達したジュイソンだからこそ描き得た境地ではないだろうか。

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 ジュイソンの演出はきわめて職人的で、そつがない。無駄やケレンを排したオーソドックスな語り口で、テンポのいいエンタテインメント作品に仕上げている。題材の重さに比べるとやや軽めな印象も含めて、近年のジョン・ブアマン作品を思い出した(あそこまで削ぎ落としてはいないけど)。撮影はジュイソン監督の息子で、仏製アクション『ザ・コード』(2002)の撮影も手がけているケヴィン・ジュイソンが担当。風光明媚なフランスの風景を、プレーンな映像で美しく捉えた画作りに好感が持てる。

 せっかくの良作なのに、日本未公開はもったいない。歴史や宗教に明るくないと分からない部分も多かったので、できれば字幕つきでもう一度観てみたいと思った。

・DVD Fantasium
DVD『The Statement』(米国盤・リージョン1)

・Amazon.co.jp
原作本『逃走』(DHC出版)

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『韓国の丘』(1956)

『韓国の丘』
原題:A Hill in Korea(1956)

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 朝鮮戦争を舞台にした、英国製戦争アクションの佳作。敵軍に包囲され、丘の上の寺院に追い詰められた英軍小隊の攻防戦を、70分というタイトな尺で手際よく見せていく。頼りなさげな若い隊長と個性的な部下たちのキャラクター描写も、なかなかうまい。実際に元軍人だった『ジョーカー野郎』(1967)のハリー・アンドリュースや、『エヴァの匂い』(1960)のスタンリー・ベイカーなど、印象的な顔の役者を多く揃えているためでもある。さすが、性格俳優の数では事欠かないイギリス映画らしい。

 この小品が有名なのは、マイケル・ケインの映画デビュー作だからだ。兵卒の一人として登場する彼は、ちょっとノーブルな雰囲気の漂う細身の美青年といった感じ。そしてものすごく若い(当たり前だ)。前半はずっとフレームの外にいるが、後半では何度かアップにもなる。台詞もいくつかあって、スタンリー・ベイカー演じる仲間の兵が死んだ時に「惜しいな、骨のある奴だったのに」とか言い捨てる軽い感じが、いかにもケインぽかった。喋ると確かに『狙撃者』(1971)というか『Pulp』(1972)のイメージとも重なる。ちなみにケインだけでなく、『雪崩』(1970)や『ジョーズ』(1975)のロバート・ショウも顔を見せている(前半で死んでしまう役だけど)。

 とにかくシンプルに物語が進行する代わり、英軍兵士たちのドラマ以外には目もくれない。朝鮮は砂と土しかない未開の地として描かれるだけで、台詞のある朝鮮人も通訳兵一人だけ(それもおそろしく無個性)。口の悪いイギリス人兵士たちが「気が滅入るほど何もないな」「こんな村さっさと焼き払っちまえ」「あいつらには文化を楽しむ習慣がないんだ」とか散々こきおろしても、なんのフォローもない。そういう時代の映画である(今の戦争映画も実は大して変わらないかもしれないけど)。そんな兵士たちのボヤキが何度も繰り返されるところも、イギリス映画らしいといえばらしい。

 製作・脚本はイアン・ダリンプルとアンソニー・スクワイア。監督はジュリアン・エイミーズ。劇場作品は数本しか撮っておらず、主にテレビで活躍した人で、『ハロルド・ピンター/誰もいない国』(1978)の演出も手がけている(そっちはあんまり大した仕事ではなかったけど)。撮影を手がけたのは、のちに映画監督となってアミカス・ホラーを多く手がけ、『エレファント・マン』(1980)でキャメラマンとして復帰した名手フレディ・フランシス。編集のピーター・ハントも、『女王陛下の007』(1969)で監督デビューした才人だ。

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『Futurama:The Beast with A Billion Backs』(2008)

『Futurama:The Beast with A Billion Backs』(2008)

