Simply Dead

映画の感想文。

2007年に面白かったもの

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 今年も思ったより観すぎた……と途方に暮れながら2007年も暮れつつありますが、その中で特に面白かった映画10本を選ぶとなると、こんな感じです。

『放・逐』
『グラインドハウス』USAバージョン
『星なき夜に』
『Hot Fuzz』
『おおきく振りかぶって』第24話「決着」
『ゾディアック』
『河童のクゥと夏休み』
『ドリームガールズ』
『エレクション2』
『門徒』

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 正直言って『グラインドハウス(の米国公開版のデス・プルーフ)』に迫る傑作はないと思ってましたが、『放・逐』にはぶっ飛ばされました。この2本は同率2位。他のタイトルも負けず劣らず素晴らしく、『星なき夜に』も『Hot Fuzz』も『エレクション2』も、なんでいまだに公開されてないんだか分かりません。テレビアニメ『おおきく振りかぶって』はシリーズ通じての出来も素晴らしかったですが、水島努監督が絵コンテ・演出も手がけた第24話「決着」の完成度には圧倒されました。原恵一監督の入魂作『河童のクゥと夏休み』は、全長版での再公開を願って。大晦日にDVDで観た香港映画『門徒』は、ドラッグ問題を扱った重厚なドラマ。ジョニー・トーと並んで香港映画界のツートップとして躍進を続けるイー・トンシン監督の力作です。

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 その他に面白かったものは、以下のとおり。

『檸檬のころ』
『転校生 さよなら あなた』
『マッド探偵』
『新世界』
『ブラック・スネーク・モーン』
『今宵、フィッツジェラルド劇場で』
『主人公は僕だった』
『クワイエットルームにようこそ』
『Idiocracy』
『人が人を愛することのどうしようもなさ』
『ザ・シンプソンズ MOVIE』
『カイマーノ』
『レミーのおいしいレストラン』
『プレステージ』
『サイボーグでも大丈夫』
『ルネッサンス』
『ルワンダ 流血の4月』
『ルワンダの涙』
『アポカリプト』
『プラダを着た悪魔』
『Genius Party ジーニアス・パーティー』「夢みるキカイ」

 ちなみにワーストは『どろろ』『街のあかり』『秒速5センチメートル』。ボンズ製作のアニメ映画『ストレンヂア 無皇刃譚』も、中国武侠片に興味なんかないくせに中途半端なことしてるんじゃねえよ、という怒りを覚えました。『千年女優』にかつての日本映画への理解もリスペクトもまるでなかったのと同じくらいの大失敗。『大日本人』も怒りこそ湧きませんけど、結局いつもと同じ「自分の話」でがっかり。

 旧作(一昨年より前の映画)でガツンときたのは、パッと思いつくところでは以下の10本。『Night at The Golden Eagle』は心の映画です。

『A Dirty Shame』
『Night at The Golden Eagle』
『わが心のジミー・ディーン』
『御巣鷹山』
『高麗葬』
『カインド・ハート』
『ブレードランナー ファイナル・カット』
『丼池』
『ある戦慄』
『石の微笑』

 映画関連のイベントで楽しかったのは、金沢21世紀美術館で開催された「カナザワ映画祭2007・青いオトコ祭り」。『大阪ど根性物語・どえらい奴』、『堕靡泥の星 美少女狩り』、『エロチックな関係』、『実録不良少女・姦』、『コミック雑誌なんかいらない』、そして『シエラデコブレの幽霊』と、観た映画のラインナップも凄かったですが、ゲストの方と接近遭遇する機会にも恵まれ、無茶苦茶ドキドキしました。内田裕也トークショーの凄まじい盛り上がりは忘れられません。知り合いもたくさんいたので、居心地よく楽しく過ごせました。そういえば同じ会場の大画面で観た『悪魔の沼』もよかったです。

 携帯メールとかでチマチマ書いてるこんなブログですが、何人か読んでくれる方がいてくださるようで、嬉しいです。来年は少しペースダウンするかもしれませんけど、今後ともよろしくお願いします。あと、1月発売予定の「TRASH-UP」という雑誌に、マシュー・ブライト監督について書きますので、そちらもよければぜひ。

 では、よいお年を!

『跟蹤』(2007)

『跟蹤』(2007)
英語題:Eye in the Sky

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 ジョニー・トー監督の『鎗火』(1999)、『PTU』(2003)などで脚本を手がけてきたヤウ・ナイホイの長編監督デビュー作。一般市民に紛れて容疑者を追跡・監視する覆面捜査チームを題材にした、『PTU』の系譜に連なるリアル系刑事ドラマの佳作だ。ジョニー・トーは製作を担当し、キャストも『エレクション』(2005)のサイモン・ヤムとレオン・カーファイを始め、トー作品の常連俳優が多数参加している。

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 主人公はケイト・ツイ演じる新人女性捜査官。彼女の教育係となるチームリーダーを、サイモン・ヤムがボテッ腹の冴えない中年オヤジというルックスで好演。誰にも正体を悟られることなく、追尾対象と周囲の状況をくまなく観察する「空の眼」であれ、というポリシーを持つ影の捜査員たちが、レオン・カーファイ率いる窃盗団をじりじりと追い詰めていく。映画はその過程をスリリングに描きながら、ユーモラスな人情ドラマの要素も盛り込み、ヒロインの成長と挫折も映し出していく。

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 『PTU』のように殺伐としたリアリズム一辺倒の内容ではないので、一般的な娯楽作として安心して観られる、マイルドな仕上がり。ごく今風のストレートな演出はそつがなさすぎて物足りなくもあるが、決して悪くはない。あくまで佳作として観れば、役者のアンサンブルだけで十分に楽しめる。ただ個人的には、『24 -twenty four-』の影響まるだしのカメラワークとか、話に絡まない無意味な監視カメラ風の画面効果とか、イラッとする部分も少なくなかった。こんな時、トーの叔父貴なら……とつい考えてしまう、素人っぽさの目立つ映画ではある。

 しかし、みんなのお父さん的な風情でベテラン覆面捜査官を演じるサイモン・ヤムは実にいい。ケイト・ツイの瑞々しい熱演にも注目。レオン・カーファイも『エレクション』ほど強烈なインパクトは与えないが、静かな怖さがよかった。

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 本作の主人公たちはひたすら隠密行動に徹するばかりなので、派手な追っかけを繰り広げたり、逮捕の瞬間に立ち会うこともない。そのあたりの地味なリアリティが面白かった。

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『Idiocracy』(2006)

『Idiocracy』(2006)

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 今から500年後の地球は「バカの惑星」になっていた! という恐るべき未来を描いた爆笑SFコメディ。もちろん『猿の惑星』(1968)のパロディだが、あながち笑い事でもないんじゃ……と思わせる、現代のリアルな不安を切り取った秀作である。監督は『ビーバス&バットヘッド』や『キング・オブ・ザ・ヒル』などの人気アニメを生み出した異才、マイク・ジャッジ。実写長編映画としては『リストラ・マン』(1999)に続く待望の第2作だ。本作ではナレーションを多用したトールテイル(ホラ話)のような語り口で、異世界に放り出された主人公の災難と冒険をテキパキと綴っていく。

 主演はハリウッドNo.1のかませ犬俳優、ルーク・ウィルソン。「世界一知的な娼婦」となるヒロインに扮するのは『今宵、フィッツジェラルド劇場で』(2006)での好演も印象深いマヤ・ルドルフ。ダックス・シェパードを始め、未来世界のバカたちを演じる役者のツラ構えと熱演も見ものだ。『ようこそ☆おちこぼれカレッジ』(2006)のジャスティン・ロング、『スパイダーマン3』(2007)のトーマス・ヘイデン・チャーチ、マイク・ジャッジ作品の常連俳優スティーヴン・ルートもカメオ出演。

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 ちなみにダックス・シェパードといえば、恋人ケイト・ハドソンとの熱烈キス写真がスクープされ、それを見たオーウェン・ウィルソン(ルークの兄)が自殺未遂! という罪なウワサを背負う男。のちにダックス自身もこっぴどくフラれたらしい。『Idiocracy』にはルークとオーウェンの兄アンドリュー・ウィルソンも飛び道具的キャラで登場(役名はビーフ)。世界は狭い。

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〈おはなし〉
 西暦2005年。陸軍資料室勤務のジョー(ルーク・ウィルソン)は、全てにおいて平均的な男。出世欲もなく、家族も恋人もなく、いなくなったところで誰も気にとめない人物である。そんな素質が軍上層部の目にとまり、彼は人体実験の被験者として1年間ポッドの中で人工冬眠することに。「軍のやることだから安心さ」となんら疑いを持たず、同じく被験者にされた街娼リタ(マヤ・ルドルフ)と共に眠りに就くジョー。だが、実験はあるスキャンダルがもとで中止となり、2人が眠るポッドは粗大ゴミとして葬り去られた……。

 時は流れて、西暦2505年。ある日、グランドキャニオンのごとく積もり積もったゴミの山がふとした拍子に崩れ、濁流となって町に押し寄せる。そのゴミの中から現れたのは、人工冬眠から目覚めたジョーであった。彼は間もなく衝撃の事実を知る……500年の間にアメリカでは少子化傾向が進み、代わりにホワイトトラッシュの子孫ばかりが繁栄。さらにハイテク社会が人々の生活を怠惰に導き、テレビとジャンクフードが思考力を奪っていった。もはや地上に、ジョーよりIQの高い人間は生き残っていなかったのだ!

