FC2ブログ

Simply Dead

映画の感想文。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『別冊映画秘宝 アニメ秘宝発進準備号 オールタイム・ベスト・アニメーション』発売!

anime-hiho1804_cover.jpg

『別冊映画秘宝 アニメ秘宝発進準備号 オールタイム・ベスト・アニメーション』
洋泉社・刊
別冊映画秘宝編集部・編
定価:1400円+税

 久々の告知です。4月28日に『別冊映画秘宝 アニメ秘宝発進準備号 オールタイム・ベスト・アニメーション』というムックが発売になります。ポップなカバーイラストはうとまるさん。装丁・本文デザインは市川力夫さんです。タイトルどおり、メインとなるのは総勢50名の参加者によるベストテン・アンケート。『映画秘宝』本誌や別冊などに執筆していただいているライター陣や他業種のクリエイターの方々にご参加いただき、幅広くバラエティ豊かな回答を寄せていただいております。参加メンバーは、青井邦夫あさりよしとお池田憲章宇川直宏小野耕世金子修介小林勇貴高橋ヨシキ田亀源五郎滝本誠田口清隆辻本貴則内藤瑛亮西川伸司ふくやまけいこミルクマン斉藤ほか(以上、敬称略)、アニメーションに対して並ならぬ理解と興味をお持ちの皆様。普通のアニメ誌で同じ企画をやっても全然違うものになっただろうと断言できる作品ラインナップは壮観です。

 さらに特別枠として、アニメーション業界で活躍するクリエイターの方々にテーマ別でベスト作品を選んでいただきました。アニメ界のレジェンド・大塚康生さんが選ぶ「海外アニメ・ベスト5」、岡本英郎さんの「巨大ロボットアニメ10選」、角銅博之さんの選ぶ「怖いアニメ10選」をアンケート形式で掲載しているほか、5人の方々にインタビューしております。

sayoasa_final_01main_WEB.jpg
『さよならの朝に約束の花をかざろう』(C) PROJECT MAQUIA

 インタビュー1人目は『AKIRA』『人狼』『イノセンス』『おおかみこどもの雨と雪』など、クオリティ重視の劇場長編には欠かせない敏腕アニメーター、井上俊之さん。今回は400カット近くのレイアウトを担当されたという最新作『さよならの朝に約束の花をかざろう』の話題も絡めつつ、「アニメの演技の理想型」というテーマでお話をうかがっています。日本のアニメーターの技量についての厳しい分析に始まり、アニメーションが表現できること、井上さんが考える「アニメの演技の理想」を実現しえた作品などについて語り下ろした、全アニメ関係者必読のインタビューです!

THE-REFLECTION.jpg
『THE REFLECTION ザ・リフレクション』(C)スタン・リー, 長濵博史/THE REFLECTION製作委員会

 2人目は『蟲師』『惡の華』『THE REFLECTION ザ・リフレクション』の長濵博史監督。アニメの魅力に目覚めるのが遅かったという長濵監督に、将来の道を決心させるほどショックを与えた『妖獣都市』、いつか真似してみたいという『MIDNIGHT EYE ゴクウ』、これ以上に美しいロボットのデザインはない!という『聖戦士ダンバイン』など、人生に影響を与えたアニメーションについて熱く語っていただきました。のちの長濵作品に意外なかたちで反映されていくエッセンスを見つける面白さもあります。

concrete-revolutio.jpg
『コンクリート・レボルティオ ~超人幻想~』(C)BONES・會川 昇/コンクリートレボルティオ製作委員会

 3人目は『映画秘宝』『特撮秘宝』にもご執筆いただいている脚本家の會川昇さん。今回は「神回という言葉が生まれる以前の神回アニメ」という興味深いテーマで10項目を選んでいただきました。70~80年代、いかにしてアニメファンはお気に入りの作家を追いかけてきたかという文化史も交え、脚本家としての目線から「演出と脚本の“闘い”」についても大いに語っていただいております。そして、會川さんの膨大なフィルモグラフィーのなかから自作ベスト10も発表!

shinkarion.jpg
『新幹線変形ロボ シンカリオン』(C)プロジェクト シンカリオン・JR-HECWK/超進化研究所・TBS

 4人目は世界の珍品映画・怪獣映画のオーソリティこと大畑晃一さん。『映画秘宝』初期メンバーの1人としてもおなじみですが、今回は「日本でソフト化してほしい世界のアニメ10本」というテーマで、幻の名作『やぶにらみの暴君』からアシッド感満点のインド産アニメまで選んでいただいております。そして、ちゃんとアニメの仕事もしているんだぞ!ということで、現在放映中のTVシリーズ『新幹線変形ロボ シンカリオン』で大畑さんが担当されている各話バトルシーンのコンテについてもお話をうかがいました。