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 SFアニメ『Futurama』オリジナル長編シリーズの第2弾。前作『Bender's Big Score』(2007)のラストで出現した宇宙の裂け目から、未知の生命体がやってくるというストーリーを主軸に、フライ、ベンダー、エイミーとキフらのドラマが交錯していく。

 前作からの流れを全く無視してフライとイイ仲になるヒロイン・コリーンの声を演じるのは、ブリタニー・マーフィー。テレビアニメ『キング・オブ・ザ・ヒル』のレギュラーキャストでもあるので、さすがにアテレコには慣れている様子。そしてTVシリーズにも何度か出演している理論物理学者スティーヴン・ホーキング博士も、本人役で登場する(もちろん人工音声で)。

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〈おはなし〉
 突如として現れた宇宙の裂け目を、人々がだんだん気にしなくなった頃。プラネット・エクスプレス社の仲間であるエイミーが、婚約者のキフと婚礼をあげることになった。フライは新しいガールフレンドのコリーンを伴い、キフの母星で行われたセレモニーに出席する。

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 フライとコリーンも順調に愛を育み、ついに2人は同棲することに。ところがコリーンの暮らすアパートには、フライの他に何人もの恋人たちが同居していた。最初のうちは我慢していたものの、結局は耐え切れず彼女の家から飛び出してしまうフライ。

 数日後、宇宙の裂け目を閉じるべく、高性能爆弾を搭載した戦艦が地球を出航する。指揮官のブラニガン艦長と共に、もちろん副官のキフも同行。だが、キフは誤って爆弾もろとも宇宙へ発射され、悲惨な事故死を遂げてしまう。悲しみに暮れるエイミー。

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 こっそり乗艦していた傷心のフライは、宇宙服を着て裂け目へと向かう。自分以外の誰もいない場所を求めて。ところが、裂け目の向こう側には未知の生命体が待ち構えていたのだ! フライは思いもよらぬかたちで地球へと帰還する。何億という触手を持ち、星ほどの大きさを誇る巨大生命体・イーヴォとともに。地上の人々はその触手に捕えられ、身も心も支配されていく。

 そんなパニックをよそに、ベンダーは親友フライに見捨てられた寂しさから、フリーメイソンまがいの「ロボット同盟」に入信していた。打倒人間を掲げながら、実はハイソな社交クラブでしかない組織に不満を感じた彼は、ラジカルな主義主張で独自の地位を確立していく。そしてついに、ロボット軍団を率いて蜂起するのだが……?

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 前半はバラバラのエピソードをラフに繋ぎ合わせたような印象で、正直まとまりに欠ける。それに、タイトルになっている「10億の背中を持つケダモノ」がなかなか出てこないので、やきもきさせられてしまう。

 しかし後半、一風変わった地球侵略ストーリーが巨大なスケールで展開し始めると、ぐいぐい引き込まれていく。イーヴォ(Yivo)と呼ばれる巨大生命体は、台詞だと“Evil”=悪に聞こえるが、これが実は引っかけ。(以下、ややネタバレ)

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『Futurama:Bender's Big Score』(2007)

『Futurama:Bender's Big Score』(2007)

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 『ザ・シンプソンズ』の生みの親として知られるマット・グレーニングが、原案・プロデュースを手がけたテレビアニメシリーズ『Futurama』。31世紀のニューヨークを舞台に、20世紀生まれのボンクラ青年フライと、酒びたりのダメロボット・ベンダーを始めとする仲間たちが繰り広げる、ハチャメチャな冒険と日常を描いたSFコメディだ。シリーズの大まかな内容については、下記リンク参照。

・『Futurama』 First Series(1999)
・『Futurama』 Second Series(1999-2000)
・『Futurama』 Third Series(2001-2002)
・『Futurama』 Fourth Series(2002-2003)