 ジョーはバクレツに頭の悪い青年フリトー(ダックス・シェパード)の助けを借り、同じく覚醒したリタと共に、タイムマシンで2005年に戻ろうとする。さすがに500年も経てばタイムマシンくらい開発されているはずだ! しかし、社会が彼ら異分子を放っておくはずがなかった。警察に捕えられたジョーが連れて行かれた先は、なんとホワイトハウスだった!

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 見どころはやはり、マイク・ジャッジならではのシニカルなセンスで構築された未来世界。国民は全てハイテクに依存した怠け者で、テレビ漬けのため思考力や機知のかけらもない。みんな知能指数は似たり寄ったりなので、誰でも弁護士や医者になれる。主人公が普通の言葉遣いで喋っていると、なんとなくインテリっぽく聞こえるので「カマくせえ!」と一斉にバカにされる。

▼未来の人々には主人公が右のように見えている
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 ファミレスの看板には卑猥な言葉が平気で書かれてるし、スターバックスは風俗店になっている(メニューが秀逸!)。飲料水は全てゲータレードで、農業用水にまでゲータレードを使っているので、食糧危機も深刻化。マッチョな黒人大統領は元プロレスラーだ(名前はカマッチョ)。いちばん笑ったのは、ウェイン町山さんも「映画秘宝」のポッドキャストで言っていたけど、FOXニュースチャンネルのキャスターが筋肉ムキムキのボディビルダーだったという場面。20世紀フォックス製作の映画なのに!

▼歴代大統領がプリントされる紙幣も、500年後にはこんな感じ
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 マイク・ジャッジが偉いのは、「めんどくさい」という思考回路が世界を破滅に導く、という真実を鋭く突いている点だ。めんどくさいから本は読まない、めんどくさいから他者と関わらない、めんどくさいからプライドを捨て自堕落になる、めんどくさいから子どもを教育しない、めんどくさいから性病検査には行かない、めんどくさいから世界がどうなっても構わない。そして文明は滅びていく。別にアメリカのホワイトトラッシュや発展途上国のスラムに限った話ではない。日本でもそういった短絡的思考による犯罪や、自動キャッシングマシン普及のおかげで簡単に借金漬けになる大人は増える一方だ。マンガ的なカリカチュアで描いてはいるものの、行き着く先はこうなのだという終末ビジョンは極めてリアルな危機感を伴っている。『猿の惑星』よりずっと真実味がある話だ。

 自分も含めて、世の中が便利になるにつれ、だんだん脳のはたらきが鈍化しているんじゃないか、と思うこともある。普段の生活の中でも、たとえば電車の自動改札をPASMOとかで通り抜けようとしてゲートが閉じてしまった時、ネアンデルタール人みたいな勢いでカードをバンバン叩きつけている人を見たりすると、「あっ、イディオクラシーきてるな」と思う。

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 マイク・ジャッジは一貫して、エリート富裕層とは程遠い今のアメリカの市民像を、痛烈な風刺精神でリアルに描き続けてきた。MTV漬けのバカ少年コンビを主役にした『ビーバス&バットヘッド』、テキサス在住の平凡な白人一家とその周辺の珍騒動を綴る『キング・オブ・ザ・ヒル』、無気力なサラリーマンの反逆を描いた『リストラ・マン』。そこはかとない愛を込めつつ、つとめて突き放した視線で彼ら(というか僕ら)凡人の存在を世間にアピールしてきたマイク・ジャッジも、さすがに「もうちょっと、ちゃんとしようぜ」と言う時代になったのだ。もちろん堅苦しい説教ではなく、すこぶる愉快なコメディとして上手にメッセージを投げかけてくれる。まさしく人類のためになる良作だと思うのだが……。

 アメリカではろくすっぽ宣伝もされないまま限定公開され、口コミが広がるのも待たずにさっさと劇場から引き上げてしまった。日本ではビデオスルーすらされない始末。これを企業の陰謀と言わずして何と言おう?

 ちなみに、最後はアメコミヒーロー映画かと思うような超かっこいいラストが待っているので、エンドクレジットが終わるまで見逃さないように。

・DVD Fantasium
DVD『Idiocracy』(米国盤)


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『放・逐』(2006)

『放・逐』(2006)
英語題:Exiled

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 ジョニー・トー監督の最高傑作。ここに来て今年のベストワンに出会ってしまった。今、俺がこの映画について言える事といったら、「干涸びるくらい泣いた」とか「かっこよすぎて爆死しそうになった」とか、実に抽象的な言葉でしかない。とにかく観てもらわない事には素晴らしさが伝わらない映画なので、仕方ない。

 もし無理矢理、解説みたいなもんを付け加えるとしたら……『放・逐』では、ジョニー・トー監督がこれまでこだわり続けてきた男たちの絆のドラマが、完全にファンタジーとして昇華されている。リュ・スンワン監督が『相棒 シティ・オブ・バイオレンス』(2006)で惜しくも到達しきれなかった領域へ、完璧に届いているのだ。おなじみのガンアクションも、もはやクールでもリアルでも地味でもない。『レジェンド 光と闇の伝説』(1985)ばりの熱く壮麗なファンタジーである。そして今や観客の心をしびれさせるのは銃撃戦そのものではなく、戦いの火蓋が切られる一瞬前の舞台設計、そのバロック的でありつつ透徹した演出なのだ。

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 何よりも本作『放・逐』は、『鎗火(ザ・ミッション 非情の掟)』(1999)でジョニー・トー作品にイカれてしまった者にとって、最高の贈り物である。アンソニー・ウォン、ン・ジャンユー、ラム・シュ、ロイ・チョン、そしてサイモン・ヤムといったキャストを再集結させてくれたことだけでも嬉しいが、『放・逐』は僕らが『鎗火』で胸打たれたエッセンスをも蘇らせ、より成熟した語り口で増幅させているのだ。言葉など必要なくても通じ合う絆。忠義を裏切っても守るべき友情。悪戯心を捨てきれない男たちの少年性。それらを再び、『鎗火』の彼らが演じてくれるのである。あのぶきっちょな笑顔で。新加入メンバーのニック・チョンも、監督の期待に応えて好演を見せている。

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 重要なのは、本作が決して「力作」ではないということ。演出も、役者の芝居も、いい具合に肩の力が抜けている。それでいて隙がない。ストーリーもまたシンプルで、ユーモアに溢れ、「そりゃないよ〜」と笑わせつつも完璧だ。一見いきあたりばったりな無駄のなさというか。中盤の意表をつく展開から、まさかのリッチー・レン登場へ至る一連のシーンは最高におかしいが、これも伏線あっての賜物。写真や空き缶といった小道具の使い方も心憎いばかりだ。普段のジョニー・トーなら忘れてしまいそうな娼婦のエピソードまで見事に回収しているのには驚かされた。そこに生硬さは微塵もない。

 最近はどの作品にも濃厚なノワール要素(心の闇)が感じられたジョニー・トー作品だが、『放・逐』にはそれが希薄で、ひたすらクラシックな男のロマンを美しく奏でることに力が傾けられている。『鎗火』ファンにはそれが嬉しい。もちろん『PTU』(2003)や『エレクション』二部作(2005〜06)の厳しさにも打たれるわけだが、正直言って、生涯愛すべき癒しの1本となりうるのは『鎗火』であり『放・逐』である。今月発売された「映画秘宝」のオールタイムベストで、滝本誠氏が早々に『放・逐』をランクインさせていたのも頷ける。

 『放・逐』は、ジョニー・トーが満を持して挑んだ『ワイルド・バンチ』(1969)のリメイクとも言える。その難関を実に軽やかな演出タッチで達成している点が凄い。そういえば「1人の女を救いに行く5人の男」というプロットは、その昔、竹中直人が石井隆監督に持ちかけた『GONIN』(1995)の原案によく似ていると思った(こっちは4人だけど)。

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 東京フィルメックスではチケットが取れずに見逃してしまったので、英文字幕の輸入DVDで観たが、ちょっと後悔した。これは絶対にスクリーンで観た方がいい。来年の劇場公開が心から待ち遠しい。

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欲しいDVDリスト・海外編[07年12−08年1月]

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 全部は買えないけど何枚かは必ず買ってしまう、魔の欲しいものリストのお時間です。前回の国内編に続き、今回は年末年始にリリースされる海外盤をチェック。マニア的にはダリオ・アルジェント監督の『四匹の蠅』公式リリースがちょっとした事件ですね。『ゾディアック』ディレクターズ・カットは日本版が出てくれればいいんですけど……。(各商品タイトルのリンク先は、各国のオンラインショップ。一部リンクなし)

●発売中
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『四匹の蠅』Vier Fliegen Auf Grauem Samt/Four Flies On Grey Velvet(1971)
ドイツ盤(PAL)。ダリオ・アルジェント監督が初期に手がけたジャーロ。誤って人を殺してしまったミュージシャンが、奇怪な連続殺人に巻き込まれていく。主演はマイケル・ブランドンとミムジー・ファーマー。権利関係が複雑で、なかなかオフィシャルなかたちで世に出なかった幻の一作が、ついに公式リリース。(Retro Film)

『ザ・シンプソンズ MOVIE』The Simpsons Movie(2007)
米国盤。現在、日本でも公開中の劇場版『ザ・シンプソンズ』が、アメリカでは早くもDVDで登場。ワイドスクリーンの本編の他、削除シーン、プロモ映像、音声解説2種(その1:ジェームズ・L・ブルックス、マット・グレーニング、リチャード・サカイ、アル・ジーン、マイク・スカリー、デイヴィッド・シルヴァーマン、ダン・カステラネタ、ヤードリー・スミス/その2:デイヴィッド・シルヴァーマン、マイク・B・アンダーソン、スティーヴン・ディーン・ムーア、リッチ・ムーア)を収録。デイヴィッド・マーキンがコメンタリー不参加なのが個人的には残念。(Fox)