CS_kung-fu-boys.jpg
『映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ ~拉麺大乱~』(C) 臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2018

 5人目は『映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ ~拉麺大乱~』が現在公開中の高橋渉監督。シンエイ動画生え抜きの高橋監督に「ベストしんちゃん映画」5作品を選んでいただきました。制作デスクとして参加された『嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』の思い出など、貴重なお話も披露。もちろん『爆盛!カンフーボーイズ』の裏話や、高橋監督の長編デビュー作『ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』のクライマックス秘話も語っていただきました。『映画秘宝』本誌6月号に掲載されたロングインタビューと併せてどうぞ。

 第3部のコラムコーナーでは「秘宝読者にこそ観てほしい」新旧の名作アニメや、現在のアニメシーンについて、選りすぐりの書き手に執筆していただきました。東映版『デビルマン』のメインライター・辻真先さんによる『DEVILMAN crybaby』レビューを皮切りに、青井邦夫さんによる『ガールズ&パンツァー』、てらさわホークさんによる『あしたのジョー2』、キシオカタカシさんによる『フリクリ』、新文芸坐スタッフ・花俟良王さんによる新海誠作品評など、どれも「この人にしか書けない!」という内容になっております。

 僕は松崎さん、田野辺さんと全体の編集作業をやっているほか、長めの巻頭コラム、「別冊秘宝編集部が選ぶ殿堂入りアニメ10本」の作品解説(田野辺さんと共同)、上記のインタビューまとめ、ミニコラム1本と、巻末のあとがき的コラムなどを担当しました。巻頭コラムでは2018年のイチオシ作品――『DEVILMAN crybaby』『ポプテピピック』『リズと青い鳥』『犬ヶ島』などを取り上げているほか、なぜいまアニメーションから目が離せないのかを寄り道に次ぐ寄り道を繰り返しつつ解説しております。また、本書の企画の発端には『映画芸術』2017日本映画ベスト&ワースト特集号におけるアニメ除外問題があり、そのことについて思うところも述べております。そうすると必然的に「じゃあ『映画秘宝』はアニメフレンドリーだったのか」という話になるので、そういうことも書いております。

 とにかく読み応えはある一冊になっていると思います。そして、これをもとに未知のアニメーションをどんどん探して観ていただけたら幸いです。よろしくお願いいたします!
スポンサーサイト

『どこか霧の向こう』(2017)

『どこか霧の向こう』(2017/香港)
原題:藍天白雲(Somewhere Beyond the Mist)

swbytmst_poster.jpg

 今年3月に開催された第13回大阪アジアン映画祭で、極めて鮮烈な印象を残した一作。発売中の『映画秘宝』6月号の映画祭レポートでは紙幅の都合で取り上げられなかったので、番外編ということでこちらに書くことにした。

 香港郊外で中年夫婦が他殺体となって発見された。間もなく容疑者として、被害者夫婦の一人娘である女子高生コニー(レイチェル・リョン)が逮捕される。事件を担当する女性刑事アンジェラ(ステフィー・タン)は、コニーの自供を取り、事件の全容解明を進めつつ、私生活では認知症を患う父親との同居にストレスを募らせている。コニーはなぜ両親を殺したのか? 事情聴取を続けるなかで、コニーが受けていた家庭内暴力や性的虐待といった異常な家庭環境が明らかになり、そのなかで生存本能としての殺意を膨らませていく彼女の痛ましい内面が浮き彫りになっていく。この事件で本当に異常だったのは誰なのか? そんな状況を作り出したものは何だったのか?

swbytmst001.jpg

 一般家庭まで侵食する現代香港の社会的モラルの崩壊、広がる格差と放置されていく貧困層、そして親世代の介護に伴うストレスといった現代的モチーフを、現実の猟奇殺人事件を題材にリンクさせた脚本が秀逸。単なるタブロイド記事の映画化を超えた、普遍性と社会性を兼ね備えたドラマにしようという強い意欲が感じられる。監督のチョン・キンワイはドキュメンタリー出身で、これが初めての長編劇映画なのだとか。来日した主演女優レイチェル・リョンの言葉によると、監督はとにかくリアリティを重視し、キャラクターの心理的内面をリアルに表現することを常に求められたという。