 1999年から4シーズンにわたって放映され、一部のファンからは「『ザ・シンプソンズ』よりも面白い」とカルトな人気を博しながらも、放送局フォックス・ネットワークは2003年に番組を打ち切ってしまう。作り手もファンも突然の終了を悲しみ、再開を望む声も多かった。そして2006年、ようやくオリジナルスタッフによって製作再開が決定。4本の長編オリジナルストーリーがDVDでリリースされることになり、その第1弾として2007年11月に発売されたのが、本作『Bender's Big Score』である。

 4年ぶりの新作ということで、期待と不安が入り混じりつつ観てみたら、予想以上に素晴らしい出来栄えだった。あらゆるギャグを満載した相変わらずの面白さと、映像・ストーリーの両面で長編らしい見応えを兼ね備えた、意欲的な力作に仕上がっている。ブランクをものともしないスタッフの仕事ぶりに感動した。

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〈おはなし〉
 西暦3007年。主人公フライたちが働く宇宙宅配便「プラネット・エクスプレス」社は、親会社の「ボックス・ネットワーク」によって営業停止となっていた。しかし、ボックス社のバカ重役どもが全員おっ死んだので、めでたく営業再開!

 ところがそれも束の間、会社は強欲なエイリアンたちの詐偽によって乗っ取られてしまった。彼らはさらに“情報”をかぎつける嗅覚を駆使し、なぜかフライの尻に彫られていたベンダーの刺青に、ある重大な秘密が隠されているのを突き止める。そこには、パラドックス抜きでの時間移動を可能にするタイムホールの召喚コードが隠されていたのだ! ベンダーはエイリアンたちにコンピュータ・ウィルスを仕込まれて下僕と化し、タイムホールを乱用して泥棒を繰り返す。巨万の富を得たエイリアンたちは、ついに地球の乗っ取り計画までスタートさせた。

 一方、フライが想いを寄せ続けている一つ目美女のリーラは、最近ラーズというハゲの中年男と急接近中。どうやら彼女は今度こそ“運命の人”と出会ってしまったらしい。傷心のフライは、自らタイムホールを召喚し、西暦2000年に戻って人生をやり直そうとする。そこへ、コードを知るフライ抹殺の命を帯びたベンダーもやってきて……。

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 TVシリーズ同様、様々なサブストーリーが盛り込まれているが、前半の主軸となるのは詐欺師エイリアンたちの悪だくみと、タイムトリップによって巻き起こる騒動。後半では、千年の時を越えたフライとリーラの一途なラブストーリーへと比重が傾いていく。脚本を手がけたのは、第3シリーズの「Time Keeps on Slippin'」など、数々の秀作エピソードを手がけているメインライターのひとり、ケン・キーラー。複雑に入り組んだ時間SFのプロットを、多少荒っぽいながらも大胆な引っ張り方で見せきる手腕はさすが。とはいえ、途中からいきなり過去と現在のスイッチバック形式で物語が進み始め、叙述のスタイルが一変するあたりは、賛否が分かれるかもしれない。TVシリーズのエピソードと辻褄が合わなくなる部分も出てきたりする。しかし、その無頓着な語りの自由さが、最終的には意外な感動をもたらすので侮れない。本作では時間SFを切ないラブストーリーとして見事に着地させ、ジャック・フィニィの伝統に則ったSFの醍醐味を感じさせてくれる。

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 複雑なプロットを展開させていく上で大いに役立っているのが、隅々にまで詰め込まれたギャグ。とにかくその物量たるや凄まじく、ストーリー的に視聴者が混乱する暇を与えない。のっけから放送局フォックスに喧嘩を売ったり(BOXのネオンが壊れていて「FOX」に見えるというアイディアが秀逸)、主要キャラが途中で首を切断されたり、やたらと登場人物の尻ばっかり露出したり、アル・ゴアが大統領選に敗れた衝撃的理由が判明したり……。中学生レベルの下ネタからスラップスティックな破壊的ギャグ、ウィットに富んだ政治ネタまでが矢継ぎ早に繰り出される。ライタールームはきっと戦場なんだろうなあ、と思いを馳せてしまうほど。