『断絶』Two-Lane Blacktop: Criterion Collection(1971)
米国盤。先日、日本でもめでたくリリースされたモンテ・ヘルマン監督の名作が、2枚組のクライテリオン・コレクションとして登場。高画質リマスター本編に加え、2本の新録オーディオコメンタリー、幻のスクリーンテスト映像、ドキュメンタリー、オリジナル脚本などをパッケージしたコレクターズ・アイテム。(Criterion)

Criterion Collection Director Series - Robert Altman(Amazon.com Exclusive)
米国盤。クライテリオンから発売されたロバート・アルトマン監督作品のお得な4本セット。Amazon.com限定リリース。『三人の女』『ショート・カッツ』『名誉ある撤退』『Tanner '88』という渋い取り合わせ。(Criterion)

『Rob Zombie's Halloween: Unrated Director's Cut』(2007)
米国盤。ロブ・ゾンビ監督による渾身の『ハロウィン』リメイク。全米公開版は110分で、無審査ディレクターズカット版は121分。日本公開版はどっちだ! ていうか、ちゃんと公開するのか?(Weinstein Company)

『Marketa Lazarova』(1967)
英国盤(PAL)。20世紀チェコ映画の最高傑作と謳われる173分の大作。二つの騎士一門が繰り広げる非情な戦いと、死よりも強い愛を描く壮大な叙事詩的ロマン。監督はフランチシェク・ヴラーチル。(Secondrun)

『鐵三角』(2007)
香港盤。ツイ・ハーク、リンゴ・ラム、ジョニー・トーの3監督がリレー形式で演出を務めた話題作。隠し金を探し当てようとする3人の男たちの運命は……?(Mega Star)


●2007.12.26発売
『Eastern Promises』(2007)
米国盤。デイヴィッド・クローネンバーグ監督の最新バイオレンス・スリラー。病院で出産後に死んだ14歳の少女。遺品はロシア語で書かれた日記だった。ナオミ・ワッツ扮する助産婦は、遺された赤ん坊のためにそれを翻訳しようとするが、そこにはロシアン・マフィアの内情を暴く危険な内容が記されていた──。マフィアの配下を演じるヴィゴ・モーテンセンが無茶苦茶かっこいい。HD-DVDも同時リリース。(Universal)


●2008.1.1発売
『Shoot 'em Up』(2007)
米国盤。クライヴ・オーウェン主演の大馬鹿ガンアクション映画。リアリティ無視のアクロバティックな銃撃戦が延々繰り広げられるボンクラ活劇。こんなもんに出てる暇があったらマイク・ホッジス監督と新作やってくれよ、と言いたくなる気持ちはやまやまだけど、でも観たい。Blu-rayも同時リリース。(New Line)


●2008.1.8発売
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『ゾディアック』Zodiac: Director's Cut(2007)
米国盤。デイヴィッド・フィンチャー監督の傑作実録ドラマ『ゾディアック』のディレクターズ・カット版。劇場公開版より5分ほど長い本編に加え、音声解説やメイキングなど、特典満載の2枚組。HD-DVDも同時リリース。(Paramount)

『愛すれど心さびしく』The Heart is A Lonely Hunter(1968)
米国盤。アラン・アーキンが聾唖の青年を演じた、名作中の名作がようやくDVD化。原作は『悲しき酒場のバラード』の女性作家カーソン・マッカラーズ。ヒロインを演じるソンドラ・ロックもいい。(Warner)

『The Ritz』(1976)
米国盤。リチャード・レスター監督による、ブロードウェイ舞台劇が原作のコメディ。ゲイの公衆浴場で繰り広げられるドタバタ群像劇。初DVD化。(Warner)

『Golden Door』(2007)
米国盤。日本でも今年のイタリア映画祭で上映されたエマヌエーレ・クリアレーゼ監督の秀作『新世界』が、アメリカでもDVDリリース。英米では「マーティン・スコセッシ・プレゼンツ」という冠つき。(Miramax)


●2008.1.22発売
『孤独の報酬』This Sporting Life : Criterion Collection(1963)
米国盤。近年、再評価の気運が高まっているリンゼイ・アンダーソン監督の『孤独の報酬』がクライテリオン・コレクションで登場。デジタルリマスターの本編、原作・脚本のデイヴィッド・スタンリーらによる音声解説、劇場予告編のほか、アンダーソンの友人・知人たちへのインタビュー集『Lindsay Anderson: Lucky Man?』(2004)、アンダーソンが最初に撮った短編ドキュメンタリー『Meet the Pioneers』(1948)、『孤独の報酬』と同じロケ地で撮影された短編『Wakefield Express』(1952)、最後の中編『Is That All There Is?』(1992)などを収録。(Criterion)

『女の館』Blue Eyes Of The Broken Doll: Special Edition(1973)
米国盤。スペインの怪奇映画スター、ポール・ナッシーが主演する猟奇スリラー。三姉妹の住む館に迷い込んだ1人の男。周囲では青い眼の女性ばかり狙った残忍な殺人事件が続発する……。監督は『ザ・ゾンビ 黒騎士のえじき』などでもナッシーと組んでいるカルロス・アウレド。(BCI)


●2008.1.29発売
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『Eugenie De Sade』(1970)
米国盤。スペインの誇る異才監督ジェス・フランコが、夭逝のミューズ、ソリダッド・ミランダを主演に撮り上げた傑作のひとつ。マルキ・ド・サドの小説をモチーフに、孤独なヒロインの肉体と魂の彷徨が綴られる。美しいミランダの物憂げな表情、寒色系の映像が胸に沁みる。新装版での再リリース。(Blue Underground)

『レディ・スタリオン/淫蕩の森』Cecilia(1982)
米国盤。ジェス・フランコ監督がフランスで撮ったソフトポルノ。ビデオ題は『危険な火遊び』。(Blue Underground)

『悪魔の調教師』The Barn of The Naked Dead(1974)
米国盤。アラン・ルドルフ監督が自身のフィルモグラフィから削除した低予算映画が、ついにアメリカで公式DVDリリース。凶悪な救いのなさと妙な哀感が漂う、オリジナルな魅力を持ち得た奇跡的なトラッシュホラー。(Rykodisc)

『Tragic Ceremony』(1972)
米国盤。いつぞやアテネ・フランセ文化センターで『ヨーロッパのある都市の警察のシークレット・ファイルより』のタイトルで上映されたこともある、イタリアン・ホラーの怪作がようやくアメリカでDVD化(いちど発売延期になっていた)。監督はリカルド・フレーダ。主演は『ソランジェ 残酷なメルヘン』のカミール・キートン。(Dark Sky Films)


●2008.1.31発売
『神探』(2007)
香港盤。ワイ・カーファイ&ジョニー・トー監督、ラウ・チンワン主演トリオによる、破天荒な探偵スリラーの快作。東京国際映画祭での上映タイトルは『マッド探偵』。分裂症の元刑事が多重人格の犯人を追うというハチャメチャなストーリー、ほとんどコントのような妄想描写の数々が楽しい。もちろんガンアクションも見どころ。

『歩道の終わる所』(1950)

『歩道の終わる所』
原題:Where The Sidewalk Ends(1950)

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 まるで教科書のようによくできたフィルムノワールの傑作。製作・監督はオットー・プレミンジャー、主演はデイナ・アンドルーズとジーン・ティアニー。『ローラ殺人事件』(1944)の監督・主演トリオが再び一堂に会し、重く深みのあるドラマを作り上げている。闇と光の、罪と救済の。

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〈おはなし〉
 ニューヨーク。粗暴な刑事ディクソン(デイナ・アンドルーズ)は、手荒な捜査で犯罪者から恐れられ、警察署内でも浮いていた。ギャングの大物スカリーシ(ゲイリー・メリル)の逮捕に執念を燃やす彼は、ある夜スカリーシの馴染みの賭場で起きた殺人事件の容疑者ペインに会いに行く。ところがその場で乱闘になり、ディクソンは誤ってペインを殺してしまった。とっさに犯行を隠蔽し、死体を海に捨てるディクソン。だが、ペインの別居中の妻モーガン(ジーン・ティアニー)の父親が、その容疑者として逮捕されてしまう。

 ディクソンはモーガンの美しさと優しさに惹かれ、恋心を抱く。同時に良心の呵責に苦しみ、自らの体に流れる汚れた血を呪う……彼の父親は犯罪者だった。それでも最後まで刑事として生きたいと願った彼は、決死の覚悟でスカリーシ一味の隠れ家へと乗り込む……。

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 ウィリアム・L・ステュアートの原作を、『暗黒街の顔役』(1932)の名脚本家ベン・ヘクトが巧みに脚色。ひとつの致命的な嘘が、やがて主人公自身の血の呪縛と、贖罪の物語を導き出していくシナリオが見事。

 オットー・プレミンジャーが描くニューヨークの薄汚れた夜の空気は、なかなかリアルで心地好い。オープニングからしていい予感が漂っている。路上に描かれた落書きとして現れるタイトルから、ノワール世界の代名詞である側構(ガター)へ……ここでは口笛が聞こえるのみで、ある決定的な瞬間(死)まで劇伴音楽は流れない。そんなドキュメンタリー風の乾いたタッチも織り混ぜながら、プレミンジャーはヘヴィーかつダークな物語を、硬質できびきびとした刑事スリラーとして澱みなく見せていく。その巧さには唸らされるばかりだ。