 「子供は親を選べない」という普遍的な悩みが、コニーの場合は異常な状況下で肥大し、犯罪に至ってしまう。その過程を捜査するアンジェラもまた、ハードな介護生活の悩みを抱えており、もはや一線を超える寸前でありながら理性をもって踏みとどまろうとする。監督は両者を対照的に見せながら、善悪のジャッジは下さず、ただただ客観的に見守る態度を崩さない。

swbytmst002.jpg

 コニーの父親はセックス中毒の気があり、自宅と連れ込み宿の区別がなく、娘の前でもヒヒ親父ぶりを隠そうとしない(そういう商売にも片足を突っ込んでいるように匂わされる)。そして、どうやらコニー自身も性的虐待によって支配している。母親はその事実を知りながら、現実から目を背けていかがわしいオカルト信仰にはまっている。「貧すれば鈍する」という言葉を地で行くような、水洗トイレすらない山奥の粗末なボロ屋暮らしも含め、年頃の少女が鬱屈を深めていくには十分な生活環境である。やがて彼女が「殺られる前に殺らなければ……」と決心するまでの過程を、映画はつとめて冷徹に、丹念に映し出していく。

 コニーはいじめられっ子の同級生(同性愛者でもある/実在の事件では黒人少年だったそうだが、余計な意味が付随してしまうことを避けて香港人の少年に改変したそうだ)を共犯者に選び、ある晩、ついに犯行に及ぶ。およそスマートな完全犯罪などとは程遠い、たどたどしく場当たり的な殺害シーンは、しかし異様な迫力と禍々しさ、生々しさに満ちている。かつて香港映画の人気ジャンルだった「実録三級片」の匂いも感じるほどに。

swbytmst003.jpg

 エンドクレジットを見て、そんな感触を覚えたことに納得がいった。製作にイー・トンシン、そして協力にはアン・ホイの名前が! イー・トンシンは娯楽映画の巨匠として知られる一方で、香港ニューウェーブの流れを汲む社会派作家という側面を持つ。長編監督デビュー作『癲佬正傳』(86年・未)では、ソーシャルワーカーと精神病患者の交流を淡々と描きながら、クライマックスでは幼稚園を舞台に血みどろの惨劇が展開する(これも1982年に起きた実在の事件だという)。その後の香港版『狼たちの午後』ともいうべき『野獣たちの掟』(88年)、ギャング映画の骨子を借りて移民犯罪の実態に迫った『新宿インシデント』(09年)まで、その態度は一貫している。そして、アン・ホイは言うまでもなく香港映画界を代表する社会派監督であり、香港のマンモス団地で起きた一家惨殺事件を描いた『夜と霧』(09年/映画祭上映のみ)など、鬼気迫る実録犯罪ドラマを幾つも手がけている。この2人の影響が(直接的助言ではなかったにしろ)非常に大きかったことは想像に難くない。

swbytmst004.jpg

 ドラマの語り部であり、観客が心情を重ねるポジションにいる女性刑事は、どこか『39 刑法第三十九条』(99年)の鈴木京香が演じた精神科医も思わせる。今回の映画祭では『空手道』(17年)でも好演を見せたステフィー・タンの抑えた芝居が活きている。片や、新星レイチェル・リョンが演じた親殺し少女の鬼気迫る表情は、一度見たら忘れられない。監督に要求された役への丹念なリサーチが凄まじい説得力を生んでいる。彼女の熱演が、本作にミヒャエル・ハネケの『ハッピーエンド』(17年)に匹敵する毒性と、同じく少女の父親殺しを描いたパトリック・タム監督の傑作TVムービー『13/弒父』(77年・未)を彷彿させる緊迫感とやるせなさをもたらしている。やや生硬すぎる部分もなくはないが、ヘヴィーな題材を真正面から描いた問題作として、忘れがたいインパクトを残す一編だった。

・大阪アジアン映画祭
『どこか霧の向こう』作品紹介ページ
【“『どこか霧の向こう』(2017)”の続きを読む】

『映画秘宝EX 激闘! アジアン・アクション映画大進撃』発売!

HIHO-EX_AA_cover.jpg

 久々の告知です。夏目深雪さん、浦川留さんと1年以上かけてコツコツ作ってきた(でも最終的には怒涛の勢いで駆け抜けた)本がようやく発売されます。ベテランから若手まで勢揃いした豪華執筆陣によるコラム、俳優&監督インタビュー6連発など読み応え満点の1冊となっております。ご興味ありましたら、ぜひ!