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 ビリー・ウェストを始め、レギュラー声優陣の演技が相変わらず絶好調なのも嬉しい。歳月を感じさせずに同じ役を演じられるのも、プロの声優さんの素晴らしさ。特に今回は、ウェストの巧みな声の演じ分けが特別な感動を呼ぶのだ。ウェストは実際に4年という歳月を経て、主人公フライの声を変わらぬ調子で演じつつ、フライが20世紀に戻ってやり直す「もうひとつの人生」の歳月も見事に演じ分ける。その「不変」と「成熟」は、今回の作品自体のキーであり、現実に『Futurama』再開までに費やされた時の流れをも伝えるようで、非常に感慨深いものがある。

 千年の眠りを経て目覚めた青年フライの成長物語である『Futurama』において、常に“時間”は重要なテーマであった。切なくも美しいどんでん返しが待ちうける『Bender's Big Score』は、ある種、フライの辿ってきた長大な旅の到達点を描くクライマックスでもある。もちろん、それはパラレルな結末のうちのひとつにすぎないけれども。

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 随所に現れる過去のエピソードの引用や、愛すべきサブキャラたちの再登場も、ファンにとっては嬉しい。みんな大好きヒプノトード様もしっかり登場する。本作単体で観ても十分に面白いが、やはりTVシリーズを観ていた方が遥かに楽しめるのも事実。とりあえず第1シリーズの「Space Pilot 3000」、第2シリーズの「Xmas Story」「Anthology of Interest I」「The Cryonic Woman」、第3シリーズの「A Tale of Two Santas」「The Luck of the Fryrish」「Godfellas」、第4シリーズの「Jurassic Bark」「The Why of Fry」は観ておいたほうがいいかもしれない。

 カメオ出演陣の顔ぶれも長編だけあって豪華。もはや常連となったアル・ゴアを筆頭に、クーリオ、サラ・シルヴァーマンなどが再登場するほか、あのルーク・スカイウォーカーことマーク・ハミルが“ハヌカ・ゾンビ”役でミュージカル・パートに出演!(なんのこっちゃ)

 映像の密度もHDフォーマット化によってグレードアップ。デジタル技術の進歩も大きな影響を与えており、特にクライマックスで展開するフルCGの宇宙船バトルは、TVシリーズ放映当時では表現できなかったであろう迫力。そのあたりのクオリティの違いも見どころだ。第2弾『Futurama:The Beast with A Billion Backs』への期待も否応なしに高まる快作である。

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・DVD Fantasium
DVD『Futurama:Bender's Big Score』(米国盤・リージョン1)
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「PLUS MADHOUSE 2 川尻善昭」発売/「TRASH UP!!」情報

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 『妖獣都市』『獣兵衛忍風帖』『鉄腕バーディー』『バンパイアハンターD』などの傑作群で知られ、『マトリックス』のウォシャウスキー兄弟にも多大な影響を与えた“ジャパニメーション”の巨匠・川尻善昭。その作品の魅力に迫った書籍「PLUS MADHOUSE 2 川尻善昭」(キネマ旬報社刊)が、今日から発売になります。僕も編集スタッフ・ライターとして参加しました。ブログではあんまり本業については書いてないんですが、今回は結構がんばったつもりなので、もしよかったら手に取ってみてください。

 すでに一部の大型書店やアマゾン、川尻監督の最新長編『HIGHLANDER ハイランダー ?ディレクターズカット版?』の公開劇場などでは先行販売されているので、見かけた方もいるかもしれません。わりとボリュームもあって、ライター陣やゲスト陣もバラエティに富んだ濃密な本なので、関わった自分が言うのもナンですがお薦めの一冊です。ぜひこれをきっかけに、傑作揃いの川尻作品がもっともっと日本の映画ファンに見られればいいと思っています。こんなに面白いのに、日本よりも海外の方で圧倒的に評価されているというのは、ちょっと悲しい気がするので。