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 DVDパッケージの解説にもあるとおり、主人公を演じるデイナ・アンドルーズの陰鬱な表情は、ただごとではない。荒っぽいやり方でしか自己表現できない男の鬱屈を、今にも壊れてしまいそうな繊細さも滲ませて演じた本作のアンドルーズは、真のノワール俳優と呼ぶにふさわしい。この映画で最も濃密な闇(ノワール)を感じさせるのは、間違いなく彼の顔だ。ここには自分の人生を完全に見失った男が、そして自分は幸福になる価値などないと頑なに信じ込む人間がいる。とても共感してしまった。

 相手役のジーン・ティアニーはただひたすら主人公の闇を照らす“女神”の役を担うばかりなので、特筆すべきことはない。それよりはやはり男のドラマなので、ギャングの親玉スカリーシに扮するゲイリー・メリルの憎々しさ、親友の刑事役バート・フリードの妙演の方が印象に残る。スカリーシの手下の一人を『悪魔の沼』(1976)の怪優ネヴィル・ブランドが演じているのも映画ファンには見逃せないポイントのひとつだ。

・Amazon.co.jp
DVD『歩道の終わる所』

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『カインド・ハート』(1949)

『カインド・ハート』
原題:Kind Hearts and Coronets(1949)

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 貴族の血を引きながら貧しい生活を強いられてきた青年紳士が、爵位を得るために他の後継者たちを次々に抹殺していく……。英国イーリング・コメディを代表する名作のひとつが、ついに日本で初ソフト化。喜劇映画史上でもなかなか類を見ない、おそろしく冷酷なサクセスストーリーがひたすら優美に展開する、しびれるような傑作だ。

 監督・共同脚本はロバート・ヘイマー。死刑執行を控えた主人公の回想録という形式を取り、極めて冷静かつエレガントな語り口で、大胆不敵な連続殺人とおかしな出世劇をテンポよく描いていく。シンプルで抑制の利いたトーンを貫き、急ぎもせず遅れもしない演出の歩調が心地好い。全編に底意地の悪さを行き渡らせつつ、しれっと突拍子もないギャグをかましてきたり、観客の倫理観もマヒしてきたところでショッキングな殺害シーンを用意したりする(それでも画面には一滴の血も映さない)。さらに、ラブシーンでは濃密な色気まで立ち上らせるのが凄い。特にエンディング。あの導入でこのラストか! というアダルトなムード、セクシーな洒落のめし方にはぶっ飛ばされた。

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 主役を演じるデニス・プライスの冷血漢ぶりが何しろ痛快。モラルなど最初からインプットされていない怪物のようなキャラクターを、軽妙かつ知的に、嫌味にならない上品さで悠々と演じ上げている。機械のように無駄のない動作、そして素晴らしい美声も驚愕モノ。自身も高貴の生まれながら役者を目指したという人だから、こんな役はお手の物だっただろう。2人のヒロインを手玉に取る色男ぶりにも説得力がある。スペインの奇才ジェス・フランコ監督の作品や、マイク・ホッジス監督の『Pulp』(1972)で見せた怪優のイメージが強かったけど、若い頃からすでに相当な個性派だったことがこの映画ではっきり分かった。

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 1人8役を演じ分けるアレック・ギネスの変身も見どころ。見事なメイキャップの助けを借りて様々なキャラクターになりきり、ただひたすら主人公に殺されていくだけという役者冥利に尽きる(?)仕事を心底楽しんでいる。老人役や高慢な貴族役などは、さすがに自家薬籠中のものといった感じだが、中でも飛び道具的に出てくる女性運動家のキャラクターが凄い。まあ元がアレック・ギネスだから美人にはなり得ないものの、いきなり杖で窓ガラスを割ったりする無茶苦茶なキレキャラで、気球に乗ってビラを撒きに行って主人公に矢で撃ち落とされるという壮絶なオチを迎える。登場シーンが少ないのが残念。でも、いちばんいいのは、8人の中で最も素に近い状態で演じたキャラ……平凡で善良な、殺されなくてもよさそうな好人物だったりする。

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 タイプの違う2人のヒロインを演じるジョーン・グリーンウッド、ヴァレリー・ホブソンも魅力的。特に、主人公の幼なじみで、彼に相通じる打算的な性格を併せ持つ、シベラ役のグリーンウッドが絶品だ。シニカルで背徳的なラブシーンの素晴らしさは忘れがたく、映画の終盤は彼女が全てをさらっていく。

 白黒ながら絵画のような撮影は、『ラベンダー・ヒル・モブ』(1951)も手がけたダグラス・スローカム。ユニバーサル・セレクションの1本として発売された日本盤DVDは、字幕の省略とタイミングにちょっと違和感を覚えるところもあるが、画質も音質も良好。そもそもリリースされたこと自体が快挙である。この調子でアレクサンダー・マッケンドリック監督の『The Man in White Suit』(1951)とかもソフト化してほしい。

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DVD『カインド・ハート』

 ちなみに米クライテリオン社から2006年に発売された2枚組エディションDVDには、アメリカ公開版の別エンディングが収録されていた。(以下、ややネタバレ)

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『爆走!』(1972)

『爆走!』
原題:Fear is The Key(1972)

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 ミステリ小説の映像化を得意とするプロデューサーのエリオット・カストナーが、人気作家アリステア・マクリーンの『恐怖の関門』を映画化したB級アクションスリラー。監督はカストナーと『ロンドン大捜査線』(1971)で組んだマイケル・タックナーで、演出はいたって平板。ロバート・キャリントンの脚色も凡庸。

 主演は『バニシング・ポイント』(1971)のバリー・ニューマンと、絶叫顔がよく似合う『影なき淫獣』(1973)のスージー・ケンドール。 敵役は『殺しの分け前/ポイント・ブランク』(1967)のジョン・ヴァーノン。若き日のベン・キングズレーがその配下を演じている(声が高い)。『悪魔のシスター』(1973)で刑事役を演じたドルフ・スウィートが賞金稼ぎを好演。音楽は『狙撃者』(1971)のロイ・バッドが担当し、素晴らしいアクションスコアを提供している。

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〈おはなし〉
 潜水艇技師タルボット(バリー・ニューマン)は、ルイジアナの田舎酒場でつまらないイザコザを起こし、逮捕されてしまう。裁判で警官殺しの余罪が発覚した彼は、法廷の傍聴席にいた若い娘セーラ(スージー・ケンドール)を人質に取り、すかさず逃走を開始。激しいカーチェイスの末、警察の追跡を振り切ったタルボットだったが、元刑事の賞金稼ぎ・ジャブロンスキー(ドルフ・スウィート)の不意打ちを食らい、形勢逆転。セーラの父である石油成金ルースヴェンの屋敷に連れて行かれたタルボットは、そこで待っていたギャングのヴィランド(ジョン・ヴァーノン)一味に、あるサルベージの仕事を強要される。だが、全ては綿密に練られた計画だった。はたしてタルボットの目的とは?
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 まず、主人公がヒロインを誘拐し、とっ捕まったふりをして組織に潜入するという段取りが、あまりにひねりすぎていて説得力がない。賞金首として偶然連れてこられた男に「ちょうどよかった、君のスキルが必要だ」とか言う悪人の思考回路が謎だし、そんな都合のいい展開を敵に期待する主人公のアタマもどうかしている。もっと他にやりようがあるんじゃないか、という疑問が終始まとわりつく話だった(小説ならどんでん返しの連続で読み進められたりするから、まだいいんだろうけど)。

 この映画の見どころは、開巻10分ほどしてスタートする長い長いカーチェイスシーン。せっかく『バニシング・ポイント』のバリー・ニューマンを連れてきたんだから、カーチェイスしなきゃ損だと言わんばかりに、15分ぐらい延々とスポーツカーとパトカーの激しいデッドヒートが展開する。しかも、終わったと思ったらまた始まるというパターンが3回ぐらい続くので、ちょっと呆れる。舞台はルイジアナの湿地帯やら土手やら田舎道なので、『フレンチ・コネクション』(1971)みたいな迫力はない。でも、ロイ・バッドの素晴らしくかっこいい音楽のおかげで、ものすごく盛り上がることは確か。まあ、それって映画の作りとしてどうなの? という気も激しくするけど……。

 ちなみに本作のサウンドトラックCDは、世界でもプレミア扱いされている貴重な名盤。確かにサントラだけあれば十分、という映画ではある。

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DVD『爆走!』(英国盤・PAL)
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『ブレードランナー』ワークプリント(1982)

『ブレードランナー』ワークプリント
原題:Blade Runner(1982)

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 先日めでたく発売された『ブレードランナー』アルティメット・コレクターズ・エディションDVD。そのリリースの報せが全世界を駆け巡った時、おそらく最もマニア心をくすぐったのが、この「ワークプリント」収録のニュースだったろう。公開前のテスト試写で上映され、当時の観客からさんざんな反応を得たことから、再編集・ナレーション追加・エピローグ追加を余儀なくされたという、曰く付きのバージョン。のちにこれが限定上映された際に大きな反響を呼び、ディレクターズ・カット版が製作されるきっかけとなった。以降、リドリー・スコット監督はこの「ワークプリント」のコンセプトに立ち戻り、「最終版」そして「ファイナル・カット」を製作している。それは研きあげられる前の原石であり、のちの全てのバージョンから失われた独自のトーンもそこにあるはずだった。

 ワークプリントというのは映画が完成する前に作られる荒繋ぎの試作品であり、普通は試写などで使われる以外は、門外不出のものである。本来なら、映画の作り手の立場としては、わざわざ観客の目に触れていただかなくてもいいものなのだ。音楽などに仮トラックとして他作品の素材や無許可の素材を使っている場合もあり、そのままでは権利関係的にソフト化できないこともある。『ブレードランナー』のワークプリントはまさにそうだった。それがこうしてオフィシャルなかたちでリリースされること自体が異例だし、『ブレードランナー』ファンの間で「ワークプリント」の存在が特別大きなものであった、という証左でもある。

 クオリティについては全然、期待していなかった。一時は劇場で隠し撮りした劣悪な海賊版テープも出回っていたらしいが、そこまでとは言わなくても、なんならタイムコード入りのビデオ素材でも構わない(逆にそっちの方が雰囲気出るかな?)とか思っていたくらいだ。しかしDVDでは非常に鮮明なリマスタリングが施されており、「ワークプリント」単品でもしっかり商品になりそうな状態だった。そしてドキドキしながら観てみると……なるほど、全然違う!