『映画秘宝EX 激闘! アジアン・アクション映画大進撃』

定価:1,600円+税/洋泉社刊
発売日:2017年4月19日


【目次】
◎カラーグラビア“The Essentials of Asian Action”
 打て!/蹴りまくれ!/飛べ!/内功!/武器を持て!/撃て!

◎カラーグラビア ASIAN ACTION STAR TRIBUTE 秘宝的永世王位武打星
 ブルース・リー(コラム:江戸木純)
 ジャッキー・チェン(コラム:筒井修)
 サモ・ハン(コラム:岡本敦史)
 ジェット・リー(コラム:浦川留)

◎インタビュー 直撃!アジアン・アクションの星
 カラ・ワイ(ベティ・ウェイ)/マックス・チャン


◎対談
  龍飛鳳舞!武俠映画七変化(宇田川幸洋×浦川留)
◎コラム
  変幻する武俠映画のスタイル――キン・フーから『マトリックス』、そして『ローグ・ワン』へ(岡本敦史)

《香港・台湾》
◎コラム
  伝説の映画帝国、邵氏兄弟有限公司――その栄光と波乱の興亡史(知野二郎)
  香港クンフーアクション映画黄金期を築いたアクション監督 ラウ・カーリョンとユエン・ウーピン(浦川留)
  知られざる台湾女性アクション映画の世界――社会写実映画の栄枯盛衰(結城らんな)
  ジョン・ウーとツイ・ハーク――友情と決別、そして再会の物語(岡本敦史)
  チャウ・シンチーのクンフー愛――笑いの達人を支えた熱き武術魂(浦川留)
  ウォン・カーウァイ――“すれ違い”のメロドラマ的アクション(北小路隆志)
  ジョニー・トー七変化――壮麗なるガンアクション美学の変遷(岡本敦史)
  香港潜入捜査官映画の興隆―― 『邊緣人』から『インファナル・アフェア』へ(結城らんな)
  香港黒社会映画と越境者たち――大陸と犯罪映画の関係(岡本敦史)
  ドニー・イェン最強伝説――銀河をも制した「宇宙最強」の男(浦川留)
  イップ・マン ムービーズ――黄飛鴻に代わる新たなヒーローアイコンの誕生(藤本洋輔)
  ダンテ・ラム――肉体の限界を超えて(夏目深雪)
  ベニー・チャン――世界基準の現代香港アクションをリードし、真の香港アクション映画を撮り続ける男(江戸木純)
  2000年以降の女性ファイターたち(浦川留)

◎インタビュー
  リンゴ・ラム
  ウィルソン・イップ
  ダンテ・ラム
  ソイ・チェン

◎対談
  新世代アクションスター総進撃(浦川留×岡本敦史)

◎小論
  ビジネスとしてのアジアン・アクション史――命を削り、拳と筋肉で稼いできた男たちの伝説(江戸木純)

《中国・韓国》
◎小論
  中国クンフーアクション映画の系譜――その起源と独自の歩み(劉文兵)

◎対談
  知られざる70年代韓国アクション映画の世界(知野二郎×岡本敦史)

◎コラム
  中国犯罪アクション映画の現在――検閲との戦いから生まれた過激な挑戦(岡本敦史)
  韓国映画のバイオレンス表現――突き抜けた“痛み”と“過剰さ”の魅力(岡本敦史)
  韓国アクション映画における北朝鮮の表象(夏目深雪)
  チョン・ドゥホン――韓国アクション映画の牽引者(岡本敦史)

《番外編》
◎小論
  アクション原論――すべての映画はアクション映画である(夏目深雪)

◎コラム
  スポーツアクション映画(浦川留)/ホラーアクション映画(岡本敦史)/災害アクション映画(浦川留)/戦争アクション映画(岡本敦史)/サイレントアクション映画(夏目深雪)/アニメーションアクション映画(土居伸彰)

《東南アジア》
◎コラム
  すべてはパンナー・リットグライから始まった タイ・アクションの系譜(藤本洋輔)
  フィリピン・アクション映画の復興―― 『牢獄処刑人』のさらにその先へ(よしだまさし)
  ベトナム・アクション映画の新潮流、『The Rebel』以降(坂川直也)
  インドネシアの荒唐無稽アクションから『ザ・レイド』まで(岡本敦史)
  インド・アクションの新潮流――肉体美よりも格闘美を!(岡本敦史)
  イランのバイオレンス・アクション映画――イスラム革命前と革命後(市山尚三)

アジアン・アクション映画年表[1920~2016年]
      
激薦! アジアン・アクション映画100選(浦川留、岡本敦史、加藤よしき、夏目深雪、藤本洋輔、結城らんな)
次のページ

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。