 西部劇と時代劇を愛し、ロバート・アルドリッチとウォルター・ヒルが好きだと公言し、毎作きっちりタイトで豊潤な娯楽活劇を作り続けている職人監督の仕事を、今こそ映画ファンに観てもらいたい。と、心底願って止みません。

 本の詳細は以下のとおり。ちなみに僕は、ライターとしては主に作品解説を担当しております。

「PLUS MADHOUSE 2 川尻善昭」
価格/2310円(税込)
A5判・192頁
発行/キネマ旬報社

・巻頭カラーページ(30頁)
・川尻善昭監督ロングインタビュー
・作家論(野村正昭、パトリック・マシアス[町山智浩訳]、樋口尚文、塩田時敏、津堅信之)
・作画監督座談会(浜崎博嗣+箕輪豊+阿部恒)
・関係者コメント(菊地秀行、マイケル・アリアス、篠原恵美、丸田順吾、三間雅文)
・川尻善昭監督作品解説
・川尻善昭マニアックス
・主要作品詳細データ
・川尻善昭フィルモグラフィー

 7月12日には池袋・新文芸坐で「川尻善昭オールナイト」が開催されます。川尻監督のトークショーつきで、傑作4本がいちどに見られるチャンスなので、ぜひ! 特に集大成的傑作『バンパイアハンターD』の久々のフィルム上映は見逃せません。『妖獣都市』と『獣兵衛忍風帖』はプリントが現存していないためDVD上映になりますが、それでも新文芸坐の大スクリーンで見られるのは貴重。会場では「PLUS MADHOUSE 2 川尻善昭」の販売もあります。

アニメスペシャル(5) 『HIGHLANDER ハイランダー ?ディレクターズカット版?』公開記念
川尻善昭ナイト
7月12日(土)22:30開演(翌5:20終演予定)

22:30? 川尻善昭監督トークショー
23:25? 『妖獣都市』(1987)※DVD+ビデオプロジェクタ上映
0:55? 『獣兵衛忍風帖』(1993)※DVD+ビデオプロジェクタ上映
2:40? 『バンパイアハンターD』(2000)
4:30? 『迷宮物語』(1987)

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 それと、しばらく売り切れ状態になっていたファンジン「TRASH UP!!」が増刷されました。新宿ビデオマーケットや新宿NATレコードなどで発売中とのことです。僕はマシュー・ブライト論を書かせてもらってます。2号目の原稿もダラダラ進行中……(すいません、なるべく早く上げます)。

 7月12日は高円寺ミッションズというライブハウスで、映画秘宝の人気ページ「DEVILPRESS」と「TRASH UP!!」、伝説のサタニックメタルバンド「GENOCIDE」の共同プレゼンツによる、「大悪魔祭」という非常に楽しそうなライブイベントもあるので、お時間のある方はぜひ。「川尻善昭オールナイト」と思いっきり被ってますが……。

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DEVILPRESS×TRASH-UP!!×GENOCIDE presents!!
大悪魔祭

〈出演〉
DARKSIDE MIRRORS
 東京発サイケデリック・パンクバンド。圧倒的なライブ・パフォーマンスが話題を呼んでいる。
INCAPACITANTS
 美川俊治と小堺文雄によるノイズ・ユニット。雑音と騒音の帝王。
SUICIDAL 10CC(中原昌也+ジム・オルーク)
 奇才2人による、謎の音響ユニット。
SIGH
 日本が誇るカルト・ブラックメタルバンド。海外における影響度も高い。
GENOCIDE nippon
 80年代から活躍する伝説のサタニックメタルバンド。

7月12日(土)PM5:30開場  PM6:6:6開演
当日3,000円 前売り2,500円
会場:高円寺ミッションズ

欲しいDVDリスト・海外編[2008.7+α]