▼相当ヒドイ目に遭っていたことが分かるホールデン(モーガン・ポール)
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 前に「ファイナル・カット」を観た時、カッティングも『ブレードランナー』の大きな魅力のひとつだ、と書いた。「ワークプリント」ではそのカッティングが若干ユルいのである。例えばホールデンがリオンに撃たれるシーンでは、隣室のデスクに叩きつけられるカット尻が妙に長かったりする。あれは一瞬だからこそ鮮烈だったのに(まあロストフッテージが長く見られるのは嬉しいけど)。逆にレイチェルがリオンを撃ってしまう場面は、撃ったあとの余韻が短すぎる。全体的な印象としては、わりと普通のハリウッド映画っぽい編集になっていた。

 いくつかの印象的なキーショットも存在しない。冒頭の眼の中に映り込むロサンジェルスの光景、デッカードの部屋で髪をほどき始めるレイチェル、等々。ワークプリントのランニングタイムは110分と、他のバージョンより6〜9分ほど短めである。オープニングも簡潔な別バージョンだし、エンドクレジットが省略されているせいもあるが、ここから完成版までの間に、編集でかなり細かく膨らませたことが分かる。

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 また、音響面での違いも顕著で、最終的なダビングを行う前なのでSEが違ったり、ボリューム調整やエフェクトが不完全だったりするところも多々ある。他のバージョンとは音楽が異なるシーンも少なくない。特に目立ったのは、デッカードとレイチェルのラブシーン、そしてデッカードとロイの対決を描くクライマックスだ。

 前者はレイチェルが弾くピアノの曲から違っていて、続く強迫的なキスシーンにかかるスコアも、やや陰鬱な印象を与える曲になっている(ちょっとハンス・ジマーっぽい)。クライマックスに至っては、ヴァンゲリスの曲は全く使われておらず、仮トラックとしてジェリー・ゴールドスミス作曲の『猿の惑星』や、ジェームズ・ホーナー作曲の『モンスター・パニック』や『キラーハンド』などの音楽が使われている。ここだけ急に、普通のサスペンス・アクションのようなオーケストレーション・スコアが盛大に鳴り響き始めるので、えらい違和感がある。さらに、DVDはワークプリントとはいえ音響もかなりクリアーになっているので、はっきり聞こえる分、余計おかしい。『ブレラン』愛好家はまずズッコケる部分だと思う。

 ここでは完全に権利元の違う音源が使われているので、その手続きをクリアして(つまりかなりの権利金を支払って)そのまんまソフト化しているのだから、スゴイとしか言いようがない。要するに全く作品のためになっていない部分に、ファンの期待に応えるため、えらい金と労力を注ぎ込んでいるのだから。

▼監督と主演スター、誤解を招きそうな撮影中のひとコマ
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 まあ、マニア以外の人が観て面白いものかどうかは分からない。なるほどこりゃまさに未完成版だな、と誰もが思える内容だからだ。しかしファンとしては、そのちぐはぐさを見るのが、逆にすごく面白い。どれほど撮影フッテージが素晴らしくても、編集や音響設計によって映画の印象がどう変わっていくか。ポスト・プロダクションでどのようにして映画が洗練されていくのか。これほど分かりやすく、分析するのが楽しい証拠フィルムもないだろう。

 ワークプリントならではの美点・オリジナルな特徴もいくつかある。音声解説を担当した「メイキング・オブ・ブレードランナー」著者のポール・M・サモンによると、他のバージョンとの違いは70ヶ所以上にものぼるという。以下はアメリカのファンサイト「BLADE ZONE」を参照しながら、個人的に気になった相違点。

●オープニングタイトルが別バージョン。シューッと画面の真ん中を切り裂くスリットから、赤の大文字で「HARRISON FORD」「BLADE RUNNER」とだけ出る。予告編で使われていたのと同じ、2カットだけの簡潔なタイトルデザイン

●レプリカントの解説は、辞書の引用を模したシンプルなもの。世界設定の説明はない

●ロスアンジェルスの空撮ショットに、タイレル社管制官のアナウンスが被さる(のちにデッカードたちがタイレル社を訪れる場面でも使われている)

●ロスアンジェルスの街を見つめる眼のアップショットがない

●タイレル社・外観から、面接室の窓へクロースアップしていくカットがない

●リオンに撃たれたホールデンが壁をぶち破って隣室のデスクに叩きつけられ、キーボードに頭をぶつけるカットが長い。なぜかファンのプロペラが下に落ちてきている

●デッカードが屋台で注文するエビライスの中身が見られる

●デッカードがうどんを食べるカットが長い

●ブライアントの印象的な台詞「昔ながらのブレードランナーが必要なんだ。あんたのマジックが欲しいのさ」がない

●デッカードたちがリオンの部屋を調べに行くシーンで、部屋に入る時にホテルの管理人が「コワルスキ」と声をかける(ファイナルカットも同様)

●エレベーターの中で他人の気配に気付き、銃を向けるデッカード。ワークプリントではレイチェルが「デッカード」と小さく声をかけた瞬間に振り返る。ちょっと無粋な感じ

●デッカードがユニコーンのイメージを思い描くシーンがない

●コンピュータで写真を拡大していくデッカード。窓辺に座るロイの姿に「やあ、ロイ」と声をかける

●ゾーラの拡大写真をプリントアウトしたデッカードが「ゾーラか、プリスか?」と呟く

●アブドゥル・ハッサンとデッカードのやりとりが他のバージョンと違う。タフィー・ルイスの店についても言及しない

●街頭ディスプレイのホッケーマスクダンサーのシーンがある(ファイナル・カットで復活)

●タフィーの店でかかっている音楽が違う

●ゾーラのダンスの前口上が長い

●デッカードがゾーラに締め付けられたネクタイをほどくショットがある

●ゾーラを殺したあと、デッカードが酒を買うシーンで「If I didn't care」というオールドソングが流れる(劇場特報でも使われた)。他のバージョンで流れているのは「One more kiss」という別の曲

●リオンが撃たれるシーンで聞こえる銃声が完成版と違う。撃たれたリオンがデッカードにもたれかかるカット、レイチェルが恐る恐る歩み寄るカットもない

●デッカードのアパートで、レイチェルが弾くピアノの曲が違う

●レイチェルが髪をほどくために頭に手をやるショットがない

●デッカードとレイチェルのラブシーンに流れる音楽が他のバージョンと違う、やや暗いトーンの曲になっている

●ロイがタイレル社長に言う台詞が「Fucker」ではなく「Father」になっている(ファイナル・カットも同様)

●ロイがタイレル社長の目を潰すカットが短い。が、眼窩から血が溢れ出す瞬間は入っている

●ロイが逃げようとするセバスチャンに「Sorry,Sebastian...Come,come」と言う(ファイナルカットでは復活)

●終盤のブラッドベリ・アパートを舞台にしたシークェンスの音楽が、ヴァンゲリス作曲のスコアではなく、全て仮トラックになっている

●ロイがデッカードの指をへし折るアップショットがある

●デッカードがロイに折られた指を元に戻し、痛みに叫びを上げるカットが別テイク

●ロイが自分の掌に釘を突き刺すカットが少ない

●浴室の壁をぶち破って頭だけ出したロイが、デッカードに「痛いか? 痛くないよな」と言う

●ロイの死を見守るデッカードの顔に、彼のモノローグが被さる。ここでは「劇場公開版」「完全版」の無味乾燥なナレーションとは異なる、美しく効果的な台詞が聞ける。曰く――「死にゆく彼の姿を一晩中見ていた。長く、ゆっくりと死は訪れた。彼はあらゆる手段をもって、それと闘ったのだ。涙も見せず、投げ出すこともなく。彼は最期の瞬間まで自分の人生を愛していた。一分一秒、痛みでさえも愛おしく感じただろう。そして、彼は死んだ」

●ラストシーンはエレベーターに乗り込むレイチェルとデッカード。「THE END」のテロップのみで、エンドタイトルはない

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 「ワークプリント」収録の5枚組アルティメット・コレクターズ・エディションは、まさにファン必携のアイテム。3時間半にも及ぶメイキング・ドキュメンタリー「デンジャラス・デイズ」は、秘蔵映像満載の圧倒的なボリュームで、1日中観てても全く飽きない。オクラ入りになった追加ナレーションを中心に構成された「未公開シーン集」も、ある意味すごかった。だから他のものが全然観れない……困った……。

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『サイボーグでも大丈夫』(2007)

『サイボーグでも大丈夫』
原題:싸이보그지만 괜찮아(2007)

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 今、韓国映画界でいちばん信頼の置ける監督は、パク・チャヌクだと思っている。その新作が人気若手スターを起用したファンタジックなラブコメディになると聞いた時は、驚きながらも期待が高まった。絶対に普通の映画になるはずがないし、肩の力の抜けた仕事ができていいのではないかと思ったのだ。実際、本作『サイボーグでも大丈夫』は、確かに普通とは程遠いユニークな作品で、なおかつ肩の力を抜き損なったかのように全編パク・チャヌク節が炸裂する、どうにも商売しづらそうな(笑)快作だった。

 舞台は精神病院。主人公は自分がサイボーグだと思い込んでいる拒食症の少女。そんなヒロインを、他人のパーソナリティを盗むのが趣味の親切な青年が救おうとする。まるで大島弓子のマンガのようなストーリーを、パク・チャヌクは正しく少女マンガのように、明るくカラフルなホンワカしたルックで描いていく。もちろん他の入院患者の奇矯な行動は描かずにおれないし、ヒロインの凶暴な妄想も具体的に映像化せずにはいられない。社会常識などはひとまず置いて、狂人の戯言にこそ耳を傾けるべき物語でもある。監督の悪意をキックする要素は揃いに揃っているが、問題はここで人間の善意の温かさを、若い男女の淡い恋模様を描かなければならないということだ。さあ、どうする?

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 というわけで、この映画にはパク・チャヌクが描ける精一杯のラブストーリー、精一杯の善意の物語が映し出されている。もう本当ギリギリ(笑)。いつもより余計にひねくれた回りくどい語り口も、どうにか温かい展開へ結び付けようとする苦心が透けて見えて、すごく微笑ましい。それだけに終盤は並のラブストーリーよりずっと感動的だ。最後のひと押しというか、伏線の回収は若干クドいけど、ラストカットがかっこいいのでOK(相米慎二かと思った)。

 相変わらず滲み出てしまう底意地の悪さや残酷さは許してほしい。なかなか本筋にたどり着かないシュールな展開も、本気で狂っている台詞も、主演スター目当てで観に来た観客を戸惑わせるばかりだろう。だけど、多分この監督はそれがないと死んじゃうのだ。

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 とはいえ、すっとぼけたユーモア感覚や、キャラクターの可愛いげを引き出す手腕もまた、パク・チャヌクの大きな才能のひとつ。『JSA』(2000)や『復讐者に憐れみを』(2002)の頃からそれは発揮されてきたし、他の悪趣味監督より頭ひとつ抜きんでているのはそのためだ。今回の映画でも、もちろんそのユーモラスな視線は活かされている。

 ヒロイン、ヨングンを演じるイム・スジョンが何しろいい。可愛すぎる。まさにキャスティングの勝利。完全にイッちゃった女の子を大変な集中力でパーフェクトに演じ上げ、パク・チャヌク映画の歴代ヒロインの中でも最大インパクトの座に躍り出た。また、この強烈な個性を相手に映画デビューを飾ることになったRain(ピ)ことチョン・ジフンは、分の悪い勝負にひるむことなく、自然体の演技で相手役に徹して成果を上げた。演技力がどうこう言うレベルではないけれども、誠実な姿勢で映画に臨んでいる。

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 脇を固めるキャストの顔ぶれも相当な粒揃いだが、中でもやはり、異常に卑屈で小心な性格のため後ろ向きにしか歩けない患者ドクチョン役、オ・ダルスの演技が素晴らしい。オムニバス映画『もし、あなたなら 〜6つの視線〜』(2003)以来、パク・チャヌク作品の飛び道具として定着した彼が、相変わらず絶妙な芝居で奇ッ怪なキャラクターを演じ、片時も目を離すことができない。

 また、ヒロインの頭の中で聞こえるアナウンスを吹き込んだチュ・ユランも絶品。天使のような声質で「良心を捨てなさい。邪魔する者は皆殺しです」と朗らかに説く彼女は、患者役のオーディションに参加してこのパートに抜擢されたという。

▼オ・ダルス、今回も最高
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 パク・チャヌクの作るフィルムは、常に寓話性を湛えた残酷なメルヘンだった。激痛描写や暴力シーンのかげに隠れて目立たないのかもしれないが、ささやかな愛や幸福を求める者たちがそれゆえに罪を背負い、理不尽な悪意にさらされ、夢のように劇的な物語の主人公になっていくおとぎ話だ(多くの場合は悪夢だが)。復讐劇とは言いながら、彼らは映画のラストで人類の罪科を一身に背負う殉教者となり、聖性を帯びる。そんなマジックやワンダーの起こる瞬間が、ファンにとってはたまらない魅力なのだ。

 ある意味、最初から狂気というメルヘンに突入している『サイボーグでも大丈夫』において、パク・チャヌク監督が仕掛けるワンダーは、魔女の森からの脱出口=現実帰還の道しるべとして機能する。キーアイテムとなるのは「おばあちゃんの入れ歯」。その行方が、ヒロインの通過儀礼の物語を左右する。

 ちなみに今回、『美しい夜、残酷な朝』(2004)に続き、またしてもちゃんばらトリオにリスペクトを捧げるかのようなゴムひも芸が繰り返されるのには驚いた。一体どんなオブセッションなのか? また、前作『親切なクムジャさん』(2005)から濃厚だった少女マンガっぽさも引き継いでおり、特に劇中に出てくる七つの大罪を描いた少女と猫のイラストが可愛すぎる。

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DVD『サイボーグでも大丈夫』デラックス版

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『ロバート・アルトマンのヘルス』(1980)

『ロバート・アルトマンのヘルス』
原題:Health(1980)

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 ロバート・アルトマン監督の長編劇映画の中で、最も観るのが困難だった作品のひとつが、この『ヘルス』である。そもそもアメリカでの初公開時には、出資元の20世紀フォックスが配給を拒否し、仕方なくアルトマンと当時のフォックスのマーケティング担当者だったマイク・カプランが自主公開したという、曰く付きの作品だ。以後、その運命は一向に好転しないまま現在に至っている。回顧上映でお目にかかることもなく、いまだにアメリカでもDVD化されず、昔どこかでビデオが出ていたという話も聞かない。いわば80年代のアルトマンの不調を象徴するかのような1本なのだ(後にそれは不当な評価だったことが判明するが)。さすがにこれは永遠に観られないかな……と思ったら、WOWOWであっさり放映してしまった。しかもスコープサイズのノートリミング版、微妙なビデオノイズ感のある出処不明なマスターで。

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〈おはなし〉
 フロリダのとある豪華ホテルでは、H.E.A.L.T.H.こと「健康によってもたらされる幸福と力と長寿」協会のコンベンションが行われていた。メインイベントは、新会長の座をめぐる選挙戦。83歳という高齢にして信じがたい美貌を保つエスター・ブリル(ローレン・バコール)と、理知的な改革論者イザベラ・ガーネル(グレンダ・ジャクソン)の一騎打ちが始まろうとしていた。TVショー司会者のディック・キャヴェットも、中継クルーと共に会場に乗り込み、取材を開始する。

 そこに、ホワイトハウスから大統領の激励の言葉を携えて、政府のオブザーバーとしてグロリア(キャロル・バーネット)がやってきた。彼女はエスター陣営の指揮をとっているのが前夫ハリー(ジェームズ・ガーナー)だと知ってびっくり。さらにエスターが頻繁に気絶状態を繰り返す完全な病人で、言動も支離滅裂であることも知る。が、ハリーはその事実をひた隠す。グロリアはイザベラこそが会長になるべきだと考えるようになるが、彼女にも驚愕の疑惑が浮上。「健康的」とは程遠いスキャンダラスな選挙戦の行方は?
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 全米健康協会のトップをめぐる選挙の行方を、アルトマンは翻弄されやすいヒロイン・グロリアを中心に、馬鹿げた茶番劇として描きのめす。健康ブームの宗教じみた不健全さや、政治の場にたかるうさんくさい人々が標的だ。2人の候補の争いは、50年代のアメリカ大統領選で繰り広げられたドワイト・アイゼンハワーとアドレイ・スティーヴンソンの対決を模しているという。アイゼンハワーにあたるローレン・バコールは、保守派の人気者だが完全なボケ老人で、傀儡にしかなりえない。一方スティーヴンソンにあたるグレンダ・ジャクソンは、高尚な理想主義と巧みな弁舌でインテリ層にアピールするが、巧いことを言いたいだけで実力が伴わないようにも見える。アルトマン自身はスティーヴンソンを支持していたというが、映画の中ではどちらにも等しく皮肉な視線を向けている。安易にリベラル派へ傾くヒロインも、結局は政治にウブな素人であると喝破するのがアルトマンらしい。

 バカバカしく悪趣味なサタイアがユル〜く展開する本作だが、時には心胆寒からしめる強烈なシーンも登場する。ひとけのない夜の展示場で、ヒロインが影の実力者を名乗るコディ少佐に恫喝される場面がそれだ。曰く「この国を動かしているのは我々ロビイストだ。大統領じゃない。トップが誰になろうと関係ないが、この選挙は我々が勝つ。一体お前は何様のつもりだ? 全米ライフル協会に連絡して葬ってやる!」。少佐を演じるドナルド・モファットの迫力もあって、このシーンは凄く恐い。映画ではこの後、拍子抜けするようなオチがつくものの、政治の醜悪な実態をつきつけるアルトマンの意図は本気だ。この場面だけでも、『ヘルス』はストレートなアメリカ政治批判として生々しく通用する作品だと思う。

 別にこの映画を幻の傑作だとか必見の名画だとか言うつもりはない。アルトマン作品としてはそこそこ面白いぐらいの佳編である。だからこそ、気楽に見られない現状が逆にもったいない。自称83歳の半壊レディを嬉々として演じる大女優ローレン・バコール、憑かれたようなキャラへの没入度で他を圧倒する個性派グレンダ・ジャクソン、そしてキュートな表情を見せるキャロル・バーネットの好演は、もうちょっと人目に触れてもいいと思う。デビューしたてのアルフレ・ウッダードが演じる、妙にかっこいいホテルの責任者も印象的。