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 ケン・ラッセル監督の大傑作『肉体の悪魔』のDVDが今年ようやくリリース! と聞いて楽しみにしてたら、デマだったと知って思わず「God damn!!」とそのまんま叫んじゃった洋盤DVDリストのお時間です。多忙のため長いことお休みしてしまったので、今回は7月リリース分を中心に、紹介しそびれた既発売分もまとめて紹介します。各商品タイトルのリンク先はDVD FantasiumAmazon.co.ukなど各国の通販サイト。

●発売中
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『シリアル・ママ』 Serial Mom: Collector's Edition(1994)
米国盤。ジョン・ウォーターズ監督の傑作コメディが豪華特典付きで再リリース。監督と主演女優キャスリーン・ターナーの音声解説のほか、「血まみれ映画の帝王」ハーシェル・ゴードン・ルイスの紹介映像なども収録。(Universal)

『The Night They Raided Minsky's』(1968)
米国盤。ダンサーを夢見てニューヨークに来たアーミッシュの女性がストリッパーになってしまうコメディ。主演はブリット・エクランド、監督はウィリアム・フリードキン!(MGM/UA)

『Tread Softly Stranger』(1958)
英国盤(PAL)。イギリスの金髪グラマー美女ダイアナ・ドース主演の犯罪スリラー。(Odeon Entertainment)

『They Made Me A Fugitive』(1947)
英国盤(PAL)。トレヴァー・ハワード主演の英国製フィルムノワール。監督は『悪魔と寵児』のアルベルト・カヴァルカンティ。(Odeon Entertainment)

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『Cassandra's Dream』(2007)
米国盤。ウディ・アレン監督の新作スリラー。ユアン・マクレガーとコリン・ファレルの兄弟が、ふとしたことから犯罪に手を染めていく。(Genius Products)

『キング・オブ・ジプシー』 King Of The Gypsies(1978)
米国盤。ニューヨークに実在したジプシーの一族の愛憎模様を、三世代間にわたって描くドラマ。主演はエリック・ロバーツとブルック・シールズ。(Paramount)

『The Possession Of Joel Delaney』(1972)
米国盤。黒魔術をモチーフにしたシャーリー・マクレーン主演のスリラードラマ。監督は『小さな恋のメロディ』のワリス・フセイン。(Paramount)

『がい骨』 The Skull(1965)
米国盤。英国アミカス・プロが製作したオムニバスホラーの1本。原作はロバート・ブロック、監督はフレディ・フランシス。(Paramount)

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『赤ちゃんよ永遠に』 ZPG: Zero Population Growth(1972)
米国盤。厳しい産児制限が敷かれた近未来、法に背いて子供を産もうとするカップルの姿を描いたディストピアSFの秀作。主演はオリヴァー・リードとジェラルディン・チャップリン。(Paramount)

『ワン・アンド・オンリー』 The One and Only(1980)
米国盤。コメディの名手カール・ライナー監督による、芸人志望の大学生を主人公にした青春ドラマ。主演はヘンリー・ウィンクラーとキム・ダービー。(Paramount)

『マンディンゴ』 Mandingo(1975)
米国盤。奴隷問題をテーマに赤裸々な愛憎ドラマが描かれる、リチャード・フライシャー監督のムチャクチャな傑作。待望のDVD化。(Paramount)

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『Futurama: The Beast With A Billion Backs』(2008)
米国盤。マット・グレーニング原案のSFアニメ『Futurama』の長編第2弾。スタッフ・キャストの音声解説や未公開シーンなど特典も満載。(Fox)

『In Bruges』(2008)
米国盤。殺し屋コンビがベルギーの古都ブルージュを舞台に繰り広げるコメディ。主演はコリン・ファレルとレイフ・ファインズ。(Universal)