 ちなみに『ヘルス』のオクラ入りを救ったマイク・カプランは、MGMの宣伝部長時代に『BIRD★SHT バード・シット』(1970)で初めてアルトマン作品に関わり、その後も公私ともに交流を保ち続けた。20世紀フォックスでアルトマンが製作した作品には全て携わり、『ビッグ・アメリカン』(1976)では俳優として出演している。後に『ショート・カッツ』(1994)の製作を手がけ、メイキング・ドキュメンタリー「Luck, Trust & Ketchup: Robert Altman in Carver Country」の監督も務めた。また、イギリスで黙殺されかけたマイク・ホッジス監督の傑作『ルール・オブ・デス/カジノの死角』(1998)をアメリカに紹介し、成功に導いたのも彼。同作を観たアルトマンは、主演俳優クライヴ・オーウェンを『ゴスフォード・パーク』(2002)に抜擢し、スターダムにのし上げた。

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『ラベンダー・ヒル・モブ』(1951)

『ラベンダー・ヒル・モブ』
原題:The Lavender Hill Mob(1951)

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 戦前からあるイギリスの映画会社イーリング・スタジオは、数々のコメディ作品で名を馳せ、映画ファンに“イーリング・コメディ”の愛称で親しまれた。その特徴は、クールで乾いた人間観。笑いの質は基本的に不埒で無邪気。ちょっぴり冷酷で、アンチソーシャルな匂いも漂うブラックユーモア。そこではモラルから解放された登場人物たちが、しれっと暴挙や悪事を繰り広げる。心温まる人情喜劇などを期待すると痛い目を見ることも……イーリング・コメディの代表作と名高い『マダムと泥棒』(1955)のように、時にはホラー映画とも見紛う不気味さへとエスカレートする。それだけに、癖になるとやめられない。

 『戦場にかける橋』(1957)の名優アレック・ギネスは、イーリング作品にも数多く出演し、ロン・チャニィばりの百面相で様々な怪演を披露した。本作『ラベンダー・ヒル・モブ』もその1本である。ロンドンの銀行で金塊運搬の仕事をしていた主人公が、ある土産物業者と知り合ったことから、かねてより温めていた金塊強奪計画を実行に移す……という犯罪コメディだ。

 T・E・B・クラークによるオリジナル脚本が、何しろよくできている。金塊は盗みおおせたところでイギリス国内では売り捌けない。だから主人公たちはそれをいちど高炉で溶かし、エッフェル塔型の文鎮に変えて、フランスに持ち出そうと画策する。プロの泥棒を雇い入れた強盗作戦や、パリで起きる予想外のトラブル、活劇調のクライマックスなどがテンポよく描かれ、上映時間78分があっという間に過ぎていく。ドタバタ喜劇的なシーンやカーチェイスもあり、仲間同士の連帯感をしんみりと描くヒューマニズムも適度に盛り込まれた快作だ。監督は『乱闘街』(1947)や『ワンダとダイヤと優しい奴ら』(1987)など、長年にわたってイギリス映画界で活躍し続けたチャールズ・クライトン。出てくるのは気のいいキャラクターばかりで、イーリング作品としては大分マイルドだが、そこに通常の社会倫理はない。

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 アレック・ギネスは本作で凝ったメイクなどはしないものの、都会の片隅で地味に生きるカタブツ中年男をリアルに演じ、なりきり俳優ぶりを存分に発揮している。ちょっと病的な非人間性も漂わせながら、それでいてチャーミングな表情も出すことができる。コメディアンとして、やっぱりピーター・セラーズごときじゃ敵わない凄味があるよな、と思った。相棒役のスタンリーホロウェイも、知的で柔和なゼロ・モステルといった趣きで、人間味のないギネスと息の合ったところを見せている。

 劇中で特に印象深いのは、エッフェル塔での追っかけシークェンス。間違って黄金製のエッフェル塔文鎮を買ってしまった女学生たちを追って、主人公2人が展望台かららせん階段を猛スピードでグルグル降りていくうち、ものすごくハイになってしまうという爆笑シーンだ。ここはビジュアル的にも面白い場面にもなっていて、エッフェル塔の鉄骨を幾何学模様のように見せ、トリッピーな画面効果を生み出している。巧みな合成を駆使した特撮シーンとしても完成度が高い。こういうファンタジックな描写に思いがけず出くわすのも、イギリス喜劇映画を観る楽しみのひとつ。

 撮影はキューブリック作品なども手がけた名手、ダグラス・スローカム。編集を担当したセス・ホルトは後に映画監督となり、ハマー・プロで『恐怖』(1961)や『妖婆の家』(1966)といったシンプルなスリラーの佳作を残した。また、本作はブレイク前のオードリー・ヘップバーンの出演作としても知られている。冒頭でほんの少し顔を見せるだけだが、その魅力はすでにはっきりと開花しており、そこに目をつけなかったイーリング・スタジオの失策は手痛い(結局、その後のイーリングは『マダムと泥棒』を超えるヒット作に恵まれず、撮影所はテレビ局に買収されてしまった)。

 『カインド・ハート』(1949)と併せて、日本ではあまり観る機会のなかったイーリング・コメディの代表作が、今年になってユニバーサルから続けてDVD化されたのは素直に嬉しい。ただもうちょっと字幕が見やすければいいのにな、とは思った(翻訳は生真面目なくらいちゃんとしてるんだけど)。

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DVD『ラベンダー・ヒル・モブ』


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欲しいDVDリスト・国内編[2007.12〜2008.1]

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財布の中身は確かめず、とりあえず個人的に欲しいDVDをただ列挙してみるコーナーです。今回は前に書いた12月分の補足改訂版と、来年1月リリースの注目作を紹介します(各タイトルのリンク先は、Amazon.co.jp)。再発売作品や、アニメもちょっぴり足しました。1月は中川信夫BOXとか、ロベール・ブレッソンBOXあたりがヤバイ……。あと、前回紹介した『ショート・カッツ』や『ザ・プレイヤー』が一部店頭では安くなってるみたいです。


●発売中
『ジミー・ウォング シーマンズNo.7 波止場のドラゴン』(1973)
ジミー先生がマドロスを演じる(似合い過ぎ!)功夫アクション。監督は『ドラゴン怒りの鉄拳』のロー・ウェイ。喧嘩の最中に誤って人を殺した船員が、逃げ込んだ先で殺人を目撃してしまい……。(キングレコード)

『ジミー・ウォング 大剣客 無敵の七剣』(1971)
無実の罪を着せられ処刑されることになった名将・岳飛を救うため、憂国の義士たちが立ち上がる。ジミー先生が腕利きの剣士を演じた武侠アクション。(キングレコード)

『ジミー・ウォング セブン・ウォリアーズ 戦神灘』(1973)
倭寇に襲われる村を助けるために立ち上がった7人の男たちの活躍を描く、娯楽時代劇アクション。お話的にはキン・フー監督の『忠烈図』も思い出す。ジミー先生は監督も兼任。(キングレコード)


●2007.12.7発売
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『非行少女ヨーコ』(1966)
実話をもとに、家出娘ヨーコの放蕩生活を描いた、降旗康男監督のデビュー作。出演は緑魔子、谷隼人、そして石橋蓮司。ここで降旗監督本人の思い出話が読めます。(東映)

スタンリー・キューブリック コレクション
『2001年宇宙の旅』『時計じかけのオレンジ』『シャイニング』『フルメタル・ジャケット』『アイズ・ワイド・シャット』5作品を収録。各2枚組のスペシャル・エディション、全作品リマスター仕様。(ワーナー)

『スキャナー・ダークリー』特別版(2006)
廉価版での再発売。米インディーズ映画界をリードするリチャード・リンクレイター監督が、これまでになくストレートにP・K・ディックの小説を映像化した秀作。新作『ファーストフード・ネイション』も、ようやく来年2月に日本公開決定!(ワーナー・ホーム・ビデオ)

『ハンガー』(1982)
廉価版での再発売。デイヴィッド・ボウイとカトリーヌ・ドヌーヴが吸血鬼を演じ、特殊メイク界の重鎮ディック・スミスの仕事が冴え渡る、トニー・スコット監督のデビュー作。オープニングを飾るバウハウスのライヴシーンも忘れがたい。トニー・スコットとスーザン・サランドンの音声解説つき。(ワーナー・ホーム・ビデオ)

『ベニスに死す』(1971)
低価格再発売。ヴィスコンティも980円!(ワーナー・ホーム・ビデオ)

『地獄に堕ちた勇者ども』(1969)
低価格再発売。ヴィスコンティにシャーロット・ランプリングも加えて980円!(ワーナー・ホーム・ビデオ)

『男と女』特別版(1966)
低価格再発売。ダバダバダも980円! 続編『男と女 II』も同時リリース。(ワーナー・ホーム・ビデオ)

『抱擁』(2004)
低価格再発売。グウィネス・パルトロウも980円!(と書いてもあまり驚きがない)。世界一の人でなし監督ニール・ラビュートによる、今のところいちばん真っ当なラブストーリー。秀作です。主演は常連俳優アーロン・エッカート。(ワーナー・ホーム・ビデオ)

『ぼくの最後の恋人』(2006)
傑作『ワンナイト・イン・モンコック』のイー・トンシン監督&ダニエル・ウー主演のラブコメ。共演は歌手で女優のミリアム・ヨン。(ジェネオン)


●2007.12.13発売
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『アルフィー・ダーリング』(1975)
ユニバーサル・セレクション第6弾。マイケル・ケイン主演のヒット作『アルフィー』の続編として作られた珍品が、まさかの国内初ソフト化。主人公アルフィーに扮するのは、なんと『オー!ラッキーマン』のアラン・プライス。全然イメージ違うじゃん!(ユニバーサル)