『Honeydripper』(2007)
米国盤。ジョン・セイルズ監督がブルース酒場を営む男の哀歓を綴るヒューマンドラマ。主演はダニー・グローヴァー。(Universal)

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『情欲』 Maid in Sweden(1969)
米国盤。スウェーデン産のエロティックドラマ。クリスティナ・リンドバーグ演じる田舎娘のヒロインが大都会でさまざまな出来事を経験する。(Impulse Pictures)

『千の顔を持つ男』 The Man of a Thousand Faces(1957)
米国盤。ジェームズ・キャグニーが『オペラの怪人』などで知られる怪奇映画スター、ロン・チェイニーを演じた伝記映画。(Universal)

『決死圏SOS宇宙船』 Journey To The Far Side Of The Sun(1969)
米国盤。『サンダーバード』などを手がけたジェリー・アンダーソンによるSFスリラーの秀作。大陽を挟んだ向こう側にある謎の惑星に向かった宇宙飛行士は、そこが地球の逆転世界であることを知る。(Universal)


●2008.7.1発売
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『Daniel』(1983)
米国盤。1950年代にソ連のスパイとして処刑された青年の実話を基にしたドラマ。監督はシドニー・ルメット、原作・脚本はE・L・ドクトロウ。主人公ダニエルをティモシー・ハットンが演じる。(Legend Films)

『間抜けなマフィア』 The Busy Body(1967)
米国盤。ウィリアム・キャッスル監督がドナルド・E・ウエストレイクの小説を映画化した犯罪コメディ。(Legend Films)

『ハメルンの笛吹き』 The Pied Piper(1972)
米国盤。ジャック・ドゥミ監督がドイツの民話「ハメルンの笛吹き」を映画化したファンタジー。主演はイギリスのフォークシンガー、ドノヴァン。(Legend Films)

『Drillbit Taylor : Unrated Extended Survival Edition』(2008)
米国盤。オーウェン・ウィルソン扮する元軍人のホームレスが、いじめられっ子の高校生に用心棒として雇われるコメディ。(Paramount)


●2008.7.8発売
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『Flakes』(2007)
米国盤。異才マイケル・レーマン監督の新作ラブコメディ。主演はズーイー・デシャネル。(ThinkFilm)

『The Tracey Fragments』(2007)
米国盤。『JUNO』のエレン・ペイジが主演したインディペンデント映画。シャワーカーテン1枚だけを身にまとった少女が、行方不明の弟を捜してさまよう。(ThinkFilm)

『Gurren Lagann Vol.1 : Special Edition』(2007)
米国盤。ADVからリリースされるはずが発売中止になっていた今石洋之監督のヒットアニメ『天元突破グレンラガン』が、別メーカーから無事にリリース決定。1?9話を収録。CD付きスペシャル・エディション。(Bandai Entertainment)

『Sleepwalking』(2008)
米国盤。母親に棄てられた娘アナソフィア・ロブと、彼女を預かる祖父デニス・ホッパー、心優しい叔父ニック・スタールが織り成すシリアスな人間ドラマ。(Anchor Bay/Starz)


●2008.7.14発売
「Richard Attenborough - Screen Icons Collection」
英国盤(PAL)。イギリスの名優リチャード・アッテンボローの出演作から初DVD化作品を含む5本をセレクトしたDVD-BOX。収録タイトルは『THE SHIP THAT DIED OF SHAME』『BRIGHTON ROCK』『激戦ダンケルク(DUNKIRK)』『THE MAN UPSTAIRS』『ANGRY SILENCE』。(Optimum Home Entertainment)


●2008.7.15発売
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『Meet Bill』(2007)
米国盤。アーロン・エッカートが製作総指揮・主演を務めたコメディドラマ。共演はジェシカ・アルバとエリザベス・バンクス。(First Look)

『Trapped Ashes』(2007)
米国盤。ショーン・S・カニンガム、ジョン・ゲータ、ジョー・ダンテ、ケン・ラッセル、モンテ・ヘルマンが監督を務めたオムニバスホラー作品。(Lion's Gate)