『カインド・ハート』(1949)
ユニバーサル・セレクション第6弾。イーリング・コメディの最高傑作と名高いブラックコメディが、ついに日本初登場。大富豪の放蕩息子が遺産を独り占めするため、継承権のある一族を次々と亡き者にしていく。名優アレック・ギネスが1人8役に扮し、『Pulp』のデニス・プライスが血も涙もない主人公を怪演。(ユニバーサル)

『乱闘街』(1947)
ユニバーサル・セレクション第6弾。英国イーリング・スタジオの代表作の1本。ロンドンの下町っ子たちがギャング相手に繰り広げる冒険活劇。監督は『ワンダとダイヤと優しい奴ら』のチャールズ・クライトン。(ユニバーサル)

『ヘブンズ・アバーブ』(1963)
ユニバーサル・セレクション第6弾。『密室の恐怖実験』のボウルティング兄弟が手がけたドタバタ・コメディ。主演はピーター・セラーズ。(ユニバーサル)

『上海ルージュ』(1995)
ユニバーサル・セレクション第6弾。チャン・イーモウ監督の映像美学がバリバリ全開だった頃の最後の作品。少年の目から見た上海暗黒街の人間関係を、耽美的なビジュアルで綴っていく。(ユニバーサル)

『生きるべきか死ぬべきか』(1942)
ユニバーサル・セレクション第6弾。エルンスト・ルビッチ監督による言わずもがなの傑作コメディ。でもユニバーサルの廉価版って字幕がたまにひどい時があるんですよね……クラシックコメディは字幕が命なので、ちょっと不安?(ユニバーサル)

『エバン・オールマイティ』(2006)
ヒット作『ブルース・オールマイティ』のスピンオフ作品。前作に主演したジム・キャリーに代わり、『40歳の童貞男』のスティーヴ・カレルが、神様に方舟作りを命じられてしまう主人公エバンを熱演。アメリカでは大ヒットし、日本でも劇場公開寸前まで行ったのに、あえなくオクラ入りに。(ユニバーサル)


●2007.12.14発売
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『ブレードランナー』製作25周年記念 アルティメット・コレクターズ・エディション(1982)
2007年製作の「ファイナル・カット」、劇場公開前にリサーチ試写で使われた「ワークプリント」、1982年に公開された「劇場公開版」、後にビデオやLDでリリースされた「完全版」、1992年に製作された「ディレクターズカット最終版」を収録した5枚組エディション。「ファイナル・カット」は劇場で観ましたが、メッチャ綺麗! マニア的な目玉はやっぱり「ワークプリント」でしょう。特典は多すぎてよくわかりません。(ワーナー)


●2007.12.19発売
『主人公は僕だった』コレクターズ・エディション(2006)
すっごくよくできた映画。ザック・ヘルムの書いた脚本の出来がとにかくいい! 来春公開の監督デビュー作『マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋』にも期待。(ソニー・ピクチャーズ)

『セリーヌとジュリーは舟でゆく』(1974)
パリを舞台に2人のヒロインの冒険を描く、ジャック・リヴェット監督の代表作。ボックスからの単品化。(コロムビアミュージックエンタテインメント)

『北の橋』(1981)
『セリーヌとジュリー〜』に続く、ジャック・リヴェット監督と女優ビュル・オジエのコラボレート作品。これもボックスからの単品化。(コロムビアミュージックエンタテインメント)

『彼女たちの舞台』(1988)
ジャック・リヴェットが相変わらずの長尺で、芝居のリハーサルを続ける女性たちの姿を描く。演劇教師を演じるのはビュル・オジエ。ブレイク前のイレーヌ・ジャコブも出演。これもボックスからの単品化。(コロムビアミュージックエンタテインメント)


●2007.12.21発売
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『性談牡丹燈籠』(1972)
曽根中生監督によるロマンポルノ版「牡丹燈籠」。主演は小川節子と谷本一。小品ながら胸に沁みる秀作。正直もっと早く出してほしかった。(ジェネオン)

『堕靡泥の星 美少女狩り』(1979)
鈴木則文監督が手がけたロマンポルノ大作。悪に魅入られた主人公の魂の彷徨が胸を打つ傑作。どんなに極悪非道な描写を重ねても、作り手(監督)の人間性がブレないのはさすが。(ジェネオン)

『戦国ロック 疾風の女たち』(1972)
長谷部安春監督のロマンポルノ初参戦作。戦国時代に生きる女ばかりの野盗集団「疾風組」の活躍を描いたアクションポルノ。(ジェネオン)

『ラブ・ハンター 恋の狩人』(1972)
日活ロマンポルノ史に燦然と輝く、警視庁摘発作品! エロに対して前のめりなカメラワークに才気が迸る、山口清一郎監督の代表作。脚本のこうやまきよみは、山口監督と神代辰巳の共同ペンネーム。(ジェネオン)

『新宿乱れ街 いくまで待って!』(1977)
待望の初ソフト化を果たす傑作ロマンポルノ。曽根中生監督×荒井晴彦脚本コンビが描く、新宿ゴールデン街青春絵巻。(ジェネオン)

『真夜中の妖精』(1973)
傑作『牝猫たちの夜』と同じく、田中登監督が70年代新宿を背景に描く青春ロマンポルノ。主演は山科ゆりと風間杜夫。(ジェネオン)

『赤塚不二夫のギャグポルノ 気分を出してもう一度』(1979)
こんなものまでソフト化されるとは……赤塚不二夫が原作・出演、山本晋也が監督、柄本明やたこ八郎が出演したロマンポルノの変わり種。(ジェネオン)

『タイニー・ラブ』(2004)
マシュー・ブライト監督の『Tiptoes』が今頃リリース。ゲイリー・オールドマンが小人を演じる秀作ドラマ。共演はマシュー・マコナヘイ、ケイト・ベッキンセール、パトリシア・アークェット。(ジェネオン)

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『モノノ怪』参之巻「のっぺらぼう」(2007)
中村健治監督がその才能を全面開花させたオムニバスアニメ『怪〜ayakashi〜』の一編「化猫」(必見!)。そのスピンオフ作品として作られたTVシリーズ『モノノ怪』の第3話。妖怪を斬り続ける主人公・薬売りが、一家皆殺しの下手人である女の悲しい心の闇に迫る。飛躍に富んだ演出、ヘヴィーな物語と色鮮やかな映像美のマッチングが見事。個人的には第1話「座敷童子」と並んで好きなエピソード。(アスミック・エース)

『追悼のざわめき』デジタルリマスター版 スペシャル・エディション(1988)
松井良彦監督の伝説的カルトムービー。この映画こそ、まさか本当にソフト化されるとは思わなかった。3枚組のスペシャル・エディション。(エースデュースエンタテインメント)

『ルネッサンス』(2005)
白黒ハイコントラストの映像がクールなフルデジタルアニメの快作。整合性やリアリズムにとらわれない無茶なライティングが快感。なかなかデジタルの人にはできないんですよ、こういう発想は。フランス映画なのでストーリーは大したことないけど、映像と音響は素晴らしい。(ハピネット)

『死霊のえじき 完全版』(1985)
ジョージ・A・ロメロ監督のリビングデッド三部作が廉価で登場。『ゾンビ』は米アンカーベイの観音開きBOX持ってるからいいけど、『死霊のえじき』はLDしかないので、この機会に欲しいかも。(ハピネット)

『ナイト・ウォッチ ─ディレクターズ・カット─』(2005)
ロシア発の大風呂敷ホラーアクション大作が、約8分長いディレクターズ・カットで再登場。第2部『デイ・ウォッチ』も来年2月公開予定。(20世紀フォックス)


●2007.12.22発売
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『マリア・ブラウンの結婚』(1979)
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督による、説明不要の傑作。ボックスから単品化した、デジタルリマスター版。(紀伊國屋書店)

『歩道の終わる所』(1950)
オットー・プレミンジャー監督ほか『ローラ殺人事件』のスタッフ・キャストによる、日本未公開の傑作フィルム・ノワール。主演はダナ・アンドリュースとジーン・ティアニー。(紀伊國屋書店)

ルイス・ブニュエルDVD-BOX4
ブニュエルがメキシコ時代に手がけた『スサーナ』『昇天峠』『アルチバルド・デラクルスの犯罪的人生』の3本を収録。(紀伊國屋書店)


●2007.12.25発売
『七月のクリスマス』(1940)
ハン・ソッキュ主演の韓国映画ではなくて、コメディの名匠プレストン・スタージェス監督の1940年作品。主演は後に『眼下の敵』などの監督も手がけるディック・パウエル。(ジュネス企画)

『地獄の英雄』(1951)
ビリー・ワイルダー監督の痛烈なドラマ。落盤事故をセンセーショナルに演出して特ダネ記事をものにしようとする新聞記者を、カーク・ダグラスが熱演。(ジュネス企画)

『鬼軍曹ザック』(1951)
サミュエル・フラー監督の代表作の1本。朝鮮戦争を背景に、戦場をさまよう一人の兵士の姿を追っていく。兵士を助ける少年の役名はショート・ラウンド。もちろん『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』の元ネタ。(ジュネス企画)


●2007.12.26発売
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『おおきく振りかぶって』Vol.7(2007)
今年いちばん、毎週観るのが楽しみだったTVアニメ。1年生しかいない新設高校野球部のひたむきな挑戦を、ユーモラスなキャラクター描写で活き活きと描いた秀作。絵もキャッチーだし、話もホントに面白い。監督は『xxxHOLiC』の水島努。Vol.7では、夏大会予選・第1回戦の中盤を描く、第18〜20話の3エピソードを収録。(アニプレックス)


●2008.1.1発売
『プレステージ』コレクターズ・エディション