『The Bank Job : 2-Disc Special Edition』(2008)
米国盤。英国で実際に起きた強盗事件を描いたクライムアクション。主演はジェイソン・ステイサム。(Lion's Gate)


●2008.7.21発売
『大列車強盗団』 Robbery(1968)
英国盤(PAL)。ピーター・イエーツ監督の出世作となった犯罪アクション映画。主演はスタンリー・ベイカー。(Optimum Home Entertainment)

『Neither The Sea Nor The Sand』(1972)
英国盤(PAL)。名著「ゾンビ映画大事典」でも取り上げられた英国製ホラーファンタジー。(Odeon Entertainment)

『The System』(1964)
英国盤(PAL)。『ジョーカー野郎』のコンビ、マイケル・ウィナー監督とオリバー・リードが初めて組んだコメディ。(Odeon Entertainment)

『The Battle of the Sexes』(1959)
英国盤(PAL)。チャールズ・クライトン監督、ピーター・セラーズ主演のコメディ。原作はジェームズ・サーバーの短編小説。(Odeon Entertainment)


●2008.7.22発売
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『Turn the River』(2007)
米国盤。ファムケ・ヤンセンが賭けビリヤード師を演じるドラマ。元夫のもとから誘拐した息子と逃げるため、大金を賭けた勝負に挑むヒロインの姿を描く。(Universal)

『サタンタンゴ』 Satantango(1994)
米国盤。ハンガリーの映像作家タル・ベーラによる上映時間435分に及ぶ大作。3枚組。(Facets)

『脳に烙印を!』 Brand Upon The Brain!: Criterion Collection(2006)
米国盤。東京フィルメックスでも上映された鬼才ガイ・マディン監督の新作サイレント長編。クリスピン・グローヴァーやイザベラ・ロッセリーニが参加したナレーション音声、短編2本も収録。(Criterion)

『天国と地獄』 High And Low: 2 Disc Edition Criterion Collection(1963)
米国盤。ニューマスター本編、37分のメイキング、山崎努への新録インタビュー、三船敏郎のインタビュー映像、日米の予告編などを収録した2枚組。ブックレット付き。(Criterion)

『吸血鬼』 Vampyr: Criterion Collection(1932)
米国盤。ニューマスター本編、評論家トニー・レインズの音声解説、カール・ドライエル監督のドキュメンタリー、監督本人が出演したラジオ番組などを収録。ブックレット付き。(Criterion)


●2008.7.29発売
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『Dark City : Director's Cut』(1998)
米国盤。アレックス・プロヤス監督の傑作『ダークシティ』の10分長いディレクターズカット版。Blu-ray版も同時発売。(New Line)

『傷だらけのアイドル』 Privilege(1967)
米国盤。英国のテレビ局BBC出身の社会派ピーター・ワトキンスの映画デビュー作。主演は“マンフレッド・マン”のボーカルだったポール・ジョーンズ。(New Yorker Video)

『人喰い魔神・裸女狩り』 Devil Hunter(1980)
米国盤。スペインの異才ジェス・フランコ監督の秘境ホラー。目玉の飛び出た魔神に美女が追いかけられまくる。(Severin)

『ブラディ・ムーン/血ぬられた女子寮』 Bloody Moon(1981)
米国盤。ジェス・フランコ監督による凄惨なスプラッタシーンが語り種になっているスラッシャーホラー。(Severin)

『続・悪徳医 女医篇』 Madame O(1965)
米国盤。集団レイプされた女医の血ぬられた復讐劇を描くピンク映画。谷ナオミも出演。(Severin)

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『Daddy Darling』(1970)
米国盤。セクスプロイテーション映画の草分け、ジョセフ・W・サルノが監督したソフトコア映画。グラインドハウス感溢れるジャケットがそそる。(E.I. Independent Cinema)

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